ChatGPT/Copilotで人事・労務の仕事を効率化！ 使い方や注意点を解説

さまざまな分野で活用が進んでいる生成AIのChatGPTや、ChatGPTを利用したMicrosoftのAIアシスタント・Copilot。人事・労務の仕事に従事する人の中には、興味はあるけれどもどのように活用したらいいかわからない、という人も多いのではないでしょうか。

そこでこのコラムでは、ChatGPTやCopilotを人事・労務業務に役立てる方法を解説。的確にプロンプト（指示）を出すポイントや、プロンプトの例文もお伝えします。

オフィスでの活用も進むChatGPT/Copilotとは？

ChatGPTとは、文章の問いかけや指示に対して、対話型で情報やアウトプットが得られるAIサービスです。情報収集や文書、資料の作成、要約や翻訳などが可能で、2022年11月に無料の「ChatGPT-3.5」がリリースされて以来、世界中にユーザーを増やしてきました。

そんなChatGPTを活用したMicrosoftのAIアシスタントが、Copilotです。Copilotは、Word、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどのMicrosoftのアプリケーション上での業務をサポートする機能です。文書やメールのひな型やプレゼン資料などを作成できるほか、オンラインミーティングの議事録や要約など、仕事のさまざまなシーンでの活用が可能です。

ChatGPT/Copilotを人事・労務業務で活用するメリット

では、ChatGPTやCopilotを人事・労務業務で使うことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

業務効率化を実現

ChatGPTやCopilotの活用は、人事・労務業務の効率化を実現します。人がやらなくてもよい単純作業や、繰り返しの作業などを自動化できるため、生産性が上がり、人事・労務に従事する人が創造性の高い仕事に注力できます。また、社員から寄せられる労務関連の問い合わせ対応の業務を効率化できるというメリットもあります。

採用や人材育成のアイディアが得られる

ChatGPTによる情報収集で、採用や人材育成に関するアイディアを得ることができます。たとえば、採用面接の質問案や研修プログラムを作成する際に、ChatGPTに条件も伝えて指示を出すことで、効率的にアイディアを集めることが可能です。効果の高い新しい取り組みにチャレンジするきっかけも得られるでしょう。

人事・労務業務でのChatGPT/Copilot活用事例

では、人事・労務の分野において、具体的にどのようなシーンでChatGPT/Copilotは活用できるのでしょうか。主な具体策は、次のとおりです。

採用面接の質問を作成

採用面接の質問の作成に、ChatGPTやCopilotは役立ちます。募集したい職種や階層に合わせて、効率的に、面接での質問やトークのアイディアを集めることができます。これまでの経験や目標など、聞きたい内容も盛り込んだ質問リストを作ることで、応募者を理解する有意義な面接が実施できるでしょう。

研修用のプレゼンテーション資料作りをサポート

PowerPointでCopilotを活用すれば、育成に関するスライド作りを効率化できます。研修や新入社員のオリエンテーションで使うプレゼンテーションのベースを作れるほか、WordやExcelでも、OJT向けの育成シートなどの文書作りを効率化できます。

人事労務に関する問い合わせ対応

人事・労務の重要な仕事のひとつが、社員からの問い合わせ対応です。福利厚生や申請などの労務関連の問い合わせマニュアルの作成や返答も、ChatGPTやCopilotで効率化できます。

ChatGPTやCopilotを活用して社内向けのQ&Aを作成したり、問い合わせ応答システムにChatGPTを活用したりすることで、正確でスピーディに社員からの質問に答えることが可能。人事・労務スタッフが、問い合わせ対応に要していた時間を短縮できます。

プロンプト（指示）の出し方のポイント

ChatGPTやCopilotで仕事を効率化するために大切なのが、プロンプト（指示）の出し方です。プロンプトのコツをおさえることで、求める情報やアウトプットをスムーズに得ることができます。Copilotでプロンプトを出す際のポイントは次のとおりです。

プロンプトに必要な要素は？

Copilotのプロンプトには、次の4つの要素を記載しましょう。

①目標
Copilotに求める情報や、自動化したい作業を具体的に書きます。「提案書のベースを作ってほしい」「質問案を箇条書きにしてほしい」などの指示です。

②コンテキスト（背景）
作業の目的や関係者などの背景を説明しましょう。「新入社員向け」「研修資料」など、ターゲットや用途を伝えることで、求めるアウトプットが得られやすくなります。

③期待
文章のトーンやスライドのカラーなど、Copilotに期待することを伝えます。「親しみやすく、わかりやすいトーンにしてほしい」などの要求を明記しましょう。

④ソース（情報源）
出力の際に参照する情報源や、サンプルを示します。たとえば、PowerPointで研修用のスライドを作る際には、テキストのもととなるワード文書などのファイルを指定しましょう。

できるだけ具体的な指示出しが大切

上記の4つの要素について、できるだけ具体的に記述しましょう。また、一度の指示でベストな出力を得られるケースは少ないため、Copilotとのやりとりを繰り返しながら、回答の精度を高めていくこともポイントです。出力された内容を確認して、足りない情報がある場合は、プロンプトに指示や参照元のデータを追加していきましょう。

プロンプトを検索できる「Copilot Lab」

Copilotの活用方法を伝えるサイトがMicrosoftの「Copilot Lab」です。Copilot Labでは、Copilotの基本的な使い方や、プロンプトのコツや例文を確認できます。プロンプトの例文は、ExcelやPowerPointなどの「アプリ」や、編集などの「タスク」、人事などの「職種」の条件から検索が可能です。
Copilot Lab

また、Copilotが搭載されたWordなどのアプリには、プロンプトをガイドしてくれる機能があります。ステップに従って用途などを選んでいくと、目的に合ったプロンプトを出すことができます。

人事・労務業務で使えるプロンプトの例文

次に、人事・労務の仕事で活用できる、Copilotのプロンプトの例文をご紹介します。

●採用面接の質問案作り（Word）

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  システムエンジニア職の面接用の質問案を、箇条書きで出してください。

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  営業職向けの面接用の質問案を作ってください。これまでの経験に関する質問も含めてください。

●職務経歴書の要約（Word）

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  「職務経歴書（Word文書）へのリンク」を要約してください。

●研修用プレゼンテーション資料のベース作り（PowerPoint）

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  「研修資料（Word文書）へのリンク」から、5枚のプレゼンテーションのスライドを作ってください。

ChatGPT/Copilotを人事・労務業務で活用する上での注意点

では、ChatGPTやCopilotを人事・労務の仕事で活用する際には、どのような点を注意すれば良いのでしょうか。

ChatGPTやCopilotを使ってアイディア出しや資料作成を行う場合は、アウトプットをそのまま活用するのではなく、担当者が必ず内容を確認して調整しましょう。AIから得た情報を参考にしながら、自社の人事戦略や求める人材像に沿って修正・加筆を行い、目的に即した取り組みを進めることが大切です。また、ChatGPTやCopilotはインターネット上の情報などをもとに回答を生成するため、内容が最新ではない場合がある点にも注意しましょう。

ChatGPT/Copilotを人事のアイディア探しの味方にしよう！

ChatGPTやCopilotを活用すれば、単純作業やドキュメント作業を省力化できて生産性が上がります。同時に、ChatGPTやCopilotのサポートによって、優秀な人材獲得につながる採用のアイディアや、人財育成に関する新しい視点を得ることもできるでしょう。今よりも創造的な人事・労務の仕事をするために、ChatGPTやCopilotを活用してみてはいかがでしょうか？