LPOとは?SEO・EFOとの違いや検証・改善の手順を解説
2025年05月28日 07:00
この記事に書いてあること
LP(ランディングページ)が効果的に機能しているかどうかは、CVR(コンバージョン率)を高める上で重要なポイントの1つです。LPを最適化し、CVRの向上を図る施策はLPO(Landing Page Optimization)と呼ばれます。
今回は、LPOが必要な理由や検証・改善の手順について、わかりやすく解説します。LPOを成功させるためのポイントとあわせて見てきましょう。
LPOとは
はじめに、LPOとはどのような施策であるのか、基本事項を整理します。SEOやEFOとの違いを明確に理解しておくことが大切です。
ランディングページ最適化(Landing Page Optimization)
LPO(Landing Page Optimization)は、「ランディングページ最適化」と訳されます。LPをユーザーのニーズに合わせて改善し、CVRの改善を図るための施策のことです。
たとえば、広告のCTR(クリック率)には問題がないにもかかわらず、CVRが低迷しているようなケースでは、LPに課題が潜んでいることが少なくありません。ユーザーの行動を妨げている要因を特定し、適切に改善を図ることがLPOの主な目的です。
SEOとの違い
SEO(Search Engine Optimization)とは、「検索エンジン最適化」のことを指します。検索サイトにおける上位表示を目指し、Webサイトの訪問者を増加させることが主な目的です。
一方、LPOはLPを訪問したユーザーのCVRを向上させることが目的の施策である点が異なります。LPOが効果を発揮するには、そもそもLPを訪問するユーザーの母数が確保されていなければなりません。したがって、SEOとLPOはWebサイト(LP)が抱えている課題に応じて使い分けていくべき施策といえるでしょう。
EFOとの違い
EFO(Entry Form Optimization)とは、「エントリーフォーム最適化」のことを指します。エントリーフォームに到達したユーザーが、何らかの要因により離脱してしまうのを防ぐための施策です。
EFOとLPOの大きな違いは改善すべき対象にあります。EFOではエントリーフォームに特化して改善を試みるのに対して、LPOではLPに特化して改善を試みる点が大きな相違点です。いずれもCVRを向上させるための施策である点は共通しているため、CVRが伸び悩んでいる原因ごとに講じるべき施策を選択する必要があります。
LPOが必要な理由

そもそも、なぜLPOに取り組む必要があるのでしょうか。主な理由として挙げられるのは、「SEOや広告施策の効果を高めるため」「CVRを高めROI(投資対効果)の向上を図るため」の2点です。
SEOや広告施策の効果を高めるため
1つ目の理由は、SEOや広告施策の効果を高める上で必要な施策となるからです。広告を出稿したり、SEOによるWebサイトへの流入増を図ったりしても、コンバージョンがあまり増えない場合があります。このようなケースでは、LPの構造やデザインなどに問題があるのかもしれません。LPを訪れたユーザーが求めている情報に到達できず、離脱してしまっている可能性があります。
アメリカのミズーリ工科大学の研究によると、Webサイトを閲覧するユーザーは、最初の約0.2秒でWebページの第一印象を判断し、約2.6秒で、第一印象に最も影響を与える部分を判断しているとされます。最初に訪れたLPの印象は、ユーザーがWebサイト内のその後の行動を決める非常に重要な要素です。
参考:First impressions form quickly on the web, eye-tracking study shows | ScienceDaily
CVRを高めROI(投資対効果)の向上を図るため
2つ目の理由は、CVRを高めて広告やSEOの投資対効果を高める必要があるからです。広告やSEO施策によってWebサイトの訪問者を効果的に確保できていたとしても、肝心なコンバージョンの段階でユーザーが離脱しているようでは成果につながりません。集客したユーザーを着実にコンバージョンへと導き、機会損失をできるだけ回避するための取り組みが求められます。マーケティング活動を効果的に推進するには、集客を目的とした広告やSEOと集客した顧客をコンバージョンへ導くLPOをそれぞれ別の施策として捉えるのではなく、連動して実施していくのが重要なポイントです。
LPOにおける検証・改善の手順

ここからは、LPOにおける検証・改善の具体的な手順について解説します。LP改善に向けて必要な取り組みを9つのステップで示していますので、1つずつ着実にクリアしていきましょう。
1. 商品や顧客への理解を深める
第一に求められるのは、商品や顧客への理解を深めることです。ユーザーの視点に立ち、LPを目にした際の心理状態や、そこから促される行動について深く分析します。自社側の論理にもとづいてユーザーの行動を予測するのではなく、初見のユーザーの視点に立って分析を進めることが重要です。
たとえば、社内ではごく自然に受け入れられている商品の訴求ポイントであっても、初見のユーザーにとっては理解しにくい表現が含まれているかもしれません。Web施策に携わっていない別部門の社員にLPを見てもらい、率直な感想をヒアリングするなど、先入観を排して商品・顧客への理解を深めていくことが大切です。
2. KPIを設定する
次に、LPOを通じて達成すべき目標を設定します。具体的には、売上や販売点数といったKGI(重要目標達成指標)を達成するために必要とされるCVRを逆算して割り出すなど、定量的かつ現実的なKPI(重要業績評価指標)を指標として設定するのがポイントです。
たとえば、「CVRをできるだけ向上させる」といった抽象的な目標では、実際にどれだけCVRが改善すればLPOの目的を達成できたといえるのかが不明です。「CVRを10%向上させる」など、KGIの達成に向けて必須となる具体的なKPIを設定することが大切です。
3. ペルソナを設定する
設定したKPIを達成するために、「誰に向けてメッセージを伝えるためのLPか」をあらためて検討します。万人に向けて発信されているメッセージは、結果として誰にも響かないケースが少なくありません。ターゲットを絞り込み、特定の1人に向けて発信するほうが効果的なメッセージとなる可能性が高いでしょう。
ターゲットを絞り込むには、実在する1人を想定した「ペルソナ」を設定するのがポイントです。既存顧客の傾向やアクセスの多いユーザー層の属性などから、実在する1人の人物としてペルソナを形成しておくことをおすすめします。
4. 現状の問題点を分析する
ここまでの準備が完了したら、いよいよLP改善に向けた具体的な施策の検討へと移っていきます。はじめに、現状のLPが抱えている問題点を分析しましょう。具体的には、定量調査と定性調査を実施します。
定量調査では、LPのアクセス解析やヒートマップ分析などを通じて現状のLPの状況を数値面から明らかにしていきます。LPへの流入が多い広告やキーワード、ユーザーの離脱率や離脱しやすい地点などを特定することにより、改善ポイントを絞り込んでおくことが大切です。
定性調査では、ユーザーの行動の傾向やレビューなどを分析します。ユーザーアンケートを実施するのがベストですが、現実的でない場合には別部門の社員に感想をヒアリングするといった方法も有効です。LP施策の当事者が気づいていなかった課題を指摘してもらうことにより、新たな改善ポイントが見えてくるケースも少なくありません。
5. 問題点の解消につながる仮説を立てる
洗い出した問題点に対して、どうすれば解消できるのか仮説を立てましょう。具体的なアプローチ方法から検討し始めるのではなく、問題点を解消するには何が必要なのかを先に考えておくことが重要です。
たとえば直帰率が高い場合、直接的な対策として考えられるのは「直帰率を下げるための施策を講じる」ことです。一方で、そもそもなぜ直帰率が高いのかを深掘りしておかなければ、表面的な対策に終始してしまいかねません。LPのファーストビュー(ユーザーが最初に目にする部分)をじっくりと分析した上で、「ユーザーが求めている情報との間にずれが生じているのではないか」「ペルソナに響かないキャッチコピーを掲載しているのでないか」といった仮説を立てておく必要があります。
6. アプローチの方向性を決める
仮説にもとづき、具体的なアプローチの方向性を定めていきます。主なアプローチの方向性は下記の4パターンです。
- ・共感:ユーザーの悩みに共感を示す 例)〇〇に困っていませんか?
- ・理解:悩みの解消につながることを示す 例)〇〇の悩みはこれで解決!
- ・信頼:信頼できる商材であることを示す 例)〇〇大学 △△△△教授 監修
- ・行動:具体的な行動を促す 例)今すぐ〇〇を始めましょう!
ペルソナの検討段階が低いケースが多いことが想定されるようなら、共感や理解を打ち出すのが得策です。反対に、検討段階が比較的高いケースも多いようなら、信頼や行動をアプローチの方向性として定めたほうがコンバージョンにつながりやすいでしょう。
7. 施策の優先順位を定める
LPOでは複数の施策を実施するケースが少なくありません。ただし、複数の施策を同時並行で実行するのは避けましょう。一度に複数の施策を講じてしまうと、効果が得られた際にどの施策が成果につながったのか見極められなくなってしまうからです。
施策は1つずつ実行し、効果検証を経て、次の施策へと移るのが基本です。そのためには、講じる施策の優先順位を定めておく必要があります。問題点の解消によりつながりやすいと思われる施策から順に、優先順位を付けていくのがおすすめです。
8. 効果を検証する
LPO施策によってどれだけの効果が得られたのかを検証します。施策の実行と効果検証は常にワンセットと捉えてください。効果検証を行わないまま放置したり、新たに別の施策を講じたりすることは避けましょう。
効果検証を進めやすくする工夫として、ABテストが挙げられます。ABテストとは、特定の1カ所だけを変更したパターンAとパターンBの2種類を用意し、どちらがより効果的であるかを検証するというテストの手法です。比較対象があるため、より効果が高いパターンを容易に見極められます。
9. PDCAサイクルを回して改善を重ねる
LPO施策を講じたことによって、はじめから劇的な改善につながるとは限りません。むしろ、1つの施策を講じた段階で大きく改善するのはレアケースといえるでしょう。PDCAサイクルを回し、検証と改善を繰り返しながらより成果につながりやすいパターンを見つけていくことが大切です。
LPOを成功させるためのポイント

LPOを成功させるには、どのような点に留意すればよいのでしょうか。とくに重要度の高い4つのポイントをまとめました。
ポイント1:ファーストビューに注力する
LPを訪れたユーザーが最初に目にする領域には、とくに気を使う必要があります。ユーザーが興味を引かれ、続きをスクロールして読んでみたいと感じるかどうかが重要です。具体的には、下記の要素が含まれているかを確認しましょう。
- ・シンプルかつインパクトのあるキャッチコピーが目に飛び込んでくるか
- ・商材の魅力が十分に伝わる画像が掲載されているか
- ・ユーザーの行動を促す導線(CTAボタン)が設置されているか
いずれの要素も、単に目立てばよい、インパクトがあればよいというものではありません。ペルソナの年齢層・性別・価値観・ライフスタイルといった属性に合わせて訴求することが重要です。
ポイント2:広告との統一性を重視する
流入元の広告とLPの一貫性・連続性を意識するのも大切なポイントの1つです。広告に興味を引かれてクリックしたユーザーは、想定していたイメージと異なるLPが表示されることによって戸惑い、ページを閉じてしまいやすくなります。
たとえば、バナー広告に使用している画像素材とLPに掲載している画像素材は同じもののほうが、一貫性・連続性を感じやすい傾向があります。また、キャッチコピーや訴求文のトーンをそろえることも重要です。ユーザーの視点に立ち、広告と無関係なページが表示されたかのような印象を与えないようにしましょう。
ポイント3:ページの読み込み速度を上げる
ページの読み込み速度をできるだけ上げることも大切です。ユーザーが検索結果や広告に興味を抱いてクリックした場合、すぐに遷移先のページが表示されないとストレスを感じる原因となります。表示を待つ間に興味関心が移り変わり、ページを閉じてしまう結果を招きかねません。
LPに掲載する画像はできるだけ軽くなるよう、必要以上に高画質のものを使用しないほうが得策です。また、サーバーのプランを見直すことで表示速度の改善が見込めるようなら、費用対効果を考慮した上でプランの変更も検討しましょう。
ポイント4:スマートフォン表示の最適化を図る
スマートフォンに最適化された表示になっているかどうかも、必ずチェックしておきたいポイントの1つです。近年はスマートフォンでWebサイトを閲覧するユーザーが増えています。スマートフォンの画面サイズで閲覧・操作しにくいUIになっていないか、複数の機種で確認しておきましょう。
レスポンシブデザインへの対応はもちろんのこと、スマートフォンで表示した場合のファーストビューもチェックしておく必要があります。キャッチコピー・イメージ画像・CTAボタンが意図とは異なる配置になっていないか、十分に確認しておくことが大切です。
LPを最適化してコンバージョンの強化を実現しよう
LPOはコンバージョンを改善する上で欠かせない取り組みといえます。とくにLPの訪問者数が想定どおりに確保できているにもかかわらず、コンバージョンにつながっていないようなら、LPに問題が潜んでいる可能性を疑うべきでしょう。今回紹介した検証・改善の手順や成功のポイントを参考にLPの最適化を図り、コンバージョンの強化を実現してみてはいかがでしょうか。
記事執筆
ダイレクトマーケティングラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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