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【簡単】ディープラーニング(深層学習)とは?|仕組みを解説

From: ウェブマガジン

2025年05月13日 07:00

この記事に書いてあること

※本記事の内容は記事制作時点での情報に基づく記載となります。
※可能な限り情報の正確性を心がけていますが、正確な情報提供を保証するものではありません

2022年11月のChatGPT登場以降、AIはより身近な存在となり、個人や企業を問わず広く活用されており、さまざまなサービスが展開されています。そんな中で「ディープラーニング(深層学習)」という言葉を耳にする機会が増えました。すでに多くのサービスで実用化されていますが、実際のところ言葉だけ知っているという方もいるでしょう。
そこで今回は、ディープラーニングの仕組みについて解説します。

ディープラーニング(深層学習)とは

「ディープラーニング」とは、AI(人工知能)分野で使われる機械学習の手法です。
人間がさまざまな出来事や経験を通じて「どうすればうまくいくか」を学んでいくように、AIも大量のデータを使ってパターンやルールを学び、判断や識別などができるようになります。機械学習とは、AIがデータから学んで賢くなるための手法だとイメージするとわかりやすいでしょう。
ディープラーニングで開発されたAIモデルは、従来の機械学習で開発されたAIモデルと比較して、高い精度の判断や認識などができるようになり、場合によっては人間の認識能力を上回ることもあります。従来のAIとは異なる特徴を持ち、さまざまな分野で注目されています。

ディープラーニングの仕組み

ディープラーニングは、人間の脳の仕組みをヒントに開発されています。
私たちの脳では、神経細胞(ニューロン)同士がシナプスと呼ばれるつなぎ目を通じて情報を伝えています。このような仕組みをまねた考え方や構造を「ニューラルネットワーク」と呼び、古くから研究されています。
ニューラルネットワークでは、ニューロンにあたる小さな情報処理の単位(ノード)が集まり、層のように並んで情報を伝えていきます。ニューラルネットワークは、この層が、入力層・中間層・出力層という3層で構成されており、以前は中間層が1層のみの比較的シンプルな構造がよく使われていました。
ディープラーニングは、このニューラルネットワークを発展させたもので、中間層をたくさん重ねた構造を持っています。
このように層が「深い(Deep)」構造であるが故に大量の学習データと強力な計算機能が必要になりますが、複雑で高度な処理ができ、ディープラーニングは高い性能を発揮できるようになっています。

人工知能(AI)・機械学習との違い

ディープラーニングは、AI(人工知能)の領域における機械学習のひとつの手法です。
AIには、与えられたデータからパターンを学習して自動的に判断や予測を行う「機械学習」という手法があります。機械学習は、人間がデータの特徴や学習ルールを定義するのが一般的ですが、ディープラーニングはAI自身がデータの特徴やパターンを自動で抽出するため、より複雑な問題にも対応できる点が特長です。

ディープラーニングの種類

ディープラーニングには、さまざまな種類があります。
それぞれの学習方法ごとに仕組みが異なり、その結果としてAIの得意分野にも違いが生まれます。
ディープラーニングを活用する場合、各学習方法がどのような仕組みで、どのような分野に強みを持っているのかを理解しておくことが大切です。

畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)

「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」は、画像処理に用いられることが多い学習方法です。
写真や絵などの画像の中にある「物体の境界」や「色の変化」などの特徴を見つけ出すことができます。
ディープラーニングの特徴である複数の中間層が、「畳み込み層」と「プーリング層」という層の繰り返しで構成されています。「畳み込み層」や「プーリング層」をかんたんに説明すると、
・畳み込み層…画像の中の特徴(境界や角、色の変化)を見つけ出す役割
・プーリング層…見つけた特徴の中から大事な特徴だけ取り出して、情報をコンパクトに持つ役割
を担っています。
この「畳み込み」と「プーリング」を何度も繰り返すことで、AIは画像の中に何が映っているのか理解します。
この方法はよく使われているディープラーニングのひとつで、自動運転や監視カメラでの人の認識、顔認識、ECサイトの似た商品を画像で検索する機能など、画像や映像を使う分野で活用されています。

回帰型ニューラルネットワーク(Recurrent Neural Network:RNN)

「回帰型ニューラルネットワーク(RNN)」は、「時間の流れ」や「順番」が大事なデータの処理にむいた学習方法です。
「回帰型ニューラルネットワーク」では、順序的に前にある情報とその後の情報を組み合わせて次に渡すという処理を、中間層の中で何度も繰り返します。このため「回帰型」と言われます(回帰(Recurrent)とは反復や繰り返しという意味です)。このような仕組みから、過去にある情報を活かし「この後に何がくるか?」という予測や判断などが行えるようになります。
このディープラーニングの手法は、音声を文字にする(音声認識)や自動で文章を作る処理、翻訳などの自然言語処理、動画の解析などで用いられます。

オートエンコーダ

「オートエンコーダ」は、ディープラーニングを用いた圧縮技術です。また、圧縮だけでなくデータを復元(デコード)する仕組みも含みます。
AIがたくさんの学習データから「どの部分が重要か」「どこを省いても大丈夫か」を自身で見つけ出し、圧縮のルールを自動的に作ります。従来の方法は人間が開発したルール(JPEGやMP3など)で圧縮していたので、その点が大きく違う点です。
この技術は、医療画像の保存や監視カメラ映像の軽量化、音声アシスタントの処理などさまざまな事業用途で活用されている事例が挙げられています。
また、オートエンコーダは「大事な特徴を取り出すこと」が得意なので、ノイズ除去(いらない情報を消すこと)や異常検知(普通と違うことを識別する)という用途でも利用されます。

敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network:GAN)

「敵対的生成ネットワーク(GAN)」は、目的とするデータを生成するディープラーニングの手法です。
例えば、粘土で人形を作るようなイメージです。はじめは板状の粘土丸めて形をつくりはじめますが、顔や手などの細かい部分が最初はありません。それを、目・鼻・口・指などを作り本物っぽくしていきながら、本当の人を思い浮かべてリアルにしていきます。
敵対的生成ネットワークでは、「生成器」という本物っぽいデータを作るニューラルネットワークと、「識別機」というそれが本物の学習データと比べて自然かどうかを見分けるニューラルネットワークで構成されます。この2つがお互いに競い合って学習することで、AIが目的とするデータを作れるようになります。

ディープラーニングは何ができるのか

機械学習技術の中の一つであるディープラーニングは、冒頭でも述べた通り、さまざまな分野で応用されています。
ここでは、ディープラーニングが実現する主な「機能や処理能力」に注目し、どのようなタスクに対応できるのかを分野ごとに整理して解説します。

音声の認識

ディープラーニングによって、AIは人間の音声を高い精度で認識する機能を持ち合わせています。
近年はPCやスマホでの音声入力によって、手を使わずにテキストを入力できますが、これはディープラーニングによって発言内容をAIが正確に認識できるからです。
また、高度な学習により声を認識して誰が発言したのかを識別することができ、文字起こしツールなどで活用されています。

画像の認識

ディープラーニングによって、AIは入力された画像を認識して要素を抽出する機能を持ち合わせています。
画面に映った人の顔を認識して適切な対処を行うサービスも登場しはじめていますが、これはディープラーニングによってAIが画像内の要素を認識して処理できるようになったからです。
AIによっては、入力した画像内の文字情報をテキスト化することもできます。

自然言語の処理

自然言語とは人間の言語のことです。ディープラーニングによって、AIの自然言語の処理性能も高まりました。
ChatGPTを皮切りに、生成AIによる対話型サービスや翻訳サービスが数多く登場していますが、これはAIが自然言語処理能力を持ち合わせているからです。
会議音声の文字起こしをして、それを入力すると議事録を作成したり要約文章を出力したりする機能も、この仕組みにより提供されています。

需要の予測

ディープラーニングによって、AIは与えられたデータから将来の需要を予測することができます。
さまざまなデータの処理能力と、自然言語モデルによる提案能力を持ち合わせるディープラーニングは、ビジネスにおける意思決定の支援にも活用されています。
AIが作成した予測結果を担当者がさらにブラッシュアップすることで、実用性の高い分析資料を手軽に作成することができるようになります。

ディープラーニングの主な活用事例

ディープラーニングは、すでに多くの分野で実用化が進んでおり、さまざまな形で私たちの生活やビジネスに取り入れられています。
既に一部紹介もしてきていますが、ここでは、そうした技術が、実際の社会やビジネスの中どのように活用されているかを示す代表的な8つの事例を紹介します。

  • 音声認識
  • 顔認証システム
  • レコメンデーション機能
  • 自動運転技術
  • 異状検知技術
  • 画像診断技術
  • 自動翻訳
  • バーチャルアシスタント・バーチャルヒューマンとの会話

それぞれ見ていきましょう。

音声認識

音声認識は、AIが発言内容を認識してテキスト情報として出力できるものです。
活用事例としては、スマホやPCの音声入力機能です。手が塞がっている場合でも、スマホやPCに話すだけでテキストを入力することができます。長文の内容でも、スマホに向けて話すだけで入力がすることもできます。

顔認証システム

顔認証システムは、画像認識のAIを活用しています。入力された画像データを解析し、本人かどうかをします。
顔認証システムは日常でも使われているので、あえて取り上げるまでもないと感じるかもしれませんが、カメラに映った顔が本人かどうかを識別し、本人であればスマホやPCのロックを解除したり、機密情報を保管した部屋のドアを開けたりする用途に使われています。こうした仕組みは、管理の効率化や高いセキュリティの実現に役立っています。

レコメンデーション機能

ディープラーニングにより得られる機能の一つであるデータ処理能力は、さまざまなデータを分析して処理し、得られた情報を生かして出力結果に反映させることができます。
活用事例としてよく知られているのが、ECサイトなどで表示される「おすすめ商品」です。
これは、ユーザーの過去の検索履歴や閲覧データをAIが分析し、その傾向に基づいて最適な商品を提案するレコメンデーション機能として活用されています。

自動運転技術

ディープラーニングにより得られる画像処理や時系列データの分析能力は、自動車の分野でも活用が進んでいます。
近年注目されている自動運転技術では、車載カメラの映像や各種センサーのデータをAIが解析し、車外の状況や歩行者の動きを把握します。その情報をもとに、進行方向やブレーキ操作などを支援することで、効率的な運転を実現しています。

異状検知技術

ディープラーニングによる画像認識および処理能力は、製造現場でも活用されています。
例えば、工場などのライン作業において、不良品や不純物を検出して自動的に製造ラインから排除する仕組みは、ディープラーニングの技術によって高度化しています。

画像診断技術

ディープラーニングによる高度な処理能力は、医療分野においても注目されています。
具体例としては、画像処理能力を駆使して医療現場でがん細胞をAIで検出したり、自然言語機能により診断の精度向上にAIのサポートを活用したりしています。
人の命を預かる分野ですから、全てをAI任せにすることはできませんが、医療従事者の支援として実用性が期待されています。

自動翻訳

ディープラーニングにより得られる自然言語処理能力は、海外の人との円滑なコミュニケーションをサポートします。
例えば、外国語で会話している動画を、AIでリアルタイムに高精度な翻訳をすることで、その言語がわからない人でも内容を理解できるようになります。

バーチャルアシスタント・バーチャルヒューマンとの会話

ディープラーニングにより得られる自然言語能力は、日々進化しており、AIが人間のように会話できるようになってきています。
すでに実用化されている例としてはスマートスピーカーやスマホに搭載されてたバーチャルアシスタントが挙げられます。
また、AIとの自然な会話や質問応答を通じて、利用者の課題や疑問にスムーズに対応するバーチャルヒューマンも登場しつつあり、実用化に向けた動きが広がっています。

ディープラーニングの今後の進化と社会への影響

ディープラーニングは、すでにさまざまな分野で実用化が進み、私たちの生活を便利にしています。
今後のさらなる進化によって、ディープラーニングを使ったAIの活用がどのように広がり、社会にどのような変化をもたらすのでしょうか。ここでは、その展望と社会への影響について解説します。

技術の進化と新たな応用領域

AIの開発は日々進化しており、次々と新しいニュースや情報、概念が出てきています。2025年に入ってからの動きだけを見ても、「AIエージェント」、「マルチモーダルAI」や「LMM(大規模マルチモーダルモデル)」、「MCP(Model Context Protocol)」が話題性の高いキーワードとなりました。
「AIエージェント」は、自然言語で指示するだけで、自律的にタスクを立案し目標に向けて動くAIです。ChatGPTなどの「生成AI」は、ユーザーの指示に基づいて情報を生成するというところで終わっていました。「AIエージェント」は目標を達成するために自律的にタスクを実行してくれることが違いです。
「マルチモーダルAI」「LMM」は、テキストだけでなく・画像・音声・動画など複数のモードのデータを理解・生成できるAIや技術です。今までの生成AIはテキスト(自然言語)が中心でしたので、扱える情報が広がります。
「MCP」は、Anthropic社(生成AI「Claude」の開発元)が提唱するAIを色々なシステムと接続できるようにする規格です。今までAIと外部システムを連携するには連携部分のシステム開発が必要で、システム連携のボトルネックとなっていました。MCPが普及すると連携ハードルが低くなり、AIと外部システムの連携が一般化することになります。
このように、ディープラーニングの技術を使ったAIが取り扱える情報やAIの活用範囲を広げられる技術が次々と登場し実用化されています。
加えて、自動運転や人型AIロボットなどモノの開発も進んできています。これまでは生成AIを中心としたWebアプリケーションでの活用が多かったスタイルでしたが、これからはこうしたモノ・IoT(Internet of Things)機器でのAI利用も進みます。
ビジネスや日常生活で今まで以上にAIを利用することが増えると想像されます。

社会への影響

ディープラーニングの進化は、ビジネス分野だけにとどまらず、社会全体の在り方にも大きな影響を与える可能性があります。
以下では、具体的な4つの側面から、その影響を考察します。

産業構造の変化

ディープラーニング技術の普及によって、自動化や効率化が一層進み、産業構造そのものが変わる可能性があります。
新たなビジネスモデルやサービスが登場する一方で、従来の仕組みや仕事が縮小していくなど、産業界における構造変化が起こる可能性があります。

倫理的な課題

AIサービスの導入が進む中で、AIサービスが持つ「倫理的な課題」をいかに解決するかが注目されています。
差別やプライバシー侵害、セキュリティリスクなど、など、慎重な対応が求められる課題が多く存在します。
人間にとって有害な情報提供をしないようにAI自身がリスクを検知して対応する仕組みも開発されていますが、さらなる高度な対策が必要とされています。

教育の変化

ディープラーニングによりAI技術が向上することで、教育分野にも大きな変化をもたらす可能性があります。
AIリテラシーや倫理観を備えた人材の育成が重視されるようになり、学校教育でもAIに関する授業が取り入れられ始めています。
また、AIを活用することで教職員の業務負担を軽減し、個別最適な学習支援を実現する取り組みも進められつつあります。

社会全体の変化

ディープラーニングは、社会課題の解決にも寄与する可能性があります。
医療、交通、環境など、さまざまな分野での応用が進むことで、これまで人間だけでは対応が難しかった問題にも新たなアプローチが可能になります。
ディープラーニングが進化することでAIの性能が向上し、人間だけでは思いつかないようなアイデアを創出できるようになれば、社会問題の解決への取り組みが加速することになるでしょう。

ディープラーニングの力で業務を効率化しよう!

ディープラーニングは、高度な技術を用いることで高性能なAIを作り出し、それを活用したさまざまなサービスで人々の生活を便利にしています。
こうした流れはビジネスの現場でも進んでおり、AI技術によって業務の効率化が図られています。
たとえば、会議やインタビューの音声データをもとにした文字起こしや議事録の自動作成も、ディープラーニングを活用したAIツールで実現可能です。
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