期末になると経理担当が「はやく清算を!」と言い出すのには理由があった!

From: バックオフィスラボ

2020年08月24日 08:00

この記事に書いてあること

月末に使った経費の精算は、どうしても次月になってしまう。忙しく営業に回っている担当者や経営者にとって、それは仕方がないこと。
経理の担当者もそれを分かってくれているから、いつもは、少々遅れるくらいなら、どうという事もない。いつもはそんな考えで、少々遅れ気味に経費の精算を行っている方も少なくないでしょう。

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しかしどうも期末になると、様子が変わります。「交通費の清算は?」「スマホの請求はまだ来ないのか?」「もう締めるよ」「はやく清算を!」と、経理担当者は何かと清算を急がせます。いつもと一体何が違うのでしょう。

実はこれ「発生主義」という企業の会計に関する原則が大きく関係しています。

「発生主義」というのは、現金のやり取りではなく、その事実がいつ発生したかで処理を行う、という考え方。例えば、新年度になって清算した領収書でも、日付が前年度であれば、経費としては前年度の経費となってしまうことになります。
つまり、皆さんが前年度の領収書を持ち歩き、清算をしない限り、期末の決算を最終的に処理することができないことになります。これが「はやく清算を!」と期末になると経理担当者が言い出す理由です。

まあ、そういわれてみれば、これは至極当たり前の話。

例えば皆さんお馴染みの請求書を考えてみましょう。営業担当者の方、あるいは経営者の方々も、売り上げの実績は請求書を出した日付です。請求の中には来月振り込まれるものもあれば、3か月後に振り込まれるものもあります。

売り上げの数字と、実際の現金の動きは全く別のもの、と考えなくてなりません。
期末に出した請求書が、いつ振り込まれるかに関係なく、その期の売り上げになるのと同じように、経費も発生した日付に基づいて処理されることになるわけです。

もし入金、つまり現金が動く日付で売り上げとして処理されていたら、経理は大混乱です。ちょっと相手側の入金が数日遅れただけで、その月の売り上げが大きく狂ってしまいますし、実際にそういうケースが当日になって起こるまで、売り上げの予測もつかなくなってしまいます。

カードを使った場合なども、まさにこのケース。
例えばカードを使い、領収書をもらったとします。
そしてその領収書をもとに清算を行います。この時、皆さんのカード会社への支払いは1か月後なのに、それより先に清算を受けているというケースは頻繁にあります。
そこでもし経理担当者が、あなたのカード会社への清算は来月でしょ!と清算を拒んだら、それこそ大混乱です。つまり「発生主義」は経理担当者以外の方がたにとっても、非常にありがたい考え方なのです。

例えば3月末の決算であれば、4月になって清算しても前期の経費。前期の経費が未確定の場合、いつまでたっても締められない、という事を覚えておいてください。逆に、決算後に「まだ5月なんだから何とかして!いつも大丈夫だったじゃない!」といっても、もう処理はできません。それは経理担当者の都合ではなく、会社の会計のルールであるからです。

「もう締めるよ」「はやく清算を!」という言葉が、決して経理担当者の意地悪であったり、自分の仕事を早く終わらせたい、といった事情で言っているのではない、という事がお分かりいただけましたでしょうか。

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