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オプトインとオプトアウトの違いとは? 個人情報保護法とのかかわりとあわせて解説

From: ダイレクトマーケティングラボ

2025年01月15日 07:00

この記事に書いてあること

企業がメールマガジンやメール広告などを配信する際、必ず押さえておくべき仕組みとして「オプトイン」「オプトアウト」が挙げられます。個人情報の取り扱いとも密接にかかわっている事項のため、「知らなかった」「把握していなかった」といったことのないよう注意しなくてはなりません。

今回は、オプトイン/オプトアウトの違いや個人情報保護法とのかかわりについて、わかりやすく解説します。メールマガジン配信時の注意点もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

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オプトイン・オプトアウトとは

はじめに、オプトイン/オプトアウトとは何を表しているのか、基本事項を確認しておきましょう。

オプトイン方式の仕組み

オプトインとは、もともと「許諾の意思を表明すること」を表す言葉です。転じて、メールマガジンやメール広告を送る際、個人情報の取得や利用についてユーザーの承諾を得た上で配信することを表すようになりました。

メールマガジンの配信であれば、個人情報を取得・利用する旨を明示し、ユーザーが承諾したことをもって配信を開始します。もしユーザーが承諾しないようであれば、そのユーザーにはメールマガジンが配信されません。このような仕組みで運営されているのが「オプトイン方式」のメールマガジンです。つまり、受信者側に主導権が与えられているのがオプトイン方式といえます。

オプトアウト方式の仕組み

オプトアウトとは、情報の受け取りや利用を拒否することを表す用語です。メールマガジンやメール広告においては、ユーザーが受信拒否の意思表明をしない限り配信されることを「オプトアウト方式」といいます。送信者側が主導権を握っている点が特徴です。

オプトアウト方式は、Webサービスなどに用いられています。建物などの持ち主に事前の確認なく、すべてのストリートビューを掲載しているGoogleストリートビューは、オプトアウトの好例です。画像を掲載してほしくない場合、ユーザー側から申請することによって画像が削除される仕組みになっています。

オプトイン・オプトアウトの具体例

メールマガジンへの登録を例に、オプトインとオプトアウトの具体例を見ていきましょう。

オプトイン方式の場合、メールマガジンを登録する際の入力フォームに「個人情報の取得や利用を承諾します」などのチェックボックスが設けられています。ユーザーが自分の意思でチェックマークを入れない限り、メールマガジンが配信されることはありません。

オプトアウト方式の場合、ユーザーの許可なく取得した個人情報にもとづいてメールマガジンが配信されます。メールマガジンを受け取りたくないユーザーは配信停止の申請をすることにより、受け取りを拒否できるという仕組みです。

現在、特定電子メール法と特定商取引法によってメール配信はオプトイン方式のみと定められています。許諾なく一斉にオプトアウト・メールを送ることは、法律で禁止されている点に注意が必要です。

オプトインは個人情報保護法により義務化されている

オプトアウトによる個人情報の第三者提供は、もともと個人情報保護法によって禁止されていました。つまり、企業がメールマガジンや広告メールを配信する際には、必ずオプトイン方式を採用する必要があります。メールの配信方法に関して、個人情報保護法が定めている要件を確認しておきましょう。

2020年の改正に伴い追加された要件

個人情報保護法は2020年に改正されていますが、これ以前から要配慮個人情報をオプトアウト方式で第三者に提供することは禁止されていました。要配慮個人情報とは、個人の人種や身分、身上、病歴、犯罪歴などに配慮を要する情報のことを指します。

2020年の改正に伴い、要配慮個人情報に加えて「不正な手段で取得された個人情報」ならびに「オプトアウトによって取得した個人情報」については、利活用が原則禁止となりました。プライバシーポリシーなどに必要事項を記載した上で、ユーザー本人の申し出により個人情報の第三者提供を停止できる場合に限り、オプトアウト方式を採用できます。ただし、所定の要件を満たしていることについて、事前に個人情報保護委員会に届出が必要です。

オプトインの要件

メールアドレス登録の際に、個人情報に関する確認事項に含めるなど何らかの方法でユーザーから配信の許可を得た場合も、以下の点に注意が必要です。

広告メールの送付時には、送信者の氏名や住所などの情報や、配信停止ができる旨とその方法も明記しなければなりません。また、苦情や問い合わせの受け付けが可能な電話番号やメールアドレス、URLなども表示(リンク先での表示も可能)する必要があります。

個人情報の入手方法がわからないメールは、クレームやトラブルの原因となりがちです。取引先へメールマガジンなどを送る場合も、どのようにメールアドレスを入手したのか明記しましょう。

オプトアウト方式が認められている例

広告宣伝が主目的ではないメールに関しては、オプトアウト方式で送信することが認められています。たとえば、取引先との間で業務必要な連絡する場合や、名刺などの書面でメールアドレスを通知している場合などです。一方で、送信されるメールが通信販売などの広告であれば特定商取引法が適用されるため、相手の許諾なしに送ることはできません。

オプトインを行う際の注意点

オプトイン方式によるメール配信においては、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。主な注意点として、下記の3つが挙げられます。

  • 受信が承諾された旨を明確に伝える
  • 入力フォーム上で受信承諾を得る仕組みを取り入れる
  • 個人情報保護方針を明示する

受信が承諾された旨を明確に伝える

オプトインが成立するには、ユーザー側が自分の意思で個人情報の提供を承諾したことが明示されていなければなりません。ユーザーが気づかないうちに承諾したことになっているようでは、実質的にオプトアウト方式と変わらないからです。

よって、送信されるメールが広告目的であること、受信を承諾したことになる旨を、見やすい場所にわかりやすい表現で掲載しておく必要があります。また、受信承諾が得られた日時や同意を得た方法についても記録し、保存しておくことが大切です。

入力フォーム上で受信承諾を得る仕組みを取り入れる

受信承諾は、ユーザーが自分の意思で表明したことを明確にする必要があります。個人情報の取得・利用について、いつどのような方法で同意したのかユーザー自身が認識できないのであれば、同意を得たことにはなりません。

一般的には、メールマガジンなどの入力フォーム上にチェックボックスを設け、受信を承諾する場合にはユーザー自身がチェックを入れる方式にするパターンが多く見られます。チェックボックスが空欄の状態ではメールマガジンの登録が完了しないようにするなど、確実に受信承諾を得た状態でメールが配信される仕組みを整えておくことが大切です。

個人情報保護方針を明示する

企業としての個人情報保護方針をまとめたページを作成し、オプトインによる個人情報の取得・利用に関する項目を設けることをおすすめします。前述の入力フォーム上への記載とあわせて、個人情報保護方針を明示することで、より確実にユーザーの同意を得たことを立証できるからです。

たとえば、ユーザーがメールマガジンへの登録や資料ダウンロードを行う際、個人情報保護方針ページの閲覧を必須にするといった対応が想定されます。個人情報保護方針ページを別ウィンドウで表示した上で、「同意する」ボタンを押下しない限り、登録やダウンロードボタンがアクティブにならない仕組みにするのもおすすめの方法の1つです。

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オプトアウトを行う際の注意点

前に述べたとおり、広告宣伝が主目的のメールは原則としてオプトイン方式による個人情報の取得・利用が前提となります。一方で、下記の事項をあらかじめ申請しておくことにより、オプトアウト方式によるメール配信も可能です。

  • 個人情報を第三者に提供する旨
  • 対象となる情報
  • 情報の提供方法
  • 配信を停止する手段

以上の届出を完了させた上で、次に挙げる2つの留意点を押さえておく必要があります。

オプトアウトの方法をわかりやすく記載する

企業がオプトアウト方式によるメール配信を行う旨を、見やすい場所にわかりやすく記載しておくことが重要です。ユーザーがページをスクロールしなければ読めない場所に記載したり、小さく読みにくい色の文字で示したりするのは避けましょう。

多くのユーザーは、自身が希望していないメールを基本的に受け取りたくないと考えています。仮に望んでいないメールが配信されたとしても、個人情報がどのように提供されたのか、どうすれば配信を停止できるのかが容易にわかることで、企業への信頼が損なわれるのを防ぎやすくなるでしょう。

配信停止リンクをはっきりと示す

オプトアウト方式によって配信されたメールは、いつでも簡単に配信を停止できる仕組みにしておく必要があります。配信停止リンクはわかりやすい場所にはっきりと示し、ユーザーが時間や手間をかけることなく解除できるようにしておくことが大切です。

たとえば、配信停止リンクがどこに設置されているのかわかりにくかったり、解除方法が複雑で理解しにくかったりするようでは、配信を停止する手段を適切に提供しているとはいえません。また、ユーザーが配信停止を希望し、所定の方法で申請したにもかかわらず、メールが届き続けるといったことのないよう、配信停止の処理を確実に行う必要があります。

メールマガジン配信時のチェックポイント

オプトイン方式によるメール配信の代表例として、メールマガジンが挙げられます。メールマガジンを配信する際にチェックしておくべきポイントは下記の4点です。

  • 容易に受信拒否が可能な導線が設けられているか
  • 送信者情報が明記されているか
  • 配信に同意した履歴が保管される仕組みになっているか
  • BCCで一斉配信される仕組みになっていないか

容易に受信拒否が可能な導線が設けられているか

メールマガジンの配信を停止するためのリンクやページが、ユーザーにとって見つけやすいかどうかを必ずチェックしましょう。配信停止リンクが設置されているかどうかではなく、ユーザーが容易に見つけられるかどうかがポイントです。

たとえば、「配信停止はこちら」と表記されたリンクをクリックしても、遷移先ページのファーストビューが配信停止に必要な情報ではなかった場合、ユーザーは遷移先のページで配信停止リンクを探さなくてはなりません。また、配信停止リンクに到達するまでに必要なクリック回数が多すぎるのも望ましくないでしょう。配信停止リンクを容易に見つけられるか、ユーザーの視点に立ってチェックしておく必要があります。

送信者情報が明記されているか

メールマガジン登録時の入力フォームに、送信者情報が明記されているか確認しておくことが大切です。どの企業からどのような内容のメールが送られてくるのかをユーザーが認識していなければ、オプトインの要件を満たしているとはいえません。また、オプトアウト方式の場合は、送信者の名称や連絡先を明記することが特定電子メール法にて義務付けられています。

よくあるパターンとして、企業名とブランド名などが異なっており、配信されるメールに記載されているブランド名と企業名が結び付かないといったケースが挙げられます。このような場合は、ブランド名やメールマガジンのタイトルなどを入力フォーム上に明示し、どの企業から配信されているメールであるのかをユーザーが識別できるようにしておくことが大切です。

配信に同意した履歴が保管される仕組みになっているか

オプトイン方式によって配信されたメールに対して、ユーザーが配信に同意した履歴が保存される仕組みになっているか必ず確認しておきましょう。履歴の保存期間は原則として配信停止日から1カ月間です。ただし、特定電子メール法による改善措置を受けた場合は、1年間の保存が義務付けられる点に注意してください。ユーザーが配信に同意した履歴が、所定の期間確実に保存される仕組みになっていることを確認した上で、メールマガジンの配信を開始することが重要です。

BCCで一斉配信される仕組みになっていないか

メールマガジンをBCCで一斉送信するのは避けましょう。実際、BCCで送信すべきメールを誤ってCCで送付してしまったために、ユーザーのメールアドレスが漏えいするといった事案が過去に複数発生しています。メール配信ツールやMAツールを活用するなど、ヒューマンエラーによる情報漏えいを防ぐための仕組みを整えておくことが大切です。

いかにユーザーから多くの許諾(パーミッション)を得るかが成功のカギ

ここまでに見てきたとおり、オプトアウト方式によるメール配信は原則として禁止されています。よって、メールマーケティングを実施する際には、ユーザーからいかに多くの許諾(パーミッション)を得るかが成功のカギとなるでしょう。ユーザー自身が求める情報を得るために進んでメールマガジンを購読したり、広告メールにメリットを感じて自ら登録したりすることで、必然的にユーザーの承諾を得ていることになるからです。

たとえば、WebサービスやECサイトなどに登録する際、メール送信の可否を事務的に確認するだけでなく、さまざまな特典を付けるのは有効な方法といえるでしょう。メール送信の許可を初回トライアル価格や割引の条件とするなど、パーミッションの獲得率を上げる工夫をしてみてはいかがでしょうか。

メールマガジン読者獲得による効果とリーチの限界

メールマーケティングは、デジタルマーケティングのうちもっとも古い手法の1つです。一方で、デジタルマーケティングの手法が多様化した昨今においても、メールマガジン経由でWebサイトを訪問したユーザーは、SNS経由で訪問したユーザーよりもコンテンツを共有する可能性が高く、商品購入率についても他のチャネルと比べて高いという調査結果があります。つまり、メルマガ読者を多く獲得することは、見込み客の獲得や売上拡大に寄与する可能性が高いと考えられるでしょう。

一方で、メール受信のパーミッション率は決して高くはありません。一般的に、パーミッションが得られる確率は30%程度、許諾を得て送ったメールの開封率も20%程度といわれています。

このデータを掛け合わせると、メールでユーザーにリーチできる確率はわずか6%程度であり、残りの94%のユーザーにはリーチできていないことになります。このことからも、メールマーケティングに限った施策にとどまらず、メール以外の手法と組み合わせてマーケティング戦略を立てていくことが重要です。

オプトイン・オプトアウトのルールを確実に押さえておこう

メールマーケティングは、ユーザーにとって関心の高い情報をタイミングよく届けることにより、コンバージョン率の向上が期待できる戦略です。一方で、オプトイン方式がルール化されている今、メール受信のパーミッション獲得を成功させられるかどうかが重要なポイントといえます。

デジタルマーケティングの分野においては、メールのリーチ率の低さだけでなく、WeB広告のブロックなどの課題があるのが現状です。そんな中、デジタルに重きを置いたマーケティング戦略が見直され始めています。

今後はデジタル施策一辺倒ではなく、紙のDMとEメールを組み合わせて、両者を適切なタイミングで送付するなど、デジタルとアナログを融合活用するマーケティングがいっそう求められていくでしょう。

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記事執筆

ダイレクトマーケティングラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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