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小畑さんの「ひとり言」

第9回 :
電車の網棚

掲載日:2004年10月13日


 電車の網棚と言えば、「忘れ物」である。私は覚えているだけでも約40年間に5回くらい大切な品物を電車の網棚に置いたまま、降りてしまった。そのうち3回くらいは保管してある駅まで出向いて事無きを得たが、2回くらいはなくなってしまった。通勤電車の場合、品物を頭上の網棚に載せると、自分の視界から完全に消えてしまうのでつい忘れてしまいがちだ。そして、下車駅に着くとドアが開いているわずかな時間に降りなければならず、本を読んでいたり、つい何かに気をとられていたりすると、あわててホームに降りるので網棚の品物をすっかり忘れてしまうことになる。忘れ物をするので品物は網棚に置かず、必ず自分で持っているという人も大勢いる。男性と女性で見ると、男性はよく網棚を利用するが女性はそれほど利用しないようである。女性のカバンの形や材質が網棚に載せにくいということもあるだろうが、身長差も大きな理由のひとつに違いない。
 私は最近こんな光景を見た。電車で乗り込んで来たばかりの男の人がカバンを網棚に載せているとき、突然カバンの中から品物が落下、目の前に座って気持ちよさそうに眠っていた中年女性の頭部に長さ10cmくらいのモノが当たった。幸い、けがなどはなく大事には至らなくてすんだ。私自身もこれまでに2回くらいは網棚からの品物落下の犠牲となったことがあるし、たしか、1回くらいは加害者になった経験もある。


 仕事がら私は電車に乗る機会が多い。たいていの場合、A4判の資料を入れられるカバンを持っていて、網棚に載せる。電車の網棚など、いつも何気なく使い、取り立てて気にすることもない道具である。しかし、よく観察してみると、網棚は電車によって結構違っている。

特急電車の網棚
写真1 特急電車の網棚

 写真1は、JR特急電車の網棚である。網棚の位置が低いので身長が160cmに満たない私でも難なく使うことができる。座席に座って見上げると写真の網棚に載せている品物の影が下から透けて見えるように工夫がしてあり、「自分の品物はここにある」と、わかるので安心できる。それでいて、小さな品物も落ちてこない。私たちが長時間、くつろいで旅するときに便利な網棚になっている。網棚の背景色も明るい上品なピンクで気分がいい。

JR総武線の電車の網棚
写真2 JR総武線の電車の網棚

 写真2はJR総武線の網棚である。この網棚は、写真2のように一番手前の横棒が5〜6cmくらい低くなっている。私はいつも持ち歩いているカバンを網棚に載せてみた。いつも体験していることなので、何も特別に感じることはない。身長の低い私は、カバンを網棚に載せるとき2段階の作業をしている。1段階目に、カバンの手前側を両手で持って高く持ち上げ、網棚にのせる。そのとき、カバンは網棚の一番手前の横棒に載っていて、斜めになっており、手前にはみだしている部分が多いため、手を離すと落ちてくるかもしれない不安定な状態である。2段階目の作業で、右手でカバンを適当な位置まで押し込む。このとき、電車がゆれても安定することと同時に、下車駅に着いたときに取りやすいようにカバンを微妙に手前の位置に置くことを心掛けている。とくに、小さな品物をうっかり網棚の奥に載せてしまったとき、駅に着いて急いで取り出す苦労は経験済の方も多いはずである。そんなわけで「手前の位置に置く」ことは、身長の低い私にはとても重要なポイントである。

東京メトロ(地下鉄)東西線の電車の網棚
写真3 東京メトロ(地下鉄)東西線の電車の網棚

 写真3は東京メトロ(地下鉄)東西線の網棚である。見た目はすっきりしてとてもいい感じである。さっそく、この網棚に私のカバンを載せてみた。1段階目の作業、カバンを両手で持って高く持ち上げ、網棚に載せるとき、JRの網棚よりかなり高く持ち上げなくてはならない。この網棚は一番手前の横棒が低くなっていない。手前の横棒の数cmの差が私にとっては大きな差に感じられた。2段階目の押し込む作業もJR総武線より高さを必要としやりにくかった。さらに、網棚からカバンを取り出すとき、吊り革を固定しているパイプにカバンの手前の端が当たってしまった。


 いつも、何にも気にせず普通に使っているJR総武線の電車の網棚はけっこう、使いやすいんだなーと、改めて実感できた。

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