新しい世代の人材育成

From: バックオフィスラボ

2021年02月18日 08:00

この記事に書いてあること

会社における人材育成--特に小さな会社における人材育成は、経営者自らが動かなければ決して実現しません。

経営者が動かなければ、人は育たない

中小企業の場合、スタッフがそれぞれ自分の仕事を持ち、目先の作業に取り組んでいます。

そこに新しい人が入ってきたとしましょう。先輩社員はもちろん自分の仕事を手伝ってもらうために、仕事の内容を伝え、業務を行えるように指導するでしょう。

しかし、それは必ずしも人材育成ということにはつながりません。配置された部署の仕事のやり方を覚えたということに過ぎないからです。

ただいまいるスタッフに、将来の会社を任せる人材育成をせよというのも酷な話です。そもそも日々の業務に忙しい社員にそんな役割まで持たせることに無理があります。

その意味で、会社の仕事を任せる人材を育てることは、経営者目線を持った方、つまり小さな会社では経営者自身にしかできないという面があります

若い人材は、どういう世代なのか?

人材育成に対しては、まずどんな世代の人を育てるのかを知ることも重要です。

例えば、「ミレニアル世代」「Z世代」という言葉をご存知でしょうか?

ミレニアル世代の特徴

ミレニアル世代とは、1981年以降に生まれ、2000年以降に成人を迎えた世代のことです。インターネットが当たり前の時代に育った世代で、学生時代からスマートフォンを使いこなし、ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS利用にも積極的。

いわば、デジタル世代の先駆けといえる存在です。大きく、仕事面では以下の特徴を持っているといわれています(もちろんすべての人がこうだとは限りません)。

  • 他者に対して寛容

  • 仕事では自分が評価されスカウトされることを好む

  • 「現在」を重視

  • 「受動的」学習が得意

  • どちらかと言えば楽観主義

  • 物質的な豊かさよりも精神的な豊かさを求める

Z世代の特徴

Z世代は、1996年代~2012年生まれの人。企業で言えばまさに新入社員の方たちがこの世代に当たります。

生まれた時からあらゆるデジタル機器やネットサービスに囲まれ、ソーシャルメディアやスマホ時代に生まれたソーシャルネイティブといわれる存在です。

仕事への価値観などは、ミレニアル世代とは少し異なる部分があるようです。

  • 多様性を求めやすい

  • 仕事での成功、起業の意識が高い

  • 「将来」を重視

  • 「インタラクティブ」な教育、自己学習が得意

  • どちらかといえば現実主義

  • お金やキャリアについては保守的

さて、こうしたZ世代の人材育成はどのようなことがポイントとなるのでしょうか?
この世代に対し「響かせる」基本の条件は、一方的に過去の知識や経験、スキルを覚えさせるという姿勢を改めること、といわれています。

つまり命令や指導ではなく、納得させることが重要なのです。
なかなか上の世代にとっては歯がゆい部分もあるかもしれませんが、こうした姿勢なしにZ世代の育成は難しいといわれています。

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まず相手と自分のバックボーンの違いを知る

まず気を付けたいのは、

  • 「うちの会社のやり方はこう」

  • 「社会人とはこういうもの」

という価値観を押し付けるのではなく、お互いの違いを明確にして、認め合うことが必要です。
その際、

  • 「なぜそう思ったのか?」

  • 「どのようにして行ったらよいと思うか?」

といった質問によって、相手の価値観や行動基準を知り、実際の行動に落とし込んでいくことが必要です。つまり本人が納得して行動することが必要です。

最初の配置も「納得」するまで説明する

配属先については、

  • なぜこの部署に配属されたのか

  • どんな意図で配属したのか

  • どんな仕事をして欲しいのか

ということを説明します。
命令、辞令というだけで済まさず、与えられた仕事がどのように会社や社会に役立っているのかを理解すると、Z世代は非常に高いモチベーションを発揮します。

「ついてこい!」ではなく「後方支援」を心がける

本人が仕事の意味や意義を知り自ら動くようになる、というのがZ世代にとって最高の状態です。

ですから育成を意識した経営者や上司に必要なのは、「ついてこい!」という姿勢ではなく、一人ひとりが主体的に考え行動する環境をつくりだすことがポイントです。

そのためには「後方支援」の姿勢が大切です。

新しいやり方は積極的に取り入れる

Z世代は、さまざまなプロセスにおいて効率化を非常に大切にしていますし、また容易に効率化の手段を探す能力を持っています。
これまでの会社の慣習だからといって非効率(それまでは効率的な方法であったとしても)な仕事は、彼らにとっては苦痛となってしまいます。

ソフトウェア、クラウドサービス、アプリの導入など、Z世代のアイデアを否定するのではなく「勉強」「成長」ととらえ、積極的に取り入れることで、Z世代が働きやすい会社となります。

一緒に進める、という感覚を持つ

何も知らない新人だから指示してあげるという感覚ではなく、まず認めてあげること。多様性が当たり前の世代にとって、一方的に指示されたり命令されたりすることは、基本となる価値観に反することでもあります。
よき助言者としてプロセスを共有し、相手の意見も聞きながら物事を進める。そんな寄り添う気持ちが大切です。

「主観」を捨て「客観」で対応する

Z世代は、公明性、透明性を非常に大切にする傾向があります。
つまり上司の「主観」による判断や言葉は、彼らにとって苦痛であり、信頼関係を築くうえで大きな障壁ともなります。

仕事のプロセスなども透明化して正しさを問うことで、彼らが納得し、仕事を進められるようにすることが必要です。

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