カスタマーデータプラットフォーム(CDP)とは?
2018年11月29日 00:00
この記事に書いてあること
マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。
用語解説【カスタマーデータプラットフォーム】
カスタマーデータプラットフォーム(以下CDP)とは、自社・他社、オンライン・オフラインを問わず、様々なデバイスやメディアから顧客一人ひとりの情報を収集・蓄積・統合・連携することに特化したデータプラットフォームです。
解説
例えば通販サイトを運営している企業の場合、住所、氏名、年齢、サイト内行動、購入履歴といった顧客情報の収集が可能です。しかしこれはあくまでも自社の通販サイト内だけのデータであり、より顧客に寄り添った情報提供をするには完全とは言い切れません。
そこで必要になってくるのが、自社サイト以外から得られる情報の収集とそれら情報との統合・連携です。他社WEBサイト上での行動履歴はもちろんのこと、SNSやスマホアプリのログ、位置情報やIoT対応製品から得られるオンラインデータ、CRMやPOSデータ、来店履歴といったオフラインデータまで統合・連携することで、これまで以上に顧客一人ひとりの顔が見えるマーケティング施策を行えるようになります。そのための土台となる顧客情報基盤が「CDP」です。
ここまでの解説を読んで「DMPとは何が違うの?」と疑問に感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に企業のマーケティング担当者であれば、そう思われるかもしれません。
そこで今回はCDPとDMPの具体的な違い、そしてCDPを導入することで企業・顧客それぞれが得られるメリットについて考えていきます。
CDPとDMPの違いとは?
CDPとDMPの違いについて見ていく前に、簡単にDMPとは何かについてご説明します。
DMPとはデータマネジメントプラットフォームの略称で、インターネット上に蓄積されたさまざまな情報データを収集・蓄積し管理するためのプラットフォームです。そしてこのDMPは大きくパブリック(オープン)DMPとプライベートDMPの2つに分類されます。
パブリック(オープン)DMP
パブリック(オープン)DMPとは、自社以外のサイトやメディアで収集されたデータを蓄積・管理するものです。最近では自社サイトの顧客データを取り込む場合もありますが、基本的には自社以外のデータ収集・管理をするDMPです。
プライベートDMP
これに対しプライベートDMPは、自社で収集した顧客データを蓄積し、これに自社以外のデータも加えて顧客一人ひとりに最適なコミュニケーションを取るためのものです。
つまり、自社サイト以外の情報を中心とするのがパブリックDMP。そして自社サイトの情報を中心とするのがプライベートDMPといえます。
では、CDPとDMPの違いとは何か。CDPとDMP、とりわけプライベートDMPは同じものだと思われるかもしれませんが、キーになるデータと設計思想が違います。
プライベートDMPのキーになるのはCookie情報。ブラウザのCookieをベースにWEB上の行動履歴をデータとして蓄積、企業が活用しやすい形に統合・セグメンテーションするというのがプライベートDMPの設計思想です。
一方CDPのキーデータは個人プロファイルです。CDPもWEB上の行動履歴をデータとして蓄積しますが、それだけにとどまらず各種マーケティングツールやSNSから得られる情報など、 “個人”に紐づくあらゆるデータを集積させ、個人プロファイルをより精査、充実させていくという設計思想に基づいています。
厳密にCDPとプライベートDMPを分けるとすれば、顧客をどれだけ細かくセグメントするかの違いといえます。
例えばプライベートDMPを活用した広告配信であれば、必ずしも個人を特定する必要はなく、「30代の都内に住む独身女性」「40代で郊外に住む既婚男性」といったセグメントで問題ありません。
しかしCDPの場合はこのようなざっくりしたセグメントではなく、必ず「Aさん」「Bさん」といった個人単位でセグメントをします。つまりCDPもプライベートDMPも収集するデータは同じようなものですが、CDPは必ず個人を特定し、販促はもちろん、営業やサポートなど適切な場面で、より顧客に寄り添った情報提供を行えるプラットフォームだと考えればわかりやすくなります。
CDP導入のメリット
CDPとDMPの違いについてはご理解いただけたと思います。それでは次に、CDPを導入するメリットについて、企業側と顧客側の両面から見ていきます。
<企業側のメリット>
自社の顧客一人ひとりが何を求めているのかが明確になり、一人ひとりに応じた打ち手を実行できる
例えばこれまではFacebook、Twitter、そしてショッピングモールサイトにおける顧客の行動データは個別に収集し、別々のプラットフォームで確認した上で、さらにそれらを自社通販サイト内で得た顧客情報と紐づけなければ、顧客一人ひとりに合わせた情報発信はできませんでした。
しかし、CDPを導入すれば、これらの情報を一括して蓄積・分析することができ、顧客が求めているものを探り出しやすくなることで、一人ひとりに合わせた的確なコミュニケーションが可能になります。また、顧客が求めていない情報を押し付けてしまうリスクも軽減。さらに、これまでマーケティング施策にかかっていた手間と時間を大幅に短縮できるメリットもあります。
<顧客側のメリット>
自分が求めている情報を求めているタイミングで受け取ることができる
CDPは収集したデータをリアルタイムで利用できるため、例えば顧客が自社通販サイトに訪問したタイミングで、自社サイトでの行動(購入)履歴はもちろん、メールマガジンのクリックやSNSでの行動履歴を加味したおすすめの商品が表示されるようになります。
例えば単なる「料理好きの女性」というセグメントで調理器具をおすすめされるのではなく、「最近、子どもが生まれたばかりで、離乳食で使える食器やレシピを探している」といった情報も含め、自分が本当に欲している情報が欲しいタイミングで受け取れるようになるのです。これはCDPが自社サイトだけではなく、さまざまな場所での行動データを収集・分析しているからで、今、必要としているかゆいところに手が届く情報を受け取れるのは、顧客にとっても大きなメリットといえるでしょう。
まとめ
インターネットの普及により膨大に増加した情報量。そのほとんどの情報は多くの人の目に止まることもなく流れ去ってしまいます。
そうしたなかで従来のマスマーケティングを行っているだけでは、商品の購入はおろか認知されることさえ難しくなっているといえます。そこで重要になるのが、顧客一人ひとりに対して最適なタイミング、最適なチャネルで、最適な情報を発信することです。近年、ツールの進化もあり、One to Oneマーケティングやリレーションシップ・マーケティングといった顧客一人ひとりの要望に応じて関係性を構築する方法が注目されています。
しかし、これらの手法はできるだけ多くの情報を収集し、収集したバラバラの情報を紐づけてから分析、管理しなくてはならず、多大な手間を要します。この分析管理の部分をツールによって使いやすく、統合管理した情報基盤がCDPです。従来、DMPがその役目を担っていましたが、より顧客に寄り添った情報提供を行うには、”顧客個人”にフォーカスしてデータを統合していくことが求められます。CDPはそうした顧客を管理するシステムに起きた大きな変化のなかで生み出された顧客管理プラットフォームです。
顧客のデータ収集、分析管理がCDPによって統合されることで、マーケティング担当者は、そのデータをもとにどういった施策を行えばよいかを考えるという、本来の仕事に専念できるようになります。 今後、効率的に顧客に寄り添った情報提供を行ううえで、CDPはより重要性を増していくでしょう。
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