マーケティングの成果を左右する「ペルソナ」とは?設定方法・具体例を紹介!

From: ダイレクトマーケティングラボ

2025年06月24日 07:00

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マーケティングに携わっている中で、しばしば「ペルソナ」という言葉を耳にします。なんとなく使っているものの、ターゲットとの違いや設定する意義をあらためて確認したいという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、ペルソナの定義や設定するメリット、設定する際の手順や注意点についてわかりやすく解説しています。ペルソナマーケティングが時流に合わないといわれる理由にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

ペルソナとは

はじめに、ペルソナの定義について整理しておきましょう。ターゲットとの違いや具体的な使い方を理解しておくことが大切です。

実在する個人を想定した典型的な顧客像

ペルソナとは、あたかも実在する人物であるかのように設定される顧客像のことです。年齢や性別、居住地、職業、家族構成、ライフスタイル、価値観といったパーソナリティを詳細に設定し、自社の商品・サービスを利用する典型的な顧客像を構築します。

ペルソナはマーケティング領域をはじめ、HR領域においても活用されています。自社が採用したい人材のペルソナを設定することで、理想とする人物像が具体化されるからです。

ターゲットとの違い

ペルソナと関連する用語として「ターゲット」が挙げられます。ターゲットとは、「30代男性」のように多くの人が当てはまる条件で設定される顧客層を指します。世の中に「30代男性」が大勢いるように、ターゲットを設定した段階では具体的な人物像が明確になっていません。

これに対して、ターゲットに該当する特定の1人を想定し、どのような仕事をしているのか、どういった家族構成でどんな価値観をもっているのか、といった具体的な人物像に落とし込んだものがペルソナです。

ペルソナの具体例

ペルソナの具体例について、学習塾を例に挙げて考えてみましょう。

わが子を学習塾に通わせるかどうかを検討しているのは「子どもがいる人」です。しかし、子どもがいる人が誰しもわが子を学習塾に通わせたいと考えているわけではありません。「30代で世田谷区に住み、小学4年生の子どもがいる母親」のような詳細な条件を設定し、アプローチすべき相手を明確にしたほうが、講じるべき施策を検討しやすいでしょう。

この例では、「子どもがいる人」や「30代の母親」はいずれもターゲットといえます。一方、ターゲット像の範囲が広すぎるとアプローチすべき相手が不明確になりがちです。居住地域や子どもの年齢、価値観などを絞り込むことによって、マーケティング施策を講じやすくする点が、ペルソナを設定する主な目的といえます。

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ペルソナを設定する3つのメリット

ペルソナを設定することで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な3つのメリットについて解説します。

メリット1:見込み客の詳細なニーズをイメージしやすくなる

1つめのメリットは、自社の見込み客がどのようなニーズを内包しているのか、詳細にイメージしやすくなることです。商品・サービスをいつ・どんなシーンで、どのように利用したいと思うのか、ユーザーの心理や行動の傾向をより具体的に捉えやすくなります。

ニーズが明確になっていれば、そのニーズを満たすための施策も講じやすくなるでしょう。結果としてマーケティング施策が効果を発揮しやすくなり、成果につながる可能性が高まる点が大きなメリットです。

メリット2:マーケティングの方針を定めやすくなる

マーケティングの大きな方向性を定めやすくなるというメリットもあります。ペルソナがなぜ商品を手に取ったり、購入を考えたりするのかを具体的にイメージできれば、訴求する方法についても絞り込みやすくなるからです。

競合他社の商品・サービスとの差別化ポイントを打ち出す際にも、ペルソナの心理や行動の傾向が重要なヒントとなります。自社側の見解ではなく、見込み客の価値観や考え方を軸としたマーケティング施策を講じられることは、ペルソナを設定する大きなメリットの1つです。

メリット3:顧客像のイメージを統一しやすくなる

顧客像のイメージを社内で共有し、共通認識が形成しやすくなる点も、重要なメリットといえます。一貫したマーケティング施策を講じるには、企画・マーケティング・販売など、部門を横断して自社の顧客像を共有しておかなくてはなりません。大まかなターゲット層のみ共有している状態では、人によって解釈やイメージに差異が生じる可能性があります。

実在する一人の顧客像を詳細に設定しておくことで、担当者間で顧客像のイメージがずれにくくなります。結果として目標やゴールが共有され、同じ方向に向かって戦略や施策を講じやすくなるでしょう。マーケティング戦略の一貫性を保つためにも、ペルソナを設定しておくことが大切です。

ペルソナマーケティングが時流に合わないといわれる理由

ペルソナを起点に戦略や施策を設計していくことは、マーケティングの基本とされています。一方で、ペルソナマーケティングはすでに時代遅れになりつつある、といった言説が聞かれるケースも少なくありません。なぜペルソナマーケティングは時流に合わないといわれるのでしょうか。主な理由として、次の3つが挙げられます。

理由1:デジタルマーケティングが進歩したため

近年、デジタルマーケティングが急速に進歩したことにより、顧客ニーズや購買行動の細分化が加速しています。見込み客の大半がスマートフォンを所有し、それぞれ情報を収集するようになったことで、従来のようなマスマーケティングが通用しにくくなっているのが実情です。このような時代においては、代表的な顧客像に必ずしも当てはまらない見込み客が少なからず存在する可能性があります。

一方で、見込み客一人ひとりのニーズに応えていく上で、カスタマージャーニーやコンテンツマーケティング戦略の重要性が高まっている面もあります。より細やかに見込み客のニーズをくみ取るためにも、ペルソナ設定は重要なプロセスといえるでしょう。

理由2:パーソナライズの重要性が高まっているため

顧客一人ひとりに合わせたリアルタイムな接客や情報発信が求められていることも一因です。代表的な顧客像としてペルソナを設定したとしても、すべての見込み客がペルソナと同じ価値観やニーズを抱えているとは限りません。そのため、パーソナライズの重要性が高まるにつれてペルソナを設定する意義が薄れていくと捉えられている面があります。

ただし、顧客一人ひとりに合わせた施策を講じるとしても、マーケティング戦略の基本路線は決めておく必要があります。代表的な顧客像を明確に掲げているからこそ、ペルソナと共通点のある見込み客が求める情報を適切なタイミングで届けられるからです。パーソナライズされた施策が求められている昨今においては、むしろペルソナの重要性は高まっているとも考えられます。

理由3:ニーズがめまぐるしく変化しているため

消費者や市場全体のニーズがめまぐるしく変化していることも、ペルソナが時流に合わなくなっているといわれる理由の1つです。とくにSNS上でのトレンドは刻々と移り変わっていくため、同一人物であっても同じ対象に興味を抱き続けるとは限りません。マーケティング領域においても、一度設定したペルソナが長期にわたって有効とは限らないのが実情です。

一方で、トレンドやニーズが変化するからこそ、ターゲットを明確に定めてマーケティング施策を講じる重要性が高まっているともいえます。PDCAサイクルを回してペルソナを随時更新していく必要があるものの、ペルソナ自体が不要になったわけではありません。

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ペルソナを設定する手順

ここまでに見てきたとおり、現代においてもペルソナを適切に設定することはマーケティングの基本といえます。ペルソナの基本的な設定手順を確認しておきましょう。

手順1:自社の強みや魅力を整理する

はじめに、見込み客にアピールすべき自社の強みや魅力を明確にしておくことが大切です。3C分析や4C分析を用いて、自社の強みを客観的に分析しましょう。自社を取り巻く外部環境の分析には3C分析、顧客の視点から自社の状況を見極めるには4C分析を用います。

3C分析

  • Customer:市場・顧客(市場の規模や成長性、顧客のニーズ、消費者行動など)
  • Competitor:競合(競合各社のシェア、業界ポジション、各社の特徴など)
  • Company:自社(理念やビジョン、事業の現状、リソースの状況など

4C分析

  • Customer Value:顧客価値(顧客が感じている商品・サービスの価値)
  • Cost:顧客コスト(商品・サービスに支払う妥当な対価)
  • Convenience:利便性(顧客が享受できる利便性)
  • Communication:コミュニケーション(顧客接点を生み出す媒体や手段)

手順2:既存顧客を調査・分析する

次に、自社の商品・サービスを購入・利用したことのある既存顧客の状況を把握します。購買データの分析やインタビュー/アンケート調査、Webサイトのアクセス履歴、SNS上での動向などを通じて、既存顧客の傾向を分析しましょう。

顧客の特徴や傾向は、年々変化する可能性があります。過去に調査・分析を実施したことがある場合も、あらためて調査を行うことが大切です。過去の分析結果や古い知見にもとづいてペルソナを設定することのないように注意してください。

手順3:既存顧客の共通項をピックアップする

既存顧客の分析結果から、ターゲット層のボリュームゾーンや多く見られる属性を拾い出していきます。自社の商品・サービスを好んで利用している層や、必要としている層を分析し、メインターゲットを見極めましょう。

手順4:ペルソナの属性をまとめる

ここまでの分析結果を元に、ペルソナの属性をまとめていきます。具体的には、基本情報をはじめ職業や経済状況、心理特性、主な情報源、価値観などを具体的に設定していきましょう。

項目

概要

基本情報

年齢、性別、居住地、出身地、家族構成、学歴・職歴

職業

就業先の業界・職種、役職、担当業務

経済状況

年収、月々の食費・生活費、貯蓄額

心理特性

趣味嗜好、性格

主な情報源

購読/閲覧している主要な媒体

価値観

ライフスタイル、重視していること、新しい物事に対するスタンス

ペルソナを設定する際の注意点

ペルソナを適切に設定する上で、注意しておきたい点を紹介します。ペルソナが「絵に描いた餅」にならないよう、次に挙げる3点を意識しておくことが大切です。

属性をできるだけ絞り込んでおく

ペルソナは実在する1人の人物として認識できるよう、詳細に設定する必要があります。「30代既婚男性・首都圏在住」といったように、多くの人が当てはまる幅広い属性にとどめず、具体的な人物像を作り込んでいくことが大切です。

属性が絞り込まれることによって、誰に向けて商品・サービスをアピールするのかが明確になります。不特定多数の相手に向けて手紙を書くことがないように、特定の1人に向けてマーケティング施策を講じることで戦略や施策がブレるのを防ぐのがポイントです。

担当者の先入観や願望をできるだけ排除する

ペルソナは自社にとって都合のいいものにならないよう、客観的なデータや調査結果を元に設定することが重要です。担当者の先入観や願望をできる限り排除し、客観性の高いペルソナを設定しましょう。

とくに商品・サービスのコンセプトや企画趣旨と、ペルソナ設定を混同しないよう注意が必要です。自社が想定する顧客像ではなく、客観的事実から実際に自社の商材を購入・利用している人物像を構築していくことが求められます。

設定後は定期的に見直す

ペルソナは一度設定すれば永続的に活用できるものではありません。顧客ニーズの変化や市場の動向などにより、主要な顧客像が変化することもあり得ます。ペルソナは、現状の市場動向や顧客行動に合っているかを定期的に見直す必要があります。

ペルソナの見直しは、市場の変化を敏感に察知するためにも重要なプロセスです。同一人物であっても興味関心は移り変わっていくように、ペルソナも時代とともに変わっていくことを念頭に置きましょう。

適切なペルソナ設定でマーケティングを成功へと導こう

ペルソナはターゲットをさらに絞り込み、実在する1人の人物として詳細な属性を設定したもののことです。顧客は自社の商品をいつ・どのようなシーンで・どのように利用したいと感じるのか、ユーザーの行動心理を明確にイメージするには必須の手法といえます。今回紹介したペルソナの設定方法や設定時の注意点を参考に、マーケティングを成功へと導く適切なペルソナ設定を実現しましょう。

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記事執筆

ダイレクトマーケティングラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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