リコー製品のここが知りたい

第12回 感動できる高品位コンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL」 [企画編]発売前から期待されたのはなぜか?

「伝説のGR」、「GRの伝統」とは?

つくる側が開発に入る前から、ユーザーの間で製品像のイメージが描かれている――そんな製品が世の中にいくつあるだろうか?2005年10月21日発売のデジタルカメラ「GR DIGITAL」は、「そんな製品」のひとつだ。発売発表のニュースが流れるや「GRがデジタルになる!」と歓迎の声が上がり、「リコー、伝説の銀塩カメラ『GR』をデジタル化」というタイトルのニュースも出た。「伝説のGR」「GRの伝統」と言われるのはなぜだろうか?

それは、10年前にさかのぼる。リコーは戦前からの「カメラメーカーの老舗」。当時はもちろん銀塩フィルムカメラだ。戦後のカメラ普及の先陣を切った「リコーフレックスIII (1950)」をはじめ、数々の名機を生み出してきた。そして1996年、ポケットに入るコンパクトサイズでありながら一眼レフに劣らない高画質を誇る「GR1」が発売されたとき、カメラマンたちは「小さなカメラでこそつかめるシャッターチャンスがある」ことを知った。口コミでファンが広がっていった。

野口智弘
「高画質とコンパクトを両立させることが『GR』の必須条件です」
(野口智弘)

搭載された「GRレンズ」は7枚構成で28mmの広角、F2.8*と、一眼レフカメラをしのぐ高性能で、周辺部でも明るく歪みのない画像を生み出し、また35mmフィルムを入れているのに厚さわずか26.5mmを実現、という「薄さ」も話題となった。「GR1」は「高級コンパクトカメラ」の代名詞ともいえる存在に。「一眼レフカメラのサブカメラとして」と位置づけていたにもかかわらず、いつのまにか「メインカメラ」として使うユーザーが増え、「GR1で撮影」と記された写真集も生まれた。「GR」はブランドとなった。

  • * F値=レンズの明るさを表す数値。F値が小さければ明るく,F値が大きいと暗いレンズ。

その「伝統」を受け継いで「GR1のデジタルカメラ版『GR DIGITAL』」が誕生するのだ。当然、期待度は高い。開発する側の意気込みも並々ならぬものだっただろう。多くのスタッフとともに「GR DIGITAL」の企画を練った野口智弘は、「デジタルでも高画質を実現する技術の完成度が高まってきたこと、また、市場も成熟してきて、すでにデジタルカメラをお使いのお客様が『こんなデジタルカメラが欲しい』と明確な要求を持たれるようになったこと――そういう現在だからこそ『GR DIGITAL』を生み出すことができました」と言う。

機を熟して生まれた「GR DIGITAL」

樋口博之
「開発サイドにも『GR』へのこだわりがありました」
(樋口博之)

野口と共に企画に携わる樋口博之も「リコーのデジタルカメラは10年前の『DC-1』以来の歴史がありますが、デジタルカメラの画像が高画質化していくにつれ、『GR1』をデジタルで実現して欲しいという声が寄せられるようになりました」と言う。デジタルカメラが誕生した当初は画素数41万画素。まず「デジタルである」ことが重要だった。その後画素数が倍々ゲームのように増え「画素数が多いこと」がうたわれた。デジタルならではの「多機能さ」が売りだった時もあった。そして今は「高画質」が求められている。「デジタル一眼レフカメラに注目が集まっているのも、デジタルカメラをしばらく使った方が『画質』にこだわるようになった現れです」と樋口は言う。

樋口は「デジタルカメラが出始めた頃は、プリントするとその画像は銀塩カメラにかなり劣るものでしたが、高画質化の技術開発が進み4~5年ほど前から差が急激に狭まってきました。その頃から『GRのデジタル化』という課題が私たちの間に上ってきたのです。いや『課題』というより『要求』だったと思います」と、言う。「私たちも『いつかGRをデジタルカメラに』と思っていましたから」。では、つくる側も使う側も持つ「GR」へのこだわりとはいったい何なのだろう。「GRの伝統を受け継いだデジタルカメラ」とはどのようなカメラを指すのだろうか?

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