電子マネーの会計処理はどうやって行う?
2021年06月30日 08:00
この記事に書いてあること
近年、急速に普及した電子マネー。交通費をはじめ、コンビニエンスストアなどでも利用できるため、社員が電子マネーで経費を支払うケースは今後ますます増えてくることが予想されます。
今までは現金による経費の精算だけで事足りていたものが、これからの時代は電子マネーでの支払いに対応する経費処理が必要になってきているのです。
一言に電子マネーと言っても色々なタイプのものがあり、多くの企業がサービスを提供していますが、基本的には以下の3つのタイプに分類されます。
- 1.
プリペイド型
- 2.
ポストペイ型
- 3.
即時払い(デビッド)型
それでは、それぞれの支払い形式の仕組みや、経理として処理する場合の手順を見ていきましょう。
プリペイド型の電子マネー
プリペイド型とは、前払い型の電子マネーです。SuicaやPASMOなど交通系ICカードが代表的な存在です。あらかじめ現金をチャージしておくことで、支払いが可能となるもので、ほかにEdy、nanacoなどがあります。 プリペイド方式の電子マネーの場合、原則としてICカードに現金をチャージしただけでは経費の扱いになりません。チャージした金額のうち、実際に使用した金額分のみを経費として処理します。
プリペイド型の経理処理:Suicaに5,000円分のチャージを行い、その後3,000円の備品を購入した場合
1)Suicaに5,000円を現金でチャージした
借方 貸方
(仮払金)5,000円 (現金)5,000円
2)チャージしたSuicaを使って、備品を3,000円購入した
借方 貸方
(消耗品費)3,000円 (仮払金)3,000円
この結果、3,000円だけが経費として処理され、Suicaには2,000円の残高が残っていることになります。
ポストペイ型の電子マネー
ポストペイとは「後払い」という意味です。クレジットカードと連携した電子マネーのシステムで、利用後にクレジットカードの引き落としと一緒に預金口座から利用料が引き落とされます。つまり後払い型の電子マネーで、クレジットカードと組み合わせて使用します。QUICPay、iD、ETCなどがあります。
後日まとめて口座から引き落とされるので、カードで支払いをしたタイミングと口座引き落としのタイミングで、それぞれ経費処理が行われることになります。
ポストペイ型の税理処理:クレジットカードを使い備品を5,000円購入
1)クレジットカードを使って、備品を5,000円購入した
借方 貸方
(消耗品費)5,000円 (未払金)5,000円
2)クレジットカードの代金請求があり、5,000円が口座から引き落とされた
借方 貸方
(未払金)5,000円 (現金)5,000円
物品を購入したときに費用を認識します。その一方で代金の支払いは後払いとなるため、相手勘定科目は未払金として計上します。
後日代金が引き落とされたタイミングで未払金を取り崩すかたちになります。
即時払い(デビット)型の電子マネー
即時払い(デビット)型とは、即時決済タイプの電子マネーです。店舗などで利用すると、すぐに利用額が銀行口座から引き落とされます。
即時払い(デビット)型の税務処理:デビットカードで備品を5,000円購入
借方 貸方
(消耗品費)5,000円 (普通預金)5,000円
経理処理としてはシンプルで、物品購入時に、預金口座から支払いが行われます。プリペイド方式と同じで、口座残高の範囲内で利用できるため使いすぎの心配が少ないことや、カードを発行してもらうのに審査の必要がない点が特徴です。
それぞれの電子マネーの良い点と企業で使用する場合の課題
プリペイド型
プリペイド方式の電子マネーはチャージした金額しか使えないため、使いすぎる心配がありません。しかし高額の買い物の場合などには残高不足で支払いができないということにならないよう注意する必要があります。
ポストペイ型
チャージなしに電子マネーを用いることができるため使い勝手が良いが、利用限度額に達するまでは無制限に決済が可能なため限られた従業員のみに権限を与えるような形で使用するのが望ましいでしょう。
即時払い(デビット)型
プリペイド方式と同じく、口座残高の範囲内で利用できるため、使いすぎの心配が少ないことや審査がない点が利点です。
銀行口座から口座残高の範囲内で直接出金されてしまうため、こちらも限られた従業員だけが使用できるという形が望ましいでしょう。
電子マネー使用時の経費処理の注意点
経費処理のタイミングや勘定科目以外にも、企業の経費支払いにおいて電子マネーを使う際には次のような点に注意しておく必要があります。
確実な処理をおこなうためには利用履歴の印字が重要
電子マネーを経理処理する際には、必ず利用履歴を印字して確認するようにしましょう。税務調査時の資料として必要になる場合もあります。Suica、PASMO等の利用履歴は、券売機や駅窓口などで印字するサービスが行われています。
ビジネス使用のものと個人使用のものは分ける
業務で電子マネーを利用する場合には、個人の電子マネーではなく法人用のものを利用するのがよいでしょう。営業などで外回りの多い担当者には、企業側でチャージできる交通系ICカードを持たせることも効果的です。
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