経費で落とせるもの一覧|法人・個人事業主がよく使う勘定科目と経費精算のポイント
公開日:2024年06月12日
更新日:2026年03月06日
この記事に書いてあること
※本記事は、掲載時点における法令・制度等の情報をもとに作成しています。以降の法改正や通達等により、内容が現状と異なる場合があります。正確な情報については、最新の法令や公的機関の発表をご確認ください。
会社が事業を営んでいく中で、さまざまな経費が発生します。経費を適切に処理することは企業としての信頼性を確保する上でも、収益を確保する上でも重要なポイントです。
この記事では、経費として計上できる費用・できない費用の違いや、判断に迷いやすいケースについて、わかりやすく解説しています。注意しておきたい領収書の例と対処方法もまとめて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
頻出の経費とその勘定科目24選
はじめに、よく使う経費の勘定科目をまとめて確認しておきましょう。
- ・旅費交通費:電車賃、駐車場代、高速道路料金、宿泊費用など
- ・会議費:会議のための飲食費や会場利用料
- ・接待交際費:取引先への接待にかかった飲食代など
- ・消耗品費:10万円未満の物品通信費:電話料金、インターネット利用料、切手代など
- ・新聞図書費:新聞や定期購読誌などの費用
- ・水道光熱費:電気代、ガス代、水道代
- ・荷造運賃:宅配便料金
- ・広告宣伝費:広告制作費、印刷代、掲載料など
- ・研究開発費:新製品や新技術の開発や既存製品の改良などにかかった費用
- ・支払手数料:振込手数料、両替手数料など
- ・減価償却費:固定資産の耐用年数に応じて分割された費用
- ・保険料:火災保険料、自動車保険料など
- ・租税公課:印紙税、自動車税など
- ・リース料:OA機器などのリース品にかかる費用
- ・支払利息:借入金の利息
- ・諸会費:クレジットカード年会費、所属する団体等の年会費など
- ・地代家賃:事務所/店舗の家賃など
- ・修繕費:固定資産(建物、機械、備品など)の修理や維持管理のための費用
- ・給与:従業員に支払う給料、賞与、諸手当など
- ・福利厚生費:健康診断や慰安旅行などの費用
- ・法定福利費:健康保険、労災保険、雇用保険(事業主負担分)
- ・雑費:上記のいずれにも該当しない費用(事業目的の支出であることが前提)
ただし、上記に該当していれば必ず経費として計上できるとは限りません。経費とは何か、経費として計上してよいかどうかの判断基準とあわせて理解しておくことが大切です。
そもそも「経費」とは?
ビジネスシーンでは、しばしば「経費で落とす」といった言い回しを耳にします。「経費で落とす」とは、経費として計上することを示す表現です。経費で「落とせる/落とせない」を判断するには、そもそも経費とは何かを押さえておく必要があります。
事業に関する目的で使用した費用のこと
経費とは、事業に関する目的で使用した費用のことです。前掲の「頻出の経費とその勘定科目24選」に挙げた各種費用は、いずれも事業目的での支出であれば経費として計上できます。
経費として計上することを「経費で落とす」と表現することがあります。これは、経費を計上した分だけ企業の儲け(利益)が少なくなり、課税される額を抑えられることに由来する表現です。
経費として「計上できる・できない」の判断基準
経費として計上してよいかどうか迷った際の基本的な判断基準は、「事業目的の支出かどうか」という点です。一例として、次のような考え方にもとづいて判断するとよいでしょう。
【例】
- ・得意先の担当者を接待するために支出した飲食代
→ 事業と直接関わりのある支出のため、経費として計上できる。 - ・自社の従業員のみで通常の食事をした際の飲食代
→ 対外的な取引や業務とは関係のない支出のため、経費として計上できない。
ただし、実際には事業目的の支出の一部に私用のものが含まれていたり、複数人分の支払い等で実際には支払っていない分が含まれていたりすることも想定されます。経費で落とす場合に注意が必要な費用について、次章でより詳しく見ていきましょう。
経費で落とす場合に注意が必要な費用

経費として計上できるか判断に迷いやすい費用の例を紹介します。これらの費用を経費で落とせるかどうかはケースバイケースのため、基本的な判断基準をしっかりと理解しておくことが大切です。
接待交際費
令和6年4月1日以降の支出に関しては、一人あたり10,000円以下の飲食費は交際費等から除外され、損金として全額算入できます(令和6年3月31日以前の支出分は一人あたり5,000円が上限)。これを超える飲食費については「交際費等」として扱われ、会社規模に応じた損金算入制限の対象となります。
【交際費等の損金算入基準】
※上記の特例はいずれも令和8年3月31日まで延長されています(租税特別措置法第61条の4)
なお、子会社の中小法人に関しては、親会社等との完全支配関係や出資関係を考慮して資本金等の額を判定します。単に親会社の資本金のみで判定されるわけではない点に注意が必要です。
車両関連費用
社用車のローン返済(利息含む)やガソリン代、保険料、車両代、自動車税などは、基本的に経費として計上できます。役員などが個人名義で所有している車両に関しても、業務使用実態が明確であれば按分計上が可能です。個人利用分を経費に含めると否認や役員給与認定のリスクがあるため、運行記録や費用負担の区分を明確にしておくことが重要です。
仕事着(スーツ)
スーツは原則として家事関連費に該当するため、経費として計上できません。ただし、社名入り制服や作業着など私的利用が困難な衣類は経費として認められます。また、例外的に業務専用性が明確な場合に限り、按分処理が認められる場合があります。
寄付金
寄付先が国や地方公共団体であれば、全額を経費として計上して差し支えありません。これ以外のケースに関しては、次の計算式で経費にできる分(損金算入額)を算出します。
一般寄附金の損金算入限度額={(資本金等×0.25%)+(所得×2.5%)}×1/4(資本金等の額は事業年度月数で按分)。
国や地方公共団体への寄附は全額損金算入可能で、認定NPO法人など特定公益増進法人への寄附は別枠で算入が認められます。
役員報酬
役員報酬は、定期同額給与など法人税法の要件を満たす場合に限り損金算入できます。要件を満たさない報酬(臨時支給や不規則な支給など)は損金不算入となる点に注意しましょう。ただし、定期同額給与は会計年度開始から3か月以内に決議し、以降同額で支給するこが損金算入する際の条件です。一方、事前確定届出給与(賞与など)は税務署への届出が必要で、届出どおりの日付・金額で支給された場合に限り損金算入できます。
経費で落とせるか判断に迷いやすい事例Q&A

経費で落とせるのか、判断に迷いやすい3つの事例をQ&A形式で紹介します。
事例1:観光船の乗船料金
Q:出張中に空き時間ができたので、地域で有名な観光船に乗りました。このとき支払った乗船料金は、経費として申請できますか?
A:観光目的の費用は交通費として計上できません。
旅費交通費として計上できるのは、あくまでも事業に関わる費用です。出張中に必要な移動にかかった交通費については経費で落とせますが、観光船は移動手段ではなく観光目的で利用したことが明らかであるため、乗船料金は旅費交通費には含まれません。なお、顧客をもてなすための費用だった場合は、交際費として経費に計上できます。
事例2:バースデーケーキ
Q:取引先の経営者の誕生日にバースデーケーキを贈りました。このとき支払った費用は、経費として申請できますか?
A:贈答品に該当するため、交際費として経費に計上できます。
取引先の経営者や従業員などに贈るバースデーケーキは、事業目的で購入した贈答品に当たります。したがって、交際費として計上して差し支えありません。ただし、社会通念上あまりにも高額な贈り物は避けるべきでしょう。また、家族用に購入したケーキの場合は私費利用に該当するため、経費には計上できません。一部の従業員向けにケーキを購入したような場合も、全従業員を対象とする福利厚生費には含まれない点に注意が必要です。
事例3:領収書が発行されない取引
Q:ネットショップで消耗品を購入したところ、領収書が発行されませんでした。領収書がなければ、経費として申請できませんか?
A:支払いがあったことを証明できれば問題ありません。
領収書が発行されない取引の場合でも、支払いがなされた事実を証明できる何らかの書類が保管されていれば経費で落とせます。たとえば、納品書や注文内容確認メールなどを、領収書に代わる書類として保管しておくとよいでしょう。そういった書類もない場合は、出金伝票を作成して保存しておくのが得策です。
経費の計上を誤ったらどうなる?

経費の計上が適切に行われていなかった場合、追加での課税といった直接的なペナルティのほか、対外的な信頼低下など多方面に影響が及ぶ可能性があります。想定される事態について、具体的に見ていきましょう。
1. 税務調査の際に指摘を受ける可能性がある
経費が適切に計上されていないと見なされると、税務調査の際に指摘を受ける可能性があります。本来は経費で落とせない費用や、不適切と思われる費用が経費として計上されていた場合、損金不算入と見なされるからです。
損金不算入とは、会計上では費用として計上されているものの、税務上は損金として認められない費用のことです。税法上の経費として妥当かどうかの判断は、最終的には税務調査でなされます。事業と関わりのある費用であることを税務調査員に説明できるよう、記録を残しておくのはこのためです。
2. 追加で課税されるおそれがある
損金不算入と判定された場合、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税・重加算税が課される可能性があります。
| 過少申告加算税 |
確定申告の期限内に提出した書類の納付額が実際に納付すべき額より少ない場合に課せられる税。
算出方法:申告した額と本来申告すべき額の増差額×10%
(増差税額のうち、当初申告した税金額または50万円のうち、大きいほうの金額を超過する場合の税率は15%) |
| 無申告加算税 |
期間内に対象者が確定申告をしなかった際に課される税。
加算される税率:
・税務署から指摘を受ける前に自主申告した場合:5%
・法定申告期限後に申告した場合:15% ・納付すべき税額が50万円超の場合:20% ・納付すべき税額が300万円超の場合:30% ・無申告を繰り返した場合:40% |
| 不納付加算税 |
期限までに源泉所得税の納付が行われなかった際に課される税。
加算される税率:
・納付期限を過ぎて自主的に納付した場合:5%
・税務署の指摘を受けて納付した場合:10% |
| 重加算税 |
納税額を実際のものよりも少なく申告された際に課される税。
税率:
・申告書を提出していた場合:原則35%
・申告書を提出していない場合:原則40% ・隠蔽や仮装を繰り返した場合:上記の各税率に10%加算 |
何を経費として計上するかによって最終的な納税額が確定するため、経費計上を誤ってしまうと、たとえ意図的でなくとも追加で徴税されるおそれがあります。
3. 銀行からの融資に影響が出る
経費の扱いが適切ではないことは、その企業の経理業務に問題があることを示しています。そのため、銀行からの信用が低下して融資に影響が出る可能性も否定できません。
経費計上の誤りに気づいた場合は、すぐに申告することが大切です。確定申告の期限前であれば「訂正申告」を、税額が多かったり還付が少なかったりした場合は「更正の請求」を行います。反対に、税額が実際よりも少ない場合や、還付が多かった場合には「修正申告」を行いましょう。
注意すべき領収書の例と対処方法
ここまでに解説してきたとおり、事業に関わる費用であれば基本的に経費として計上できます。一方で、但し書きが曖昧だったり、あまりにも高額だったりする場合、損金不算入の可能性を疑われることにもなりかねません。経費として計上する前に確認すべき領収書の特徴と、気を付けるべきポイントをご紹介します。
1. 高額な領収書
例:取引先の経営者の好みに合わせて飲食店を選んだところ、飲食代が通常の接待の数倍になってしまった。
たとえ事業に関わりのある費用であっても、あまりにも高額にのぼる場合は必要性を疑われる可能性があります。飲食店自体は高級店ではなかった場合も、大人数で食事をしたようなケースでは会計が高額になりがちです。領収書を保管する際には、飲食店を利用した人数や取引先名などの詳細を控えておくとよいでしょう。
2. 無関係な業種の領収書
例:普段から取引のある事業者とは異なる業種の領収書が提出されたため、申請者に問い合わせたところ、顧客への贈答品として専門店で購入した扇子の代金だった。
経理担当者が受け取った領収書が、自社や取引先と関わりの薄い業種に属する事業者だった場合には注意が必要です。たとえば、営業担当者が取引先との接待で飲食店を利用するのは自然なことですが、上の例のように普段とは異なる業種の領収書であれば、用途や目的を担当者に確認しておく必要があるでしょう。事業との関わりが明確かどうかを確認した上で、贈答先や購入目的を正確に記録しておくことが大切です。
3.「お品代」の領収書
例:消耗品を購入したところ、発行された領収書の但し書きに「お品代」とだけ書かれていた。
領収書に商品名やサービス名が記載されておらず、単に「お品代」とだけ書かれているケースは少なくありません。具体的に何を購入したのかが不明であることから、事業との関わりや必要性について疑念を抱かれる原因となりがちです。具体的な商品名などを記載するよう領収書の発行元に依頼するか、商品名や費用の内訳・購入目的などをメモした上で保管しておくとよいでしょう。
経費について迷った際には専門家に相談を
経費として「計上できる・できない」を判断する際には、事業に関わりがある費用がどうかを基準に考えるのが基本です。一方で、経費として計上できる費用は非常に幅広く、経費とする範囲を都度判断しなければならないケースも多々あることから、経費を申請する従業員・申請を受け付ける経理担当者の双方が判断に迷う可能性があります。経費で落とすのが適切か迷った際には、税理士などの専門家に相談することも視野に入れておくとよいでしょう。
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記事執筆
バックオフィスラボ編集部 (リコージャパン株式会社運営)
バックオフィスラボは、バックオフィス業務を「総務」「経理」「人事労務」「営業事務」「法務」「経営企画」の6つに分類し、法令解説や最新トレンド紹介など、バックオフィス業務の改善に役立つヒントを発信しています。
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