経理事務におすすめの資格21選|独学で取得を目指せる資格も紹介

From: バックオフィスラボ

2024年09月19日 06:00

この記事に書いてあること

経理事務に関する資格として日商簿記を挙げるひとも多いのではないのでしょうか。しかし、実は、日商簿記以外にも経理に関する資格は多数あり、特定の業界において必要とされる知識を身につけることもできます。また、資格によっては経理業務を極めることも、 語学や労務などの知識と掛け合わせて体系的に会計への知識を深めることも可能です。

この記事では、経理事務の担当者におすすめの資格をご紹介します。あわせて独学で取得を目指せる資格も解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

経理事務に必要な3つのスキルとメリット

そもそも、経理事務にはどのようなスキルが必要なのでしょうか。この章では、経理事務に必要な3つのスキルとメリットを解説していきます。

経理事務担当者に必要なスキル

では、経理事務担当者に必要なスキルから解説していきます。

1.基本的な会計知識

ひとつ目が、基本的な会計知識です。経理担当者は、日頃から企業のお金の流れを把握し、適切に処理をしなければなりません。なかには大きな金額が動くこともあり、経営にもダイレクトに関わるため、基本的な会計知識は欠かせないでしょう。

2.PCスキル

ふたつ目が、PCスキルです。現在はExcelや専用ソフトを用いて会計業務を行う企業がほとんどを占めています。また、請求書のやりとりなどをメールや専用ソフトを通じて行うこともあるため、特定のスキルだけではなく、Wordなど網羅的なPCスキルが求められます。

3.コミュニケーションスキル

最後に、コミュニケーションスキルも大切です。経理担当者は、営業や経営陣などさまざまな部署のひととやりとりをすることがあります。経営に関わる大事な書類を扱うため、ミスなどがあれば修正を依頼しなければなりません。円滑に進めるためにはコミュニケーションスキルが必須です。

経理事務担当者が資格を取得するメリット

続いて、経理事務担当者が資格を取得するメリットを2つ解説していきます。

1.転職活動に役立つ

ひとつ目が、転職活動に役立つことです。先述したように、経理事務には会計に関する知識やPCスキルが求められます。企業に対して必要な知識を持っていることを示すためには、資格取得が最適な手段と考えられます。

2.昇給やキャリアアップにつながる

ふたつ目が、昇給やキャリアアップにつながる可能性があることです。すでに経理事務に関わる仕事をされている方も、資格を取得することで実力を示すことができ、昇給やキャリアアップにつながります。

経理未経験者向け|独学でも取得を目指せる資格3選

この章から、経理事務におすすめの資格を解説します。

まずは経理未経験者や初心者の方に向けて、独学でも取得を目指せる資格をご紹介していきます。経理事務の仕事に興味のある方や、基本的なスキルを身につけたい方はぜひ参考にしてください。

1.日商簿記検定試験3級

これから経理を学ぶ人、経理の仕事を始めたばかりの方が最初に目指すものとしてまずおすすめしたいのが日商簿記3級です。(認定団体:日本商工会議所および各地の商工会議所)

簿記には商業科の高校生向けの全商簿記、経理・会計の専門学生向けの全経簿記などがありますが、社会人・大学生向けの日商簿記は知名度が高く、市販の教材も揃っていることから受験しやすい資格となっています。

なかでも日商簿記3級は、商業簿記の基本的な流れや仕訳を学べ、日々の会計業務や試算書・精算書の作成に役立てるため、経理を仕事とするなら取っておくべき資格です。しっかり勉強すれば3ヶ月程度での資格取得が可能といわれており(合格率は約50%)、転職の際にも評価される資格です。

2.MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

MOSは、「Excel」「Word」「PowerPoint」「Access」「Outlook」などのオフィス製品の利用スキルを証明できる、国際的にも知られている資格です。(認定団体:マイクロソフト社)

経理の場合、もっとも使用頻度の高い「Excel」の資格が役立ちます。Excel操作に慣れていることは、経理の仕事において大きなアドバンテージとなります。

3.ビジネス会計検定試験3級

ビジネス会計検定(財務諸表理解力検定)は、最近注目されるようになった資格で、日商簿記検定が財務諸表を作成するための知識を中心にしたものであるのに対し、ビジネス会計検定は財務諸表を分析する知識を身に付けることができる資格です。(認定団体:大阪商工会議所)

財務諸表が表す数値を理解し、ビジネスに役立てていくことに重点を置いています。先にご紹介した日商簿記3級とあわせて取得するのがおすすめです。

経理経験者向け|さらに力をつけたい人におすすめの資格

続いて、さらに力をつけたい経理経験者に向けて、おすすめの資格をご紹介していきます。

経理のスキルを広く身につけたい人向け

1.日商簿記検定試験2級

経理担当者としてさらにステップアップを目指したい方におすすめの資格が日商簿記2級です。(認定団体:日本商工会議所および各地の商工会議所)

日商簿記2級は、財務諸表を読む力や会計知識を身に付けることができます。高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得できるため、財務諸表の数字から経営内容を把握できるようになります。企業活動や会計実務を踏まえ、適切な処理や分析を行う力が求められる資格です。

簿記2級は、3級よりは合格率が落ちるものの、3級の知識があれば300時間程度での取得を目指せます。コンピュータを使ったCBT方式での試験のため、自分が受けたいタイミングでの受験が可能です。企業からの評価も高く、転職を考える際にも強い武器となります。

2.ビジネス会計検定2級

ビジネス会計検定(財務諸表理解力検定)2級は、財務諸表をより深く分析できるようになる資格です。(認定団体:大阪商工会議所)

財務諸表は、企業の経営成績や財政状態を表したもので、経営者はこれをもとにして経営が上手くいっているか、銀行はその企業に融資をしてもいいか、投資家は株式を買っていいかなどの判断材料とします。

安全性の分析、収益性の分析、キャッシュフローの分析、損益分岐点の分析など、企業の状態を分析するためのさまざまなモノに対する分析能力が求められ、企業の中で管理職を目指すうえでも必要なスキルを身に付けることができます。

3.FASS検定

FASS(Finance Accounting Skill Standard)は、経理・財務部門の日常業務で求められる実務スキルが問われる資格で、業務に必要な基礎知識がまんべんなく学べる注目の資格です。(認定団体:日本CFO協会)

出題範囲は「資産」「決算」「税務」「資金」の4分野で、簿記より広い範囲から出題されます。

伊藤忠商事株式会社や全日空商事株式会社、日産自動車株式会社など有名企業が導入していることでも知られ、FASSを取得すると、実務レベルでも仕事ができると評価されます。他の大手企業からの評価も高まっており、人材採用において活用する企業も増えています。

4. 経理事務パスポート検定 (PASS)

経理事務パスポート検定(PASS)は、経済産業省が示している「経理・財務サービススキルスタンダード」にあわせたe-ラーニングプログラムで、人材派遣など従業員のレベルを3段階に分けた資格です。(認定団体:日本CFO協会)

実践を重視しているのが特徴で、売上業務や仕入れ業務などを学習できます。

経理の特定のスキルを身につけたい人向け

続いて、経理の特定のスキルを身につけたい人に向けた資格を解説していきます。

1.給与計算実務能力検定試験

給与計算実務能力検定試験は、給与計算に特化した資格です。(認定団体:一般財団法人職業技能復興会・一般社団法人実務能力開発支援協会)

給与の仕組みや社会保険などの基礎知識はもちろんのこと、労働基準法などの法的知識も学ぶことができます。さらに、実務にもつながる、賞与計算や年末調整といった演習問題も出題範囲です。総務担当のように、経理や人事など幅広い業務を行う人におすすめです。

2.電子会計実務検定

電子会計実務検定は、会計ソフトなどの電子会計の流れや、会計データの活用に関する能力を証明する資格です。(認定団体:日本商工会議所)

これまでExcel等で経理を行なっていた企業が会計ソフトに移行する流れで取得しておくと実務にも活かしやすいでしょう。

3.消費税法能力検定

消費税法能力検定は、会計処理をする際にどのように消費税を取り扱うべきか、税務処理の知識を身につけられる資格です。(認定団体:公共財団法人全国経理教育協会)

実務を想定して問題が作られており、具体的には、税務署に提出する書類の作成なども学べます。

4.財務報告実務検定

財務報告実務検定は、親会社・子会社との連結財務諸表を作成するにあたって必要となる資料の作成や、実際に連結財務諸表が作成されるまでの方法を身につけられる資格です。(認定団体:一般社団法人日本IPO実務検定協会)

さらに、グループ全体の連結財務諸表を開示する際のルールも学べるため、大企業に勤めている経理担当者は取得するといいでしょう。

特定の業界の経理スキルを身につけたい人向け

1.建設業経理事務士検定/建設業経理士検定

建設業経理事務士検定/建設業経理士検定は、建設業の経理担当者に必要な経理スキルを身につけられる資格です。(認定団体:一般財団法人建設業復興基金)

1~4級に分かれており、3級・4級合格者が「建設業経理事務士」と呼ばれています。基本的な簿記の知識はもちろん、建設業会計の知識を学べるため、建設業の経理担当者におすすめします。

2.社会福祉法人 経営実務検定試験

社会福祉法人 経営実務検定試験は、社会福祉法人会計基準に沿った内容を身につけられる、社会福祉法人の経営に特化した資格です。(認定団体:公共財団法人全国経理教育協会)

日商簿記などの簿記知識を前提としながら、清算表の作成や、支払い資金の処理についての理解を深めたい方におすすめします。

3.公益法人会計検定試験

公益法人会計検定試験は、公益法人・一般法人に特化し、公益認定の要件でもある「経理的基礎」の向上を目的に開催されています。(認定団体:全国公共法人協会)

日商簿記の級に対応しつつ、公益法人ならではともいえる補助金・寄付金などの会計処理を学ぶことができます。

上級者向け|独立したい人にもおすすめの資格3選

続いて、経理の実務経験があったり、会計に関する知識がある程度ついたりしている方におすすめの資格をご紹介します。独学での取得は厳しいといわれているため、もし興味があったら、予備校などに通うといいでしょう。

1.日商簿記1級

会計の世界の最高峰の資格である公認会計士を目指す方、税金の専門家である税理士を目指す方。こうした会計と税金のプロフェッショナルへの登竜門となるのがこの簿記1級です。(認定団体:日本商工会議所および各地の商工会議所)

プロフェッショナルを目指さないまでも、転職のためのスキルを身に付けるという面では最も高い評価を受ける資格で、大きな武器となるものです。

2.公認会計士

公認会計士は、会計・経理の世界での最高 の資格です。(認定団体:金融庁)

独立することはもちろん、企業で役員を目指す、監査法人でパートナーになる、会計コンサルを行う、ベンチャー企業にCFOとして入るなど、会計の世界の最高のプロフェッショナルとして多くの活躍の選択肢があります。

3.税理士

会計・経理のプロが会計士ならば、税金のプロが税理士です。資格を取得するには5科目で合格しなければなりませんが、合格すれば有効期限はありません。つまり何年かけても5科目揃えれば税理士になることができます。そのため、難関ではありますが、仕事をしている人が長い期間をかけて取得するのが可能な資格でもあります。(認定団体:国税庁)

海外でのビジネスにも! 国際的に活躍したい人におすすめの資格

会計知識は、海外でのビジネスにも役立てることができます。この章では、国際的に活躍したい方に向けて、おすすめの資格をご紹介します。

米国公認会計士(U.S.CPA)

米国公認会計士(U.S.CPA)は、米国各州が認定している公認会計士資格です。(認定団体:AICPA)州によって出題内容が異なり、4つの科目に合格する必要があります。

4つの科目に合格した段階であるPassを経て、ライセンスに必要な実務経験を積むと、正式に米国公認会計士としての実務を行えるLicenseを取得できます。Licenseを取得するためには、監査法人に勤め、米国基準の会計基準での実務経験を積むなど、州が規定した要件を達成しなければなりません。

例外的に、グアムに関しては実務経験を経なくとも登録が可能なInactiveが用意されています。その場合は、名刺にU.S.CPA(Inactive)と記さなければなりません。また、必要な実務経験を積めば、通常のLicenseに切り替え可能です。

【番外編】経理の力を体系的に身につけたい人におすすめの資格3選

最後に、業務に直接関係しないことも多いものの、会計業務に関連しており、さらに仕事の幅を広げたい方におすすめの資格を解説します。

1.ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーは、ライフプランのなかでも経済的な観点での計画(ファイナンシャル・プランニング)を適切に立てられるようにするための資格です。(認定団体:一般社団法人金融財政事情研究会または特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)

不動産や保険など幅広い分野を学べるため、会計知識を起点に実力をつけたい方におすすめです。

2.中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業の経営状況を分析・診断し、課題に対する助言を行う専門家のことをいいます。経営にあたって必要な「財務・会計」に関する問題も出題されるため、会計知識を活かすことができる資格です。経営コンサルタントに興味のある方、国家資格の取得に興味のある方におすすめです。(認定団体:中小企業庁)

3.社会保険労務士

社会保険労務士は、労務に関する知識を身につけられる国家資格です。(認定団体:厚生労働省)

採用から退職までの一通りの流れで起こる諸問題を中心に扱いますが、年金の相談など、会計知識が必要とされる資格でもあります。総務係など、会計や人事・労務まわりを一貫して任せられている人におすすめです。

まとめ

今回は、経理事務の担当者におすすめの資格をご紹介しました。難易度はさまざまですが、ときには通信講座を活用したりしながらコツコツ学習することで業務に必要な知識を身につけることができます。ぜひ実務のために参考にしてみてください。

記事タイトルとURLをコピーしました!

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

バックオフィスラボに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ

バックオフィスラボ

https://www.ricoh.co.jp/magazines/back-office/

「バックオフィスラボ」は、バックオフィスに関連した法令解説やトレンド紹介など、日々の業務に役立つヒントをお届けします。

新着情報をお届けします

メールマガジンを登録する

リコージャパン株式会社

東京都港区芝3-8-2 芝公園ファーストビル

お問い合わせ先:バックオフィスラボ 編集部 zjc_back-office-lab@jp.ricoh.com