騒音・排煙のない電源設備で、業務の質と環境への配慮を両立 ディーゼル発電機に代えて、クリーンなキュービクルを導入 ヒラノ技研工業株式会社 様(奈良県)
2025年05月20日 17:48
この記事に書いてあること
奈良県に本社を置くヒラノ技研工業株式会社様は、乾燥・熱処理技術を基盤とした産業用装置の開発・製造を行う企業です。
スマホをはじめとした液晶画面に広く使われている光学フィルム向けのクリーン延伸機や、スーパーエンプラフィルム用の高温熱処理延伸機など、高度な技術力を活かして多様な装置を提供しています。
近年は、クリーン仕様*1の装置や次世代電池向けの高圧・高温プレス装置の開発にも取り組み、より一層の技術進化と社会的な貢献を目指しています。
こうした中で同社が今回取り組んだのが、ディーゼル発電機の廃止とキュービクルの増設でした。
その導入経緯について、同社の取締役社長 森井紀雄 様と、総務部総務課管理係係長の 樽井久次 様にお話を伺いました。
1 従来の物に比べてCO2排出量が少ない
ISO14001認証を機に、環境負荷の少ない設備へ転換
工場内に設置されたテスト機を稼働させるためには毎回500℃程度までヒーターの温度を上昇させる必要があります。
通常の電力を使用した場合、一時的に大容量の電力使用するためデマンド値が上がり、年間の電気代が上昇してしまうため、ヒラノ技研工業様では、これまでは、テスト機への電源供給にディーゼル発電機を使用していました。
しかし、1日8時間前後の運転を、月によっては10日以上行うことも増えてきており、発電機が出す騒音や排煙も無視できないレベルになっていました。
これはCO2排出の面からみても問題がありました。2023年を例にとると、発電機が使用した軽油の量は約5,746ℓ。軽油1ℓを使用した場合のCO2排出量を約2.6㎏とすると、 年間で約14.9tの排出量となります*2。
2023年6月に、親会社である株式会社ヒラノテクシード様のISO14001(環境マネジメントシステム)の認証取得の際に関連事業所として登録されたことをきっかけに、発電機廃止による環境対応が経営課題として本格的に浮上。
「社会的にもCO2排出量の大きい発電機の利用は見直すべき」という認識のもと、テスト機への電源供給を通常の電力に切り替えることとなり、電力使用量の増加に対応するため、キュービクル増設を検討することになりました。
2 参考:環境省 二酸化炭素排出量の算定に用いる排出係数

ヒラノ技研工業株式会社 取締役社長 森井 紀雄 様
狭い敷地と停電リスクを乗り越えた増設工事
森井社長は、「キュービクル導入の最大の理由は環境対応です。ディーゼル発電から通常の電力に切り替えると、テスト機を稼働させるための費用は多くかかります。それでも今後は、環境のことを考慮に入れずに企業活動を続けるのは難しいと判断しました。発電機を稼働させるには手間もかかりますし、行政とのやり取りも必要です。社員の負荷を削減するという意味でも、今回の増設には意味があったと思います」と語ります。
導入にあたっては、既存のキュービクルを撤去して置き換える案も検討されましたが、事務棟の停電期間を極力回避したいという事情があり、結果的に既存設備を残しつつ、発電機の容量分のみをカバーするキュービクルを増設する構成となりました。
設置スペースの制約もあるなかで、機器構成や容量バランスを見極めたうえでの提案が求められた今回の案件。
リコージャパンは、「お客様の製造工程や使用環境を正確に把握し、最適解を導く」ことを意識しながら、緻密な現場調査と柔軟な提案を実施いたしました。
施工が行われたのは真夏で、酷暑の中での作業となりましたが、安全と丁寧さを最優先しながら、無事に設置を完了させました。
導入についての実務を取り仕切られた総務部の樽井様からは、「リコーさんには工場で使用している電力も供給いただいており、これまでの付き合いで信頼感がありました。今回のキュービクル増設もリコーさんにお願いした後は全くのお任せで、何の苦労もありませんでした」との言葉をいただいています。

ヒラノ技研工業株式会社 総務部総務課管理係 係長 樽井 久次 様
騒音・排煙ゼロ、行政手続きの負担も解消
導入の効果は、日常業務にも多大な影響を与えています。まず、発電機による騒音や排煙が完全に解消されたことで、作業環境が改善されただけでなく、周辺地域への配慮にもつながりました。
また、消防法に関連する危険物の届け出などの行政対応も不要となり、運用負荷が大きく軽減。
さらに、これまで外部業者に委託していた発電機の点検作業も不要となり、給電時間を気にせずテストを行えるようになったことで、業務の自由度が大きく向上しました。
電力使用量の増加に伴って電気代は増加しましたが、それ以上の効果を実感しています。

新たに設置されたキュービクル
ヒラノ技研工業様とリコージャパンとの付き合いは、電力購入をはじめ、広幅複合機やPC関連機器の導入など多岐にわたります。今回のキュービクル導入を経て、「困ったらリコーに相談すればよい」という信頼の声もいただきました。
今後については、工場内のコンプレッサー更新も検討されており、さらなる省エネや脱炭素への取り組みにもリコージャパンの力が期待されています。

| 会社名 | ヒラノ技研工業株式会社 |
| 本社 | 奈良県橿原市東竹田町66-4 |
| HP | http://www.hiranogiken.co.jp/ |
| 設立 | 1978年6月 |
| 事業内容 | 熱処理乾燥装置・プレス装置などの設計・製造・販売 |
※本資料に掲載のその他の会社名および製品名、ロゴマークは各社の商号、商標または登録商標です。
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