停電時に施設の安全を確保し、人命を守るため、 特別な知識がなくても利用できる蓄電システムを導入 社会福祉法人 東京児童福祉協会 みさと保育所(東京都)
2024年11月20日 09:00
この記事に書いてあること
みさと保育所様は1972年に開設され、地域とともに約半世紀の歴史を歩んできました。
東京郊外の大規模ベッドタウンである多摩ニュータウンの完成後、増え続ける児童数に対応するために創立された保育所です。
小高い丘の上に位置し、緑に囲まれた敷地には広々とした園庭と駐車場があり、自然豊かな環境が整っています。
2021年に増改築された園舎は、大きな窓から光をたっぷり取り入れる設計で、印象的な屋根のデザインが特徴的です。
室内には木材がふんだんに使われており、温かみのある雰囲気に包まれています。
現在、約155名の子どもたちが毎日元気に通っています。
今回は、災害時に人命を守るために導入されたリチウムイオン蓄電システムについて、保育所所長の阿部幸恵様に詳しくお話を伺いました。
夏の停電時に小さな子どもを熱中症から守るため、夜間も扇風機を回せる電力を確保
0歳から5歳までの小さな子どもたちを預かる保育所にとって、何よりも大切なのは、子どもたちの安全を確保することです。
特に災害時には、子どもたちの命を守るために、万全の備えが必要となります。
みさと保育所様でも、地震や火災などに備え、毎月規定に従って避難訓練を行い、職員全員が対応方法をしっかりと身につけています。
また、みさと保育所様では、災害対策を避難訓練だけにとどめるのではなく、幅広い視点から取り組んでいます。
万が一の際に飲料水以外の用途に使える井戸水を確保したり、天気のよい日中に利用可能な太陽光発電システム(蓄電機能なし)を導入したりして、災害時に備えています。
こうした対策が強化されるようになったきっかけは、2011年の東日本大震災です。震災当時、保育所では保護者の方たちが夜に子どもたちを迎えに来るまで、安全に子どもたちを守り続ける必要がありました。
その経験を通して、「災害が起きた際に、どれだけ万全な準備ができているか」ということを強く意識するようになったそうです。
また、近年は異常気象によるゲリラ豪雨や落雷による停電も頻繁に発生しています。こうした状況もあり、みさと保育所様ではさらに災害への危機感が高まり、子どもたちを守るための対策に力を入れるようになりました。
特に、今回新たに蓄電池を導入することを決めた最大の理由は、子どもたちの熱中症対策でした。
「停電になった場合、冬であれば暖かい服を着せて何とか過ごすことができます。しかし、夏に停電が起こると、体温調節が苦手な子どもたちにとっては命に関わる深刻な事態です。保護者の方が迎えに来るまでの時間、せめて扇風機を動かしたり、怖くない程度の照明を使ったりできる電源を確保しなければという思いから、今回の蓄電池の導入に至りました」
と、阿部所長は話します。
みさと保育所 所長 阿部 幸恵 様
停電時には自動的に蓄電池からの通電に切り替わるため、特別な知識や準備は不要
今回導入した蓄電池を選ぶ際には、いくつかの条件を重視しました。
まず、扇風機や最低限の照明を約1日作動させることができる容量があること、そして、緊急時に手間がかからず、保育士が簡単に操作できるシステムであることを条件に挙げて探しました。
最終的に選んだ蓄電池は、その要件をすべて満たし、現在5台が園内の各所に設置されています。
蓄電池は分電盤につながっており、停電が発生すると自動的に切り替わって、普段使っているコンセントに電気を供給します。
切替には約5秒しかかからないため、ほとんど意識する必要がなく、コンセントの差し替えも必要ありません。
その際、エアコンなど消費電力の大きな機器には通電しないように設定しています。
このシステムの優れている点は、子どもたちの世話をする保育士の方々に余計な負担をかけないことです。
災害時には、子どもたちの不安を和らげ、冷静に対処することが求められます。
保育士の方々が電源確保のために手間取ることなく、日常の保育活動を続けられることは、非常に大きな利点です。
阿部所長も「自動で電源を確保できる蓄電池は、園の活動にとって非常にありがたい存在です」と、その効果に満足されています。
さらに、エンジンを使って電気をつくる発電機とは異なり、蓄電池は利用が簡単で、普段のメンテナンスも必要ありません。
運用面での負担が少ないため、安心して導入することができたとのことです。
阿部所長は今後について、
「蓄電池は保育所の機能を維持する上で非常に重要なものです。できれば毎年1台程度ずつ台数を増やしていきたいと考えています。また、将来的な目標として、当園は女性の先生が多いこともあり、停電時でも井戸水などを活用してトイレが安心して使える環境を早めに整えていきたいです」
と語ります。
日々の保育だけでなく、災害時の子どもたちの安全を第一に考えるみさと保育所様の取り組みは、他の保育所にとっても参考になるのではないでしょうか。
蓄電池(Panasonic LJSF35※)は分電盤ボックスにつながれており、停電時には自動的に電気が供給される
Panasonicは、パナソニックホールディングス株式会社の登録商標です
停電時にも利用可能なコンセントには、分かりやすいようにシールで印が付けられている
明るい日差しが注ぎ込む、広々としたホール
名称 | 社会福祉法人 東京児童福祉協会 みさと保育所 |
所在地 | 東京都多摩市愛宕2-53 |
HP | http://misatohoiku.org/index.html |
創立 | 1972年5月 |
株式会社ムサシ |
創業1975年 |
東京の多摩西部を中心にオフィス・小中高大学校・保育の現場へ、お役立ちの心で多種多様なモノ・ことを提供している。 |
※本記事に掲載の会社名および製品名はそれぞれの各社の商号、商標または登録商標です。
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