OA機器を新たに導入する際は、課題やニーズの把握が重要になります。 解決すべきポイントや達成すべきビジョンを明確に定めてOA環境を一新し、大きな効果を上げた、日立造船株式会社様の事例を紹介します。
企業がOA環境を見直すきっかけはさまざまです。日立造船株式会社様がOA環境改善に着手するきっかけとなったのは、2004年、ソリューション本部内にプロジェクトチームが結成されたことでした。同部門が手がけるごみ焼却プラント関連の受注拡大、業務の伝承・効率化、災害対応などがこのチームのミッションでしたが、それらの課題に取り組む過程で、OA環境に関する新しいニーズも生まれてきました。ソリューション本部業務グループの山本氏は説明します。
「紙の資料を少なくして地球温暖化防止に貢献する、コピーの量を減らし、データ化することで情報の共有化を図る、OA機器の規格やメーカーを統一する、OAを Lotus Notesのデータベースと連携させる、といった課題が浮上してきました。OA環境を抜本的に見直し、それらの課題をトータルに解決したいと考えました」
課題やニーズは明確でした。しかし、その課題を最適に解決する新しいOA機器を選定するには、詳細な検討を要します。プロジェクトチームは、メーカーとの勉強会などを催し、検討を重ねました。メーカーが提示する機種に、プロジェクトチームのスタッフ二十数人全員が実際に触れ、その機能や操作感を体験しました。勉強会は、新しいOA環境の必要性と重要性を、スタッフ全員が確認する場にもなりました。
詳細な検討の結果選ばれたのは、リコーの「imagio MP C4500」と「imagio MP 6000」でした。「imagio MP C4500」には、Lotus Notesデータベースへのダイレクトなデータ登録を可能にする「imagio SmartDocLink」を搭載しました。また両機種に、スキャンデータの保存を簡略化し、紙文書の電子化を効率的に実現する「カンタン文書登録」の機能を加えました。導入決定直前には、実機を同社の会議室に持ち込み、上層部に向けて機能や操作性のプレゼンテーションを行ったといいます。
導入決定に当たっては、プロジェクトチームのスタッフのみならず情報システム担当の判断が大きかった。経営企画部情報システムグループの岡田氏は説明します。
「社内で扱う技術文書の多くは機密情報です。Lotus Notesには高度なセキュリティ機能があり、それと連携するOA機器にも高いセキュリティレベルが求められます。リコー製品には個人認証の機能があって、Lotus Notesへのデータ登録時にも登録責任が明確になります。それによって、私たちが求めるセキュリティのレベルが保てると判断したのです」
新機種導入後は、技術図書や図面、計算書などのデータベースへの登録がスムーズになり、登録データの活用もしやすくなりました。また、スキャナーや両面コピー、週刊誌綴じといった機能の利用によって、紙の使用量も削減されつつあります。
「今後は、紙の使用量がどの程度削減されたかなど、定量的なデータを収集していきたいと考えています」(山本氏)
同時に、機種が備えている新しい機能の活用も進んでいます。例えば、特定色を消す機能を用いて、赤鉛筆で書き込みをしてしまった資料から書き込みを消し、顧客に提出する、といった利用法が社員の間に広まってきています。
「新しいOA環境の意義は、社内に広く浸透しつつあります。セキュリティ、エコロジー、業務の効率化。それらに対する社員一人ひとりの意識を高めるためにも、OA環境の継続的な見直しが必要だと考えています。今後も社内外での意見交換を続けながら、その時代にあった最適なOA環境を実現していきたいと思います」。ソリューション本部業務グループ担当部長の小川氏は、そう話しています。