ドローンとICT施工に強み、SDGs推進で地元貢献に力 山﨑建設(新潟県)

From: 中小企業応援サイト

2022年04月07日 06:00

この記事に書いてあること

制作協力

産経ニュース エディトリアルチーム

産経新聞公式サイト「産経ニュース」のエディトリアルチームが制作協力。経営者やビジネスパーソンの皆様に、ビジネスの成長に役立つ情報やヒントをお伝えしてまいります。


「創業以来100年を超える会社の歴史を大切にしながら、ICTや新しい技術の導入を積極的に進めていきたいと思っています。地域とともにあり続ける社会循環型企業を目指します」。新潟県妙高市の山﨑建設の本社で、2022年3月に常務から新社長に就任した山﨑健太郎社長は意欲的に語った。

工事にドローンとMC建設機械を活用


1916年に材木業からスタートした山﨑建設は、妙高市を拠点に道路、橋といったインフラ建設、地滑り防止工事などの公共事業、個人向け住宅の建築を手掛けている。社員数は61人。「社員みんながのびのびとパフォーマンスを発揮できる環境を整えたいと思っています。社員一人ひとりのアイデアを形にできる仕組みを作っていきたい」と山﨑社長。

山﨑健太郎社長

山﨑健太郎社長


新潟県が進めるICT活用工事の受注に積極的に動いている。最初の挑戦となったのが2020年11月から始めた妙高市東部山間部の地滑り防止工事だ。約1年間にわたる工事の期間、ドローンを使ったレーザースキャナーによる3次元測量を実施したほか、3次元設計データを活用して機械を自動制御するMC(マシンコントロール)システムを備えた建設機械を活用した。

「MC建機を実際に使うことによって、経験の少ない社員でもベテランと遜色のない仕事ができることに加え、安全の確保や省力化といったさまざまな面で効果が高いことがわかりました。この1年の取り組みは会社にとって大きな財産になると思います。ICTは働き方改革を進めて業界のイメージを変えていく上でも必要な技術。これからも積極的に活用を図っていきたい」と山﨑社長は前向きな姿勢を示した。

ドローン事業のグループ会社と連携


今後もICT活用を前提とした工事を受注するにあたって相乗効果が期待できるのがドローン事業を手掛けるグループ会社、エアフォートサービスだ。

同社は1990年に山﨑社長の父親の健吾会長が、大型無線操縦ヘリコプターによる空中写真撮影を行う企業として創業した。2008年4月には自動自律型ドローンの導入を開始し、その後も積極的に新しい機材や技術を導入している。

株式会社エアフォートサービスのドローン

株式会社エアフォートサービスのドローン


1995年7月の関川や糸魚川流域での水害、2004年10月の新潟県中越地震では上空から現場の被害状況を撮影し、行政機関に貴重な情報を提供した。2011年3月の東日本大震災でも被災した福島第1原子力発電所に無人自動自律飛行機を飛ばして情報を収集した実績を持つ。蓄積した経験とノウハウに裏打ちされたドローンの運行や撮影の技術は、新潟県や妙高市をはじめ全国から高い評価を受けている。

ドローンは運搬が簡単で工事現場に到着後、短時間で作業を始めることができる。急斜面や谷間といった複雑な地形や樹木が生い茂っている場所でも、ドローンからレーザーを使って計測することで、正確な地形データを把握することが可能だ。実際に樹木を伐採して計測を行うケースと比較すると、工期短縮、費用削減、安全性向上といったさまざまな面でメリットがある。

エアフォートサービスは2021年、陸上だけでなく水底の計測も可能なグリーンレーザースキャナーを導入し、競争力を更に強化。今後、i-Constructionに対応した三次元データの解析やドローン関連機材の販売、運行指導などに事業領域を拡大し、ドローン分野の専門企業としてさらなる成長を図ろうとしている。採用にも積極的で2022年4月から3人が新たに入社する予定だ。

「ドローンの関連産業には大きな可能性があります。事業を通じてドローンの業界全体をしっかりと育てていく役割を果たしたいと思っています。山﨑建設とエアフォートサービスが連携し、それぞれの事業をしっかり伸ばしていきたい」と山﨑社長は話した。

現場でも入力できる勤怠管理システムで無駄を省き生産性向上へ

社員の働き方改革について話す総務部部長の大谷宗久氏

社員の働き方改革について話す総務部部長の大谷宗久氏


働き方改革を目指し、社員の勤務時間を記録しやすくするために建設業向けの勤怠管理システムを導入した。以前は、現場に出ている社員も出勤簿にハンコを押すために本社に寄らなければならなかったが、システムを導入したことで、現場からスマートホンで出勤・退勤時間を打刻できるようになった。

「紙文書で勤務時間を管理していた時と比較すると、システムのおかげで労働時間が見える化できるようになったので本当に助かっています。わざわざ本社に寄らなくても済むようになったので社員にも好評です」と大谷宗久総務部部長は感想を語った。将来的には勤怠システムを通じて給与計算も自動でできるようにシステムの連携も実現したいという。

また本社に届いたFAXも出先からWeb経由で見えるように複合機の入れ替えを行っている。社員の生産性を阻害しているのは、こうしたこまごました時間の積み重ねが原因になっている場合が多い。山﨑建設では、社員が会社に戻らず生産的な仕事が出来るようにするため、働き方改革に積極的に取り組んでいる。

SDGsへの取り組みを発信


山﨑建設は、国連のSDGs(持続可能な開発目標)の推進にも力を入れている。2019年の会社設立60周年を機にSDGsに積極的にかかわっていくことを決め、ホームページで取り組みを紹介している。地域での活動にも積極的だ。2021年9月には地元の小学校で住宅の廃材で作ったオブジェを利用して子どもたちにSDGsについて考えてもらう出前授業を行った。

地元の小学校で行ったSDGsの授業の様子

地元の小学校で行ったSDGsの授業の様子


「日ごろの業務に負担をかけないように、自然な流れで社内にSDGsの取り組みを浸透させていきたいと考えています」と山﨑社長。住宅を建築する際に生じる木の廃材を積み木などに「アップサイクル」して商品化できないかと考えている。

妙高市は内閣府のSDGs未来都市に選定されており、地域の取り組みと連携することでより大きな発信効果が期待できる。妙高市には自然豊かな環境があるだけに、企業がしっかりとした将来性を打ち出すことができれば、若い世代を誘致する上で相乗効果が生まれるはずだ。

空き家活用で地域の活性化を図り、地域貢献に積極的に取り組む


人口減少によって今後、増加が予測される空き家の活用にも取り組んでいきたいという。「空き家をリフォームして、妙高市への移住の希望者に賃貸物件として提供できないかと考えています。地域の魅力の発信など若い人に移住を検討してもらう上でできることがあれば取り組みたいと思っています」と山﨑社長は語った。

新潟県妙高市の株式会社山﨑建設

新潟県妙高市の株式会社山﨑建設


中小企業だからこそ経営者のかじ取りで大きく変わる。ICTによる生産性向上(特に建設業はi-Constructionによる効果が大きい)やSDGsが提唱している地球温暖化対策(脱炭素)など将来を見据えた先進的なことに取り組めば、結果として地域の要請や世の中の変化にも対応出来、成長の可能性は大企業以上に大きくなる。 建設業においてドローンと3D-CADは必須の道具となりつつある。特にドローンは山林や川底をスキャニング出来る機種を保有し操作できることが強みだが、山﨑建設はその強みを手にしている。これからの成長が楽しみな企業、山﨑建設の取り組みを見てそのように感じた。

事業概要

会社名

株式会社山﨑建設

本社

新潟県妙高市東陽町2-20

電話

0255-72-3129

設立

1959年3月(1916年創業)

従業員数

61人

事業内容

総合建設業、住宅・不動産事業



中小企業診断士監修の建築業の課題診断

記事タイトルとURLをコピーしました!

https://www.ricoh.co.jp/magazines/smb/casestudy/000874/

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

中小企業応援サイトに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ