3層構造の特殊紙伝票を通せる高速カット紙プリンターで作業効率改善を実現
ふくや様は、1948年10月、戦災で焼け野原となった博多の街にすこしずつ復興の兆しが見え始めていた頃、博多・中洲の一角に開店しました。日本初の明太子が誕生したのは、その翌年のことです。その後は、新たに明太子を作ろうという人たちにも製造法を公開し、今や明太子は博多を代表する名物に成長しました。
ふくや様は、福岡40店舗、東京2店舗での対面販売も行われていますが、お中元・お歳暮時期には全国各地から注文が殺到します。
「当社の物流課では、明太子の出荷指示伝票を年間約150万枚、請求書を約30万枚、ダイレクトメールの申込書を約8万枚印刷していますが、お中元・お歳暮の繁忙期には、1カ月60万枚、1日あたり最大4万枚の出荷指示伝票を出力します。お中元・お歳暮用には『のし』も必要で、これは別のプリンターで1枚1枚出力し、さらに出荷指示伝票との突き合わせ作業を行う必要がありました。私たちは、出荷指示伝票と『のし』を1枚の用紙に集約して印刷することで、作業効率を高められないだろうかと考えました」(矢野様)。
新たに開発された帳票は、台紙上に出荷指示伝票と「のし」のシールが貼付されており、さらに出荷指示伝票の上には、お客様の受領確認をいただくシールが貼付された3層構造になっています(配送フロー図参照)。「のし」付きの商品は、お客様の先のお客様に届けられるものですから、印字の美しさも重要です。ふくや様とリコーは、帳票側で改善すべきポイント、プリンター側で対応可能なポイントを洗い出しながら、この3層構造の「のし」付き出荷指示伝票に、スムーズかつ美しく印字できる出力環境を構築していきました。連帳紙の特殊用紙をカット紙化したため、当初は紙詰まりも多発しましたが、リコー検証センターで通紙テストを繰り返し、3層構造の伝票のメリットを損なうことなく出力が行える環境を実現しました。
「A4サイズの単票に、出荷指示伝票と『のし』を印刷することで、付き合わせ作業をする必要がなくなりました。また従来の出荷指示伝票は、連続帳票1枚に4部印刷されていましたから、繁忙期には、それをカットするだけでも1日2時間程度の時間を必要としました。今回、お中元というひとつの繁忙期を新しい出力環境で経験しましたが、『のし』を一緒に印刷することで突き合わせの手間が省かれ、さらに連続用紙の断裁の手間がなくなったことで、作業効率が30%改善されました。7月・8月には、帳票出力に携わる従業員4名に加え、短期パート従業員を4名雇っていましたが、今回は2名で、しかもほとんど残業することなく繁忙期を乗り切ることができました」(矢野様)。
「プリンターの運用も簡単になりました。従来は紙詰まりが起きると、自分たちの手では復旧できませんでしたし、トナー交換も説明書を見ながらでないとできませんでした。IPSiO SP 9100Proは、紙詰まりが発生してもマニュアルを見れば復旧できますし、トナー交換もボトルを取り替えるだけで済みます。また従来の連続帳票は、4,000枚が1セットで30kgもあるものでした。帳票をセットするのは大変でしたし、1日4万枚印刷するには10回も掛け替える必要がありました。しかし、現在はトレーに用紙を補給するだけなので、ノンストップで作業を進められるようになりました」(山川様)。
ふくや様では、物流課の一角に、4台のIPSiO SP 9100Pro を設置されています。
「リコーのプリンターを導入するにあたっては、低コストという点も見逃せませんでしたが、プリンターのサイズも魅力的でした。従来のプリンターはIPSiO SP 9100Proよりも1.5倍くらい大きく、以前も4台設置していたのですが、このスペースにすっきり収まらなかったのです。また熱の問題もありました。排熱のためのファンの音も大きく、しかも室内に熱が排出されるので、冬場でもエアコンを入れなくてはならないほどでした。プリンターを変更したことで、作業環境の改善だけでなく、省エネにもなっていると思います。さらに印刷効率も改善されています。1件だけ出荷する必要のあるケースがありますが、ラインプリンターでは伝票を1枚出力するのにも、その前後で20枚程度の帳票の無駄がありました。現在は、前後の無駄な出力が一切なくなりました」(山川様)。
「従来のプリンターは、連続帳票でないと印刷できませんでしたが、今回導入したIPSiO SP 9100Pro は、さまざまな書類を印刷できます。実は今年、経理課からプリンターを使わせてほしいという依頼がありました。経理課では毎年、決算期に大量の法定保存書類を出力していますが、今までは小さいプリンターを使って1カ月くらいかけて、空いた時間に少しずつ出力していました。IPSiO SP 9100Proを使ったところ、通常業務の合間を利用して、5日程度で出力を完了することができました。考えてみれば物流課では、従来の伝票を印刷することしか頭になかったのです。繁忙期を想定した出力環境を構築していますから、1日に1,000~2,000件の出荷を行っている通常の時期は比較的業務に余裕があります。ですからリコーのプリンターなら、こんなこともできるという提案をいただければありがたいと思います」(山川様)。
「のし」付きの出荷指示伝票が可能になったことで、ふくや様内部での作業効率をさらに高めようとする動きや、次工程を含めた出荷作業全体の効率化を図る動きが始まろうとしています。帳票出力の細分化を図ることで、次工程のピッキングや梱包作業を行っている出荷業務委託先の作業の効率化を図ることも可能だというのです。
「今後は『のし』付き伝票にとどまらず、請求書も一緒に出力できれば、さらに作業効率が上がると考えています。請求書との突き合わせは、簡単な作業ではあるものの、膨大な量の仕事ですし、ミスが許されない工程です。請求書のほかに、お客様のメッセージを同梱するものもあります。A4サイズの帳票に、伝票と『のし』を印刷することで余白ができましたから、その余白に『請求書を同梱』、『メッセージあり』といった指示を印字するようにしました。もともと作業ミスはありませんでしたが、お客様別に帳票をセットで出力できるようになれば、それだけ作業効率の向上を図ることができると考えています」(矢野様)。
「現在は、当社が伝票を出力して出荷業務の外部委託先に渡していますが、単に商品をピッキングして梱包するだけのものは、委託先で伝票が出力されるようにしてもよいと考えています。出荷業務の委託先では、当社が印刷した伝票を、都道府県別・商品別などの棚割に合わせて仕分けをしています。あらかじめ棚割に合わせた出力が行えれば、作業も楽になり、全体の工程を効率化することが可能だと考えています」(山川様)。
出力環境が改善されたことで、ふくや様では、次なるプリンティング・ソリューションの姿が見えてきました。リコーは、プリンターの提供だけでなく、プリンターの活用方法の提案を通して、お客様の業務改革に貢献していきたいと考えています。
リコーはこれからも、柔軟な発想でお客様のご要望に最適な提案を行ない、業務の生産性向上やコスト削減などの課題解決に貢献してまいります。
当社は、ふくや様の物流システムのリプレイスに向けて、2011年に商談を開始し、2012年にシステム構築をスタートしました。リコーのプリンターを選定したのは、出荷指示伝票と「のし」を統合するので特殊紙を使いたいというご要望にお応えするためでした。特殊紙を低コストで高速出力するには、IPSiO SP 9100Pro が最適であると判断しました。また富士通のミドルウェアと連動できることもポイントになりました。リコーには、ふくや様にご注文をいただく以前から、用紙の検証や、コンビニ振込用の請求書のバーコード精度などについても相談にのってもらいました。さらに特殊紙の伝票に関しても、用紙や伝票の設計について提案をもらったり、実際にプリンターを通して問題があったときには、用紙メーカーへの提案も行ってもらったりしました。当初はジャムも多かったのですが、ふくや様と用紙メーカー、リコーで改善を進め、特殊紙の伝票をスムーズに出力できる環境を構築していきました。
株式会社
富士通マーケティング
株式会社
ふくや
本ページに掲載されている情報は、2014年2月現在のものです。