■■■============================================================■■■ □■□     IBMプリンター友の会からのお知らせ−Vol.25 ■□■ ■□■      http://www.ibm.com/jp/printer/ □■□ ■■■============================================================■■■ <<< 目次 >>> 1. IBMフォーラム2001へのご来場御礼 2. 古い5577/79プリンターの保守活動終了のお知らせ 3. ポストスクリプトの基礎 ★連載第二回 4. AFPプリンターの基礎 ★連載第二十一回 ■====================================================================■ ■ IBMフォーラム2001へのご来場御礼 ■ ■====================================================================■ ●前回の「お知らせ」でご紹介した「IBMフォーラム」が3/07(水)〜3/09(金)に 幕張メッセにて行われ、多数のお客様にご来場いただきました。 当プリンティング・システムズ事業部でも ・Infoprint70による名刺ラベル印刷 ・電子帳票WPM-Web版等の印刷ソリューション の展示の他、2つのセッション ・e-output:e-businessにおける効果的出力の実現 ・実践!e-businessのための「ドキュメント・リエンジニアリング」 を行い、どちらも多くのお客様にご来場いただきました。ありがとうございました。 ■====================================================================■ ■ 古い5577/79プリンターの保守活動終了のお知らせ ■ ■====================================================================■ ●1998年7月22日に発表した、「5577-H02」「5577-G02」「5579-H02」インパクト・ プリンターの保守活動終了日「2001年2月28日」が過ぎました。3機種の中でも特に 「5577-H02」は、5577シリーズの中でもベスト・セラーと言えるモデルで、多くの お客様では未だに現役で使用されていることと思います。今後修理が必要な場面でも 保守できない可能性が高く、お客様の業務に影響を及ぼすことがありますので、 後継機への置き換えをお勧めいたします。 ●「5577-H02」の置き換えには「5577-T02」、「5577-G02」には「5577-S02」、 「5579-H02」には「5579-K02」をお勧めします。どの機種で置き換えるのが適当かを 判断する時に、「印字速度」はもちろん重要ですが、忘れてはならないのが、 「耐久性」=「平均月間想定印刷枚数」です。3機種については以下のとおりです。 ・5579-K02:2,600枚 ・5577-T02:1,700枚 ・5577-S02:1,000枚(1枚のサイズ=15x11インチの汎用用紙) ●これら557Xシリーズは、ソフトウェア的に互換にできていますので、プリンターを 繋ぎ変えるだけで、アプリーケーションやドライバーはそのままで使用できます。 ご注意いただきたい点は、昨年よりパラレル・インターフェイスの規格が、新しい PCに合わせたものがデフォルトになっていますので、予め初期設定メニューの中の 「インターフェイス・モード」をデフォルトの「スタンダード」から「コンバージド」 に変更して、今までの557Xのモードと合わせておくことです。 ●前々回のお知らせでご紹介した「PCプリンター・キャンペーン」をご活用いただいて この機会に新しい557Xプリンターに置き換えされることをお願いいたします。 ■====================================================================■ ■ ポストスクリプトの基礎(第二回) ■ ■====================================================================■ ●前回はイントロダクションということで、PostScriptの簡単な概要と特徴を ご紹介しました。今回はまず、PostScriptの歴史から見ていきたいと思います。 ●Adobe Systems社が、ページ記述言語"PostScript"を最初に発表したのは、 1985年でした。同年はまたApple Computerが、世界で最初に"PostScript"を実装 したプリンター「LaserWriterII」を、それからAldus社(後にAdobeが吸収合併)が レイアウト・ソフト「PageMaker」を発表した年でもあり、デスクトップ・パブ リッシングを実現するのに必要な環境が揃った時期といえます。 翌年にはLinotype社から、初のPostScript搭載イメージセッター(製版用の フィルムに出力する機器)が発売され、PostScriptは印刷の世界に本格的に普及し ていきます。 ●PostScriptでは、「バージョン」にあたる表現として「レベル」という言葉を 使っていますが、当時のPostScriptは、今でいうレベル1に相当するもので、現在の ものからすれば機能の限定されたものでした。市場の要求やハードウェアの進歩に したがって機能の拡張も行なわれましたが、個々のデバイス毎の実装に留まっており、 デバイスに依存しないというPostScriptのメリットが、生かせない状況が発生する ようになっていました。 ●1990年、Adobe Systems社は、PostScriptレベル2の仕様を定義して、これらの 拡張を統合し、標準化しました。PostScriptレベル2で拡張された主な機能には、 以下のようなものがあります。これらの中には、レベル1時代の拡張を統合したもの とレベル2で新たに追加されたものがあります。 −カラー拡張機能(CMYKカラー・スペースのサポート) −コンポジット・フォント(これにより2バイトフォント対応が可能に) −デバイス・インディペンデント・カラー(機種に依存せずカラーを再現) −パフォーマンスの向上(フォーム、パターン、データ圧縮技術など) ●1997年には、PostScript3(レベル3という言い方はしません)が発表されました。 PostScript3ではイメージ処理技術や、ページ処理技術の拡張により、品質や パフォーマンスの向上が図られました。またWeb関連やPDFとの親和性も強化されて います。PDFは、やはりAdobe社がPostScript技術をベースに開発したドキュメン ト・フォーマットです。ドキュメントの配布形式としてかなり普及してきていますの で、既におなじみという方も多いでしょう。PDFについてはいずれ回を改めて説明 したいと思います。 ●PostScriptは、このようにして現在に至っています。さて、今回はもうひとつの 話題に進んでみましょう。PostScript出力を行なうための構成要素についてです。 前回の説明で、PostScriptの実体が、ページを記述するための言語であることは お分かりいただけたと思いますが、ここでは、それが一般的にどのような形態で システムに実装されているのかについてご説明したいと思います。 ●アプリケーション: まずは出力すべきデータを生成する一番の大元であるアプリケーションです。 UNIXシステムなどではアプリケーションが、自身でPostScriptを生成するのが 一般的ですが、WindowsやMacintoshでは多くの場合、データはOSの持っている 標準的な描画インターフェース(WindowsではGDI、MacではQuickDraw)を通して PostScriptドライバーに渡され、ドライバーによってPostScript言語に翻訳 されます。 したがって各々のPCアプリケーションは、独自にドライバーを内蔵することなく 共通のドライバーを利用できるのです。 ●ドライバー: WindowsやMacintoshには、他のページ記述言語と同様、OSに組み込まれる PostScriptドライバーもあります。WindowsではAdobe Systems社とMicrosoft社が 共同で開発した「PScript」、MacではやはりAdobe Systems社とApple Computer社 が共同で開発した「LaserWriter」というドライバーを標準で持っています。 Adobe Systems社はまた、独自にAdobePS、PSPrinterといったドライバーを開発し、 OEMメーカーを通じて配布しています。プリンター・メーカーから提供される ドライバーは、これらのドライバーと機種ごとのPPDからなっています。 ●PPDファイル: PPD(PostScript Printer Description)は、出力デバイス固有の情報が記述 された ファイルです。PostScriptは機種に依存しない言語ですが、実際に出力 するにあたっては、機種ごとの機能(たとえば複数のトレイや両面印刷など)を 生かすための情報をドライバーに提供する必要があります。そのためのテーブルが PPDです。もちろんすべてのPPDは、Adobe社の定義したPPDの仕様に従って記述 されています。 ●RIP(リップ): 生成されたPostScriptデータが、出力イメージを描画するためのプログラムである ことは前回お話しました。これを物理的に出力するには、このプログラムを実行 してハードウェアに描画イメージを渡す必要があります。これを行なうのがRIP (Raster Image Processor)、すなわちPostScriptプログラムを実行する インタープリタです。PostScriptプリンターは機器自身、またはシステムの一部と してRIPを持っています。RIPにはAdobe社純正のものの他にも、公開されている 仕様を元にメーカーが独自に開発した、いわゆるクローンRIPもあります。 ●IBMのPostScriptプリンター製品では、Infoprint40、Infoprint20、Infoprint21 などがAdobe純正PostScript3を搭載しています。またInfoprintマネージャーは、 ソフトウェアですがAdobe PostScriptを含んでおり、Infoprint 4000-IRなどの 高速なAFPプリンターにPostScriptの印刷を行なわせることができます。 ●次回はPostScriptにおけるフォントについてご説明します。 ■====================================================================■ ■ AFPプリンターの基礎(第二十一回) ■ ■====================================================================■ ●前回から、PTXと呼ばれるRECORDについてのご紹介を始めました。PTXとは Presentation-TEXT Dataの略であり、PTOCA(Presentation Text Object Content Architecture)と呼ばれる、"テキストに関するアーキテクチャー"を実現する RECORDでした。例えば、1LINE中でフォントを2種類以上使用したい場合などに、 非常に有効です。前回は、具合例として、縦方向や横方向に実線を引く方法を ご紹介しました。 ●今回は、PTXを使用し、文字とフォントの指定をするケースについてご紹介したい と思います。 例として以下の帳票を考えてみましょう。 +-----------+-----------+-----------------------------+ | CUST NO | NAME | OTHER INFORMATION | +-----------+-----------+-----------------------------+ CUST NO:SBCSで常に10バイトの長さ NAME :会社名 DBCSで常に20バイトの長さ OTHER INFORMATION:その他情報を印刷。長さは不定でありデータ長が長い場合 には小さいフォントを指定して欄内に収まるように印刷する このような条件の場合には、PAGEDEFのFIELDに、特定のフォント名を指定することは できません。PTXを使用しフォントの指定を行う5A RECORDが有効です。 <<使用フォントについて>> (1)CUST NO:KN10(SBCS 10PITCH) (2)NAME :M32F(DBCS 7.5PITCH) (3)OTHER INFORMATION:データが20バイト以下の場合->M32F データが20バイトよりの場合->M24F(DBCS 10PITCH) <> PAGE定義では、使用するフォントについて予め宣言を行う必要がありますが、 PTXでフォントを指定する場合は、各PRINTLINEに対しては使用フォントは明記 しません。あくまでも、宣言とオブジェクト内でフォントに番号を与えることが 主目的です。 PAGEDEF TEST01 DIRECTION ACROSS REPLACE YES ; FONT KN10 KN10 ; <=フォントの宣言 FONT M24F M24F ; FONT M32F M32F ; PAGEFORMAT TEST01 ; TRCREF 0 FONT KN10 ; <= KN10はフォントNo 0 TRCREF 1 FONT M24F ; <= M24FはフォントNo 1 TRCREF 2 FONT M32F ; <= M32FはフォントNo 2となります。 *PAGE定義上のフォントNoは0から始まります PRINTLINE <=フォントを指定はしないこと CHANNEL 1 POSITION 0 1 REPEAT 60 ; <<印刷データについて>> (1)OTHER INFORMATIONは、データが20バイト以下の場合 項目名 フォント データ +--------+------+------------------------+ |CUST NO | KN10 | 'A1000-0205' | |NAME | M32F | '日本アイビーエム ' | |OTHER | M32F | '特記事項なし' | +--------+------+------------------------+ このデータを5A RECORDで表現すると以下のようになります。 <1>RECORDの最初の部分 ! 、L ハ - -- --- --- 5 04 DE9 000 <= HEX表示 A 05 3EB 000 - -- --- --- | +---------通常のPTX FORMATと同じです。RECORD長のみ実RECORD サイズに合わせて設定して下さい。 <2> <1>の続き L 1 A1000-0205 -- --- -------------- 2D 0F0 0DCFFFF6FFFF44 <= HEX表示 B3 311 EB110000020500 -- --- -------------- | | | +-|---|--> PTXのデータ部の始まりを表します。常にX'2BD3'を指定。 | | +---|--> SCFL制御コードを指定します | 制御コードの構造 | バイト数 説明 | X'03' 1 SCFL制御コード(自分自身も含む)の長さを指定 | この場合3バイト | X'F1' 1 SFCLでかつ、途中のコードなので、UNCHAINED | のコード(X'F1')を指定 | X'01' 1 フォントNOの指定 | (PAGE定義のNo 0:KN10と合致します。) +->TRN 制御コードを指定します 制御コードの構造 バイト数 説明 X'0C' 1 TRN制御コード(自分自身も含む)の長さを指定 この場合14バイト X'DA' 1 TRNでかつ、最後のコードなので、UNCHAINEDの コード(X'DA')を指定 この後ろに実データ'A1000-0205 'という 文字列が続きます(次のFIELD開始位置のため 2バイトのBLANKも追加) <3> <2>の続き 日本アイビーエム <= 10進表示 --- ---------------------- 0F0 1D464648484D45484A4444 <= HEX表示 313 6B52563132303834360000 --- ---------------------- | | +-----|--------> SCFL制御コードを指定します(説明省略) +--------> TRN 制御コードを指定します(説明省略) <4> <3>の続き 特記事項なし <= 10進表示 --- -------------- 0F0 0D4A494C494948 <= HEX表示 313 EA62745EA7464D --- -------------- | | | | +---|--> SCFL制御コードを指定します | 制御コードの構造 | バイト数 説明 | X'03' 1 SCFL制御コード(自分自身も含む)の長さを指定 | この場合3バイト | X'F1' 1 SFCLでかつ、途中のコードなので、UNCHAINEDのコード | (X'F1')を指定 | X'03' 1 フォントNOの指定(PAGE定義のNo 3:M32Fと | 合致します。) | +--> TRN 制御コードを指定します 制御コードの構造 バイト数 説明 X'0E' 1 TRN制御コード(自分自身も含む)の長さを指定。 この場合14バイト X'DA' 1 TRNでかつ、最後のコードなので、UNCHAINEDのコード (X'DA')を指定 この後ろに実データ'特記事項なし’という文字列が 続きます。 (2)OTHER INFORMATIONは、データが20バイトより長い場合 項目名 フォント データ +--------+------+-----------------------------------+ |CUST NO | KN10 | 'A2000-1030' | |NAME | M32F | '日本株式会社 ' | |OTHER | M24F | '配送日指定あり。月曜日XXXX' | +--------+------+-----------------------------------+ (2)のケースでも、基本的な構造は同じですが、最後のOTHERを印刷するための SCFLではM24Fを利用したいので、X'02'を 指定します。 POINTは、PAGE定義のTRCREFのフォントNoは0から、SCFLのフォントNoは1から 始まりますので注意して下さい。 +----+------------+---------+ |FONT|PDEF(TRCREF)|PTX(SCFL)| +----+------------+---------+ |KN10| 0 | 1 | |M24F| 1 | 2 | |M32F| 2 | 3 | +----+------------+---------+ >>次回は、PTXのおさらいとして、罫線とフォントの切替えの両方を使用して 簡単な帳票を出力する実例をご紹介します。