電子化で働き方改革を進めよう!データ化で生産性が上がる書類5選
2023年09月13日 06:00
この記事に書いてあること
業務の効率化やスムーズなリモートワークの導入を実現するために、オフィスにある書類のデータ化は欠かせません。その重要性はわかっていても、どのような書類からデータ化を進めていけば良いか、判断に迷って手を出せずにいる人は多いのではないでしょうか。そこでこのコラムでは、書類電子化のメリットや、データ化することで効率化が進む書類5選を解説。さらに、具体的なデータ管理の方法もお伝えします。
書類のデータ化はなぜ必要?
紙での保存や交付が一般的だった書類の多くの保存方法が、見直されています。なぜ今、ペーパーレス化や、電子化が求められているのでしょうか。
多様な働き方の推進
書類のデータ化が重視されている理由のひとつが、感染症対策の一環として進んだリモートワークの普及です。オフィス以外の場所でも各種の書類を取り扱えるように、データ化やクラウド上での文書の保管が進みました。
請求書など、担当者が出社し、紙で出力・郵送していた書類も、データでやりとりができる環境が整備されつつあります。多様な働き方を可能にするという働き方改革の観点からも、書類のデータ化は世の中に求められています。
データ化は生産性向上や災害対策にも有効
書類のデータ化は、業務の生産性も大きく左右します。書類を紙からデータに切り替え、業務フローをデジタル化するシステムを導入すれば、取引先との契約や社内の申請・決裁などがスムーズに行えます。担当者の負担軽減や時間短縮につながるほか、紙の使用や郵送がなくなることによるコスト削減も実現できます。
災害対策や、非常時に事業の継続や復旧を図るためのBCP(事業継続計画)の面でも、書類のデータ化は重要です。感染症の流行や災害で出社が困難になった場合も、書類をデータで管理していれば、業務の停止を最小限に止めることが可能です。
なお、電子帳簿保存法では、電子取引で発生した書類は電子データで保存することが義務付けられています。また、2023年10月から始まるインボイス制度に対応するためには、膨大な数のインボイス(適格請求書)を保存しなければなりません。法律への対応という点でも、紙ではなくデータで書類を管理する必要性が高まっているのです。
書類データ化のメリット
書類のデータ化を進めることには、企業経営のうえでも、さまざまなメリットがあります。
業務効率化が進む
書類のデータ化の最大のメリットは、業務効率化が進むことです。書類をデータ管理することで、情報共有や決裁処理がスムーズになり、業務が効率化します。電子書類をシステム上で作成する際も、手入力に比べて短時間で作業ができ、ミスも減ります。他の書類との連携も、スムーズかつ正確に行うことができます。
また、紙書類に関する作業のため出社が必要だった管理部門の社員も、書類のデータ化が進めば、リモートワークなどの働き方を選べます。社員にとって働きやすい環境が整うのも、書類データ化のメリットです。
書類の検索スピードがアップ
データ化によって、必要な書類を探す時間の短縮ができます。紙書類を取り出す際には、保存してあるファイルの中から、手作業と目視で探す必要があります。電子データであれば、キーワードや作成時期、文書の書類などの条件で絞って書類を簡単に検索できるため、業務効率が上がります。
オフィス環境の改善
書類の電子化は、オフィス環境も改善します。データ化に取り組むと、紙の文書の量が減るため、倉庫などの書類の管理場所を削減できます。オフィススペースのスリム化が進みます。
また、各社員がデスク周りに保管していたファイルや紙も減るため、デスク周りの整理整頓が進みます。快適なオフィス環境で働けるため、集中力やモチベーションアップにもつながります。
セキュリティの強化
書類のデータ化は、セキュリティの面でもメリットがあります。個人情報や社外秘の情報が含まれる書類も電子保存することで、情報漏えいや持ち運び中の紛失リスクを減らせるため、文書管理のセキュリティレベルが向上します。
データ化すべき書類5選
では実際に、業務効率化を進めるためには、どのような書類からデータ化を始めればよいのでしょうか。電子化を進めるべき5つの書類は、次のとおりです。
取引関係書類
請求書や発注書、見積書、領収書など、取引に必要な書類のデータ化は、業務効率化を大きく進めます。法人税法などの規定で、企業には、取引関係書類を7年間保存することが義務付けられていますが、電子帳簿保存法では、これらの書類を電子データで保存することが認められています。
取引関係書類を電子化すれば、作成や検索にかかる時間を短縮できます。また、見積もりの提示から請求まで一連の書類のやりとりをデータ化させて、取引をスムーズかつ正確に行うことができます。また、不適切な取引や書類の不備もシステム上でチェックできるため、取引を適正化できます。
契約書
契約書のデータ化により、効率化やコスト削減につなげる取り組みが行えます。紙で作成し、交わしていた契約書を電子化することで、取引先との電子契約ができるようになります。
電子契約はシステム上で完結するため、書面の契約書作成や郵送の手間がかかりません。郵送代や印紙代などのコストも削減でき、アクセス制限や承認権限の付与などの機能でセキュリティが守られるため、コンプライアンス強化にもつながります。
人事関係書類
人事関係書類のデータ化は、労務人事業務の省力化を進めます。企業では、社員それぞれに関して、履歴書、雇用契約書、秘密保持契約書、業務委託契約書、労働条件通知書といった、さまざまな書類を管理する必要があります。またこれらの書類は個人情報を含むため、厳重に保管する必要があります。
これらの書類をデータ化することで、社員ごとの人事関係書類を一元管理できます。書類が増えた時の追加もスムーズで、書類の検索も時間をかけずに行えます。
決算関係書類
棚卸表や貸借対照表、損益計算書など、決算書に含まれる決算関係書類のデータ化が可能です。
決算関係書類は、法律で7年の保存が義務付けられています。これらの書類は原本で保管する必要がありましたが、電子帳簿保存法では、データでの保存が認められています。会計業務の効率化や、書類の検索性・安全性の向上のため、決算関係書類のデータ化を進めましょう。
経費精算書類
社員が手書きや手入力で行っている経費精算を、データ化や、作業のデジタル化が可能です。経費精算システムを使うことで、交通費や交際費などの入力がスムーズになり、省力化が進みます。システムのチェック機能で、申請のミスや不正を防ぐこともできます。
法律で7年の保存が義務付けられている領収書を電子データ化すれば、場所をとることなく保管できます。
書類のデータ化と管理の具体策
効率化につながる書類のデータ化を実現するためには、ツールやサービス選びも重要です。そこで、書類のデータ化や管理におすすめの方法もご紹介します。
複合機やスキャナーを使ったデータ化
書類データ化の一般的な方法は、複合機のスキャン機能やスキャナーによる電子化です。書類を読み込んで、PDFファイルとして保存します。日頃から扱っている複合機を使えて、作業もシンプルなため、データ化の第一歩の取り組みとしておすすめです。
コストをかけずデータ化を行える一方で、多くの書類をデータ化する場合は時間や人手を要するため、注意が必要です。
社員のスマホで書類を撮影して保管
スマートフォンや携帯電話のカメラ機能を用いて、紙の書類をデータ化する方法もあります。たとえば、経費精算をシステム上で行う際に、各従業員が、添付する領収書を撮影して、画像データで提出することが可能です。
外出先やリモートワーク中に発生した経費も、オフィスに行かず電子化ができるため、コスト削減や生産性向上につながります。
データ化代行サービスを利用
データ化対象の書類が大量な場合、また作業を省力化したい際には、データ化の外注を考えてもいいかもしれません。製本されているため1枚1枚に分けるのが難しい書類や、お持ちの複合機やスキャナーではスキャンが難しいサイズの書類も、専門業者に依頼することで、迅速かつ正確にデータ化ができます。
社内で作業を行うよりも費用はかかりますが、効率的にデータ化ができて、業務フローのデジタル化に早く着手できるというメリットがあります。
文書管理システムを導入
データ化した書類を効率的に管理、運用したい時は、文書管理システムの導入がおすすめです。文書管理システムとは、データ化した文書の保存、活用、廃棄までを一元管理するシステムのこと。文書を管理する機能だけのシンプルなものから、システム上で、決裁などの業務フローが行えるものまであります。
なお、クラウド型の文書管理システムを導入すれば、社外からでも文書の閲覧や電子書類を使った業務を行うことができます。
また、2023年10月から始まるインボイス制度では、大量のインボイス(適格請求書)を保存・管理しなければなりませんが、文書管理システム導入によって、効率化が可能になるでしょう。
書類データ管理でバックオフィス業務をスマートに!
業務効率化の観点から社内を見渡すと、決裁処理や検索などに時間を要している紙書類が見つかるのではないでしょうか。書類に関するフローのチェックは、業務上のムダを見つけるきっかけにもなるでしょう。
書類のデータ化は、紙の書類にまつわる社員の負担を減らすだけでなく、快適なオフィス環境作りやリモートワークの推進などを実現し、働き方改革を前進させます。今回、ご紹介したデータ化におすすめの5つの書類の中で、自社で実施しやすいものから電子化を進めてみてはいかがでしょうか?
記事執筆
バックオフィスラボ編集部 (リコージャパン株式会社運営)
バックオフィスラボは、バックオフィス業務を「総務」「経理」「人事労務」「営業事務」「法務」「経営企画」の6つに分類し、法令解説や最新トレンド紹介など、バックオフィス業務の改善に役立つヒントを発信しています。
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