
ChatGPT/Copilotで業務効率化を実現! 財務・経理業務での使い方を解説
2024年09月25日 07:00
この記事に書いてあること
さまざまな分野で活用が進む生成AI、ChatGPT。そして、ChatGPTを利用したCopilotは、Microsoftのアプリケーションでの作業をサポートする機能です。では、そんなChatGPTやCopilotは、財務・経理の仕事では、どのように活用できるのでしょうか。活用メリットや、財務・経理業務での具体的な使い方、そして今すぐ使えるプロンプト(指示)の出し方や例文もお伝えします。
オフィスでの活用も進むChatGPT/Copilotとは
ChatGPTとは、人間が出した質問や指示(プロンプト)に対して回答する、対話型のAIサービスです。OpenAI社が2022年11月に無料で使える「ChatGPT-3.5」をリリースして以来、世界中で広く使われています。ビジネスシーンでも、情報収集や文章の生成、資料の作成サポート、文章の要約や翻訳などの用途で活用されてきました。
そして、OpenAI社の大規模言語モデル「GPT-4」を活用して開発されたAIアシスタントが、Microsoft のCopilotです。Word、Excel、PowerPoint、Outlook、TeamsなどのMicrosoftのアプリケーション上で業務をサポートする機能です。
たとえばWordやOutlookでは、作りたい文書やメールについて指示を出すと、Copilotがベースとなるひな形を作ります。PowerPointでは、Copilotに作りたい提案書の内容や枚数、対象者などを伝えると、自動でスライドを生成してくれます。そのほか、Teamsでのオンラインミーティングの議事録を作成するなど、手作業では時間がかかる業務をAIが支援します。
ChatGPT/Copilotを財務・経理業務で活用するメリット
ChatGPTやCopilotは、財務・経理の仕事のいろいろなシーンでも活用が可能です。財務・経理業務で使うと具体的に、どのようなメリットが得られるのでしょうか。
業務効率化を実現
事務作業が多い財務・経理の仕事において、ChatGPTやCopilotによる自動化は人の負担を減らし、業務効率化を実現します。単純作業や繰り返しの作業をChatGPTやCopilotで省力化できるため、財務・経理を担う人材が、分析やアイディア出しなど人にしかできない仕事に注力できるようになります。
正確な計算が可能でミスを減らせる
ヒューマンエラーを減らせることも、財務・経理の仕事でChatGPTやCopilotを活用するメリットです。数字の集計や表作成の業務で、計算が正確なAIを活用することで、人が計算する上で発生してしまうミスを減らすことができます。
専門性の高い業務を自動化できる
生成AIの活用を続けることで、単純作業だけでなく、財務・経理の専門的な業務も自動化できます。財務・経理業務に関する専門知識やルールをChatGPTやCopilotに学習させることでカスタマイズが進み、より高度な業務でもAIの支援を受けられるようになり、さらに生産性が向上します。
財務・経理業務でのChatGPT/Copilot活用事例
では、財務・経理業務では、具体的にどのようなシーンでChatGPT/Copilotを活用できるのでしょうか。主な具体策は、次のとおりです。
請求書などの文書作成を効率化
ChatGPTやCopilotでは、請求書や発注書などの経理関係文書の作成業務を効率化できます。Copilotで、WordやExcelのテンプレートを作った上で、商品名や数量、単価などの情報を提供して整えることで、スピーディに文書を作成でき、入力ミスも防げます。
決算書、社内レポートなどの資料の作成
決算書や財務に関する社内報告書など、一から作ると労力を要する資料の作成もChatGPT/Copilotがサポートします。具体的には、PowerPointで、Copilotに作りたいレポートの内容を指示すると、スライドが自動生成されます。Copilotがレイアウト調整や画像追加も自動で行うため、足りない情報や図版などを追加しながら、効率的に資料を作れます。
社内の経理に関する問い合わせ対応
会計システムの使い方や経費精算などに関する社内からの問い合わせ対応も、ChatGPTで効率化ができます。ChatGPTの回答を参考に社内向けのFAQページを作成したり、社内の問い合わせシステムにChatGPTを活用したりすることで、人が問い合わせ対応に要していた時間を削減できます。
経理業務の教育や知識の共有
財務・経理部門での教育や、ノウハウの共有にもChatGPTやCopilotは役立ちます。Copilotを使うことで、部門内のFAQや手順書、経理マニュアル作りなどを効率化できます。新しいスタッフや新人が財務・経理の事務作業を始める際も、Copilotによるサポートを受けながら仕事をスムーズに習得できます。
プロンプト(指示)の出し方のポイント
ChatGPTやCopilotを上手に活用する上で大切なのが、プロンプトの出し方です。プロンプトとは、ChatGPTやCopilotからアウトプットを得るために語りかける質問や指示のこと。的確に指示を出すためには、どのようなことに気を付ければいいのでしょうか。プロンプトの主なポイントは次のとおりです。
プロンプトに必要な要素は?
Copilotのプロンプトを書く上で押さえておきたいのが、次の4つの要素です。
①目標
どのような情報や作業を求めているのか、Copilotにしてほしいことを具体的に書きます。「下書きを作ってほしい」「資料を作ってほしい」などの指示です。
②コンテキスト(背景)
求める作業の理由や、誰が関係しているのかという、背景の説明です。「誰に読んでもらう文書か」など、ターゲットなどの情報を伝えることで、用途に合ったアウトプットを得られやすくなります。
③期待
文章のトーンや提案書のカラーなど、Copilotのアウトプットに期待することを伝えます。「親しみやすいトーンの文章にしてほしい」「簡単にまとめてほしい」などの指示です。
④ソース(情報源)
Copilotに求める回答や作業に、どの情報やサンプルを使ってほしいかを明示します。要約やグラフのもととなる文章や情報、ファイルを伝えます。
Copilotで的確なサポートを得るために、プロンプトでこれらの4つについてできるだけ具体的に記述しましょう。また、一度だけのプロンプトでベストな出力を得られるケースは少ないため、会話を繰り返すことで精度を高めていくことも大切です。
Copilot Labを活用しよう
Copilotの使い方で困った時に活用できるのが、Copilot Labです。Copilot Labは、Copilotの使い方やプロンプトのコツ、プロンプトの例文を紹介しているサイトです。プロンプトの例文は、WordやExcelなどの「アプリ」や、作成、編集などの「タスク」、また人事、マーケティングなどの「職種」から絞り込んで検索することができます。
Copilot Lab
また、Copilotは、Wordなどのアプリ上で例文を表示してプロンプトをガイドしてくれる機能があります。用途などの情報を選択していくことで、目的に合った指示を出すことができます。
財務・経理業務で使えるプロンプトの例文
では、財務・経理の仕事で活用できる、Copilotのプロンプトの例文をご紹介します。
●長文の財務レポートを要約する(Word)
このWord文書の内容を1ページに要約してください。
●財務データ上の数字をグラフ化する(Excel)
選択したデータをグラフにしてください。
●財務に関するプレゼンテーション資料を作成する(PowerPoint)
「(Word文書へのリンク)」の内容から、10枚のスライドのプレゼンテーションを作成してください。
プロンプトは目的や参照元のデータ、文書などをできるだけ具体的に書きます。アウトプットを確認して、足りない部分についての追加の指示を出して、修正・加筆していきましょう。
ChatGPT/Copilotを財務・経理業務で活用する上での注意点
では、ChatGPTやCopilotを財務・経理の仕事で活用する際には、どのような点を注意すれば良いのでしょうか。
ChatGPTやCopilotはインターネット上の情報などをもとに回答を生成するため、内容が最新ではない場合があります。参照元の情報が必ずしも正確とは限らないため、最終的には必ず人の目で確認・調整をしましょう。
トラブルを防ぎ、社員がChatGPTやCopilotをストレスなく活用するために、運用ルールを決めることも重要です。社内のチェック体制や責任の所在、ChatGPTやCopilotを使う範囲についても定めておきましょう。
ChatGPT/Copilotを業務効率化の味方にしよう!
企業にとって重要な数字を扱う上に、正確さが求められる財務・経理業務。プロンプトの出し方を知り、ChatGPT/Copilotと適度に役割分担ができれば、人の負担を減らしながら、業務の質やスピードを向上できます。AIを使いこなせるか不安という方は、情報収集や文書の下書き作成など、基本的な用途から始めてみましょう。まずは使ってみて、ChatGPT/Copilotの使い心地や利便性を体感してみてはいかがでしょうか?
記事執筆
バックオフィスラボ編集部(リコージャパン株式会社運営)
バックオフィスラボは、バックオフィス業務を「総務」「経理」「人事労務」「営業事務」「法務」「経営企画」の6つに分類し、法令解説や最新トレンド紹介など、バックオフィス業務の改善に役立つヒントを発信しています。
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