受領書と領収書・納品書の違いとは? 保管のポイントなど解説

From: バックオフィスラボ

2023年11月10日 06:00

この記事に書いてあること

発注した側が商品などを受け取った際に、受領した旨を証明するために発行する、受領書。何気なく発行したり受け取ったりしていながらも、領収書や納品書との違いを答えられる人はどれほどいるのでしょうか。つい一緒くたにしてしまいそうになる書類たちですが、区別をつけておくことで管理がスムーズにでき、仕事の効率化にもつながります。この記事では、受領書と領収書・納品書の違いを、保管のポイントなどを踏まえて解説します。

受領書とは|定義や必要なシーン

まず、「受領書」の定義から解説していきます。

受領書の定義

受領書とは、発注した側が商品などを受け取った際に、受領した旨を証明するために発行する書類です。提出が義務付けられている書類ではありませんが、納品物を受け取った、受け取っていない等のトラブルを防ぐために発行する企業が多いです。受領書は納品物を受け取ったという証明の役割を果たせば良いので、メール等での受領報告で済ませる場合もあります。

なお、受領書は納品物を受け取ったことのみを証明するものであり、それが要求仕様どおりであることを証明する検収書とは異なります。

受領書に書く5つの項目

受領書に書く項目は、下記の5つです。

  • 発行日
  • 宛名(取引先の正式名称)
  • 発行元の正式名称と住所
  • 担当者の捺印
  • 受領した物品の名称、単価、数、合計金額

1. 発行日

発行日には、受領書を発行した日を記入します。メールなどに添付する場合は、送付する日に日付を設定するといいでしょう。また、後述しますが、納品物を受け取ってからなるべく早いタイミングで確認し、受領書を発行することが大切です。

2. 宛名(取引先の正式名称)

宛名には、取引先の正式名称を記入しましょう。信憑書類にもなるため、「(株)」は「株式会社」など、略称ではなく正式名称を記入することが大切です。

3. 発行元の正式名称と住所

正式名称を記入するのは、発行元も同様です。略称などは用いず、住所も都道府県名から丁寧に記載するようにしましょう。

4. 担当者の捺印

受領書を発行した担当者の捺印も必要です。メールなどで送付する場合は電子印でも構いません。印鑑がない場合はサインでも問題ないとされています。

5. 受領した物品の名称、単価、数、合計金額

受領した物品の名称や単価、数、合計金額などを、確認も踏まえて記載しましょう。同じ取引先と複数の取引が同時進行で行われている場合もあるため、受け取っているものとそうでないものを区別するためにも、ただ納品書に照らし合わせて記入するのではなく、実際に納品されたものを確認した上で記入することが大切です。

受領書と領収書との違い

これまで受領書の定義について解説しました。似たような役割を持つ書類として、領収書や納品書を思いついた方もいるのではないでしょうか。この章では、具体的にどのような違いがあるか、解説します。

領収書の定義

「領収書」は、商品やサービスの代金を受け取ったことを証明する書類です。金銭の受領の証として発行する書類のうち、領収書と似たようなものとして「レシート」がありますが、税法上は、宛名、発行された日付、支払った金額や明細が記載されていれば、レシートも有効になります。

領収書に書く項目

領収書に書く項目は、下記の6つです。

  • 発行日
  • 宛名(受け取る相手の正式名称)
  • 金額
  • 購入した品物の名前
  • 但し書き印紙
  • 発行者の住所と氏名

受領書と納品書との違い

受領書と納品書との違いは、発行する立場と明細の内容にあります。納品書は、商品を納品する企業が取引先に提出するものであり、多くの場合、納品物とともに送付されます。そのため、商品名や個数などが細かく記載されています。受領書は、その納品物を確認したあとに提出する書類のため、納品書を受け取った側が作成するものです。

受領書が必要なシーン

それでは、受領書はどのようなタイミングで必要となるのでしょうか。

受発注の流れを①発注者かどのようなものを作って欲しいか発注書を送付②受注③制作・完成④防品物と納品書を送付⑤納品物を確認の大きく5つに分けて説明しており、⑤の各院が無事にできたことを伝えるために「受領書」を送付する必要があることを示した図

受領書が必要なシーンは、納品物と納品書が送られ、納品物を確認したあとです。

上図を参考にしつつ、「発注」から「請求書」の発行まで見ていきましょう。まず、発注者はどのような品物がほしいか「発注書」を受注者へ送付します。

受注者は確認後、発注書に沿ったものを用意し納品します。品物が発注者へ届けられる際に同封されているのが、納品したことをあらわす「納品書」です。

発注者は、納品物を受け取ったあと、「納品書」と納品物が、発注した内容と合っているか確認します。そして、無事に確認できたことを伝えるために「受領書」を送付します。

その後、受注者は「請求書」を送付し、発注者へ支払いを依頼します。

受領書の持つ2つの役割

解説したように、受領書は発注から支払いまでのあいだに必要となる書類ですが、具体的には2つの役割があります。

1. 納品されたかどうかの確認

1つ目の役割が、無事に納品されたかどうかの確認です。納品物が無事に手元に届き、個数・規格などに問題はなかったか確認した証拠としての役割があります。

2. 信憑書類の保管

2つ目の役割が、信憑書類の保管です。受領書は、領収書などと同様に「実際に取引が行われたこと」を示す、信憑書類としての役割があります。そのため、もし何らかのトラブルがあった場合にも、受領書を提示することで取引があったことを証明することができます。後述しますが、保管期間は原則7年のため、大切に管理しましょう。

受領書を発行する際の2つの注意点

続いて、受領書を発行する際の注意点を2つ解説します。

1. 納品後、なるべく早く送付する

納品物を確認した後は、なるべく早く受領書を送付しましょう。受領書を送らずにいると、取引先の信頼を損なうこともあります。また、受領書の発行が遅れると、請求書送付などやりとりが後ろ倒しになってしまうため、キャッシュフローがうまくいかないことも考えられます。管理が難しい場合は、担当者を決めておくこともおすすめです。

2. 受領書の保管期間は原則7年

受領書の保管期間である7年は必ず手元で管理してください。国税庁は、「取引等に関して作成または受領した書類」に関しては原則7年間の保管を義務づけています。その際には、納品書や領収書などとの混同がないように注意することが大切です。

受領書の保管に関する2つのポイント

受領書は原則7年間の保管が義務付けられているとはいえ、どのように保管すればいいのかわからない方もいるでしょう。そこで最後に、受領書の保管に関するポイントを2つに絞って解説していきます。

1. 受領書作成の担当者や期限を決める

受領書を作成する担当者や、納品物を受け取ってからいつまでに送付するか期限を決めましょう。

納品物を受け取った社員がすぐに受領書を作成するのは、会社の規模や時期によっては難しいもの。そのため、受領書を発行する担当者を選定し、抜け漏れをなくすようにしましょう。また、期限を決めるなど、素早い対応につなげる対策も必要です。

2. 受領証の電子化を検討する

電子化を検討するのもいいでしょう。受領書を印刷し、手書きで書いて送付するとなると、取引先に届くまで時間を要します。そのため、自社のテンプレートなどを用意したうえで、インターネット上で作成から送付までを行えるようにすると便利です。

まとめ

この記事では、受領書と領収書・納品書の違いを、保管のポイントなどを踏まえて解説しました。それぞれ使うシーンや役割が異なるため、似た書類だからとまとめて管理せずに、それぞれの違いを把握したうえで、大切に保管しておくことが必要です。

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