パート・アルバイト社員の雇用に必要なものは?雇用契約の注意点も解説
2023年09月27日 06:00
この記事に書いてあること
パート・アルバイト社員を雇用する企業は、その働き方について定めた「パートタイム・有期雇用労働法」を遵守しなければなりません。このコラムでは、雇用する際のポイントや、雇用契約を交わす際の注意点を解説します。
パート・アルバイト社員とは?正社員と何が違う?
パート社員、アルバイト社員とは、短時間労働者のことで、パートタイム労働者とも呼びます。法律上では、1週間の所定労働時間が正社員に比べて短い労働者を指します。契約社員や嘱託社員も、所定労働時間が正社員より短い場合は、パートタイム労働者と分類されます。その働き方については、労働基準法に加え、パートタイム・有期雇用労働法で定められています。なお、パートとアルバイトの意味は同じです。
パートタイム労働者を雇用するなら知っておくべき「同一労働同一賃金」とは
パートタイム労働者の働き方に大きく影響する制度が、「同一労働同一賃金」です。これは、パートタイムで働く人の適正な雇用の確保や労働環境改善を目的とした法律「パートタイム・有期雇用労働法」で定められた原則のこと。正社員と非正規雇社員の間の不合理な待遇差をなくし、どのような雇用形態でも納得感のある処遇を得られる環境を整えることで、多様な働き方の選択を促す制度です。
能力や経験、仕事内容などが正社員と同じ場合は、パートタイム労働者に対しても、正社員と同じ賃金や各種手当、福利厚生、職業訓練などの処遇を与える必要があります。
また、パートタイム労働者は、正社員との待遇差の内容や理由について、説明を求めることができ、雇用主はこれに応じなければならないと法律で定められました。そうした労働者に対して、解雇や減給などの不利益な取り扱いをすることも禁じられています。
パートタイム労働者を雇用する際に必要なことは?
では、パートタイム労働者を雇用する際には、どのような手続きが必要なのでしょうか。主な手順は次のとおりです。
労働条件通知書を作成して労働条件を通知
パートタイム労働者の雇用時には、労働条件通知書の作成と交付が必要です。社員と同様に、労働条件をまとめて書面で明示することが法律で義務付けられています。
労働条件通知書を作成して、契約期間、就業の場所及び業務、労働時間等、賃金など、法律で定められた事項について労働者へ交付しましょう。
雇用契約書を交わす
パートタイム労働者が労働条件に納得して仕事に取り組むため、また、雇用後のトラブルを防ぐためにも、労働条件通知書だけでなく、雇用契約書を労使間で交わすのがおすすめです。
労働条件通知書は、雇用主が労働者へ労働条件を明示するものですが、雇用契約書は、労使双方の合意が必要な書類です。法律上は労働条件通知書の作成は義務であり、雇用契約書の交付は任意とされていますが、労使間での労働条件に関する食い違いを防ぐためにも、雇用主と労働者が労働条件で合意したことを示す雇用契約書を取り交わすと安心です。
パートタイム労働者に関する就業規則の作成
パートタイム労働者を雇用する際には、働き方に関する就業規則を作成することが必要です。なお、パートタイム労働者を含めて常に10人以上を雇う企業は、就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出る義務があります。正社員と規定に違いがあれば、就業規則にその旨を明記するか、パートタイム労働者用の就業規則を定めましょう。
なお、パートタイム・有期雇用労働法では、パートタイム労働者に適用される就業規則を作成する場合は、その過半数で組織する労働組合か、過半数を代表する人の意見を聞くことが、努力義務とされています。
パートタイム労働者との雇用契約時の注意点
では、パートタイム労働者と雇用契約を交わす際は、どんな点に注意が必要なのでしょうか? 主なポイントを解説します。
雇用契約書に法律で義務付けられている項目を明記する
労働条件通知書や雇用契約書を作成し交付する際には、労働基準法や、パートタイム・有期雇用労働法で定められた事項を明記しなければいけません。労働契約期間、更新の基準(有期契約の場合)、就業場所、業務内容、労働時間、賃金、昇給や賞与について、退職手当の有無など退職に関する事項、相談窓口を必ず労働者に対して書面で明示しましょう。
この事項に関して違反をした場合は、10万円以下の過料が課せられることがあります。
有期雇用契約か、無期雇用契約かを定める
パートタイム労働者を雇う際には、有期雇用契約か、無期雇用契約かを取り決める必要があります。有期雇用契約は、期間限定の業務や臨時的な仕事を担う人員や、休業中の社員の代替人員など、期間を限定して雇用する契約のことです。一方で、無期雇用契約は、本人からの退職の申し出がない限り、定年まで雇用する契約です。
なお、有期の雇用契約の場合は、契約を更新する場合の基準についても取り決めが必要です。
正社員との不当な待遇差をなくす
パートタイム・有期雇用労働法で定められた同一労働同一賃金のルールを守るため、職務内容が同じ正社員とパートタイム労働者の間に待遇差がないか、確認しましょう。特に賃金、昇給などを決める際には、正社員との間に不当な差が生じていないかに注意が必要です。
同一労働同一賃金の原則は、福利厚生や、通勤手当、住宅手当などの各種手当、職業訓練などの教育機会に対しても適用されます。合理的な理由がないにも関わらず、パートタイム労働者には手当がないといった、待遇の違いがある場合は規定を見直しましょう。
最低賃金と割増賃金を確認
パートタイム労働者も正社員と同様に、時間帯や曜日に応じた割増賃金が発生するため注意しましょう。時間外労働や深夜労働には25%、休日出勤には35%、月60時間を超える時間外労働に対しては、50%以上の割増が必要です。
また、雇用契約時に給与を決める際には、都道府県ごとに定められた最低賃金を下回っていないかも確認しましょう。
パートタイム労働者に働きやすい職場を作ろう!
働き方に関する法令の遵守や、双方の合意に基づいた適正な雇用契約は、パートタイム労働者が気持ちよく働ける職場作りに欠かせません。組織のパフォーマンスを上げるためにも、パートタイム労働者との雇用契約について、正しく知ることから始めてみてはいかがでしょうか?
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