最終製品を3Dプリンターで! 開発スピードとコストを劇的に改善
次々と新製品の開発にチャレンジできる環境が成功への鍵に
株式会社金星様は、全国の警備会社や鉄道・交通関係の企業などに向け、警備・防犯・安全用品などの企画から製造、そして販売までを主に行っています。金星様では従来、切削や金型により製品の試作や生産を行ってきましたが、製品開発や改良を重ねるにあたり多大な時間と費用がかかっていました。 そこで、最終製品の生産までを可能とする3Dプリンターを導入することで、製品開発のスピードとコストの劇的な改善を実現。同社の強みであるスピード感のある経営スタイルをさらに加速させ、次々と新しい製品開発にチャレンジしています。
- 所在地:
- (本社)東京都千代田区
- 従業員数:
- 140名(グループ全体)
- 主な業務:
- ◎警備及び安全に関する衣料、装備品、機器類、資機材の企画、販売、レンタル、
- ◎省エネ、省資源に関する機器類の開発、販売 他
- URL:
- https://www.kinboshi-inc.co.jp/
ダイレクト生産により型レスと内製化を実現し、製品開発における課題を解決!
これまで金型による試作品製作を外注していたが、仕上りがイメージと異なる等で手戻りが頻発しており、改良を重ねるにあたり、その都度金型を製作し直すため、開発期間が長期化しコストもかさむといった課題がありました。今回、3Dプリンターの導入により試作から最終製品の製造まで社内で完結。手戻りも激減し、開発スピードアップとコストダウンが実現しました。
多大なコストがかかっていた。
多く、都度手戻りが発生していた。
生産コストを従来の1/2~1/3に圧縮。
イメージ通りの製品づくりを実現。
導入した機器/サービス
プロトタイプはもちろん、最終製品まで製造できるということで
HP Jet Fusion 3Dプリンターを選びました。
お客様インタビュー
- 株式会社 金星
- 代表取締役
石井一史様
- 株式会社 金星
- 前橋事業所 / 所長代理
飯田 浩様
背景・課題
製品開発時の外注試作によるコスト高と手戻りが大きな課題に
新製品を開発する際のプロトタイプ製作をこれまでは外注していたのですが、納品物の出来栄えが発注時の想定イメージと異なる場合が多く、その都度手戻りが発生していました。また、改良を重ねる場合にも少し修正しては試作外注しなければならず、長い期間待たされるといった状況でした。このため、試作検証・改善サイクルを回す上での足かせになると共に外注コストが大きくかさむという課題がありました。また従来は、製品開発に際して切削の場合で2~3週間、金型を起こして行う試作などは、3~4ヶ月かかっており、「製品試作・検証改善のリードタイムとコストをもっと圧縮したい」、「開発の手戻りを少なくして、イメージ通りの製品設計開発を行いたい」という強い思いがありました。そこで、「社内で製品試作から最終製品の生産まで内製できないか」ということと、「金型を作らないでスピーディーな開発ができないか」と考え、3Dプリンターの導入活用を検討し始めました。
導入のポイント
最終製品の製造が可能な高品質な機能と、充実のサポート対応が導入の決め手
3Dプリンター導入にあたり様々なメーカーの機種を検討しましたが、HPの3Dプリンターはプロトタイプ製作だけでなく、最終製品の製作まで行えるというのに大きな魅力を感じました。
そこで数ある3Dプリンターの中でも、一番クオリティの高い最終製品が製造できると感じた、HP Jet Fusion 3Dプリンターを採用しました。さらに、将来的に様々な造形材料も提供される予定と聞いていましたので、その点も製品選択にあたって大きなポイントでした。
またリコージャパンさんを選んだ理由は、1つのメーカーだけでなく、様々なメーカーの製品を取り扱っている代理店としての機能があり、3Dプリンターに関する豊富な知識と情報量をお持ちで、3Dプリンターの導入および活用にあたって適切なアドバイスやサポートを提供してもらえると考えたからです。
特に弊社の場合は、初めての3Dプリンター導入であり、実機を設置するための専用ルームも一から構築する必要がありました。経験のない分野での作業スペース構築には不安もあったのですが、構築当初からリコージャパンさんにサポートをしていただきましたので、非常に助かりました。
HP Jet Fusion 3D 4200
ファストクーリング プロセッシングステーション
導入の効果
開発スピードの大幅な向上と金型レスによるコストダウンが実現。
従来、製品試作のための金型を外部に委託していた際は、その品質面から作業の手戻りも多く、製品試作・開発にかかる期間もコストも多大にかかっていました。
今回、3Dプリンターを導入したことで、金型をつくることなく試作から最終製品の製造までを自社で内製できるようになりました。そのため、開発担当者のイメージどおりの製品を造ることが可能となり、手戻りが非常に少なくなって、製品開発のスピードが格段に上がりました。
従来は製品を出すのにも、例えば切削工法の場合で2~3週間、金型を起こして試作する場合などは3~4ヵ月ほど期間がかかっていましたが、3Dプリンターを使用した場合は、早ければ1日か2日でイメージに近いものが直ぐに出来上がってくるため、検証・改善サイクルを繰返し回せるようになりました。また、複数パターンの試作品を同時に製造することもできるため、その中で、良いものを厳選することができ、結果として、高品質な製品を効率よく開発できるようになりました。
さらに、金型を使わずにダイレクトに最終製品が社内で製造できるため、「金型製作コスト」を削減でき、「輸送コスト」や「組み上げコスト」なども含めると、1/2から1/3にコストを圧縮できました。
3Dプリンター製造の最終パーツ
最終製品の造形品質にも問題なし
弊社にとって最終製品を3Dプリンターでダイレクトに製造するというのは初めての試みでしたが、製造するうえで一番気を付けたのは、製品の耐久性を含めた最終品質でした。
特にスイッチ部のように何度も反復で変形が加わるような部分についての耐久性の検証を徹底的に行いました。
実際に出来上がった製品のスイッチ部を5,0000回ほど押してみて、歪みが発生しないかなどの検証試験を行いましたが、HP Jet Fusion 3Dで製造した製品は、他の従来工法で製作した成形品と同じように歪みがほとんど発生せずに、十分な耐久性があったので、弊社の製品としては、問題がないと考えています。
これらの品質検証のクリアを背景に、現在では各開発担当者が3Dプリンターならではの形状や構造などを活かした製品開発に日々取り組んでいます。その結果、製品形状が従来の射出成型では製作できない形状となり、直ぐに模倣品が作られるリスクを減らすと共に、より独自性の高い製品を開発することが可能となりました。
スイッチ部
熱中症対策用のパーソナルクーラー「コンパIIS」
今後の取り組み
3Dプリンターによって、今までにない新しい製品がスピーディーに創造できる
今まで作っている物を3Dプリンターで置き換えるというよりは、今までなかったものを3Dプリンターで創り出して行くという方向に重点をおいています。
弊社の経営スタンスは「走りながら考えよう」というスタンス。スピード感を上げつつ新しい物をどんどん市場に出して行けば、いろんな可能性が見えてくる。その過程で多少失敗があっても、それを糧に次のステップに進めれば、最終的にはそれは失敗ではなくて、「成功の種」になると考えております。
そういった意味でも3Dプリンターを活用することで、時代のニーズに対応したスピーディーな製品開発ができると確信しています。