2050年のカーボンニュートラル実現に向けて着実にCO2を削減中 自家消費型太陽光発電の導入で、省エネから創エネへ TOYO TIRE株式会社(兵庫県)
2024年10月31日 08:53
この記事に書いてあること
TOYO TIRE様は兵庫県伊丹市に本社を構える、日本有数のタイヤメーカーです。大口径タイヤなどが好評な北米を中心に、さまざまなタイプのタイヤを全世界に向けて供給するグローバル企業でもあります。
乗用車用タイヤからトラック・バス用タイヤまで脱炭素につながる低燃費タイヤや、EV専用タイヤの開発・供給にも積極的に取り組んでいます。
今回お伺いしたのは、本社から10kmほど離れた兵庫県川西市にある基盤技術センター。ここは会社の技術開発の方向性を策定し、タイヤの基本構造を支えるゴムをはじめとする研究開発の成果を具体的な事業に落とし込む役割を担っています。
リコージャパンは、こちらのセンターへの自家消費型太陽光発電の導入をお手伝いさせていただきました。
2023年12月に導入が完了した今回のプロジェクトでは、施設内にある2棟の建物の屋上に太陽光パネルを敷設し、TOYO TIRE様の国内で最大級となる太陽光による創エネを実現しました。
投資対効果と信頼性を評価し、リコージャパンを選定
最初にお話を伺ったのは、中央研究所の所長を務め、エンジニアリング本部の本部長も兼任する 島 一郎 様です。
「当社グループでは、社内で脱炭素の方向性を統合し事業活動のために自社が排出するCO2の削減目標として、2030年に2019年比で46%の削減、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。
そのため、全社を挙げて省エネに取り組み、基盤技術センターでもコージェネレーションシステム※1の導入や照明のLED化などを行ってきましたが、野心的な目標を実現するためには創エネに取り組む必要性を感じていました。
海外の生産現場ではすでに大規模な太陽光発電システムを導入していますが、国内の拠点では本格的な創エネは未導入でした。基盤技術センターは弊社の中でも新しい取り組みが期待されている場所であり、太陽光パネルを設置するのに適した場所もあったため、まずはここからスタートすることになったのです」
1 コージェネレーションシステム:施設内で発生する廃熱を利用して暖房などに活用する仕組みで、エネルギー効率が高く、省エネ性能に優れている

TOYO TIRE株式会社 執行役員 中央研究所 所長 エンジニアリング本部 本部長 島 一郎 様
太陽光発電のサプライヤー選定にあたっては、複数社から提案を受け、それぞれのメリットとデメリットを一覧にした評価表などを参考にして進めました。特に重要視したのは、投資対効果と信頼性です。
「複合機を中心に古くから付き合いはありましたが、リコージャパンさんが太陽光発電まで扱っていることはそれまで知りませんでした。お話を聞いてコンペに参加いただきましたが、何か尋ねるとすぐにアウトプットが出てくるスピード感には驚きました。
稼働を始めてからまだ6か月程度しか経っていないため、細かい評価を行って課題を抽出するフェーズには至っていませんが、導入時の削減予測を想定内でしっかり動いていると認識しており、具体的な数字が出てくるのを楽しみにしています」

第一実験棟

第二実験棟
太陽光パネルは、第一実験棟(左)の屋上に180枚、第二実験棟(右)の屋上に454枚が敷設され、それぞれ99.0kW と249.7kWの発電能力がある
太陽光発電システムの導入は、社員の意識変革にも寄与
TOYO TIRE様では、サステナビリティの推進にあたって7つのマテリアリティを定め、その一つに脱炭素の追求を掲げています。その取り組みについて、環境安全推進本部 環境衛生推進部 部長の加藤 隆行 様に話を伺いました。
「当社のメイン事業はタイヤですので、タイヤの転がり抵抗を小さくして環境性能を上げるための事業活動は以前から行ってきましたし、そうした意識は非常に強いものがあります。一方、事業活動で排出するCO2を減らすためには新たな動機付けが必要です。そのため、トップ自らがメッセージを発信する機会を増やし、仕組みとして2024年よりICP(インターナルカーボンプライシング)※2を導入しました。
最近は、さまざまな意見が上がってくるようになり、社内の環境意識も高まってきていると感じます。
基盤技術センターに導入した太陽光発電システムは、その発電状況が構内2か所に設置されたモニターで逐次確認できるようになっています。これも、社員の環境意識を高める一助となっているようです。
「モニターの一つは更衣室の前に置かれていますが、いいアイデアだと思いました。出退勤時に必ず目にするので、自然と意識するようになります。カーボンニュートラル実現のタイムリミットまで、もうそれほど時間は残されていません。2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、先進的な提案をいただけることをリコージャパンさんには期待しています」
2 インターナルカーボンプライシング(Internal carbon pricing:ICP):企業が独自に炭素価格を設定し、組織の戦略や意思決定に活用する手法で、カーボンプライシングの方法の一つ

TOYO TIRE株式会社 環境安全推進本部 環境衛生推進部 部長 加藤 隆行 様

太陽光発電モニター
基盤技術センターの更衣室前に設置されたモニター。発電電力は「蛍光灯何本分」、CO2削減量は「クスノキ何本分」など、身近なイメージで表現されている
| 会社名 | TOYO TIRE株式会社 |
| 本社 | 兵庫県伊丹市藤ノ木2-2-13 |
| HP | https://www.toyotires.co.jp/ |
| 設立 | 1945年8月 |
| 事業内容 |
[タイヤ事業] 各種タイヤ(乗用車用、ライトトラック用、トラック・バス用) [自動車部品事業] 自動車用防振ゴム |
※本記事に掲載の会社名および製品名はそれぞれの各社の商号、商標または登録商標です。
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