ハイライト「ダイバーシティ&ワークライフ・マネジメント」


リコーグループが目指すダイバーシティとワークライフ・マネジメント
日本での課題は女性社員の活躍推進
企業活動がグローバルに広がり、異なる文化や価値観などへの深い理解が求められるなか、国籍や性別を超えて多様な人材が活躍できる職場環境づくり、つまりダイバーシティ・マネジメントの仕組み構築が重要になってきています。リコーグループでは、そのためにダイバーシティ推進とワークライフ・マネジメントを同軸とした取り組みを進めています。
ダイバーシティ推進は、社員一人一人が持つ多様性(個性・価値観、属性等々)を積極的に活かし、チームや組織のパフォーマンスを高め、それによって新しい価値や成果を創出し続けていこうというものです。日本で特に課題となっているのは、女性社員の活躍推進です。リコーにおいても、管理職に占める女性社員の比率が低く、これまで以上に女性が活躍できる場を広げるには、意識や風土を変えていくだけでなく、体系的な育成の仕組みが必要です。また、グローバルを見据えた幅広い対象への推進も求められています。
一方、ワークライフ・マネジメントは、効率的な働き方をすることで生産性を向上させると共に、時間的・精神的ゆとりを生み出し、生活を充実させ、さらにその充実した生活をエネルギー源にしてより高い仕事の目標へとチャレンジしていく、そんな好循環を創出しようというものです。ワークライフ・マネジメントについては、通常、ワークライフバランスという表現で、時間配分に目を向けがちでしたが、私たちは単にバランスさせるだけではなく、仕事と生活の双方を充実させるために、自ら積極的にマネジメントしていくべきとの考え方から、ワークライフ・マネジメントという言葉を用いています。

様々な施策で意識改革をはかりより働きやすい企業へ
意識改革を根底に据えた取り組みを幅広く展開
リコーでは2002年から、性別にかかわらず個人の能力や成果に応じて一人一人が活躍できる風土を醸成するために、「意識・風土醸成」をベースに「女性活躍推進」「両立支援と働き方の見直し」の3つの軸で取り組みを進めてきました。例えば、毎年実施する社員意識調査に「機会均等」に関する項目を導入したり、社員向けの男女共同参画に関する情報を発信したりすることで社員の気づきを促しました。また、管理職対象の360度評価にも「性別に関係なく活躍できる場を与えているか」といった質問を盛り込み、「女性の活躍支援ハンドブック」を配布してマネジャーの意識と行動を変える取り組みも行いました。事業部長クラスに対しては個別に取り組みの説明やヒアリングに回りました。その結果が、育児休職取得を不利にしない「キャリアリカバリー策」(※後述)の導入などにつながりました。
2008年以降はグローバルな視点からダイバーシティ推進とワークライフ・マネジメントの取り組みを強化・拡充しました。「意識・風土醸成」策としては、グループ共有のコーポレートポータルに「ダイバーシティ&ワークライフ・マネジメント」のサイトをオープン。
会社の方針や目指す姿、具体的な取組み事例などを紹介して、周知と浸透を図っています。また、ワークライフ・マネジメントに特化した社員意識調査も導入し、制度の認知度向上や社員意識の変化、ニーズ把握などに活用しています。

仕事と生活の両立を支援する制度を早い時期から導入
リコーではかなり以前から「働きやすい環境づくり」に取り組んでおり、両立支援に関しては、育児・介護休業法施前の1990年に、育児休業と短時間勤務の制度を導入しました。
育児休業は子どもが満2歳になるまで利用できます。短時間勤務は子どもが小学校3年生を終えるまで利用可能で、勤務時間は3パターンから選択することができます。
その他、社内イントラネットでデータベースサイト「両立支援のしおり」を開設し、制度の利用方法や男性利用者の体験談など幅広い情報を掲載。また、休職中も会社のイントラネット内にアクセスできる仕組みを構築するなど復職に向けた不安解消にも配慮しています。また、復職後のスムーズな職場復帰を支援するために、上司向け「コミュニケーションガイドライン」および利用者向け「コミュニケーションガイドブック」を配布して、上司・利用者それぞれへの制度や対応事項の周知、職場でのコミュニケーション促進を図っています。
育児休業・短時間勤務制度の利用率は、1990年代後半以降高くなり、2004年度以降は100%の利用率を達成し、復職率もほぼ100%を維持。早い時期からの様々な取り組みを経て、社員の意識と共に制度が定着してきた結果となっています。

※利用者数は、利用年度毎の実利用者数(のべ)
キャリアリカバリー策で育児休業を不利にしない仕組みに
2003年に導入したキャリアリカバリー策は、(育児)休職期間中の人事評価が昇格判定において不利に働くことのないよう、休職前と休職後の人事評価を考慮して昇格判定を行うように変更しました。これにより、復職後間もなく昇格することも可能になりました。最近は、男性が育児休業を利用する例も増えてきていますが、その背景には、この「キャリアリカバリー」策の効果もあると考えられます。
こうした長年の様々な取り組みの結果は女性の勤続年数と退職率にも成果として現われています。特に、女性の勤続年数は2011年4月時点では、男性との差がほとんどなくなるまでになっています。


きめ細かな運用で着実に残業を削減
両立支援に加えて、働き方の見直しを含めた労働時間の低減も2004年以降、積極的に行ってきました。経営トップを含めた全マネジャー対象の労務管理研修を継続的に実施。また、1ヵ月の残業時間が40 時間を超えた社員についてリコーの上限53時間を超えないよう上司に注意を促したり、全事業所で週2日間のノー残業デーを実施するなど、具体的な施策を導入。2005年からは事業所ごとに年2回の年休取得奨励月間を設定し、取得が進まない社員がいる部署の所属長に休暇を取得できる環境づくりを呼びかけるなど、きめ細かな運用を実施しています。
「女性が活躍できている」状態をめざして
リコーはダイバーシティ推進施策の一つとして女性が単に働き続けられるだけでなく、活躍できるステージをさらに広げていくことを目指しています。女性の管理職を対象にした「メンタリング・プログラム」もその一例です。課長級に昇格して2〜3年目の女性社員2名に対して、経営幹部1名がメンターとなり助言を行うもので、女性社員の能力向上はもちろん、到達したい自分のマネジメントスタイルについて考察を深めることで、より高い視座からキャリアビジョンを描くことを目標としています。また、管理職候補層向けのマインドセットとスキルアップを狙うキャリアサポートプログラムなど、ステージ毎の課題に合わせた施策を展開。その効果は徐々に現れており、管理職の女性は着実に増加しています。
女性対象の育成施策だけでなく、職場環境整備に向けた施策も展開しています。その一つとして、2008年から関東地区のグループ会社11社による「リコーグループ ダイバーシティ推進会議」を始めました。年2〜3回、各社の持ち回りで開催し、先進他社事例やグループ各社の取組みの紹介、ディスカッションなどを実施。各社での取組み促進につながっています。

講演:サンディ・スミス氏
米国Info Print Solutions Company シニア・バイス・プレジデント(人事& 教育担当)

2011年2月8日に開催した第7回「リコーグループ ダイバーシティ推進会議」では、インフォプリント・ソリューションズ(以下インフォプリント)本社で人事&教育を担当するサンディ・スミス氏を招き、ダイバーシティについての講演を行いました。インフォプリントはIBM とリコーの共同出資により設立され、IBMでの先進的な考え方や施策が引き継がれ、ダイバーシティへの取組みが進んでいる会社です。異文化共存が常識になる中で個々の違いを受け入れることがますます重要になり、企業の競争力を左右するようになりました。アメリカでは黒人・ラテン/アジア系アメリカ人・女性エグゼクティブ・ゲイ・レズビアン・バイセクシャル・トランスジェンダーなどに加え帰還兵の問題もあります。インフォプリントではそうした職場のマイノリティを受け入れる「ダイバーシティ」の考えを一歩先に進め、多様な考え方や物事の見方、その背景を理解し、それを日々の決定や実践に採り入れていく「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進しています。講演には関東地区のグループ各社から約60名が参加し、講演後、活発なディスカッションが行われました。
リコーの取り組みは社外からの注目を集め、さまざまな評価をいただいております。これからも多様な人材がイキイキと働ける環境づくりを目指していきます。
●厚労省「均等推進企業表彰 東京労働局長優良賞」(2005年度)
●日経「働きやすい会社」第30位(2010年)
●日経ウーマン「女性が活躍する会社ベスト100」第9位(2011年)
●東京労働局「次世代育成支援 認定」取得(200年、2009 年、2011年)
![]()

