ハイライト「価値創造のCSR」


現地の起業家候補にBOPプロジェクトメンバーがヒアリング(2011年2月)
社会的な課題の解決に取り組む2つのプロジェクト
リコーでは社会貢献と自社の成長を両立させるための試みとして、インドにおいて「教育支援プログラム」と「BOP (Base of the Pyramid)プロジェクト」の2つの取り組みを行っています。教育支援プログラムが既存事業を活かした教育環境の改善とマーケットの拡大を目的としているのに対して、BOPプロジェクトはリコーの既存事業という枠を超えて長期的な視点で貧困層の課題解決と新規ビジネスの創出をめざしています。

リコーの製品を活用して教育現場のネットワークを構築する
社会貢献とマーケティングの融合
事業を通じた社会貢献の可能性を探るため、リコーは2010年2月に「デジタルデバイドの解消」をテーマとするダイアログを開催し、国際機関・NGO、先進企業の方々とともに複数のプログラムを考案しました。その中から、リコーの社会貢献の重点分野である「青少年の健全育成」や国連ミレニアム開発目標(MDGs)への貢献という観点で「教育支援」をキーワードとして導き出しました。更に製品の活用やマーケティングの視点から検討した結果、インドでの教育支援を実施することにしました。インドでは、学校に通えない子どもや中退してしまう子どもがたくさんいます。その背景には、教育意識、教育の質、インフラ整備など、多くの課題があります。そこでリコーの製品であるデジタル印刷機を、学校に必要な教材や文書などの印刷に活用することで、教育環境の改善に貢献できると考えました。同時に、そこでの印刷機の活用状況を把握することで新たなマーケットの開拓につなげることも狙っています。
地域が自立して教育改善できる仕組みを
こうして、インドのアンドラ・プラデシュ州メダック県を対象地域とし、セーブ・ザ・チルドレンと協働して2011年5月から2013年3月まで教育支援を行うプロジェクトが動き始めました。2011年1月末には現地調査として学校や教育局を訪問。
政府関係者だけでなく現場の先生や子どもたちにもヒアリングを行った結果、多くの学校に印刷機がなく学習教材の印刷ニーズがあることや、農繁期に子どもが学校に来なくなるなど、コミュニティの啓発活動の重要性も明らかになりました。
プログラム1年目となる2011年度は、学校・児童センター・教育局など10 箇所に印刷物を効率よく作成できるデジタル印刷機を寄贈。地域の拠点となる2ヶ所の児童センターを中心に、学校運営委員会の強化研修や子ども会の設立など、学習環境の向上のため啓発活動を実施。教育局・学校・コミュニティ・子どもたちのネットワークを強化することで、最終的に地域の人々が自立的、持続的に教育環境の改善に取り組んでいけるようになることをめざしています。

公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 法人連携部(大阪事務所長代行)
梶 英樹様

現地の社会的課題を解決する新たなビジネスの創出をめざして
BOP(Base of the Pyramid)と呼ばれる途上国の貧困層は、著しい経済発展が見られる一方、社会的課題も多いのが現状です。そこへ先進国市場向けに開発した商品を持ち込むだけでは課題解決に不十分だと考えます。そこでリコーは、貧困層が直面する課題に向き合うことから始めました。
実際に現地の人々と暮らしながら信頼関係を深め、その地域の文化・風習を理解し、真の困りごとを把握した上で現地の人々を対等なパートナーとして、共に解決策を見つけていくことが、現地の持続的な発展につながると考えています。
リコーのBOPプロジェクトは、リコーの既存事業の枠を超えて新しいビジネスの創出をめざす取り組みとしてスタートしました。
現地での信頼構築に重点を置いた1st ステイ
この取り組みを進めるにあたり、リコーはインドの現地企業と協力してプレ調査を実施。活動地域として選んだのはインド北東にあるビハール州の村です。BOPプロジェクトに関心を示した100名以上の社員の中から農村滞在者を選抜し、1ヵ月にわたる滞在を2度実施。1stステイ(2010年10月〜11月)では、まず村人と信頼関係を構築することに重点を置きました。村人の困りごとを把握するために突然インタビュー調査を行っても現地の人はなかなか本心を話してくれないものです。
そこで、クリケットやディベート、歌、絵画のイベントを実施し、村人に広くリコーを知ってもらうとともに、話を聞くために何度も足を運ぶなどして現地の人が考えていることや文化の理解に努めました。フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを繰り返すことで安心感が生まれ、生活環境の観察をスムーズに行うことができるのです。こうしてじっくりと村人との信頼関係を構築した上でグループインタビューなどの調査や観察などを行い、得られた情報を分類・整理し、2ndステイで重点的に調査する分野を絞り込みました。

取り組みの対象エリア
滞在先となったのは、インド北位置するビハール州の農村。4km2の土地に約6,200人が暮らしています。

重点領域のヒアリングとアイデアコンペを実施した2ndステイ
新規事業の可能性を探る2つのアプローチ
現地に滞在しても得られる情報は限られてしまいます。そこで、リコーは自己満足に陥らないために2つのアプローチで新規ビジネスのアイデアを見つける活動を行いました。
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現地調査からリコー発のビジネスアイデアを探索する
1stステイで得られた情報から更に深堀りしたいいくつかの分野について追加調査を行いました。この活動を通して現地にお役立ちできるビジネスアイデアを検討。このビジネスアイデアが現地の社会的課題の解決と雇用創出につながることをめざし、今後は現地パートナー企業と共に更に具体的なビジネスプランを検討していく予定です。
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村の起業家を支援するビジネスアイデアを探索する
一方、村人発のビジネスアイデアと起業家を発掘するため、アイデア・コンペティションを開催しました。集まった31のアイデア(女性13名、男性18名)の中から、「起業家の情熱」「提案者自身の経営意志」「事業発展の可能性」「地元の雇用への貢献」などを審査基準に3人の起業家候補者を選出しました。
彼らには経営、マーケティングなどビジネスを始めるために必要な研修を行い、5月から小さいながらも彼らのビジネスをスタートさせた起業家もいます。今後は彼らと共に彼らのビジネスの成功をめざすと同時に、彼らのビジネスを支援するリコーのビジネスアイデアを探索していく予定です。


リコー グローバルマーケティング本部 商品マーケティングセンター
轡田 いずみ

一ヶ月間、農村での生活にどっぷりつかることで、日本では想像もできなかった人々の夢や想い、ニーズを知ることができました。例えば多くの女性が美白に興味を持っていること、携帯電話で音楽を流して歌ったり踊ったりするのが好きなことは、彼らと直接話してみなければわからなかったことです。また、一緒に生活することで、彼らの夢を一緒に実現したい、求められているものを何とか提供したいという想いが膨らんでいくのを感じました。この体験を通し、BOP市場だけでなく既存の事業においてもすべきことは同じなのだと確信しました。常に市場・お客様の生の声を拾いあげ、何をすべきかを自らの意志として提案していける、そんなマーケターになれるよう日々努めていきたいです。



