情報・通信業

コンバージョン率(CVR)とは?計算方法や平均値、高めるポイントを解説

From: ダイレクトマーケティングラボ

2019年01月10日 00:00

この記事に書いてあること

【2025年10月17日更新】

WEBサイトの運営にはさまざまな目的があります。その目的をどのくらい効果的に達成できているのかを把握するための重要な指標となるのが「コンバージョン率(CVR)」です。

この記事では、コンバージョン率とは何か、目安となる平均値はどの程度かをわかりやすく解説しています。コンバージョン率が伸び悩む主な原因や、コンバージョン率を高めるための改善策にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。

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コンバージョン率(CVR)とは

はじめに、コンバージョン率(CVR)とはどのような指標であるかを振り返っておきましょう。

最終的な成果に至った割合を表す指標

コンバージョン率(CVRConversion Rate)とは、WEBサイトにアクセスした人のうち、会員登録や資料請求、商品購入などの成果(=コンバージョン)に至った人の割合を表す指標のことです。日本語では「転換率」と訳されます。

たとえば、オンラインショップ(ECサイト)であれば商品購入、企業サイトや商品情報サイトであれば問い合わせや資料請求、セミナーイベントの情報ページであれば申し込みなどがコンバージョンに当たります。何を成果とするかの基準は企業やサイトの運営目的によってまちまちです。いずれにしても、WEBサイトのパフォーマンスを把握する上でコンバージョン率は重要な指標といえます。

また、WEB広告を出稿した場合には、広告効果を測るためにコンバージョン率が用いられることもあります。広告経由の流入ユーザーのCVRをチェックすることで、広告費用が適切かどうか、費用対効果に見合っているかどうかが確認できるからです。

クリック率(CTR)との違い

クリック率(CTRClick Through Rate)とは、検索結果ページやWEB広告がどの程度クリックされているのかを表す指標のことです。CVRは「成果につながったかどうか」を扱うのに対して、CTRは「クリックされたのかどうか」のみを扱っている点が大きく異なります。CTRWEBサイトの入口地点、CVRはゴール地点での成果をそれぞれ表しているというイメージです。

CVRを高めるには多くの人にWEBサイトを訪れてもらう必要があるため、CTRを改善する必要があります。ただし、CTRの改善が必ずしもCVRの向上につながるとは限りません。CTRは比較的短期間で改善を図りやすく、アクセス数に直接関わる指標ですが、「訪れた先のWEBサイトで成果につながるアクションをしてもらえるか」は別問題であることに注意が必要です。

コンバージョン率の計算方法

コンバージョン率の計算方法は、何を成果として定義するかによって異なります。主な計算方法として挙げられるのは、ユニークユーザー数(WEBサイトを訪れた人数)を基準とするパターンと、セッション数(WEBサイトへの訪問回数)を基準とするパターンの2種類です。

【ユニークユーザー数を基準とする場合】
CVR(%)=コンバージョン数÷ユーザー数×100

(例)1日のユニークユーザー数が900人、購入者数が9人の場合
9÷900×100=1%

【セッション数を基準とする場合】
CVR(%)=コンバージョン数÷セッション数×100

(例)1日のセッション数が2,000、購入者数が20人の場合
20÷2,000×100=1%

コンバージョン率はなぜ重要なのか

コンバージョン率が重視されるのは、WEBサイトの効果を測る上で有効な指標となるからです。コンバージョン率が高いほど、WEBサイトが効果的に成果をもたらし、事業に貢献していると判断できます。反対にコンバージョン率が低い場合、アクセス数を増加させても期待する成果が得られないケースも少なくありません。コンバージョン率の重要性について、具体例を使って考えてみましょう。

【売上を2倍に伸ばすための改善策】
現状:集客10,000人×CVR1%×客単価10,000円=月商100万円のECサイト

項目 現状 改善案① 改善案② 改善案③
CVR 1.00% 1.00% 2.00% 1.00%
集客(流入数) 10,000件 20,000件 10,000件 10,000件
客単価 10,000円 10,000円 10,000円 20,000円
売上 1,000,000円 2,000,000円 2,000,000円 1,500,000円

・改善案①(集客を増やす)
自然流入だけでは集客数倍増が難しい場合、広告出稿やセールが必要となり費用がかかる。

・改善案②(CVRを上げる)
10,000件の集客で100人だったコンバージョンを200人に増やす。

・改善案③(客単価を上げる)
クロスセル(関連商品などをオススメし、ついで買いしてもらう)やアップセル(ワンランク上の商品をオススメして単価UPを狙う)、値上げをする。

改善案①や改善案③は、広告出稿やレコメンドエンジンの導入など予算の確保が必要な施策です。一方、改善案②であれば工夫次第でコストを抑えて実現できる可能性があります。このように、コンバージョン率の改善は費用対効果が高い施策であることから、WEBサイト運営において重要視されているのです。

コンバージョン率の平均値はどのくらい?

“average(平均)”と書かれた白いキューブが並んでいる。背景は上がグリーン、下がブルーのツートーンカラー。

コンバージョン率の目標を立てるにあたって、目安となる平均値を知りたいと考えている方も多いでしょう。業界別のコンバージョン率の目安と、基準とする指標による違いについて解説します。

業界別コンバージョン率のベンチマーク

WEBサイトのコンバージョン率は、業界によって平均値が異なります。下表は、主要な業界の平均CVRの一覧です。

業界 コンバージョン率
食品・飲料 3.7%
美容・スキンケア 3.3%
アパレル 2.6%
ホーム・ダイニング・インテリア 2.4%
シューズ 2.4%
スポーツ用品 2.3%
メイク用品 2.3%
アクティブシューズ 2.1%
玩具・学習 2.0%
アクティブウェア 1.9%
電子機器・アクセサリー 1.9%
美容健康 1.8%
家庭用電化製品 1.6%
バッグ 1.2%
高級アパレル 0.9%
住宅用家具 0.8%
高級バッグ 0.4%

出典:The Average Website Conversion Rate by Industry(2024)

上記はあくまでも目安ですが、業界ごとにコンバージョン率の平均値が異なるイメージをつかむ上で役立つでしょう。一般的には、購入頻度が高い商品や必需品ほどコンバージョン率が高くなりやすい傾向があります。

基準とする指標によって平均値は変動する

前述のとおり、何を基準とするかによってコンバージョン率は変動します。ユニークユーザー数を基準とする場合と、セッション数を基準とする場合とでは、どのように考え方が異なるのでしょうか。

ユニークユーザー数を基準にする場合、一人のユーザーが複数回WEBサイトを訪れてもカウントは「1」です。ユニークユーザー数が多かったとしても、WEBサイトでの滞在時間が短かったり、繰り返し訪問していなかったりすればCVRは低くなる可能性があります。

セッション数を基準にする場合、一人のユーザーが10WEBサイトを訪れればカウントは「10」となります。ユニークユーザー数に対してセッション数が多いようなら、WEBサイトを繰り返し訪問しているユーザーが一定数いると考えてよいでしょう。

一般的には、高額商材ほどコンバージョンに至るまでの検討期間が長くなりやすい傾向があります。したがって、比較的廉価な商品や必需品であればユニークユーザー数、高額商材であればセッション数を基準にCVRを算出するのが合理的です。

BtoB/BtoCではコンバージョン率に差が開きやすい

自社の事業がBtoBかBtoCによっても、目安とするコンバージョン率は異なります。

一般的にBtoC商材の場合、購入をコンバージョンとするケースが多く見られます。よって、平均値は1~3%程度と比較的低くなりやすいのが実情です。一方、BtoBの場合は資料ダウンロードや問い合わせなどのアクションがコンバージョンとして設定されることも少なくありません。このようなケースでは、平均コンバージョン率が10%前後になることもあります。

また、ユーザーの流入経路もコンバージョン率を左右する要因のひとつです。ユーザーが能動的に情報収集する傾向がある自然流入(検索エンジンの検索結果ページからWEBサイトを訪れるパターン)のほうが、広告経由での流入よりもコンバージョン率は高くなるのが一般的です。

【参考:自然流入とディスプレイ広告の業種別平均CVR】

業界 平均CVR(自然流入) 平均CVR(ディスプレイ広告)
法律 6.98% 1.84%
消費者向けサービス 6.64% 0.98%
自動車 6.03% 1.19%
雇用サービス 5.13% 1.57%
金融・保険 5.10% 1.19%
旅行・ホスピタリティ 3.55% 0.51%
教育 3.39% 0.50%
産業サービス 3.37% 0.94%
健康・医療 3.36% 0.82%
テクノロジー 2.92% 0.86%
Eコマース 2.81% 0.59%
家庭用品 2.70% 0.43%
不動産 2.47% 0.80%

出典:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry

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コンバージョン率が伸び悩む主な原因

黒板にチョークで描かれた棒グラフと右上がりの矢印。手がチョークを持ち、成長や改善を示している。

コンバージョン率がなかなか伸びない・低迷している場合には、いくつかの原因が考えられます。よくある4つの原因を紹介しますので、自社サイトに当てはまっているものがないかチェックしてみてください。

原因1:媒体の選択ミス

広告媒体の種類が目的に合っていないと、CVRが伸び悩む原因になりがちです。一般的にリスティング広告は顕在層、ディスプレイ広告は潜在層の集客に適しています。CVRが伸びないようなら、まずはターゲティングと利用媒体が合致しているか確認しましょう。

一例として、「虫刺されにつける塗り薬」を訴求するケースを考えてみます。この製品を必要としているユーザーは、「虫刺され」「かゆみ」などのキーワードで検索するでしょう。一方、企業側は「レジャーの準備は万全ですか?」といったディスプレイ広告を出稿していたとすれば、このメッセージが塗り薬を今すぐ必要としているユーザーに届いていない可能性があります。

原因2:ユーザーニーズの理解不足

ユーザーニーズに対する理解が不十分であることも、CVRが低迷する大きな要因のひとつです。企業側が想定している検索クエリ(ユーザーが検索サイトで入力するキーワードやフレーズ)がユーザーの検索意図を捉えているか、あらためて検証する必要があるでしょう。

たとえば、漠然と「いずれ海外旅行をしたい」と思っているユーザーがいるとします。このユーザーはまだ旅行の計画を立てていないため、「機内持ち込みが可能なスーツケース」の購入を具体的に検討していない可能性が高いでしょう。ところが、訪問先のWEBサイトでは「軽量」「機内持ち込み対応」といった点を強調していたとすれば、購入に至る確率は低いといわざるを得ません。このようにユーザーニーズを捉えた上で、検討段階に合った訴求方法を選択することが大切です。

原因3:訴求方法が適切でない

ユーザーが解決したい課題や困り事に応える訴求がなされていないことも、CVRが伸び悩む原因のひとつです。ユーザーがLPなどを訪れた際、どのような心理状態にあるのかを深く分析する必要があります。

よくある失敗として、「おすすめ商品」のような抽象的な表現で訴求しているケースが挙げられます。商品の購入を検討しているユーザーが知りたいのは、「なぜおすすめなのか」「自分にとってどのようなメリットがあるのか」といった点でしょう。万人向けのメッセージにするのではなく、ユーザーの課題や困り事を解決する手段となる点を明確に伝えることが大切です。

原因4:導線設計に問題がある

ユーザーの検討段階に合った導線設計になっていないことも、CVRの向上を妨げる要因となり得ます。導線設計どおりにページを遷移していった結果、ユーザーがどのような思考をたどることになるのか十分に検証しておきましょう。

たとえば、十分に情報が提供されていない状態で突然「購入ページ」を案内された場合、多くのユーザーは「まだ決められない」「どのような商品なのかよくわからない」と感じるはずです。ユーザーが検討過程の階段を緩やかに上がっていけるよう、必要な情報を提供したり、阻害要因を解消したりするための工夫を施す必要があります。

コンバージョン率を高めるための改善策

データ分析資料の上に置かれた“改善”の文字ブロックとミニチュアのビジネスパーソンたち。グラフやペン、キーボードなどが並び、業務改善のイメージを表している。

では、コンバージョン率を高めるにはどのような改善策を講じればよいのでしょうか。具体的な対策として、次の4点が挙げられます。

対策1:CTAを見直す

ひとつめの対策はCTAの見直しです。CTACall to Action)とは、ユーザーに特定の行動を促す要素のことを指します。「お申し込みはこちら」と「資料のダウンロードはこちら」はどちらもCTAですが、ユーザーが感じるハードルの高さは大きく異なるでしょう。その場で申し込む場合と、まずは資料を見て検討する場合とでは、決断の重みに差があるからです。

訴求内容に対してCTAのハードルが高いと、ユーザーが離脱しやすくなります。とくにBtoBではWEBサイトを訪問した担当者が独断で購入や契約を決められないケースも多いことから、CTAは資料請求や問い合わせなどに設定するのが望ましいでしょう。

対策2:ランディングページを最適化する

広告とランディングページ(LP)の整合性が取れていることも、ユーザーの意思決定を促すための重要なポイントです。たとえば、広告では商品の「安さ」をアピールしていたにもかかわらず、LPでは「高機能」であることを訴求していたとすれば、ユーザーは離脱しやすくなるでしょう。どのようなキーワードからLPに流入しているのか、広告の内容とLPの内容に一貫性が感じられるか、といった点を見直し、改善を図っていくことが大切です。

対策3:WEBサイトのUIと導線を改善する

ユーザーが離脱しやすいポイントを特定し、WEBサイトのUIや導線の改善を図ることも重要なポイントです。一例として、広告→LP→決済ページと遷移するケースを考えてみましょう。LPの段階で離脱率が高くなっているようなら、次のような原因が考えられます。

  • 広告とLPの訴求内容にずれがある
  • LP内で提供されている情報がニーズに合っていない
  • 購入を決断するために必要な情報が提供されていない
  • LPが整理されておらず、どこに何の情報が載っているのかわかりにくい
  • 決済ページへ遷移するボタンが見つけにくい

まずはデータを元に離脱率が高いポイントを探り、改善すべき点を明確にしましょう。

対策4:入力フォームの最適化を図る

ユーザーにフォームへの入力を促す場合には、入力フォームの最適化がコンバージョン率の改善につながるケースも少なくありません。フォーム完了率が低いようなら、入力項目を絞ったり、ポップアップなどによる入力補助の機能を付け加えたりするとよいでしょう。

必要な情報が多岐にわたるようなら、ユーザーの入力を効果的に補助するEFOツールなどの導入を検討するのもひとつの方法です。入力フォームはユーザーの離脱が生じやすいポイントでもあるため、できるだけユーザーの負担を軽減するための対策を講じておくことが大切です。

ユーザー視点に立った改善策を講じてCVR向上を実現しよう

WEBマーケティングにおいてコンバージョン率が重視されているのは、WEBサイトの改善やWEB広告施策の効果を測るための重要な指標となるからです。CVRの改善は、最終的に売上やビジネスの成果にも直結します。コンバージョン率を高めることで、事業に対するWEBサイトの貢献度を大きく高めることも決して不可能ではありません。

コンバージョン率の改善に取り組む際には、いかにユーザーの視点に立てるかが重要なポイントとなります。今回紹介したコンバージョン率の改善策を参考に、ユーザー視点に立った改善策を講じてCVR向上を実現しましょう。

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記事執筆

ダイレクトマーケティングラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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