パーソナライズDMとは?特徴やメリット、成功のポイントを解説

From: ダイレクトマーケティングラボ

2020年04月20日 00:00

この記事に書いてあること

マーケティングや販売促進に携わる方に向けて、これだけは知っておきたい!押さえておきたい!マーケティング用語を集めました。
基礎から応用まで、多岐にわたる用語を活用例なども含めてご紹介いたします。ぜひご活用ください。

近年、マーケティング業界で新たな手法が注目を集めています。パーソナライズDMはデジタルが主流だったマーケティング業界に、新たな風を吹き込んだ画期的な手法です。

この記事では、デジタル主体のマーケティング施策に課題を感じている人へ向けて、パーソナライズDMの特徴やメリット、成功のポイントや注意点を解説します。パーソナライズDMで成功した企業の事例も紹介しているので、是非参考にしてください。

パーソナライズDMとは

パーソナライズDMとは、顧客一人ひとりに向けて、内容やタイミングをカスタマイズして送るDM(ダイレクトメール)のことです。同じ情報を一斉に送る一般的なDMとは異なり、「顧客一人ひとりの属性やニーズ、趣味趣向などに合わせて作られたDM」を指します。

パーソナライズDMは、DMが持つ紙本来の強みに、デジタルデータを掛けあわせているのが特徴です。購買、行動履歴といった顧客データに基づいて、最適な情報を提供する手法や仕組みも整ってきており、パーソナライズの動きは今後ますます加速化すると考えられています。

なぜパーソナライズDMが注目されるのか

デジタル主流の時代でも、なぜメールではなく紙のDMが強いのでしょうか。ここでは、パーソナライズDMが注目を集める理由について解説します。

モノ(紙)をリアルに届けられる

現代社会は情報にあふれています。現代人が一日に受け取る情報量は、江戸時代の一年分ともいわれています。企業からのメールは日々届く他のメールに埋もれてしまい、開封すらされずに放置されたり、ごみ箱行きというのが現状です。TwitterやLINEの通知が無視されてしまうケースも珍しくはありません。

しかし、紙のDMは直接顧客の手元に届き目に留まります。また、手元に残ることで、時間が経っても見てもらえる、家族や会社内でも回覧されやすいというメリットもあります。紙のDMは、氾濫する情報の中でも埋もれないメディアといえるでしょう。

五感に訴えることができる

紙のDMは、豊かなデザイン表現で視覚に訴えるだけでなく、香りや手触りといった人の五感に訴えることもできます。学術的に、視覚と嗅覚を組合せると長期間記憶に残るといったことも証明されています。様々な感覚に訴えることで、顧客の心を動かし、記憶にも残る効果があるのです。

One to Oneマーケティングによって最適化できる

購買履歴やアンケートなどの結果をもとに、顧客一人ひとりに適したアプローチを紙のDMで実行できる点も、パーソナライズDMが注目されている理由のひとつです。デジタルと紙のDM双方のメリットを活かして特別感や所有感を演出しつつ、顧客のニーズにあった提案ができます。

パーソナライズDMのメリット

ここでは、パーソナライズDMを導入するメリットを2つ紹介します。

顧客の反応やコンバージョン率が上がる

企業によりばらつきはあるものの、メールの平均的な開封率は10%程度といわれています。それに対し、一般社団法人日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2018」によれば、紙DMの開封率は約80%。開封した人の内24%がその後インターネットで調べたり、店に出かけたりなど何らかの行動を起こしています。

メールの行動喚起率は0.3%前後といわれており、紙のDMが人を動かす力はメールの約80倍ということになります。さらに、パーソナライズDMは顧客一人ひとりにその人だけのDMが届けられるため、より顧客の心に響き、レスポンス率も上がるのです。

顧客満足度(CS)、顧客エンゲージメントの向上

One to Oneの最適化によって、顧客満足度や顧客エンゲージメントの向上が見込めます。パーソナライズDMは「私だけに」「私向けに」といった特別感を演出できるので、企業やブランドに対しての愛着や信頼感を高められるのです。

紙のDMは、テンプレートの一部を変えて印刷できるバリアブル印刷を用いることで、簡単にパーソナライズできます。例えば、宛名の部分を「お客様」や「各位」ではなく、「〇〇様」と個人名で記載することで目に留まりやすくなり、自分事としてとらえてもらえます。

パーソナライズDM成功のポイント

ここでは、パーソナライズDMを成功させるためのポイントについて解説します。

まずおさえるべき7つのポイント

パーソナライズDMを活用するための手順を解説します。おさえるべきポイントは7つです。

1)ターゲットの明確化

顧客データなどを参考にしながら、性別や年代など、行動パターンなど、どのような顧客をターゲットにするのか決定します。

2)パーソナライズする目的や効果の明確化

なぜパーソナライズするのか、「顧客との関係を維持したい」「リピーターを増やしたい」といった目的や効果を決めましょう。

3)何をパーソナライズするのか?

目的を達成するためには何をパーソナライズするのかも大切です。おすすめしたい商品や発送するタイミングなど、目的達成のためのシナリオを考えます。

4)必要なデータをそろえる

1)〜3)で明確化させた内容をもとに、必要なデータをそろえます。顧客データや商品の説明文、商品画像などがこれに当たります。

5)どこをパーソナライズするのか?

データや素材がそろったら、どのようなクリエイティブにするかを検討し、パーソナライズする箇所のバリアブル設定を行います。

6)印刷・発送

全ての内容が決定したら印刷して発送します。最近ではユーザーの行動に応じて、自動でパーソナライズDMを生成・印刷、発送する「ユーザートリガーDM」と呼ばれるものも出てきています。

7)効果測定

パーソナライズDMは発送して終わりではありません。発送後はパーソナライズDMによってどのような効果が得られたのか、必ず効果を計測して分析することがポイントです。

発送するタイミングのルールを決める

パーソナライズDMでは発送するタイミングも重要です。カゴ落ちや見込客に対して、「購入を促すメールを送信してから〇時間以内に反応がない」「初回購入から〇日以上経過している」といった条件で絞ってDMを送る、など、ルールをあらかじめ決めておきましょう。

パーソナライズDMでは、どの商品に興味があるのか、購入意欲が高まるのはいつなのかといったタイミングを見極めることが大切です。

社内リソースが不足の場合は、外部のリソースを活用する

パーソナライズDMはマーケターだけでなく、エンジニアやデザイナーなど、さまざまな分野の人材やリソースが必要です。社内にシステムが整っていない、人材などのリソースが不足している場合には、パートナー企業と組むことを検討してもよいでしょう。

パートナー企業を選ぶ際には、デジタルマーケティングだけではなく、紙媒体の販促効果なども踏まえたうえで取り組める企業を探すことがポイントです。

パーソナライズDMを実施する際の注意点

パーソナライズDMは、メルマガやSNSと比べると印刷費や送料などのコストがかかります。

さらにパーソナライズDMは、同じ内容で大量印刷する一般のDMよりも、印刷単価が高くなる傾向があります。また、1通ずつ内容が異なるため、一般的なDMで使える「広告郵便割引」が使えないケースも多いです。そのため、本当に送るべきターゲットをしっかり精査することがとても重要です。

パーソナライズDMが効果を発揮しやすい企業とは?

費用対効果から見て、パーソナライズDMの効果が出やすい企業の特徴をみていきましょう。

多品種小ロットの商品を扱う企業

レスポンス率を高めるためにカギとなるのが、クリエイティブとタイミングです。単品通販のように、一つの商品しか扱っていない場合には、顧客に合わせてクリエイティブ(商品情報)を変える必要はありません。逆にリピート購入を促すために、商品がなくなる少し前にDMを送るなど、タイミングを最適化する必要があります。

一方、アパレル通販など多くの品目を取り扱っており、なおかつ1つ1つのロット数が少ない企業はパーソナライズDMに向いています。お気に入り登録した商品の画像を入れるなど、顧客に合わせてクリエイティブを最適化できるからです。

単価が比較的高額な商品やサービスを扱っている企業

パーソナライズDMはメールや一般的なDMと比べてコストがかかるため、商品単価が低いとコストをカバーできず費用対効果が出にくいです。
そのため、比較的高額な商品やサービスを扱う企業に向いている施策といえます。

デジタル施策のみでは、顧客にリーチできないといった課題を感じている企業

これまでメルマガやSNS、WEB広告などのデジタル施策中心に顧客にアプローチしていた企業にも向いています。前述したように、メルマガやWEB広告といったデジタル施策だけではリーチできる顧客が限られてしまうからです。

デジタル施策にパーソナライズDMを併用することで、高い確率で顧客にリーチし、行動を起こしてもらうことが可能です。カゴ落ちしている商品やお気に入り登録している商品の画像を掲載したパーソナルDMを送った後に、商品ページのURLを記載したメールを送るといった施策などが効果的です。

パーソナライズDMで成功した企業の事例

実際にパーソナライズDMで成功した企業の事例を紹介します。

再来店時に2本目の眼鏡の購入につなげる:メガネスーパー

メガネスーパーでは、眼鏡の引き渡しからちょうど1週間後に届くようにパーソナライズDMを発送しています。接客内容をもとに、遠視用の眼鏡を購入したシニア層には老眼用の眼鏡を、遠近両用の眼鏡を購入した人にはデスクワーク用を、というようにパーソナライズしてDMを送っています。

その結果、DMを送られた人全体の0.4%が再来店するといった効果が出ています。購入した眼鏡を使うことでわかる不足点をカバーする商品を紹介することで、購買意欲を高めることに成功しています。これまではお礼の意味を込めて月2回に全員まとめて送っていたDMを、顧客それぞれのタイミングにあわせることにより、2本目の眼鏡の購入につなげました。

ニーズに合ったDMで来店数と顧客単価が向上:はるやま商事株式会社

また、AIによる精度の高いレコメンドが提供されるため、おすすめ商品を購入する確率も高まり、顧客単価も8%アップしています。この結果を受けて、メインブランドの「はるやま」でも実施したところ、同様の効果が得られています。

カゴ落ちしたユーザーをフォローしてCV率をUP:株式会社ディノス・セシール

株式会社ディノス・セシールでは、カートに商品は入れたものの購入には至っていないカゴ落ち客に対し、離脱から最短24時間でその商品情報を記載したパーソナライズDMを送っています。

紙のパーソナライズDMを送ることで、通常のカゴ落ちメールの配信よりも購入率が約20%アップしています。ディノス・セシールの画期的な点は、ユーザートリガーであることです。従来は事業者側のタイミングで送っていたDMを、「カゴ落ち」というユーザーの行動をきっかけにすることで、購買意欲をより高めて実際に購入してもらうことに成功しています。

まとめ

パーソナライズDMは顧客一人ひとりにあわせて最適な情報を最適なタイミングで伝えることができます。そのため、デジタル施策だけでは得られなかった顧客満足度やエンゲージメントの向上など多くのメリットが期待できます。

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