業務効率を落とさずに約30%のコスト削減を実現
一石二鳥のプリンティングシステム環境を再構築
ヤンマー情報システムサービス様(以下、YISS様)は、産業用小型ディーゼルエンジン事業を中核とするヤンマーグループの情報戦略の実現に向け、「最適な情報インフラと、顧客満足度の高い情報システムを、低コスト・高品質で構築・運用することにより、グループに貢献する」ことをミッションとされています。今回は、グループのサプライチェーン最適化を担うヤンマー物流サービス様(以下、YLS様)の帳票出力環境の改善に貢献された事例をご紹介します。
YLS様は、ヤンマーグループが全国の倉庫に保管している商品の輸送業務や倉庫管理業務などを行われています。使用頻度の高い出庫指示書は、従来は3枚複写式の連続帳票をラインプリンターで出力されていました。
「プリンティングシステム更新のきっかけは、ラインプリンターの長期間使用による保守終了でした。プリントアウトのスピードは問題がなかったので、プリンターを更新してそのまま継続することも検討しましたが、複写式専用帳票にはバーコードを鮮明に印刷する必要があり、高品質の用紙を使用しなければならず、コストが高く問題となっていました。
また、YLS様の現場からは、以前より『もっと帳票を見やすくしてほしい』といった要望が上がっていました。ラインプリンターの印刷方式の特性上、帳票のデザインはプリンターヘッドの印字領域に合わせたレイアウトにし、印字ミスが無いようにしていたため、バーコードの印刷位置を修正するくらいしか改善できず、見やすさ重視の帳票デザインにはなっていなかったのです。
コストの削減、業務効率向上の2つの観点から、専用帳票とラインプリンターを使用したプリンティングシステムでは、改善の伸び代に限界があると感じていました」(池田様)。
YLS様の業務効率向上と印刷コスト削減に向けて、レーザープリンター導入と出庫指示書をカット紙に変更する検討を開始されました。
「リコーから、レーザープリンターの仕様や費用に関する情報を提供してもらい、印刷・用紙・保守など、関連する全てのコストを比較すると、従来よりも3割程度削減できることや、プリントスピードも事前に想定していたより速いことが分かりました。いただいた情報が後押しとなり、YLS様にプリンティングシステムの刷新を判断いただくことができました。
しかし、帳票が変わることで、現場や納品先のお客様先で不都合が生じるようでは、プリンティングシステム再構築の目的を達成することにはなりません。
帳票デザインを確定する前に、帳票がどのように運用されているかを調査しました。もっとも配慮しなくてはならない納品先となるお客様のうち、複数のお客様がそれぞれ異なる手順で、帳票処理や保管をしていることがわかりました。また、二次配送が発生する際は、その先のお客様が商品を受け取ることになりますので、一層の配慮が必要となります。
そこでYLSのご担当者様と一緒に、新しい帳票サンプルを持参し、お客様に確認を行いました。一例となりますが、『帳票を止めているステープラー剥がしが不便』といったお客様からのご指摘をいただき、ミシン目を新たに1ヶ所増やした帳票仕様に改善することができました」(大西様)。
「もちろんYLS様の現場にも不都合があってはなりません。プリントアウトのスピードが速くなっても、現場で商品をピッキングする方々の業務効率が必ずしも良くなるわけではありません。従来の帳票も業務上の必要な情報をレイアウトしていたため、新しい帳票もできるだけデザインを変えずに、今まで以上に分かりやすくする工夫が必要となりました。
そこで、レーザープリンターの機能を活用して“白黒反転”による注意喚起部分を帳票上で強調しました。また、ラインプリンターの印刷仕様の制約を意識することがなくなり、帳票の設計がとても容易になりました」(池田様)。
リコーでは、プリンティングシステムの導入だけでなく、導入後の安定稼働に向けた長期間安心してご利用いただくための情報提供を積極的に行っています。
「新環境での稼働期間はまだ浅いですが、想定していた通りのコスト削減効果を得ることができそうです。
運用面では、事前の情報提供が大変役立ちました。ミシン目入りカット紙を大量出力すると紙粉が原因で紙詰まりになることは、以前の環境では想定できないことでした。さらに紙詰まりなどのトラブル発生時の保守サービス到着時間を事前に提供いただき、実際に紙詰まりが発生した時も慌てることなく対応することができました」(大西様)。
「YLS様では、北海道、東北、関東、神戸、滋賀、中国、九州の全国7拠点に、それぞれ複数のプリンティングシステムを導入し、多いところでは月間約20万枚出力されています。リコーには、通紙検証や現場での紙粉の量を計測するのを手伝ってもらっただけでなく、用紙メーカーと私たちの間に入っていただき、紙を裁断する刃や裁断方法などについて、プロの目で判断し、アドバイスしてもらいました。その結果、用紙メーカーには、紙粉を減らすための工程を新たに追加する対応をとっていただきました」(池田様)。
「リコーからは、YLS様の各拠点・各プリンターでのプリント枚数やメンテナンス状況といった稼働状況に関する情報をもらっています。従来の私たちは、現場の方々がどのようにシステムを利用し、どのようなトラブルが発生しているかを知る手立てがありませんでした。実際にプリント関連のトラブルが発生した場合、それぞれの現場からリコーのサービス拠点に直接連絡をしてもらっていますが、YLS様のシステムのメンテナンスに関しては、私たちYISS が責任を持っていますので、稼働やメンテナンスの状況などのバックグラウンド情報を持っていることはとても重要です。現場からの声に対して、すぐに対応できるように情報が整備されているので、従来よりも迅速な対応が可能となっています」(池田様)。
「例えば、出力するプリンターが偏っていて、一方のプリンターの出力枚数が、もう一方の1.5倍くらいになっているといった情報も上がってきます。こういった情報は、システムを長期間にわたって安定運用するためにも有効です。私たちが情報を管理していることで、YLS様も安心されますので、メリットは大きいと感じています。今後は、現場で発生している貴重な情報を有効活用し、お客様にご安心いただけるサービスの提供はもちろん、業務効率向上などに活用できる方法を考えていきたいと思います」(大西様)。
今後もリコーは、SIer様とお客様の信頼関係強化に貢献するため、プリンティングシステムの提案だけでなく、積極的な情報提供やサポートに努めていきます。
ヤンマー情報システムサービス株式会社
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