PDCAはもう古い?現代マーケティングでの活用法と失敗事例
2019年12月27日 00:00
この記事に書いてあること
【2026年1月28日 更新】
ビジネスシーンでは、しばしば「PDCAを回す」といった言い回しを耳にします。一方で、「PDCAはもう古い」といわれるケースもあるため、担当業務に取り入れるべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、マーケティングにおけるPDCAの回し方や、活用するメリットについてわかりやすく解説しています。PDCAが「古い」といわれる理由や、代替となる手法、よくあるPDCAサイクルの失敗例とその対策も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
PDCAサイクルとは
PDCAとは、「Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善)」のことを指します。はじめに、このサイクルを用いる目的と必要とされている理由について整理しておきましょう。

継続的な業務の改善や効率化を図るための手法
PDCAサイクルは、継続的な業務の改善や効率化を図るために用いられる手法です。「Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Action(改善)」の各プロセスには、次の事項が含まれています。
- 計画(Plan):具体的な目標を設定し、目標達成に向けた行動計画を策定します。
- 実行(Do):行動計画を実行へと移し、その効果を測定します。
- 評価(Check):計画と実績との差異を把握し、行動の評価・分析を行います。
- 改善(Action):課題や問題点を抽出し、改善すべき点を次の計画へと反映させます。
1から4までのプロセスを一巡して終わるのではなく、改善策を次の計画へと反映させることによって、一連のサイクルが回り続けることになります。この繰り返しによって、業務の質や効率を高めていくことが重要なポイントです。
PDCAサイクルはなぜ必要とされているのか
PDCAサイクルが必要とされている理由は、大きく2つあります。
改善ノウハウを蓄積するため
PDCAサイクルを回すことによって、改善に向けたノウハウが徐々に蓄積されていきます。計画を実行したのち、成功・失敗を問わず必ず評価を行い、改善策を見出す仕組みになっているからです。たとえ失敗しても「なぜうまくいかなかったのか」をきちんと究明し、対策を講じることで同じ失敗を繰り返すリスクを抑制できます。こうして評価・改善を繰り返すことにより、最終的なゴールに近づく確度やスピードの向上につながるのです。
市場や環境の変化に柔軟に対応するため
計画の進捗状況や行動の結果を意識することなく仕事をしていると、現状がうまくいっているのか、改善する余地はあるのかが見えにくくなっていきます。結果として現状に満足してしまい、より良い仕事の進め方や新たな取り組みが見出せなくなりがちです。評価・改善を繰り返し、成長し続けていくためのPDCAサイクルは、新たな気付きをもたらし、柔軟な発想を生み出すための有効な手法といえます。
マーケティングにおけるPDCAの回し方

ここからは、主にマーケティング領域においてPDCAサイクルを回す方法を解説します。各プロセスにおける基本的な考え方を、具体例とともに見ていきましょう。
【Step1】Plan(計画)
計画を立てるにあたって、まずは定量/定性目標を設定し、それぞれの目標に対して期限を設けます。目標に対する現状とのギャップを把握し、5W2Hを意識してギャップを埋めるための解決策(仮説)を行動計画に落とし込みましょう。
【5W2H】
- ・誰が(Who)
- ・いつ(When)
- ・どこで(Where)
- ・何を(What)
- ・なぜ(Why)
- ・どのように(How)
- ・いくらで(How much)
たとえば、「自社のECサイトへの訪問者数を1年間で1.5倍にする」という目標を立てた場合、まずは次の現状を把握する必要があります。
【現状把握の例】
- ・ユーザー数:〇〇
- ・月間PV数:〇万PV
- ・サイトにたどりつくパターンでもっとも多い比率:リスティング広告
- ・サイトにたどりつくパターンでもっとも少ない比率:検索エンジン
- ・平均ページ滞在時間:〇分
この例では、検索エンジン経由の流入が少ないことが課題として挙げられます。その解決策として、「コンテンツを充実させる」「検索キーワードを再検討する」といった方策が導き出されるのです。
【Step2】Do(実行)
次に、計画の段階で立てた仮説をもとに行動計画に沿って実行へと移します。Doの段階では、計画を行動に移したことでどのような結果が得られたのかを記録することが重要です。うまくいった場合もうまくいかなかった場合も、事実をありのまま記録しておく必要があります。
【行動例】
- ・検索キーワードを選定する
- ・コンテンツを毎日1つアップする
- ・SNS更新を3日に1回必ず行う
【Step3】Check(評価)
Checkの段階では、計画した目標に沿って実行できたか、その行動が成果に結びついたのか、といった点を定量的に測定し、1つずつ評価していきます。目標に対して未達の場合、何が問題だったのかを究明するのはもちろんのこと、成功した場合に関しても要因を分析することが大切です。これらの検証結果から導き出された問題点を取りまとめ、優先的に解決すべき問題は何かを検討しましょう。
【評価例】
- ・コンテンツやSNSの更新は計画どおりに進められた
- ・選定したキーワードの中には狙いどおりの流入につながらなかったものもあった
【Step4】Action(改善)
Actionの段階では、検証結果から見えてきた課題に対する解決策を考え、具体的な改善へとつなげます。一度にすべての課題を解決しようとするのではなく、優先順位をつけて取り組むことと、次のサイクルにおける「Plan」に反映させることを意識するのがポイントです。
また、改善点だけでなく良かった点を持続させていくことも大切です。PDCAサイクルを回す過程で試行錯誤を繰り返すこと自体が、ノウハウの蓄積へとつながっていきます。
【改善策の例】
- ・コンテンツは担当者だけでなく、チーム全体で企画する
- ・SNSのほか、コーポレートサイトでも情報を発信していく
- ・アクセスが好調だったコンテンツは更新を継続する
PDCAサイクルを活用する3つのメリット

PDCAサイクルを活用することで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な3つのメリットについて解説します。
1. やるべきことが明確になる
PDCAサイクルでは計画・実行・評価・改善の見通しがあらかじめ示されるため、チームや個人が「何を目指すために」「どのような行動を取るべきか」が明確になります。これから何をするべきか、その行動によって何が得られるのか、といったことを都度考えるのではなく、各プロセスに沿って迷うことなく活動しやすくなる点が大きなメリットです。
2. 目標達成の確度が上がる
最終的な目標を達成できる確率が高まることも、PDCAサイクルを取り入れるメリットといえます。失敗から改善点を見出すサイクルを繰り返すことにより、最終的に失敗のまま終わってしまうリスクを抑えられるからです。たとえ仮説どおりの成果が出なかったとしても、何が原因だったのかを考え、繰り返し改善を図っていくことで、目標達成へと着実に近づけるでしょう。
3. ノウハウを蓄積できる
PDCAサイクルを回すこと自体が、ノウハウの蓄積につながるというメリットもあります。各プロセスで何を実行し、どのような成果を得たのかを記録しておくことにより、成功パターンが蓄積され自社の資産になっていくからです。ノウハウの蓄積という点では、成功パターンだけでなく失敗のパターンも重要な資料となります。同じ失敗を繰り返すリスクをできるだけ抑えることにより、さらに短期間で成功を目指せる可能性が高まっていくでしょう。
PDCAは「古い」といわれる理由と代替となる手法

PDCAサイクルは長年にわたってビジネスシーンで活用されてきた手法です。ところが近年、「PDCAはもう古い」「現代のビジネス環境では通用しない」といったことも指摘されつつあります。なぜこのようなことがいわれるようになったのでしょうか。PDCAに代わる3つの手法とともに解説します。
PDCAサイクルが古いとされる主な理由
PDCAサイクルが古いとされているのは、各プロセスに時間がかかる傾向があるからです。PDCAサイクルの特性上、計画→実行→評価→改善のプロセスを経なくてはなりません。1サイクルごとに一定期間を要することから、変化のスピードが速い現代には合わないと捉えられている面があるのです。
また、既存の課題に対して改善策を考えることになるため、まったく新しいアイデアや斬新な発想が生まれにくいともいわれています。イノベーションが求められる現代のビジネス環境に適さないといわれているのはこのためです。
そもそもPDCAサイクルは、どのような状況下でも通用する万能な手法ではありません。これはPDCAサイクルに限らず、どのフレームワークにも当てはまることでしょう。PDCAサイクル自体が「古い手法のため活用できない」のではなく、取り入れるべきシーンを見極めて活用していくことが求められているのです。
PDCAサイクルを適用しにくい状況に直面した際には、代替となる手法を用いるのも1つの考え方です。代替手段として「OODAループ」「PDRサイクル」「STPDサイクル」が挙げられます。
手法1:OODAループ
OODA(ウーダ)ループは、「観察」が起点になっている点が特徴的な手法です。
- ・Observe(観察):状況を観察し、実態を明らかにする
- ・Orient(判断):収集した情報から状況を判断する
- ・Decide(決定):状況判断にもとづいて実行計画を立てる
- ・Act(行動):計画に沿って行動し、結果を観察する
現状を見極めて即座に行動へと移せることから、目標を設定しにくい流動的な状況にも対応しやすい手法です。よって、新規性が高く前例がないビジネスなどに適しています。
手法2:PDRサイクル
PDRサイクルは、あえて計画を立てることなく準備から着手する手法です。
- ・Preparation(準備):施策を実行するための準備を整える
- ・Do(実行):施策を実行へと移す
- ・Review(評価):実行した結果を評価し、次の準備に取りかかる
計画ありきではないため、一連のサイクルを短期間で回しやすい手法といえます。実行する施策が先に決まっているような状況下において、取り入れやすい手法といえるでしょう。小さな単位で試行錯誤を繰り返すパイロットプロジェクトなどに適した考え方です。
手法3:STPDサイクル
STPDサイクルは、客観的な状況やデータを起点とする手法です。
- ・See(観察):現状を観察し、客観的事実やデータを収集する
- ・Think(分析):収集した情報から課題を抽出する
- ・Plan(計画):課題解決につながる計画を策定する
- ・Do(実行):計画に沿って実行し、結果を観察する
複雑な利害関係が絡んでいるような状況下においては、当初から計画を1つに絞りにくい場合があります。STPDサイクルは現状から得られる事実やデータをもとに計画を立てるため、現実的な解決策を導き出せる点が特徴です。既存のプロジェクトに参画する場合や、すでに確立されている販路の改善などに取り組む際に有効な手法といえます。
PDCAサイクルのよくある失敗例と効果的な対策

PDCAサイクルを十分に使いこなすには、コツをつかむ必要があります。コツをつかめていない段階でよくある失敗の例と、失敗の効果的な回避策を見ていきましょう。
設定した目標が曖昧、目標が高すぎる
そもそも計画に無理があると、計画倒れとなってしまうリスクが高まります。計画段階では具体的かつ実現可能な目標を設定し、確実に次のサイクルへとつなげることが大切です。
失敗を防ぐ対策として、目標を明確にすることが挙げられます。たとえば「営業成績を上げる」という目的を達成するためには、いつまでに何の分野で何件の受注を獲得するという具体的な目標を立てることが必要です。目標が決まったら、達成したい時期から逆算してスケジュールを立てましょう。
計画に時間がかかりすぎている
計画策定から実行へと移すまでの期間を長く設定してしまうと、その期間中に状況が変化している可能性があります。PDCAサイクルにおける計画は、最終的な計画ではありません。サイクルを繰り返し回しながら、改善を重ねていくことに意義があります。
完璧な計画を目指すのではなく、計画を速やかに実行へと移すことを重視しましょう。また、行動後の評価・改善の段階では改善案に優先順位をつけ、一度にすべての課題解決を目指そうとしないことも重要なポイントです。
サイクルが途中で止まっている
PDCAサイクルの途中段階で流れが止まってしまい、先に進めなくなっているパターンです。とくにCheck(評価)→Action(改善)の段階で具体的な改善案がまとまらず、流れが滞りやすい傾向があります。
計画を策定する段階で「小さなゴール」を設定しておき、各ゴールに対する進捗状況を定期的に確認することが大切です。停滞する兆候が見られた際には早期に見直しを行い、場合によっては課題を分割したり、より優先順位の高い課題を次のサイクルへと進めたりする必要があるでしょう。
適切な評価がなされないまま回している
Check(評価)の段階で、十分な分析や評価がなされないまま改善策が話し合われているパターンも多く見られます。早く成果を出したいという思いが強い時ほど、焦って先へ進みがちです。
評価を適切に行うには、評価方法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。客観的な数値をもとに評価したり、事前に評価指標や分析方法を定めたりするのも有効な対策です。定量的な評価基準を定めることで、人によって評価に差異が生じるのを防ぐ効果も期待できます。
一度きりで終わっている
PDCAサイクルは繰り返し回していくことに意義があります。サイクルを一巡しただけで効果が実感できないのは、むしろ自然なことといえるでしょう。
PDCAの各プロセスにおいて、次のサイクルにつなげることを常に意識しておくことが大切です。進捗報告を会議等で報告する際には、問題の原因や反省点、良かった点などを振り返るフォーマットを決めておくことをおすすめします。これにより、次のサイクルにつながる形式の報告が上がりやすくなることに加え、原因と結果を結びつけて考える習慣が身につきやすくなるからです。
まとめ
PDCAサイクルをマーケティングに活かすには、この手法がそもそもどのような考え方で設計されているのか、どのような効果を狙っているのかを十分に理解しておくことが大切です。PDCAサイクルを回しながら業務を進めることは、企業の継続的な成長につながります。今回紹介したPDCAサイクルの回し方や失敗を回避するための対策を参考に、マーケティング活動の精度向上を図ってみてはいかがでしょうか。
記事執筆
ダイレクトマーケティングラボ編集部 (リコージャパン株式会社運営)
「ダイレクトマーケティングラボ」では、デジタルと紙の特性を理解しているリコーが、販売促進やマーケティングに携わるすべての方に、企業と顧客との最適なコ ミュニケーション施策のヒントをお届けします。
記事タイトルとURLをコピーしました!