2030年までにCO2排出量50%以上削減(2013年度比)に向け、 全国の工場へ太陽光発電システムを導入中 リンテック株式会社様(東京都)
2023年10月20日 15:23
この記事に書いてあること
リンテック株式会社様は粘着製品分野におけるリーディングカンパニーとして、印刷材料(ラベル素材)から洋紙・加工材、エレクトロニクス(半導体・積層セラミックコンデンサ)関連までの幅広い事業を、国内8拠点と海外(北米・ヨーロッパ・アジア)でグローバル展開しています。
2021年に発表した長期ビジョン「LSV 2030(LINTEC SUSTAINABILITY VISION 2030)」では、その基本方針の中に「サステナブルな社会の実現への貢献」を掲げ、リンテックグループとして2030年までにCO2排出量を2013年度比で50%以上削減することを目標と定めました。電力などを外部に依存しないスマートファクトリーの実現に向けて、各拠点の照明LED化に続き、太陽光発電システムの導入を順次進めています。
エネルギーを大量消費する企業としての社会的責任
LSV2030では重点テーマの筆頭に「社会的課題の解決」を置き、脱炭素社会の実現に貢献することを謳っています。製造業を営む企業としての責任について、リンテック株式会社 取締役 常務執行役員 生産本部長 松尾 博之 様は、以下のように語ります。
「私どもは印刷材料、洋紙・加工材、工業材料のほか、エレクトロニクス関係では半導体とオプティカル関連部材の製造などを行っています。製造装置も大型で、各工場でかなりのエネルギーを使います。COP21で採択されたパリ協定を受けて、日本政府も2030年までに温室効果ガス排出量の50%の削減に挑戦することを表明しましたが、私どももお客様から選ばれる企業になれるよう真剣に取り組まなくては、会社が存続できないだけでなく、社会に悪影響を与えてしまう。そのような観点から、製造装置に付随するエネルギー消費を抑え、CO2排出量を減らしていくことに計画的に取り組んでいます」
お客様の中では、サプライヤーの脱炭素に向けた取り組みについての評価をスコア化し、取引先を決める基準として使うのも当たり前になりつつあるとのこと。環境問題への取り組みが企業の存続に直結するという松尾常務の言葉には緊張感が感じられます。

リンテック株式会社 取締役 常務執行役員 生産本部長 松尾 博之 様
リコージャパンは、各拠点の照明LED化をお手伝いさせていただいたことをきっかけに、太陽光発電システムの構築を受注。伊奈テクノロジーセンター(埼玉県北足立郡)への導入を皮切りに、2021年度に2工場、2022年度に2工場と、各拠点への設置をお手伝いさせていただきました。その結果、2022年度のCO2排出量は、リンテックグループ全体で2013年度と比較して39.7%の削減を実現しています。さらに他工場への導入も進めており、CO2排出量削減のための他の施策と合わせ、2030年の目標達成はほぼ確実な状況だそうです。
また、BCP対策の一環として、太陽光発電システムの導入と同時にEV(電気自動車)も購入しました。通常は営業車として活用し、停電時にはEVに蓄えられた電力をV2Hシステム*1により屋内の非常用コンセントに電力を供給する仕組みです。
1「V2H(Vehicle to Home)」電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車PHEVの大容量バッテリーを電源として活用するシステム

小松島工場(徳島県小松島市)

三島工場(愛媛県四国中央市)
エネルギー生産と消費の「見える化」で、社員の意識変革を迫る
太陽光発電システムの導入に当たっては、発電状況を見える化し、現場で働く方々の環境への意識を変えることも重要と位置づけています。
「これまでも生産性向上のための施策は継続的に行ってきましたが、その中にはCO2排出量や廃棄物の削減につながることもたくさんあります。効率アップやコストダウンだけではなく、これからは環境対応についても目に見えるようにしなくてはならない。そのため、新しく整備したラインにはリアルタイムモニタリングを導入しています。例えば生産装置をセットアップしスタンバイしても、実際の生産開始まで1時間くらい待機する場合がありました。これをモニタリングして稼働状況を見える化することで『まだ生産してないのにこれだけエネルギーを消費している』ということが一目で分かり、無駄を防ごうという意思が働くようになりました」(松尾常務)
このモニタリングデータをもとに、本社及び各拠点で省エネ委員会が毎月開催され、改善のための方策が話し合われています。

発電量を表示するモニター
松尾常務と共に環境への取り組みを担当している、リンテック株式会社 生産本部 本部長付主席調査役 寺川 公明 様は、太陽光発電システムによる発電量には概ね満足していると語ります。
「試運転以降、CO2排出削減量や省エネ効果などの実測データを毎月可視化し、四半期毎にトップに報告しています。太陽光に関しては1,100時間から1,200時間の年間稼働時間を目標に掲げており、日射量による増減はあるものの、ほぼ100%以上を達成できています」
寺川様からは、最後にリコージャパンへの期待の言葉もいただけました。
「CO2排出量の削減については、できる限り前倒しで実行したいと考えています。これまでリコージャパンさんには照明のLED化と太陽光発電システムでご協力いただきましたが、環境に向けた取り組みには終わりがありません。私どもも、次のステップとして行うべきことを検討し、悩んでいるところです。リコーさんからもどんどん情報や提案をいただければと思っております」

リンテック株式会社様 小松島工場の自家消費型太陽光発電のドローン映像
| 会社名 | リンテック株式会社 |
| 本社 | 東京都板橋区本町23-23 |
| HP | https://www.lintec.co.jp/ |
| 設立 | 1934年10月 |
| 事業内容 | 粘着素材、粘着関連機器、特殊紙、剥離紙・剥離フィルムなどの開発・製造・販売 |
※本記事に掲載の会社名および製品名はそれぞれの各社の商号、商標または登録商標です。
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