ノーコードとは?メリットやバックオフィス業務での活用法を紹介
2025年08月18日 07:00
この記事に書いてあること
業務改善の取り組みや、デジタル化の施策のひとつとして話題の「ノーコード」。言葉は知ってはいるけれども、バックオフィス業務での活用方法をイメージできない方や、実際にはどのようなメリットや使い道があるのか、知らない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、そんな「ノーコード」の意味やメリットについて、わかりやすく解説。さらに、ノーコードで実現できる業務改善の具体策や、バックオフィス業務の効率化に役立つノーコードツールもご紹介します。
ノーコードとは?
ノーコードとは、専門的なプログラミングの技術を用いずに、自分たちで業務に使うアプリやシステムを作れる開発手法のことです。システム開発エンジニアがプログラミング言語を使ってソースコード(命令文)を書く「コーディング」をすることなく、日頃の業務と同じパソコンの直感的な操作だけで開発ができます。
たとえば、画面上で、入れ込みたいパーツをドラッグ&ドロップして配置するだけで、アプリのデザインや機能を作ることができます。
ノーコードと類似した言葉に、「ローコード」があります。ローコードとは、通常のシステム開発よりも少ないソースコードを使って業務アプリやシステムを作る方法です。ノーコードと同様に、高い専門技術なしで開発ができますが、ローコードでは一部、プログラミングの知識が求められます。
たとえば、パーツのドラッグ&ドロップだけでは作れない機能や条件を設定するために、一部、コードを書いて、アプリをカスタマイズすることが可能です。追加の作業が必要な分、ノーコードよりも自由度が高く、ニーズに合ったアプリを作れるのが特徴です。
ノーコードは、現場目線でのDX推進や、業務デジタル化の必要性の高まりから近年、注目を集めています。IT関連業務に従事できる人材へのニーズが高まる中で、プログラミング技術を持たない文系の人材でもアプリ開発ができるノーコードは、IT人材不足への対応や、全社的なDX推進の施策として活用が進んでいるのです。
ノーコードを活用するメリット
では、ノーコードの導入によって、業務や働き方はどのように変わるのでしょうか。ノーコードの魅力や、具体的な活用メリットは以下の通りです。
専門知識がなくてもアプリが開発できる
ノーコードによるアプリ開発には、業務フローへの理解や、業務改善の方法を見出す論理的思考は求められるものの、プログラミングの専門知識は不要です。ITスキルを持たない人材でも業務を効率化するアプリの開発に携われるため、IT人材の不足や、導入したシステムが現場で十分に活用されないこと、全社的なDXが進まないこと、といった課題の解決につながります。
時間や費用をかけずに開発が可能
ノーコードの活用によって、それまで外部に依頼していたアプリケーションの開発を内製化できます。ノーコードツールを使えば、業務を知る社員が自らアプリを作ることができるため、アプリの導入費用や開発時間も抑えられます。ほしいと思ったアプリを社員が自分たちで開発し、早期に使い始めることができるため、業務改善の効果があがりやすく、現場の声を活かした機能の追加や修正もスムーズです。
日々の業務の課題に合ったアプリを作れる
ノーコードツールを使えば、日々、現場で業務に携わっている社員が開発できるため、実際の業務にフィットした機能や使いやすさを備えたアプリを作ることができます。業務のムダ削減や、データ活用など、現場が抱えるリアルな課題に対処できるアプリをスピーディに導入できるため、高い業務改善の効果が期待できるでしょう。
ノーコードを活用する上での注意点
現場の社員目線でのデジタル化が進められるノーコードですが、活用には注意点もあります。ノーコードツールのアプリはシンプルな操作で作ることができますが、パーツや機能を組み合わせて開発するため、ある程度、機能が定型的で、カスタマイズにも制限があります。また、複雑な機能の開発や、大規模な開発ができない点も、ノーコードの特徴です。ひとつのノーコードツールを導入して活用を進めると、デジタル化の施策がツールの機能に限定されてしまう可能性もあるという点にも、注意が必要です。
ノーコードを使ってできる業務改善の具体例を紹介
では、ノーコード開発のアプリでは、どのような業務改善ができるのでしょうか。バックオフィス業務での主な活用法をご紹介します。
申請・承認(ワークフロー)業務の効率化・ペーパーレス化
ノーコードツールを活用すれば、労務関連の申請・承認や、経費精算、稟議申請などのワークフロー業務をデジタル化できます。紙やメールで行っていた申請手段をアプリに一元化することで、押印不要で、スマホやパソコン上で時間や場所を選ばずに申請や承認が可能。紙を使ったワークフロー業務が生む非効率や時間のロスも削減でき、チェック漏れによる業務の遅延や、二重申請などのミスも防げます。申請を行う現場社員、承認する管理者の双方の手間や待ち時間の削減と、業務効率化につながります。
勤怠管理業務を効率化
人事部の勤怠管理業務の効率化やペーパーレス化にも、ノーコードで開発したアプリを活用できます。タイムカードの記録から勤務時間を自動集計できるほか、上司への申請・承認業務も行えます。外部機能との連携で、カード等による打刻時間を取り込むことも可能。有休の取得申請・承認や、社員の残有給日数の自動計算といった、休暇情報の管理機能もあります。
社員情報の一元管理
ノーコード開発で作ったアプリで、社員情報の管理も可能です。社員の個人情報や役職、入社日、研修の受講状況、給与、人事評価などを、閲覧範囲を制限した上で一元管理できます。それまでバラバラに記録・保管されていた社員の情報をアプリですべて閲覧・活用できるため、情報を探す時間も短縮でき、人事マネジメントを効率化できます。
採用管理業務の効率化
人事部の採用管理業務の効率化にも、ノーコード開発のアプリが役立ちます。それまで、エクセルなどのソフトで管理していた個人情報やエントリーシートなどの書類、また、採用試験や面談結果の記録を、アプリ上で一元管理できます。研修受講の記録など、内定後や入社後の追加情報も管理が可能。複数の採用関係書類の集約や、選考ステータスの可視化によって、採用管理業務を大幅に効率化できます。
社内ポータルサイトの作成
全社の情報を集めた社内ポータルサイト(イントラネット)も、ノーコードで作ることができます。会議の議事録や、業務に必要な資料やデータの集約・閲覧ができる機能や、社内掲示板など社員間コミュニケーションの場を設けることも可能です。複数の置き場所に保管していた情報を社内ポータルにまとめることで、社員がほしい情報にスムーズにアクセスできます。また、オープンな場所でのコミュニケーションが可能になるため、業務の属人化やブラックボックス化を防げます。
バックオフィス業務に活用できるノーコード/ローコードツール
ワークフローの効率化や採用管理など、幅広い業務に活用ができるノーコード。導入を検討したい方のために、バックオフィス業務に役立つ具体的なノーコードツールをご紹介します。
RICOH kintone plus
RICOH kintone plus は、業務に使えるさまざまなアプリがノーコード、ローコードで作れるサービスです。パーツのドラッグ&ドロップなどのシンプルな操作や設定のみで、業務アプリを作ることができます。エクセルで行っていた日々の業務のアプリ化から、申請・承認業務のデジタル化まで、幅広い用途に活用できます。
大規模なアプリや、独自の機能を持つアプリを作りたい場合は、ローコードでの開発も可能。300社以上の外部サービスと連携できるため、他の業務システムや基幹システムとの併用でも使えます。また、RICOH kintone plusは、kintoneの機能に加え、生成AIによるアプリ作成支援やリコー複合機との連携など、より業務効率化に役立つ機能も搭載しています。
参考:RICOH kintone plus | 株式会社リコー
AppSuite
AppSuiteは、表計算業務や手入力作業を効率化するアプリを、パソコンのクリック操作で簡単に作れるノーコードツールです。豊富なテンプレートからデザインを選ぶことができ、色やレイアウトの指定や、項目の追加・修正もスムーズに行えます。
既存の申請書や台帳をAppSuiteに取り込めば、それまで使っていた書式の再現が可能。使い慣れた書式をベースにより使いやすい形に調整できるので、デジタル化に慎重な社員も、アプリ業務へスムーズに移行ができるでしょう。
参考:AppSuite | 株式会社ネオジャパン
Yappli
ノーコードでスマホアプリの開発・運用・分析までできるサービスが、Yappliです。50以上の機能とデザインの自由度、豊富な外部サービスとの連携が特徴で、顧客やユーザーに合ったアプリを、ノーコード開発でスピーディに導入することができます。BtoB営業支援アプリや、顧客向け店舗アプリ、従業員向けポータルアプリなど、幅広い用途で活用されています。
参考:Yappli(ヤプリ)|株式会社ヤプリ
バックオフィスの働き方を変えるノーコードツール
新システムやアプリケーションが導入されても、業務の実情に合わずに戸惑った経験がある人や、業務効率化につながらなかったという人も多いのではないでしょうか。ノーコードツールを活用すれば、自ら、実際の業務にフィットするアプリを作れるため、現場主導で、効果的にデジタル化や業務改善を進めることができます。
ノーコードなら、エクセルによる集計業務や日報管理など、部署内の限られた業務からアプリ化を進めることも可能です。大規模なデジタル化や業務改革には踏み出しにくいという方も、今回ご紹介した活用法を参考に、ノーコードの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
記事執筆
バックオフィスラボ編集部 (リコージャパン株式会社運営)
バックオフィスラボは、バックオフィス業務を「総務」「経理」「人事労務」「営業事務」「法務」「経営企画」の6つに分類し、 法令解説や最新トレンド紹介など、バックオフィス業務の改善に役立つヒントを発信しています。
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