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クレーム対応の基本と手順、意識しておきたいコツ5選

From: バックオフィスラボ

2025年05月22日 07:00

この記事に書いてあること

顧客対応において発生する業務の1つにクレーム対応が挙げられます。プロフェッショナルとして対処しなければならないと理解しているものの、実はクレーム対応に苦手意識を抱いている方は多いのではないでしょうか。

今回は、クレーム対応の基本手順や適切な対応のコツ、避けたいNG行動についてわかりやすく解説します。過剰要求や理不尽なクレームを受けた際の対処方法とあわせて見ていきましょう。

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クレーム対応の基本知識

はじめに、クレーム対応の基本知識を整理します。クレームが発生する原因や、主なクレームの種類、クレームをつける相手の心理を理解しておくことが大切です。

なぜクレームが発生するのか

クレームが発生する原因はさまざまですが、多くの状況に共通している点として「期待値を大きく下回る体験をしたこと」が挙げられます。顧客は自社の商品やサービスに対して、何らかの期待を抱いて購入・利用するケースがほとんどです。その期待を裏切られたと感じたとき、不満を感じ苦情を訴えたいと考えるパターンが多く見られます。

裏を返すと、クレームが発生するのは自社に対して期待していただけた証拠ともいえます。そもそも期待していなければ、苦情を言いたいという心理も発生し得ないからです。クレームの背景には「期待値とのギャップ」があることを押さえておく必要があります。

3タイプのクレーム

クレームの内容は顧客によって千差万別です。その中でも、よくあるクレームのパターンとして次の3タイプが挙げられます。

通常のクレーム

クレームの中でも発生頻度の高いタイプです。商品が届かない・納品された商品が間違っている・接客態度に不満がある・待ち時間が長すぎるなど、顧客が抱いた不満を吐露したいという心理が背景にあります。多くの場合、顧客の主張には正当な理由があり、自社側に改善の余地があるため、クレームの内容を注意深く聞く必要があります。

悪質なクレーム

事実に反することで苦言を呈したり、金銭の支払いや過剰な謝罪を要求したりするなど、悪質性の高いクレームがこのタイプです。自社が提供可能なサービスの範囲を超える要求に対しては、毅然とした態度で応じる必要があります。クレームの原因が正当な理由によるものだったとしても、要求の内容次第では対応を拒否したり、法的手段を講じたりする必要が生じる可能性も否定できません。

的外れなクレーム

顧客側の勘違いが原因のクレームや、商品・サービスと直接関係のないクレームがこのパターンに該当します。たとえば、他社製品に関する苦言を訴えているケースや、「注文の際に色の指定を間違えた」といった顧客側の確認不足がクレームの原因になっているようなケースです。客観的に見て的外れなクレームだったとしても、顧客側は自身の主張が正当なものと信じて疑わない場合もあります。まずは相手に気持ちを落ち着けてもらい、誤解を解くための対応が求められるでしょう。

クレームをつける相手の心情

適切なクレーム対応をするには、クレームをつける顧客の心理を理解しておくことも重要なポイントです。顧客の視点に立った場合、クレームをつけたくなる心情として下記のものが挙げられます。

困っている

購入した商品が開封した時点で故障していたなど、どう対処すればよいのかわからず困っているケースは少なくありません。原因となっている状況を解消するための手段を的確に示し、解決に向けて協力する姿勢で臨むことが大切です。顧客は助けを求めているため、力になってくれることがわかれば、むしろ頼りにされる場合もあります。

不当な扱いを受けている

本来得られるはずのサービスを受けられなかったなど、正当な扱いをされなかったことに対して不満を感じているケースも多々あります。顧客側の誤解にもとづいている部分があったとしても、不満を感じさせてしまったことは事実です。顧客の話をきちんと聞き、理解する姿勢を示す必要があります。

より良くしたい

商品やサービスをより良くしたいという心理から、不満を感じた点を指摘しているケースもあります。現実的に改善できる点・今すぐに改善を図るのが難しい点が出てくる可能性があるものの、まずは貴重な意見を寄せてくれたことに感謝の意を示すことが大切です。

言いがかりをつけたい

ストレス解消などの目的で、悪意をもって言いがかりをつけているケースもあります。顧客の話に耳を傾けるのはクレーム対応の基本ですが、過剰な要求や自社側に非がないことが明らかな苦情であれば、毅然とした態度で臨むことが重要です。

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クレーム対応の基本手順

クレーム対応の基本的な手順を紹介します。実際には臨機応変に対応する必要があるケースが多いものの、まずは基本の流れを押さえておくことが大切です。

1. 相手の主張に耳を傾ける

クレーム対応の基本は、まず相手の主張に耳を傾けることです。顧客はどのような点に不満を訴えているのか、なぜその状況が発生したのかといった点を、注意深く聞き取りましょう。

相手の話を最後まで聞くことも大切です。顧客の主張を否定したり、耳を貸さない素振りを見せたりすると、感情を逆撫ですることにもなりかねません。クレームをつけている顧客側も、話を聞いてもらううちに気持ちが落ち着いてくることが多いものです。適切に相槌を打ちながら、誠実に話を聞くことが重要です。

2. 事実を確認する

顧客が主張している内容が確認できたら、次にその主張が事実であるかどうかを確認します。状況を簡潔に整理し、「〇〇についてお困りということですね」といった伝え方をすることで、顧客は自分の主張が理解してもらえていると感じるはずです。

事実確認のために必要な情報があれば、その場で即答せずきちんと確認してから返答することも大切なポイントです。相手を待たせる際には「お調べしますので、少々お待ちください」などと伝え、誠実に対応していることが伝わるように対応しましょう。

3. 解決策を提示する

顧客が不満に感じていることに対して、解決策を提示します。事実と異なるクレームの場合には、実際にはどのような状況であるのかを丁寧に説明しましょう。顧客の主張どおりの場合は、自社の不手際や不備について謝罪し、再発防止策を講じる旨を伝えます。

顧客としては、自身の不満を解消してほしいと訴えているケースがほとんどです。今後は改善するといった対応では納得してもらえない可能性が高いことから、代替商品や返品対応など、クレームが発生した場合の対処方法をあらかじめ決めておくことをおすすめします。

4. お詫びや感謝の気持ちを伝える

クレーム対応の締めくくりとして、お詫びや感謝の気持ち伝えましょう。たとえ顧客の思い込みや勘違いによって発生したクレームであっても、不快な思いをさせた事実に変わりはありません。また、顧客の主張が正当なものであれば、クレームが商品やサービスの改善を図るきっかけになる場合もあります。指摘していただけたことに対して、感謝の気持ちを伝えることが大切です。

以上の流れに沿って適切にクレーム対応を進めることによって、顧客の信頼がさらに厚くなるケースも少なくありません。クレーム対応はネガティブな面ばかりではなく、顧客との信頼関係を築く上で重要なプロセスの1つにもなることを念頭に置きましょう。

クレーム対応のコツ5選

クレーム対応時に意識しておきたいコツ5選を紹介します。クレームの内容や求められる対応は多種多様ですが、次に挙げる5点を基本的なコツとして押さえておくことが大切です。

「自分自身が否定されているわけではない」が前提

クレーム対応に臨む際には、「自分自身が否定されているわけではない」ことを前提に考えましょう。クレーム対応はあくまでも顧客対応の一部であり、業務の一環といえます。顧客の不満を解消するためのプロセスを捉え、必要以上に気に病んだり、神経を磨り減らしたりしないことが大切です。

クレームをつけているときの顧客は感情的になっているケースが少なくありません。その矛先が自分に対して向けられていると捉えてしまうと、精神的に疲弊する原因となりがちです。顧客が不満をぶつけているのは自社の商品やサービスであって、担当者を個人的に責めているわけではない点を十分に理解しておく必要があります。

話をきちんと最後まで誠実に聞く

クレーム対応時には、相手の話をきちんと最後まで聞くことが重要です。たとえ的確な回答であっても、言いたいことを最後まで言い終える前に反論されてしまうのは気分の良いものではありません。話を聞いてもらえない・取り合ってもらえないという印象を与えてしまうと、かえって顧客の心証を悪化させることになりがちです。顧客の主張が正しいかどうかを問わず、相手の話を最後まで誠実に聞く姿勢を心がけましょう。

事実と感情は分けて受け止める

クレーム対応には「落ち着いてもらう」という感情面での役割と、「不満点を解消する」という論理的な面での役割の二面性があります。両者を混同してしまうと、適切な対応ができないばかりか担当者自身が大きなストレスを感じる原因となりがちです。

顧客の話しぶりから、まずは落ち着いてもらうための対応が先決か、不満に感じている点を解決する段階に入っているのかを見極める必要があります。感情的になっている相手に対しては、まずは落ち着いてもらうための対応に徹するのが得策です。

迅速に対応する

感情的になっている状態の顧客は「待たされる」ことによって心証をいっそう悪くする傾向があります。対応を後回しにされている・急いで対応しなくてよいと思われていると感じさせないよう、できる限り早く対応することが大切です。

やむを得ず電話を取り次ぐ場合や、別部門からあらためて連絡する必要がある場合には、可能な限り優先的に対応してもらう必要があります。実際に相手を待たせている時間の長さを問わず、「不必要に待たされている」という印象を与えないのがポイントです。

お客様の視点に立って対応する

お客様の視点に立って対応することは、クレーム対応の基本といえます。表面的に謝罪してその場を乗り切ろうとするのではなく、相手が何に不満を感じているのかをきちんと捉えることが大切です。

謝罪の言葉を聞いたとしても、結果的に不満点が解消されていないと感じれば、顧客のネガティブな感情は払拭されません。たとえ自社の都合上仕方がない状況だったとしても、まずは顧客の言い分を聞き、不快な思いをさせてしまったことに対してお詫びの気持ちを伝える必要があります。

クレーム対応時に避けたいNG行動

クレーム対応時に避けるべきNG行動について解説します。次に挙げる4点は失敗しやすいポイントでもあるため、実際にクレーム対応を行う際には意識して避けるようにしましょう。

お客様の言葉を遮る・否定する

クレーム対応では、まずは顧客の言葉を受け止めるのが基本です。「いえ、違います」「そうではなく…」といった言葉から、相手は自分が否定されている・主張を聞き入れてもらえていないと感じるおそれがあります。お客様の言葉を遮ったり、否定するような言葉を使ったりするのは避けましょう。「おっしゃるとおりです」「よくわかります」といった肯定的な言葉を使うよう心がけることが大切です。

自社側の都合で話を進める

顧客との会話の中で、自社の都合を持ち出すのは避けたほうが無難です。たとえ会社として決められている手順や対応方法であっても、それらはあくまでも社内向けのものに過ぎません。顧客にとっては関係のないルールのため、自社側の都合を押し通そうとしないことが重要です。「通常このように対応しております」「そういった決まりですので」といった言い回しについても、自社側の都合で話を進めている印象を与えやすいため、避けたほうがよいでしょう。

相手の間違いを指摘する・常識を持ち出す

よくある失敗の例として、お客様の間違いを指摘したり、常識を持ち出して反論してしまったりするケースが挙げられます。「取扱説明書に記載のとおり…」「ご注文時に確認画面が表示されましたように…」といった伝え方をすることによって、遠回しに相手に非があることを指摘しているかのように受け取られかねません。

クレーム対応時には、相手には非がないという前提で話を進めなければ不満が解消されません。たとえ原因が顧客側の確認不足だったとしても、「説明が足りず申し訳ございません」といった一言を添えることが重要です。

お客様を待たせる・たらい回しにする

自社の都合で相手を待たせたり、上長や他部門に引き継いだ際に一から説明を求めたりするような対応はNGです。担当者が別の顧客に対応中ですぐに電話を取り次げないような場合には、保留にしたまま待たせるのではなく、状況を説明して自社側から電話をかけ直すといった配慮が欠かせません。

とくに電話で問い合わせる場合、電話がつながるまでの自動応答メッセージによって顧客はすでに待たされている可能性があります。相手の状況に対して想像力を働かせ、迅速な対応を心がけることが大切です。

過剰要求や理不尽なクレームにはどう対応する?

クレームの内容によっては、毅然とした態度で臨むことが求められる場合もあります。過剰要求や理不尽なクレームを受けた際の対応方法について見ていきましょう。

過剰要求への対応方法

「自宅まで謝罪に来てもらいたい」「迷惑料を支払ってほしい」といった度を超えた要求については、断って諦めてもらうのが基本です。自社側が責任を負うべき範囲を明確にした上で、それ以上は対応しかねることを明確に伝える必要があります。

実際には対処できない要望まで安易に受け入れてしまうと、かえって不誠実な対応となってしまう場合もあります。顧客側も無制限に要求が通るとは考えていないケースが大半のため、現実的に対応できること・できないことをしっかりと線引きすることが大切です。

自社側に非がないクレームへの対応方法

自社側に非がないことが明らかであるにもかかわらず納得しない顧客に関しては、あえて他の顧客への対応例を挙げるのも1つの方法です。どの顧客にも同様の対応をしていると伝えることによって、特定の顧客にだけ特別な対応をするわけにいかない事情を伝える効果が期待できます。できる限りの対応をした上で、相手が納得しないようなら「弊社としましてはご要望にお応えしかねます」と明確に伝え、それ以上要求し続けるのを諦めてもらうことをクレーム対応のゴールとしましょう。

理不尽なクレームへの対応方法

理屈による対応では納得しそうにない理不尽なクレームの場合には、常識の範囲内で話を聞き、それ以上の対応については断っても構いません。繰り返し連絡してくるようなら、営業上の不利益を被ることになりかねないと伝えた上で、必要に応じて弁護士などの専門家に引き継ぐ旨を通達しましょう。こうしたクレームをつける相手の多くは、苦言を呈すること自体が目的化している可能性があります。以降は弁護士を通じて連絡するよう、文書にて通達するのも1つの方法です。

クレーム対応の基本を押さえて冷静に対応しよう

クレーム対応は、顧客対応において求められるスキルの1つです。基本的な流れや押さえておくべきポイントを理解した上で、手順に沿って対応していくことをおすすめします。過剰要求や理不尽なクレームを受けた際の対応について、あらかじめ社内のルールや対応方法を決めておくことも大切です。クレーム対応を業務の一環と捉え、冷静に対応できるようスキルを磨いていきましょう。

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記事執筆

バックオフィスラボ編集部(リコージャパン株式会社運営

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