人権尊重を基本にした企業活動の実現〜ダイアログ開催

人権について、国際的な知見をもつ有識者の方々とのダイアログを通じて、新たな学びと気づきを得ました

人権問題はその奥行きが広く、裾野も限りなく広いものがあり、従来にもまして人権尊重の流れは、企業にとって最重要課題のひとつとなっています。リコーグループでは、相互理解の前提となる基本的人権を常に尊重し、人種、信条、性別、社会的身分、国籍、疾病、障がい等による差別は行わないという基本方針を、行動規範の中でうたっています。そして人の物心両面にわたる豊かさの実現を図ることが、社会の発展につながると考えています。その根底には、人権尊重の精神と実践が必要だと改めて認識しています。

これまでの活動経緯

三愛精神のひとつ“ 人を愛す”をタイトルにした人権啓発ガイドブック。三愛精神のひとつ“ 人を愛す”をタイトルにした人権啓発ガイドブック。

2010年に発行された「社会的責任」に関する国際規格ISO26000。中でも重視されているのが「人権に関する認識と行動」です。特にグローバルに事業を展開する企業は、国際規格のフレームワークに沿った人権の理解と、人権の視点を組み込んだCSRマネジメントが求められます。
いまリコーグループも、グローバルかつ新たな市場開拓に取り組んでいます。その中では、基本的人権の尊重に対する社会的な認識が進んでいない国でビジネスを行うこともあります。また現在、海外のグループ社員が全社員の2/3を占め、様々な国や地域の文化・習慣の尊重が課題となっています。
リコーグループでは、これまでも人権に関する様々な方針の確立・推進ツールの開発・新入社員から管理職までの階層別教育やe-ラーニングなどを着実に行ってきましたが、改めてグローバルな視点で人権の重要性を再認識し新しい取り組みを進めていきます。


リコーグループの「人権」に関する活動経緯
●1991年 11月
「人権啓発委員会」が発足し、各事業所・人事総務部門に担当者を配置。
●1993年 4月
「リコービジネス行動規範」を発行し、基本的人権の尊重を明記
●1994年 4月
人権啓発ガイドブック「人を愛す」を発行し人権啓発教育を積極的に推進
●2003年 11月
「リコーグループCSR憲章」「リコーグループ行動規範」で基本的人権の尊重を明記
●2004年 12月
トータル・リスク・マネジメントに人権事項を組み込み、未然防止のための標準を作成
●2006年 1月
「サプライヤー行動規範」でサプライヤー様に基本的人権の尊重を要請
●2007年 4月
ダイバーシティ&ワークライフ・マネジメント推進活動強化カラーユニバーサルデザイン活動を開始
●2008年 12月
国連GC 世界人権宣言60周年 CEOステイトメントに署名
●2011年 3月
人権をテーマにしたステークホルダーダイアログを開催

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より深く人権の現状課題を探るためにダイアログを開催

リコーグループでは、社会からの要請・期待およびステークホルダーニーズを的確に把握し、迅速な対応を行うために、毎年様々な形でダイアログを開催しています。2010年度は、人権や「ISO26000」に関しての知見と各領域で豊富な経験をもつ専門家の方々を招聘し、2011年3月25日にダイアログを開催しました。
当日は、事前にリコーグループの事業内容と活動経緯を理解していただいた上で、3つのテーマにのっとってご意見をいただきました。

横田 洋三氏
横田 洋三氏
人権啓発教育推進
センター理事長
中央大学教授
長谷川 真一氏
長谷川 真一氏
ILO 駐日代表
寺中 誠氏
寺中 誠氏
アムネスティ・ インターナショナル・ 日本事務局長
黒田 かをり氏
黒田 かをり氏
CSOネットワーク
共同事業責任者
ISO26000作業部会
エキスパート
関 正雄氏
関 正雄氏
株式会社
損害保険ジャパン理事
CSR 統括部長
ISO26000作業部会
エキスパート

テーマ1
リコーグループの国内・海外の事業活動において、人権に関わる領域で「評価できる点」「気になること(課題)」

●企業活動全体の中に人権を含むCSRを取り込み、一体のものとして運用されていることは高く評価できます。気になる点は、人権について国内外の過去の事例をどのように分析し、組織内で共有しているかということです。また、欧米だけでなく中国・アジアへ事業展開が広がる中で、サプライチェーンを含めた人権問題についてどのように配慮しているかということです。(長谷川氏)

●人権をステークホルダー・ダイアローグのテーマに取り上げたことは素晴らしいチャレンジです。また、ISO26000を読み込んで、人権以外の主題からも人権関連の課題を抽出していることは高く評価できます。実践の例として、カラーユニバーサルデザインに取り組んでいることも評価できます。「人権」は人事部だけの仕事ではありません。事業活動を行う全ての部門が関係している全社的課題としてとらえる必要があります。(関氏)

●「CSR憲章」や「グループ行動規範」に、人権に関する方針が策定されており、人権侵害等に対応する仕組みづくりや、人権教育も実施されている点が評価できます。課題としては、人権問題の発生を定期的に評価・検証する仕組み、デューデリジェンスの仕組みの整備です。(黒田氏)

テーマ2
人権に関わる領域で、最近のトピックスや今後の動向の中で企業が知っておいた方が良いと思われること

●日本企業の人権の取組みも、国連による国際的モニタリングの対象になっています。また重大な人権侵害事例については、国内や国際的裁判事件になることが最近では少なくありません。こうした事例についても、企業はつねにアンテナを張って情報を収集し、仮に問題が発生した場合は適切な行動ができるように備える必要があります。(横田氏)

●国連で現在検討されている、人権の保護・尊重・救済のフレームワークがあります。これは、ラギー報告をベースにしたものですが、今後の企業活動にとって最も重要な基準の一つだと考えます。企業は、このフレームワークの構造を理解した上で、その人権方針を策定することが必要になると思います。(寺中氏)

*ラギー報告:グローバル・コンパクトの設立にも尽力したハーバード大学のジョン・ラギー教授が、国連人権委員会に提出した「保護、尊重、救済:企業と人権についての枠組み」と題する最終報告書。

テーマ3
人権に関わる領域で、今後、リコーあるいはリコーグループに期待すること

●人権分野でも日本企業のトップランナーになり、ISO26000に沿った好事例を積極的に世の中に紹介してください。そして、サプライチェーン、日本企業全体、グローバル企業の取り組みをけん引する役割を期待しています。(関氏)

●企業活動のグローバル展開の中で、日本の常識が海外では通用しない場合があることを意識しておいてほしいと思います。常にそれぞれの国の立場で考え、人権問題に取り組むことを期待します。(長谷川氏)

●国際的動向の中で、近年注目されているものに“人権の主流化”という考え方があります。これは、人権尊重を、特定の部署ではなく、すべての部署の活動において徹底させようという方針です。リコーグループでも、この人権の主流化に企業として取り組んでいってもらいたいと思います。 (横田氏)

●リコーグループでは、サプライチェーンにおける児童労働の予防、禁止、モニタリングが実施されていますが、今後は、その他のILOが定める労働における基本的権利についても対応を期待しています。また、ダイバーシティ方針の確立に向けて、さらに進められると良いと思います。(黒田氏)

●人権方針は精神論ではなく、企業活動の中で具体的に実現する必要があります。今後は本業での人権方針と、グローバルでの労働者の権利の確保が求められると思います。リコーグループは率先して、このような課題への具体的な対処をステークホルダーに示し、行動することが大切です。(寺中氏)

より深く人権の現状課題を探るためにダイアログを開催

今回のダイアログでは、リコー側から経営層を始め様々な部門の代表者が出席し、有識者の方々から直接、人権問題に関する貴重なご意見やアドバイスを得ることができました。今後、リコーグループが真のグローバル企業になるため、労働慣行をはじめとして、ものづくりやマーケティング、コミュニティとの関わりも含めて、人権に関する幅広い取り組みに活かしていきたいと考えています。
リコーの出席者
中村 高(専務執行役員 人事本部長 CSR担当役員)
金丸 建一(常務執行役員 生産事業本部長)
永松 荘一(常務執行役員 総合経営企画室長)
船引 洋(グローバルマーケティング本部 事業統括センター 副所長)
斉藤 穣(コーポレートコミュニケーションセンター長)
山中 行彦(内部統制室長)
山田 裕治(人事本部 グローバル人事部長)
杉浦 顕一(人事本部 ヒューマンリレーション推進部長)
吾妻 まり子(CSR室長)
※ ダイアログ開催時(2011年3月)の役職を記載しています。

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