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郵便料金の値上げはいつ? 効率化にもつながる書類の見直しを進めよう

From: バックオフィスラボ

2024年09月24日 08:00

この記事に書いてあること

定形郵便物、はがきなどの郵便料金が2024年秋に値上がりします。ビジネスで郵便物を使っている会社は、今回の値上げにどのように備えれば良いのでしょうか?

このコラムでは、郵便料金値上げの具体的な時期や新料金、そして理由や背景も解説。さらに、値上げへの対策として有効なペーパーレス化、書類のデジタル化の方法についてもお伝えします。

郵便料金の値上げの時期と金額

日本郵便は、2024年10月1日から郵便料金を値上げすることを発表。請求書やダイレクトメールなどで使われる定形郵便物についても、これまで、25g以内(84円)と50g以内(94円)で分かれていた重量区分が統合され、50g以内が110円という新料金に変わります。

また、普通はがきは、63円から85円に値上がり。速達は250g以内が260円から300円になるなど、全体的に約30%、値上げされます。なお、定形郵便物の値上げは、消費税率の引き上げによるものを除いて30年ぶり。はがきは、7年ぶりに値上げされます。
2024年10月1日(火)から郵便料金が変わります。-日本郵便

変更される主な郵便物の料金は、以下のとおりです。

種類 9月30日まで 10月1日以降
定形郵便物
(「25g以内」と「50g以内」の料金区分が、「50g以内」に統合)
25g以内 84円 110円
50g以内 94円 110円
通常はがき 63円 85円
定形外郵便物 規格内
(長辺34cm以内、短辺25cm以内、厚さ3cm以内および重量1kg以内)
50g以内 120円 140円
100g以内 140円 180円
速達
250g以内 260円 300円
1kg以内 350円 400円
4kg以内 600円 690円
特定記録郵便 160円 210円
レターパックプラス 520円 600円
レターパックライト 370円 430円

郵便料金値上げの背景とは?

では、なぜ今回、こうした郵便料金の値上げが行われるのでしょうか。値上げの理由や社会背景は、次のとおりです。

郵便事業の立て直し

日本郵政は今回の値上げについて「郵便のユニバーサルサービスを安定的に維持するため」と説明しています。手紙やはがきなどの郵便の利用数は、2001年度をピークに年々減少。2022年度には、2001年度の262億通から45%減少し、2007年の民営化以来、初めて営業損益が赤字となりました。こうした状況から、郵便事業を立て直し、郵便サービスを安定的に提供するために今回、料金が見直されます。

デジタル化による郵便利用数の減少

郵便利用数減少の背景にあるのが、市民生活や経済活動のデジタル化です。請求書や明細書などのペーパーレス化が進み、企業の郵便の利用が減少。インターネットやSNSの普及によって連絡手段がデジタル化したことも、郵便利用数減少の要因のひとつです。今後も、さらにこうしたペーパーレス化が進むことが見込まれています。

物流コスト増加の見通し

物流コストの増加も、郵便料金値上げの理由のひとつです。日本郵便は、減少する郵便物の利用拡大と業務効率化の取り組みを進めているものの、収益減少と物流費などの営業費用増加に対処することが現時点で難しいと説明。今後もさらに物流コストが上昇し、郵便の営業費用が増えると見込んでいます。

ビジネスへの影響は?

では、今回の郵便料金値上がりは、企業にどのような影響を与えるのでしょうか。コスト面の影響や、企業に求められる対策は、以下のとおりです。

請求書などの書類の郵送コストの増加

郵便料金の値上げは、製造業や建設業、不動産業など、幅広い取引先に対して文書を発行する業種に、特に影響を与えます。請求書や契約書を郵送している企業は、定形郵便物の料金値上げによって文書交付関連のコストが増加。また、金融機関やカード会社、電気、ガスなどの公共サービスを提供している企業も、顧客への利用明細の送付で郵便を多く利用しているため、コスト増への対応が必要です。

販促物やプロモーションへの影響

郵便料金は、企業の販促施策にも影響を与えます。一般顧客に向けた販促施策としてダイレクトメールを活用している企業では、今回の値上げによるコスト増が見込まれます。ダイレクトメールを、電子メールやSNSを使ったコミュニケーションに切り替えるなど、販促施策の見直しを進めるケースもあるでしょう。

書類に関わる業務体制の見直し

郵便料金の値上げによって、各企業内で、書類発行や送付に関する業務体制の見直しが進むことも見込まれます。取引先へ発行する請求書などの文書、また一般顧客向けのDMや明細書の発送について、デジタルへの切り替えを検討する企業も増えるでしょう。

郵便料金値上げへの有効な対策は?

書類送付や顧客サービスなど、ビジネスの様々なシーンで活用されている郵便。ではその値上げの影響を最小限に止めるためには、どのような対策が有効なのでしょうか。

コスト増へ対応する方法のひとつが、ペーパーレス化や、書類関連業務のデジタル化(電子化)です。紙出力をPDFに切り替えたり、請求書、契約書などの交付を取引先とデジタル上で行ったりすることで、郵送代が削減できます。また、紙書類に関する手間やムダな工程が減ると、業務効率化にもつながります。取引先の担当者や、顧客の利便性が向上するというメリットもあります。

書類のデジタル化の具体策

では、ペーパーレス化や業務のデジタル化は、どのように進めればよいのでしょうか。主な具体策は下記のとおりです。

請求書の電子化

郵送コストの削減には、請求関連業務のデジタル化が有効です。紙に印刷して郵送していた請求書をPDF発行に切り替え、メール添付や請求書管理システムを使って送付・受領する方法です。

紙の出力や郵送が不要になるため、印刷や郵送コストの削減が可能。また、紙書類を扱う業務で生じていたムダを減らせるほか、請求書をデジタル上で一元管理できるため、業務効率化につながります。デジタル上で請求書を管理するため、紛失や発行漏れなどのミスを防げるというメリットもあります。

電子契約

契約関連業務をデジタル化する「電子契約」も、コスト削減や業務効率化を実現できます。電子契約によって、契約書の発行や承認などの社内業務や、取引先との契約内容確認・合意、また書類の管理も、システム上で行えます。

出力書類の確認や契約書の郵送、訪問などが不要になるため、自社だけでなく取引先の業務負荷も軽減。契約業務のため出社する必要もなく、リモートワークなどの働き方の選択肢も広がります。

決裁業務の電子化

申請や承認に関する業務も、ワークフローシステムによる電子化が可能です。見積書の上長チェックや申請書提出、稟議などの社内業務をシステム上で行えます。紙の出力にかかるコストを削減できるほか、承認の待ち時間などのリードタイムが削減でき、決裁業務が円滑化。進捗もシステム上で確認できるため、作業漏れや決裁の遅延も防げます。ハンコ押印のための出社も不要になり、業務効率化が進みます。

書類の電子管理

請求書や契約書だけでなく、見積書や発注書などの業務に必要な書類の電子管理も、コスト削減につながります。クラウド上で書類を保存することで、検索や管理がしやすくなり業務が効率化。外出先やテレワーク先での書類関連業務もスムーズに行えるため、リモートワークも推進できます。

郵便料金の値上げを機にペーパーレス化を進めよう

事業のコスト増につながることが懸念されている郵便料金の見直し。ただ、今回の値上げは、社内の書類業務のムダを見直すチャンスとも言えます。改めて、さまざまな業務フローを改善するペーパーレス化のメリットに注目して、新しい仕組みの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

記事執筆

バックオフィスラボ編集部(リコージャパン株式会社運営

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