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健康診断結果報告の電子申請が義務化!企業に必要な対応を解説

From: バックオフィスラボ

2025年03月19日 06:00

この記事に書いてあること

2025年1月1日から、定期健康診断結果報告や労働者死傷病報告など、労働安全衛生法関連の一部の電子申請が義務化されました。今回の法改正は、企業内の業務にどのような影響を及ぼすのでしょうか。そこでこのコラムでは、電子申請が義務化された手続きの具体的な内容や、電子申請や情報のデータ化のメリット、そして法改正によって企業に新たに求められる対応について解説します。

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労働安全衛生法関係手続きの電子申請の義務化とは

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保し、働きやすい職場環境作りを促すための法律。この中で、従業員の健康と安全を守るための企業の責務のひとつとして、定期健康診断の実施と結果報告、また災害発生状況の報告などが義務付けられています。

また、災害状況などの的確な把握や手続きの簡略化を目的に、2025年1月1日から、労働安全衛生法関係の以下の手続きの電子申請が原則、義務化されました。

  • 定期健康診断結果報告書
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)結果等報告書
  • 労働者死傷病報告
  • 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
  • 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告
  • 有機溶剤等健康診断結果報告書
  • じん肺健康管理実施状況報告
  • 事業の附属寄宿舎内での災害報告

なお、パソコン端末を所有していない等の事情で電子申請が難しいケースがあることをふまえ、経過措置として、当面の間は書面による報告も可能とされています。

定期健康診断結果報告書の電子申請が義務化

2025年1月1日から電子申請が義務化された手続きのひとつが、定期健康診断結果の報告です。

定期健康診断とは、労働安全衛生法で義務付けられている従業員の健康診断です。企業は、常時雇用するすべての従業員に対して、1年以内ごとに一度、健康診断を行う義務があります。一定の有害な業務に従事する労働者は、6ヵ月以内ごとに一度、特殊健康診断などの特別な健康診断を受ける必要があります。

また、常時50人以上の労働者を雇用する事業所は、健康診断の結果を労働基準監督署長に提出する必要があります。2025年1月から、この報告の電子申請が義務化されました。また、心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)、有害な業務に係る歯科健康診断報告、有機溶剤等健康診断結果報告、じん肺健康管理実施状況報告についても、電子申請が義務化されています。

定期健康診断結果の電子申請を行うメリット

今回の法改正で、これまで定期健康診断結果報告を書面で行っていた企業は対応の変更が求められますが、電子申請に切り替えることで、企業にとっても次のような業務上のメリットが生まれます。

労基署への申請を省力化できる

定期健康診断結果報告をオンライン上で行うことで、書類の作成ミスや、紙の報告書の準備などの手間を軽減できます。また、労働基準監督署へ直接足を運ばなくても書類の提出が可能です。労働基準監督署の受付時間にとらわれず、担当者の都合のいい時間に申請ができる点もメリットです。

行政手続きをオンライン上で行えるサイト「e-Gov電子申請サービス」で電子申請を行うと、定期健康診断結果報告書等への医師・産業医による電子署名も不要です。パソコン上でスムーズに申請ができるため手続きを省力化できます。

健康診断結果の管理が効率化

電子申請の利用とあわせて、健康診断結果を社内でデータ保存することで、ファイリングや保管場所の確保が不要になり、管理業務を効率化できます。過去の健康診断結果の参照に関しても、データ管理は、紙での保管に比べて検索性が高いのもメリットです。

定期健康診断の結果を、人事・労務システムや健康管理システムでデータ管理して閲覧制限を設定すれば、紙保管による個人情報紛失のリスクを軽減。プライバシー保護や、セキュリティの強化につながります。

社員の健康増進にデータを活用できる

定期健康診断結果の電子化によって、健康関連の情報を従業員の健康維持に活かすことができます。従業員の労働時間や、健康診断やストレスチェックの結果、面談内容などの情報を総合的に管理することで、病気の早期発見に役立てることが可能です。

年ごとの健康診断結果の比較も可能で、健診データを産業医と連携して適切な健康指導に活かすことで、病気の予防や、健康づくりの施策につなげることもできます。

定期健康診断結果電子申請義務化に必要な対応は?

人事・労務関連業務の効率化や、従業員の健康づくりの取り組みにつながる効果もある、定期健康診断結果の管理・申請の電子化。では、労働監督基準署への報告を電子申請に切り替えるためには、どのような対応が必要なのでしょうか。

人事労務システムや健康管理システムの活用

ヘルスケア関連の機能を持つ人事労務システムや、健康管理システムを活用すると、定期健康診断結果の電子申請がスムーズに行えます。健康診断結果の集計や報告書の作成が自動化できるため、時間をかけず、正確な情報を労働監督基準署に申請することができます。

健康管理システムは、パソコンやアプリ上で従業員がストレスチェックを行えるものや、健康増進プログラムやセミナーを提供するサービスもあります。自社の健康に関する課題に応じたシステムを導入することで、社員の健康管理や、健康経営に役立てることが可能です。

厚生労働省の入力サービスと「e-Gov」で電子申請

厚生労働省ポータルサイト「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」と、オンライン上で行政手続きが行える「e-Gov電子申請サービス」を利用して、定期健康診断結果報告の電子申請ができます。

「労働安全衛生法関係の届出・申請等帳票印刷に係る入力支援サービス」では、帳票作成メニューで「定期健康診断報告書」を選択。ガイダンスに従って必要事項を入力していくと、報告書を作成できます。e-Govを利用するためのアカウントを取得した後、e-Govを通じて電子申請を行いましょう。

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健診情報の電子化で健康管理や法令対応をスムーズに!

今回、電子申請が義務化される帳票以外にも、特定化学物質健康診断結果報告、電離放射線健康診断結果報告など、多くの労働安全衛生法に関する手続きがオンライン上で行えます。また、社内の健康関連情報をデータ化することで、法律でも義務付けられている従業員の健康管理業務を効率化でき、安心・安全に働ける職場環境の整備にもつながります。

業務効率化や従業員の健康維持・満足度向上のためにも、今回の法改正をきっかけに、人事・労務関連の申請をオンラインに切り替えてみてはいかがでしょうか?

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記事執筆

バックオフィスラボ編集部(リコージャパン株式会社運営

バックオフィスラボは、バックオフィス業務を「総務」「経理」「人事労務」「営業事務」「法務」「経営企画」の6つに分類し、法令解説や最新トレンド紹介など、バックオフィス業務の改善に役立つヒントを発信しています。

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