法改正に対応してますか?就業規則見直しのタイミングやポイントを解説

From: バックオフィスラボ

公開日:2023年11月15日

更新日:2026年09月04日

この記事に書いてあること

時間外労働の上限規制や「同一労働同一賃金」関連の法律など、近年、働き方に関する法改正が相次いで行われています。テレワークの普及など労働環境が大きく変わった会社も少なくないと思いますが、就業規則の見直しをお忘れではないですか。そこで今回は、就業規則を見直す最適なタイミングや、見直す際に必要なステップ、スムーズな変更に欠かせないポイントまで解説します。 

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就業規則を見直す最適な4つのタイミング

就業規則を見直す必要性は理解できても、いつ行動に移すべきか迷う方も多いはずです。基本的には、社内外で何らかの大きな変化があったときが、見直しの最適なタイミングとなります。目安として、就業規則は最低でも1年に1度は内容をチェックすることをおすすめします。ここでは、具体的にどのような状況で見直しを検討すべきか、4つのタイミングをご紹介します。自社の現状と照らし合わせながら、該当するものがないか確認してみてください。 

見直しのきっかけ 

主に確認すべき規定の例 

重要な理由 

労働関連法令の改正 

働き方改革関連の法改正に対応する条文全般 

法律違反を防ぐため速やかな対応が必要 

働き方や社内制度の変化 

テレワーク規定、副業規定、フレックスタイム制など 

実務と規則のズレによる混乱を防ぐためや、新しい働き方などに必要な労働時間制度などを導入するため 

組織体制や従業員数の変化 

正社員とパートの規定分け、人事評価制度、役職手当など 

企業の成長に合わせたルールの整備が必要 

労務トラブルの発生 

懲戒規定、ハラスメント規定、休職・復職規定など 

再発防止とリスク管理のため早急な改定が必要 

労働関係の法令が改正されたとき

特に重要で、確実に確認が必要となるのが、労働基準法などの法令が改正されたタイミングです。法律が変われば、それに伴って会社のルールも変更が必要な場合があります法改正の施行日には、すでに新しいルールに則った就業規則が整備されている状態が理想です。ニュースや行政の発表で法改正を知ったときは、自社の規則に影響がないかを確認する癖をつけましょう。近年は働き方改革やワークライフバランス、ハラスメントの防止に関連する重要な法改正が連続しています。情報をキャッチアップし、適切に規則へ反映させることが求められます。 

会社の働き方や社内制度が変わったとき

テレワークやフレックスタイム制など、新しい働き方を導入したときも見直しのタイミングです。働き方が変われば、労働時間の管理方法や費用の負担など、新たなルールを定める必要があります。例えば、在宅勤務を導入したのに、就業規則には通勤手当について1月定期代を支給することしか書かれていないと混乱を招きます。通信費や光熱費をどちらが負担するのかなど、細かい点まで明文化しておくことが重要です。また、副業を解禁する場合も、情報漏洩や過重労働を防ぐためのルール作りが必要になります。実態と就業規則が乖離しないよう、制度導入とセットで見直しを行いましょう。 

従業員数が増加し組織体制が変化したとき

会社が成長し、従業員の人数が増えたり、雇用形態が多様化したりしたときも注意が必要です。創業当時に作ったルールが、現在の組織規模に合わなくなっていることはよくあります。 

アルバイトやパートタイマーを雇用したのにアルバイト・パートタイマーのための就業規則を作成せずに、正社員用の就業規則をそのまま適用するとトラブルの元になります。また、短時間正社員などの「多様な正社員」を導入する場合にも、正社員の就業規則をそのまま適用すると齟齬が生じます。雇用形態ごとに適用されるルールを明確に分けた就業規則を作成することが推奨されます。管理職の人数が増えれば、人事評価や役職手当の規定も整備する必要が出てくる可能性があるため、組織の成長段階に合わせて、就業規則もバージョンアップさせていく意識が大切です。 

【関連記事】パート・アルバイト社員の雇用に必要なものは?雇用契約の注意点も解説 | バックオフィスラボ | リコー 

従業員との間で労務トラブルが発生したとき

社内でハラスメントや勤怠不良などのトラブルが起きたときも、見直しを検討すべき時期です。トラブルが発生したということは、現在の就業規則に何らかの抜け穴や不備がある可能性があります 問題が起きた際に、就業規則を根拠として適切な対応ができたかを振り返ってみてください。もし対応に苦慮した場合は、同じようなトラブルを未然に防ぐために規則を改定する必要があります。特に休職や復職に関するトラブルは起こりやすく、規定が不明確だと復帰を巡って揉める原因になります。トラブルを教訓にして、会社を守るための防波堤として就業規則を強化していきましょう。 

就業規則を見直す手順と具体的な流れ

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就業規則の見直しは、ただ文章を書き換えれば完了するという単純なものではありません。法律で定められた正しい手続きを踏まないと、せっかく見直した規則が無効になる恐れもあります。見直しをスムーズに進めるためには、全体の流れをあらかじめ把握しておくことが効果的です。ここでは、就業規則を見直す際の一般的な4つのステップについて順番に解説します。どの段階で誰が関わるべきか、スケジュール感とあわせてイメージしてみてください。  

ステップ 

実施内容の概要 

主な担当者や関与する人 

期間の目安 

1.現状の洗い出し 

現行規則の問題点と、法改正とのズレを確認する 

人事・労務担当者、経営陣(社労士) 

約2週間〜1ヶ月 

2.変更案の作成 

修正する条文案を作成し、社内で検討・調整する 

人事・労務担当者、専門家 

約1ヶ月〜2ヶ月 

3.意見聴取 

労働者代表から変更案に対する意見書をもらう 

労働者代表、人事・労務担当者 

約1週間〜2週間 

4.届出と周知 

労働基準監督署へ届出し、全従業員に内容を公開する 

人事・労務担当者、全従業員 

約1週間 

現行の就業規則と実態・法令のズレを洗い出す

最初のステップは、現在の就業規則がどのような状態になっているかを正確に把握することです。最新の法律と照らし合わせて、足りない項目や古くなっている条文がないかをチェックします。 

同時に、社内の実際の運用と就業規則の内容に矛盾が生じていないかも確認します。例えば、規則にはない独自の手当を支給していたり、規定とは違う時間で休憩を取っていたりするケースです。実態とルールのどちらを正にすべきかを検討し、見直しの方向性を決めるための土台を作ります。この洗い出し作業は専門知識が必要になるため、社労士などの意見を仰ぐことも有効な手段です。 

変更案の作成と経営陣・現場へのヒアリング

課題が明確になったら、実際に就業規則の変更案を作成していく作業に入ります。法律の要件を満たしつつ、自社の企業文化や実態に合った文章へ修正を加えます。 

変更案を作成する過程では、人事担当者だけで決めるのではなく、経営陣の意向を確認することが大切です。また、現場の管理職などからヒアリングを行い、実務上無理のあるルールになっていないかを確認します。特に労働時間や賃金に関する変更は、会社のコストや従業員の生活に直結する敏感な部分です。多角的な視点から検討を重ね、社内全体で納得できるルールを作り上げていく姿勢が求められます。また、できあがった条文案は、誤りがないか弁護士や社労士などの専門家にチェックを依頼するとよいでしょう。 

過半数労働組合または労働者代表からの意見聴取

就業規則を変更する際は、労働基準法第90条により労働者の過半数代表者等の意見を聴くことが義務付けられています。この手続きを省いてしまうと法律違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、労働基準監督署への届出時には意見書の添付が必要です。変更案の内容を従業員代表に説明し、それに対する意見を意見書として書面にまとめてもらいます。なお、法律上はあくまで意見を聴くことが求められているため、必ずしも同意を得る必要はありません。しかし、反対意見が出た場合は、無用なトラブルを避けるためにも真摯に話し合うことが重要となります。 

労働基準監督署への届出と従業員への周知

意見書が完成したら、変更した就業規則と意見書、就業規則変更届をセットにして労働基準監督署へ提出します。これで行政への手続きは完了ですが、それ以上に重要なのが従業員への周知です。就業規則は、従業員に内容を周知して初めて法的な効力を持ちます。金庫の奥にしまっておくような状態では、いざというときに規則を適用することができません。社内の共有サーバーに保存して誰でも見られるようにする、印刷して各部署に配備するなどの対応が必要です。変更の目的や重要なポイントについては、説明会を開くなどして丁寧に伝える工夫をすると良いでしょう。 

就業規則変更時のポイント

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就業規則の変更をトラブルなく完了させるには、手続き面だけでなく従業員への配慮も重要です。見落としがちな注意点をあらかじめ押さえておくことで、スムーズな運用につなげることができます。

変更内容は必ず従業員に周知する

就業規則を変更した際の周知は、形式的に行うだけでは不十分です。労働者がいつでも確認できる状態にすることが重要で、書面の交付や社内掲示、共有サーバーへの保存など複数の手段を組み合わせると確実です。特に変更点については、ハイライトを付ける、説明会で要点を補足するなど、従業員が変更内容を正確に理解できる工夫を取り入れましょう。 

労働者に不利益な変更には合理的理由が必要

賃金の引き下げや休日の削減など、労働者にとって不利益な変更は、労使間の合意がなければできません。ただ、経営状況の悪化などの合理的な理由があり、その内容が周知されるという条件の下では、変更が認められます。従業員にとって不利益な変更をする場合は、変更を行う理由と、働く人にどのような影響があるのかを従業員に丁寧に説明することが重要です。 

事業所ごとに管轄の労働基準監督署への提出が必要

就業規則を変更した場合は、事業所ごとに管轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。本社や支社など複数の拠点を持っている場合でも、一括ではなく、各事業所での届出が原則です。

一括して届け出る本社と支社の就業規則が同じであることや、届出を行う事業所の数だけ就業規則や意見書を用意できるなどの要件を満たせば一括届出ができる「就業規則一括届出制度」もあります。

必要に応じて経過措置を設定する

就業規則の変更に伴う従業員への大きな影響が懸念される場合は、混乱やトラブルを防ぐために経過措置を設けることも有効です。特に、給与規定の変更や、定年年齢の引き上げなどの変更の際には、従業員をフォローできる体制を整えることが大切です。不利益を補う制度や、変更までに日数をもうけるなどの対応を準備しましょう。 

労働環境改善のため就業規則を定期的に見直そう!

この記事のポイントを整理します。 

  • 常時10人以上の労働者を使用する事業所は、就業規則の作成・届出が法律で義務付けられている 
  • 時間外労働の上限規制や同一労働同一賃金など、近年の法改正への対応が必須 
  • テレワーク導入・組織体制の変化・労務トラブル発生時も見直しのタイミング 
  • 変更手順は「現状把握→変更案作成→意見聴取→届出・周知」の4ステップ 
  • 労働者に不利益な変更には合理的な理由と丁寧な説明が必要 

定期的な見直しを習慣にして、会社と従業員の双方が安心して働ける環境を整えましょう。 

就業規則の見直しは、専門知識が必要で手間がかかるもの。リコーの「ビジネスアドバイザリーサービス for RICOH」では、就業規則・帳票診断や規程の作成・変更サポートなど、労務に関するお悩みをアドバイザーが丁寧に伴走します。「何から整備すればいいかわからない」という方も、ぜひ一度ご確認ください。 

ビジネスアドバイザリーサービス for RICOH | リコー

この記事の監修者

森慎一

名前

森慎一

所属会社名

MORI社会保険労務士事務所

保持資格

社会保険労務士

会社HP

https://office-mori.biz/

得意分野

労務管理・就業規則・労働社会保険

プロフィール詳細

立教大学卒業。学習塾講師、都内社会保険労務士勤務を経て独立、現在は労務相談対応をはじめ、社会保険代行、給与計算代行、人事・労務コンサルティング、就業規則などの社内規程の整備などにより企業の経営をサポートするほか、高校・大学等へのワークルール教育(労働法・社会保険セミナー)などの社会貢献活動にも積極的に参加している。著書「保険代理店の人事・労務管理と就業規則」(単著・日本法令)のほか、専門誌への執筆多数。

監修日時

2026年6月27日

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