バイオマスプラスチック材料技術

枯渇資源である石油の消費を抑えるとともに、温暖化防止に寄与する材料として、リコーはバイオマスプラスチックに早くから注目し、技術蓄積と製品素材の実用化を目指しています。

バイオマスプラスチックのメリットと課題

バイオマスプラスチックは再生可能な生物由来のバイオマス資源を利用したプラスチックです。現在実用化段階に入っているものは、植物由来の材料によるものです。代表例は、植物に含まれるデンプンや糖、セルロースを原材料とした高分子材料で、デンプンを発酵させた乳酸を化学合成したポリ乳酸です。ポリ乳酸は、たとえ焼却しても排出されるCO2は原料となる植物が成長する際に光合成によって吸収したものであり、大気中のCO2を増加させません(カーボンニュートラル)。そのため、温暖化を促進させない環境負荷の少ない材料です(図1)。また、ポリスチレンなどと同等の剛性と強度を備えています。しかしながら、耐久材として利用するには耐熱性や耐衝撃性に課題があり、電気電子機器の部品に利用するには燃えにくさの指標である難燃性確保も課題です。さらには、部品に成形加工する際の量産性について課題があります。

リコーでは、これらの課題をクリアし、将来の本格的採用を目指して、間伐材・廃木材などの非可食材料からポリ乳酸を耐久部品に適用させる材料技術、および経済性も両立する量産性の高い成形技術の開発にも取り組んでいます。


図1:バイオマスプラスチックの循環
図1:バイオマスプラスチックの循環


ページトップへ

バイオマスプラスチック使用量拡大に向けた課題とリコーのアプローチ

1.複合機における適用範囲拡大の課題

複合機には1台あたり、重量比でおよそ20~30%の樹脂部品を使用しています。その樹脂部品の用途は多岐にわたっており、内装カバーや給紙トレイなどの内装部品、カバーなどの外装部品、高耐熱性が要求される定着ユニットや高い寸法精度が求められる光学ユニットなどに使われる機能部品があり、それぞれ要求される特性が異なります(図2)。特に使用量が多い外装部品には高い難燃性(燃にくさ)が求められています。リコーは、用途に応じたさまざまな課題をクリアし、適用範囲を拡大していきます。

図2:複合機に採用される樹脂の用途割合と用途ごとに求められる特性
図2:複合機に採用される樹脂の用途割合と用途ごとに求められる特性


2.バイオマス度向上における課題

結晶性ポリエステルであるポリ乳酸には、3つの大きな課題があります。
・結晶化度(結晶化の割合)が耐熱性、耐衝撃性に影響する
・結晶化速度が量産性に影響する
・ポリエステルは難燃性を確保しづらい

従来は、石油系プラスチックを一定量混合することでこれらの課題をクリアしていました。そのため、バイオマス度 (*1)を高めることが難しく、多くても50%程度が限界でした。そこで、リコーでは材料メーカーと共同で、石油系プラスチックを混合させずに耐熱性と耐衝撃性を確保するとともに、結晶性の制御を可能とする新規開発の添加剤で改質された新規バイオマスプラスチックを用いて、業界トップ(2012年5月現在)の高いバイオマス度(約70%)を実現しました(図3)。また、従来の石油系プラスチック材料と同等の時間で成形加工が可能で、量産性も確保しています。今後も、さらにバイオマス度を向上させるための技術開発に取り組み、環境負荷削減に挑戦していきます。

(*1) バイオマス度:プラスチック部品の原材料のうち、バイオマス資源が占める割合。



図3:従来方式と新方式のバイオマス度比較
(a)従来のバイオマスプラスチック
バイオマス度(約50%)
(b)新規バイオマスプラスチック
バイオマス度(約70%)
図3:従来方式と新方式のバイオマス度比較


複合機部品への利用におけるリコーの目指す方向性

リコーは、2005年にバイオマス度約50%のバイオマスプラスチックを初めて複合機の筐体の一部に採用され、その後約70%にバイオマス度を高め、2008年10月にはマニュアルポケットとして搭載しました(図4)。

(a) imagio MP C2200 搭載部品 (b) imagio MP C2200 搭載箇所
(a) imagio MP C2200 搭載部品 (b) imagio MP C2200 搭載箇所
図4:imagio MP C2200への搭載 (2008年10月)


今後は、リコーが掲げる2020年度の環境目標である、「新規投入資源量の25%削減(2007年度比)」に向け、より高いバイオマス度と適用範囲の拡大のための技術開発をさらに進め、バイオマスプラスチックの使用量の拡大を図っていきます(図5)。

図5:バイオマスプラスチックの開発イメージ
図5:バイオマスプラスチックの開発イメージ

ページトップへ