DM施策成功の秘訣!5:2:2:1の法則を事例で解説

From: ダイレクトマーケティングラボ

2021年05月24日 00:00

この記事に書いてあること

「マーケティングは大切と言うけど、何から手をつければいいんだろう?」そんな疑問にダイレクトマーケティングのプロがお応え。世の中の販促マーケティングの実例から重要なポイントを分析し、明日から使える実践的ノウハウとしてわかりやすくご紹介します!

若年層に響くDM

インターネット全盛の現代、コミュニケーションはメールからチャットアプリに移り変わり、オンオフ問わずデータが飛び交う時代になりました。本は電子書籍に、音楽はCDからダウンロードやサブスクリプションへと急速な変化を遂げてきましたが、そんな時代の中心である若者に、ダイレクトメールが効果的という面白いデータがあるのです。

一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2021」によれば、DMを受け取った後に何らかの行動を起こした「行動喚起率」の全体平均は21.0%。それに対して、男性30代では40.4%、女性20代では37.5%と平均を大きく上回り、DMは特に若年層に響くという結果が出ています。

また、「若年層のDM意識(一般社団法人日本ダイレクトメール協会)」には、「自分宛てに初めてDMが届くのは印象的なイベント」「企業や店舗(=社会)とのつながりを感じる第一歩」といった20代男性の声が紹介されています。

若年層にとって、自分宛てのDMを受け取ることは新鮮な体験であり、大人として認められた証。だからこそ、紙のDMは若年層の心をつかみ、彼らの行動を促すのかもしれません。

過去10年で最大の志願者を獲得、学習院大学のDM施策

若年層向けで効果を発揮した良い事例があります。それは受験生の心をつかみ、過去10年で最大の志願者数を獲得、全日本DM大賞でも銀賞を受賞した学習院大学のDMです。

12月は受験勉強も追い込みに入り、受験生にとってクリスマスを楽しめる状況ではありません。そんな苦しい時期に、受験生の気持ちに寄り添い、「厳しい冬(受験勉強)を乗り越えると、春(合格)が待っているよ」という、ポジティブなメッセージを届けた「桜咲くクリスマスDM」。

学習院大学の桜咲くクリスマスDM

頑張る受験生の気持ちを支えたこの1枚のカードは、学習院大学への入学志願者を増やすことになりました。志願者数は前年比151.9%(1万7930名)に増え、過去10年で最高値を記録。またSNSでも積極的に発信され、入学後のアンケートでは、入学の意思決定に最も影響を与えた広告メディアにも選ばれたそうです。

出典: 全日本DM大賞2017年銀賞 受験生の心を掴み、SNSで話題を呼んだ「桜咲くクリスマスDM」(広告主:学習院大学、制作:フュージョン株式会社)

近年では新聞広告でSNSによる拡散を見越した出稿がなされている例が見受けられます。同じ印刷物であるDMは従来のような、届け先への効果を狙うだけでなく、企業イメージアップという副次的効果も期待できるのではないでしょうか。

事例から見るDMの4大要素と5:2:2:1の法則

DMは、ターゲット、オファー(特典)、タイミング、クリエイティブの4つの要素で成り立っています。4つの要素における重要度について、以前はターゲット:オファー:タイミング:クリエイティブ=40%:30%:10%:20%と言われていましたが、最近ではターゲット:オファー:タイミング:クリエイティブ=50%:20%:20%:10%(5:2:2:1の法則)に変わってきました。

DMの4大要素と重要度の変化

クリエイティブが軽んじられているわけではありませんが、DM施策を成功に導く要因として、よりターゲットとタイミングを重視する傾向になってきているのです。ここ最近で一番顕著な例が、2019全日本DM大賞グランプリを受賞したディノス・セシールのカート落ちDMでしょう。ECサイトでカートに入れたものの、購入に至らなかった顧客に最短24時間でリマインドのDMを送る。まさにターゲットが明確でタイミングが勝負の施策と言えるでしょう。

では、この「5:2:2:1の法則」を学習院大学の事例をもとに解説していきましょう。

ターゲット:受験生

ターゲットはDMを送る対象のこと。

学習院大学のDMでは、過去に学習院大学の「資料請求を行った」または「オープンキャンパスへ来場した」受験生がターゲットとなりました。

DMは何のためにその人に送るのか?その人に何をして欲しくて送るのか?明確な目的をもって、送る意味のある相手に送らなければなりません。DMは顧客とのコミュニケーション手段のひとつでもあります。受け取った相手が「なぜこのDMが私のところに送られてきたのか?」と首をかしげるものでは困りますよね。

「1か月以内にお店を訪れてくれたお子様連れのお客様」「半年以内に商品を購入してくれた30代の女性」「1週間以内にウェブサイトで資料をダウンロードしてくれた人」など、できるだけ詳細にターゲットを選定する必要があります。お客様の顔を浮かべながら、ペルソナを作成するとより効果的です。

オファー:受験生へのメッセージ

オファーは、DMの内容やDMを受け取った方への特典のことです。

学習院大学のDMでいえば、「頑張ったあなたには春サクラサク(=合格が待っている)」というメッセージ。このメッセージが受験生にとってオファーそのものだったのかもしれません。受験生を応援するエールが学習院大学へのイメージ(この大学いいな、この大学に行きたいなという思い)を向上させ、学習院大学を受験するという行動を起こさせたとも言えるでしょう。

タイミング:1月の受験志願の直前

DMを受け取るタイミングも重要です。

学習院大学のDM事例でいうと、世間はきらびやかなクリスマスムード一色なのに、受験生にとっては一番苦しいクリスマス(=1月の受験志願の直前)ということになります。せっかくのDMも受験志願が終わってから届いたのでは、意味がないですよね。クリスマスというタイミングに送ったことが、このDMを成功させた大きな要因だったといえます。

クリエイティブ:定形外の細い封筒、中面には桜をモチーフにしたデザイン

クリエイティブとは、DMに使われるコピーやデザインを指します。

学習院大学のDMでいえば、あえて「定形外」の細い封筒を採用し、おやっと思わせて開封率UPを狙い、DMを開いた中面には、学習院大学の校章でもあり、合格をイメージさせる「桜」をモチーフにした温かみのあるデザインを採用。

4大要素のうち、クリエイティブの要素はたったの1割かと思われるかもしれませんが、けっして軽んじていいものではありません。せっかく正しい相手(=ターゲット)に良い内容(=オファー)を送ったとしても、それが伝わらなければ意味がないのです。特に封書や圧着DMの場合はなおさらです。開封してもらうための工夫も必要になってきます。メールの開封率を上げるために、タイトルを工夫するのと一緒ですね。

こうして5:2:2:1の法則に照らし合わせて触れてみると、学習院大学のDMはターゲット、オファー、タイミング、クリエイティブ4つの要素がバランスよく設計されたDMだといえます。皆さんがDM施策でうまくいかない場合、この4大要素がうまくかみ合っていないのかもしれません。その時は、この4つの要素を見直してみてください。

コロナ禍の今だからこそ、直接手元に届くDMが効果的

新型コロナウイルスの感染拡大により、営業活動においてお客様先への訪問活動が制限されるなか、販売促進の手段の一つとしてダイレクトメールの活用ニーズが拡大しています。また、実店舗への来店促進の一環としてもダイレクトメールが見直されつつあります。

会えない相手や来てもらいたいお客様に直接手元に届くDMを送る。学習院大学の事例からも確かに効果的な気がしますが、果たしてアプローチ手段としてのDMは若者以外にも有効なのでしょうか?

一般社団法人日本ダイレクトメール協会の「DMメディア実態調査2021」によれば、本人宛のDMの開封率は79.5%と非常に高く、DMを受け取った人の5人に一人が何らかの行動を起こしています。コロナ禍で外出が制限され、在宅の時間が増えた2021年は、やはり前年に比べ高い数値になりました。

「DMメディア実態調査2022」の調査結果から抜粋した表

出典: 一般社団法人日本ダイレクトメール協会「DMメディア実態調査2022」より

5人に1人が行動を起こしてくれるというデータからも、DMはコンバージョン率が高く、コミュニケーションツールとして有効なメディアであるのは間違いありません。
ニューノーマルの時代になり、DMの受け取られ方が変わってきたこのタイミングでさらに効果を増していくであろうDM施策を、5:2:2:1の法則を意識してより効果のあるツールに発展させてみてはいかがでしょうか。

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