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円安・物価高で企業の負担増! 経理・財務部門にできる対策は?

From: バックオフィスラボ

2024年11月06日 11:28

この記事に書いてあること

円安や物価高、燃料費の高騰が進む中、企業や個人にとって、コストや生活費の負担が増しています。調達部門や輸入部門、営業部門などを中心に、コスト削減や仕入先の見直しを積極的に進めている企業も多いでしょう。では、そんな現状に対して、経理や財務、人事などのバックオフィス部門にできる有効な円安・物価高対策はあるのでしょうか。今回は、そんな疑問を持つ人のために、円安・物価高が企業に与えている影響と、バックオフィス部門が今すぐ着手できる取り組み5選を紹介します。

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進む円安と物価高が企業に与える影響は?

近年、進んでいる円安と物価高は、個人だけでなく企業活動に大きな影響を与えています。日本商工会議所は、2024年6月、円安基調が中小企業の業績に与える影響について調査。2008社の中小企業にアンケートを行ったところ、円安の傾向が業績に与える影響について「メリットが大きい」と答えた企業が2.3%にとどまったのに対して、「デメリットが大きい」と答えた企業の割合は54.8%に上りました。この割合は、前年の調査から7ポイント増加しています。

「デメリットが大きい」という回答の主な理由は、原材料や商品などの仕入れ価格や、燃料・エネルギー価格の上昇に伴う負担の増加など。仕入れコストを販売・受注価格に転嫁できず収益が悪化するという理由も多く挙がりました。コストの増加は主に、卸売、製造、運輸・倉庫などの業界で大きな負担になっています。

バックオフィスにできる円安・物価高への具体策5選

このように、円安・物価高については、原料や燃料価格などのコスト増が広く問題視されています。ただ、経理、財務、人事など、原材料の仕入れなどに直接関わらないバックオフィス部門でも、円安・物価高の影響を減らす取り組みは可能です。次からは、バックオフィス部門だからこそできる円安・物価高対策を5つ、ご紹介します。

①リモートワーク推進によるオフィスコスト削減

円安による物価の上昇は、企業のオフィス運営コストにも影響を与えます。財務面への負荷を抑えるために、電気代やリース代などのオフィスのランニングコストを削減する取り組みを進めましょう。

オフィスコスト削減に有効なのが、リモートワークの推進です。フルリモート化や、社員が働く場所を選べる制度を導入することで、出社人数を抑えることができます。スペースのスリム化によって小規模なオフィスへの移転も可能になり、賃料を削減できます。高騰する電気代や、文具や紙などの消耗品コストの削減にもつながるでしょう。オフィス家具や印刷機などの使用方法を見直すことで、リース代を抑えることも可能です。在宅勤務中の社員は交通機関を使う必要がないため、社員に支給する通勤手当分のコストダウンにもつながります。

②バックオフィス業務のデジタル化

経理や財務、人事などのバックオフィス業務のデジタル化も、円安・物価高騰中のコスト削減策として有効です。請求書の受領・発行や、契約関連業務、労務管理、給与計算などを自動化、効率化するシステムを導入すれば、業務のペーパーレス化、クラウド化が進みます。デジタルツールの活用によって、印刷コストや書類保管スペース費用、書類の郵送代を削減できます。

また、定型的な作業をデジタルツールが人の代わりに行うことで、社員が、業務改善のための企画立案など、クリエイティブな仕事に時間を割けるようになります。省力化により時間外労働が減り、また、付加価値を生み出せる人材を育てられるため、時間外労働手当や、採用費・研修費も削減できるでしょう。

③システムの開発や業務デジタル化の推進

バックオフィス部門が主導する自社システムの開発や全社的なシステムの見直しによって、円安対策を進める企業もあります。石川県で印刷などを手がける株式会社ホクビは、円安・物価高対策の一環として、限られた人員や時間、資金の中で輸出事業を拡大するため、ものづくり補助金を活用して独自の輸出支援システムを開発。また、システムを他社でも利用しやすい形に整えて商品化して提供するなど、輸出を始めたい企業の海外進出を支援する事業もスタートしました。

参考:地域企業における物価高・円安への対応事例について | 財務省

この事例のように、バックオフィス部門は、システム面から全社的な円安・物価高対策を進めることができます。円安の中、競争力を高める新ビジネスを始めるためのシステムを開発したり、製造など他部門の業務を効率化するための新システム導入を検討したりするなどの取り組みが可能です。

④財務状況の可視化・分析

財務状況の可視化や分析も、原材料や燃料費の高騰の影響を低減する方法のひとつです。コスト増や、消費者の買い控えによる売上減少などの課題に対処するためには、会計ソフトなどのツールで財務状況を確実に把握し、データを有効活用することが重要です。

財務分析が可能なシステムを導入したり、より自社に合ったシステムに切り替えたりするなどして、財務情報の管理を適切に行える環境を整えることが、コストダウンや売上拡大に向けたスピーディーな経営判断につながります。また、財務管理の自動化、ペーパーレス化が進めば、財務の業務効率アップや、財務部門の働き方の改善も見込めます。

⑤インフレ手当の支給

人事面の施策として、円安・物価高に関する社員の負担を減らす取り組みが、インフレ手当です。インフレ手当とは、生活費や光熱費の上昇を理由に、社員の給与にプラスして支給する手当です。実質的な賃金減少を防ぐことで、従業員満足度向上や人材の定着、社員のモチベーション向上につながるとして、導入や検討をする企業が増えています。

帝国データバンクが2022年に1248社の企業に対して行ったアンケートによると、物価上昇をきっかけに社員に特別手当を支給した企業の割合は、6.6%。「支給を予定」「支給を検討中」を合わせると26.4%に上り、全体の1/4の企業がインフレ手当の支給に前向きに取り組んでいることがわかりました。

インフレ手当は、賞与に上乗せするなどして一時金として支給する方法と、毎回の月給に追加して支給する方法があります。一時金として支給する方法の主なメリットは、事務手続きが煩雑にならない、継続的に支払う必要がないこと。月給へ上乗せする方法は、ベースアップによって社員が高い安心感を得られるというメリットがあります。

バックオフィスから円安・物価高に対処しよう!

円安・物価高は、仕入れや製造に関わる部署だけの問題ではなく、バックオフィスならではの視点から対処できることも多いテーマです。また、円安・物価高対策として着手したコスト削減や省力化の取り組みが、部署の効率化や働きやすさの向上など、会社の成長に欠かせない効果も生むでしょう。

将来的な不確実性の高い円安やコスト増、輸入・輸出という課題には、限られた部門だけでなく、企業全体で向き合っていくことが大切です。今回、ご紹介した具体策を参考に、自社にできる取り組みを始めてみてはいかがでしょうか?

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記事執筆

バックオフィスラボ編集部(リコージャパン株式会社運営

バックオフィスラボは、バックオフィス業務を「総務」「経理」「人事労務」「営業事務」「法務」「経営企画」の6つに分類し、法令解説や最新トレンド紹介など、バックオフィス業務の改善に役立つヒントを発信しています。

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