業務効率を上げるペーパーレス化のポイント
2023年09月20日 06:00
この記事に書いてあること
業務効率の向上やリモートワークの推進に欠かせない、業務のペーパーレス化。今すぐ進めたいが導入の手順がわからない、また、ペーパーレス化をしても省力化につながらないなどの悩みを抱える方もいるのではないでしょうか? そこで、ペーパーレス化のメリットや、導入の手順を解説。さらに、失敗しないペーパーレス化のポイントもお伝えします。
ペーパーレス化、進んでいる ?
ペーパーレス化とは、業務に使う文書や資料をデータ化し、紙を減らすことです。近年、業務効率化や、働き方改革を目的としたペーパーレス化が進められています。
改正された電子帳簿保存法への対応や、2023年10月から始まる適格請求書等保存方式(インボイス制度)への対策においても、ペーパーレス化は重要です。
電子帳簿保存法では、電子取引で発生した書類は、電子データで保存することが義務付けられています。また、インボイス制度のスタートに伴い、企業は取引先から発行される膨大な数の適格請求書(インボイス)を保存する必要があります。これらの法令を守りながら書類を効率的に管理するためにも、ペーパーレス化は欠かせません。
ペーパーレス化のメリット
働き方改革や、法令への対応の観点からも重要度が高いペーパーレス化。では、ペーパーレス化は、企業にどのようなメリットをもたらすのでしょうか。
業務効率化
ペーパーレス化の最大のメリットは、業務効率の向上です。紙の使用が減ることでデスク周りが整理され、業務中に、必要な物や書類を探す時間が短縮できます。
また、保管・運用する文書をデータ化したり、社内の承認や業務のワークフローをデジタル化したりすることで、事務処理がスムーズになり、業務効率が上がります。システムを使うと、手作業に比べてミスや差し戻しが少なくなり、書類を書き直す手間も軽減できます。使用する決裁ツールや電子契約システムによっては、他の書類との連携も行えて業務が円滑化します。
在宅勤務など多様な働き方が進む
ペーパーレス化によって、オフィス以外の場所でも各種の事務作業が可能になるため、リモートワークやサテライトオフィス勤務など、多様な働き方を選べるようになります。
また、請求書や帳簿の発行や押印業務など、紙での手続きのため出社が必要だった部署の社員も、これらの書類がデジタル化されることで、リモートワークが可能になります。社員の働き方の希望に対応できるため、従業員満足度の向上も見込めるでしょう。
セキュリティの強化
紙の書類をデータ化することで、文書に含まれる情報のセキュリティを強化することができます。ペーパーレス化で紙書類が減ると、社員の持ち出し中の紛失や、盗難による情報漏えいを防げます。
また、紙書類は実物を誰でも閲覧することができますが、データ化された書類は、パスワードのロックやアクセス権限の設定による閲覧制限が可能です。アクセス履歴も記録できるため、文書の不正な取り扱いも抑止できます。
情報共有がスムーズになる
ペーパーレスが進むと、社内やチーム内の情報共有がしやすくなります。データをクラウドで共有することで、外出中やリモートワーク中の社員も文書を簡単に閲覧できます。
また、データをクラウドで管理することで、企画書などを複数人でチェック、修正することも可能です。関係者が、それぞれの都合の良いタイミングで文書にアクセスできるため、回覧する手間や、確認時間の削減にもつながります。文書に関するチームのコミュニケーションが円滑化するのも、ペーパーレス化のメリットです。
ペーパーレス化の進め方
業務効率やコミュニケーションの面でも、高い効果が見込めるペーパーレス化。では実際に、ペーパーレス化を進める上では、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。
ペーパーレス化する書類と優先順位を決める
まずは、自社がペーパーレス化を行う理由や、解決したい課題を整理しましょう。リモートワーク導入、膨大な適格請求書の管理、セキュリティ強化といったゴールを定めることで、効率的にペーパーレス化を進めることができます。
次に、設定したゴールに基づき、ペーパーレス化する書類を決定します。リモートワーク推進のネックになっている書類や、紙の処理に膨大な時間がかかっている書類など、解決したい課題に応じてペーパーレス化の対象を決め、優先順位も設定しましょう。
ツールやサービスを選定する
ペーパーレス化する書類を決めたら、文書をデータ化するサービスや、デジタル書類を運用するシステムなど、導入するツールを決定しましょう。文書から文字を読み取りデジタルデータへ変換できるOCRツールや、ワークフローシステム、クラウド型のストレージサービスなどの中から、自社の目的に合ったツールを選定します。初期費用や料金、情報を守るためのセキュリティ機能もチェックしましょう。
運用ルールを決めてマニュアルを作成
デジタル化した書類に関するルールを決定します。データの管理方法やワークフローシステムの運用ルールを定め、マニュアルを作成しましょう。紙書類をデジタルに切り替える際には、大幅な業務フローの変更が発生します。紙書類での業務に慣れた社員がペーパーレス化でつまずくことのないように、詳細でわかりやすいマニュアルを準備することが大切です。
なお、電子帳簿保存法では、電子データで書類を保存するための要件が定められています。文書の種類ごとに、法律が定める要件に応じた運用ルールを設けることも重要です。
失敗しないペーパーレス化のポイント
高い効果につながるペーパーレス化を実現するには、ポイントを押さえた導入が大切です。特に意識しておきたいペーパーレス化の注意点は、次のとおりです。
自社の課題やリテラシーに合ったツールを選ぶ
ペーパーレス化を成功させるには、自社の書類に関する課題を解決できるツールを選ぶことが重要です。自社の働き方の実態に合わないツールや、必要のない機能による手間が多いツールを導入すると、効率が下がるリスクもあるので注意しましょう。
現場の社員がストレスなく、スムーズに使えるツールを導入することも大切です。社内のITリテラシーに応じた、使いやすいものを選びましょう。運用中のシステムとのデータ連携や同期が可能なものを選ぶなど、効率性の観点から機能を確認するのもポイントです。
保存期限やアクセス権限をルール化
ペーパーレス化の成功には、デジタル文書に関する詳細なルール作りが不可欠です。安全かつスムーズに文書を管理・運用するために、文書の種類や重要度に応じた適切なアクセス権限を設けましょう。また、契約書や帳簿などに関しては、法令で定められた保管期限を守るため、文書整理の仕組みをきちんと共有することが大切です。
データ化した書類の名前の付け方もルール化しましょう。ファイル名のフォーマットを決めることで、文書をスピーディーに検索できます。
段階的にペーパーレス化を進める
段階的にペーパーレス化を導入していくこともポイントです。対象の書類を全社で一度にすべてデータ化すると、社員の間で混乱が発生したり、業務が滞ってしまったりする可能性があります。
トラブルが起きても早めに復旧したり、一時的に紙書類に戻したりできるよう、ペーパーレス化はスモールスタートで実施しましょう。最初は、扱う部数が多くない書類や、業務が滞った際に社外への影響が少ない書類などを選び、試験的に導入すると安心です。
リスクやトラブルに備える
ペーパーレス化の導入には、リスク対策も欠かせません。システム障害や、データの消失などが起きた際のバックアップ体制や復旧までステップをまとめたマニュアルを作るなどして、リスクを軽減しましょう。
不正アクセスによる情報漏えいにも、備えが必要です。万が一、データが持ち出されても内容を閲覧できないように、暗号化ソフトを使って文書に暗号をかけるなどの対策を行いましょう。
働きやすいオフィスを作るペーパーレス化を成功させよう!
書類のデータ保存に関する法律への対応だけでなく、業務フローの刷新や大幅な業務効率アップを実現するペーパーレス化。とはいえ、ただ闇雲にペーパーレス化を急ぐだけでは、現場の混乱や、高い効果につながらないなどの事態を招きます。
紙からの脱却で働き方を変えるためには、必要な手順に従って、ポイントをおさえたペーパーレス化を進めることが大切です。働きやすい快適なオフィス環境を作るためにも、ペーパーレス化への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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