クリーンルーム照明のLED化で省エネとCO2削減を実現し、またキュービクルを統合・移設する事によって電力の安定供給を確保株式会社天谷製作所様（埼玉県）

2023年08月10日 09:01

この記事に書いてあること

株式会社天谷製作所は、半導体製造において欠かすことのできないCVD装置の中でも、真空の環境を必要としない常圧CVD装置の業界ニッチリーダーとして半導体事業の発展に貢献しています。
製造工程で多くの電力を使用する企業として、省エネはコストと環境対応の両面で必要であり、今後発生する可能性がある災害時に電力を安定供給することも、同様に大きな課題でした。

省エネだけでなく、
メンテナンスの手間を大幅に削減できるLED化

省エネ、電力の安定供給というテーマのうち最初に実現したのは、クリーンルームに使われている照明のLED化でした。
「弊社は半導体製造装置の製造と開発を行っていますが、一般の工場のような生産ラインは存在しません。その代わり、お客さまに一つ一つ手作りの機器をお届けするためのクリーンルームが生産現場の中心になっています」と、その独特の仕事環境について語るのは、株式会社天谷製作所管理部主任片岡慎一朗様です。
省エネを実現するために立ち上げられたプロジェクトチームでは早速LEDの導入が検討されましたが、大きな課題は生産工程への影響をどのように抑えるかでした。クリーンルームの天井は4ｍ以上もあり、蛍光灯の数は優に200本以上。これらを交換するためには業務を停止して高所作業のための足場を組み、近くにある機器を保護しながら作業を進めることが絶対の条件だったからです。

株式会社天谷製作所管理部主任片岡慎一朗様

業務管理用のパソコンや複合機などの導入で交流のあったリコージャパンに声がかかったのは、まさにそのような時期でした。事前に緻密な調査活動を行い、作業工程の検討を繰り返し、業務が停止する土日を使って一気に交換作業を実施しました。
「当日の作業の段取りを何度も相談し、人員が足りないと判明したところには事前に人を補充するようなこともきちんとできました。そういう点もリコーさんにお任せしてよかったなと思うところですね」（片岡様）
クリーンルームの照明をLED化したことの効果はすぐに数字となって現れました。照明に使用する電力だけを取り出して計測することが難しいため、電力全体の数値の比較となりますが、LED化の完了した2022年の年間電力消費量はLED化前と比べて約15％削減されています。これまで苦労していた蛍光管の交換作業も不要となり、定期的に作業を止める必要もなくなりました。2022年には社屋全体のLED化が完了し、消し忘れが発生しやすい場所には人感センサーを導入するなど、さらなる省エネを実現しています。

クリーンルーム内のLED照明

BCP対策も兼ねて、
老朽化していた3基のキュービクルを1基に統合

キュービクルは発電所から送られてくる高圧の電気を、構内で使用する100Vや200Vに変圧する機器。つまり電力安定供給の要となる施設です。
天谷製作所では最初に建てられた社屋に加え、隣に新社屋が建てられたこともあって、それぞれに１基ずつ、そしてこの2つを中継する役割の機器を加えた1基と、合計３基のキュービクルが設置されていました。
「キュービクルのリニューアルに関しては複数の会社さんに提案をお願いしました。最終的にリコーさんに決めた理由は、総合的な提案をいただけたからです」と片岡様。単にそれぞれのキュービクルを新しいものに交換する、あるいは老朽化した部分だけを交換するといった提案が多い中、リコージャパンの提案は、電気の通り道を変えてキュービクルを統合したうえで、BCPも考慮して屋上に設置するというものでした。

3基を集約して屋上に設置されたキュービクル

キュービクルを1基に統合して屋上に設置したことは、多くのメリットを生み出しました。
空いた敷地を有効利用できたこと。３基それぞれに行っていたメンテナンス作業が集約されコスト削減となったこと。電力の余力分であるバッファを統合し１基だけで持つことができるようになり、ランニングコストや点検コストが削減されたこと。そして、何よりありがたかったのが、洪水時の安全面が確保されたことであると片岡様は語ります。
「この辺りは、大雨による被害が起こりやすいところで、数年前には近くで床下・床上浸水が発生しました。キュービクルが地表や地下に設置されていると、生産停止も含めた大きなリスクが考えられます。そのリスクを回避できたのは本当に大きいですね。また、自然が豊かな場所ですので、ヤモリなどの小動物が機器内に侵入して感電し、電力供給に影響を与えてしまうケースも考えられます。こうしたリスクも減らすことができました。いつも一緒に試行錯誤してくれるリコーさんには今後も期待しています」

※本記事に掲載の会社名および製品名はそれぞれの各社の商号、商標または登録商標です。

企業概要
会社名	株式会社天谷製作所
越谷工場所在地	埼玉県越谷市西方3149-1
HP	http://www.amaya-cvd.co.jp/
設立	1962年
事業内容	半導体・太陽電池等製造装置の製造・販売及び同装置のアフターサービス