エネルギーマネジメントシステム(EMS)による快適な生活環境と省エネの両立でより良いサービス提供を実現 社会福祉法人 夕凪会 様(岡山県)
2024年03月15日 15:05
この記事に書いてあること
社会福祉法人夕凪会様は、介護老人保健施設、ケアハウス/混合型特定施設、グループホーム、特別養護老人ホーム、デイサービスセンターを一つの敷地内に集約し、地元に根ざした高齢者福祉施設としてサービスを提供しています。
充実したリハビリ体制や看護体制で高い評価を得る一方、事務効率化のためのICT導入、さまざまな福利厚生制度の拡充など、介護を支える職員が気持ちよく働ける環境づくりにも積極的に取り組んでいます。
今回リコージャパンがお手伝いさせていただいたのは、空調システムのエネルギー使用状況を可視化し、冷暖房の効率アップとコストダウンを両立するEMSの導入。
これにより電力コストとCO2排出量を削減するだけでなく、職員のストレスも大きく減らすことができました。
この取り組みについて、「特別養護老人ホーム グリーン・コム」と「ケアハウス 夕なぎ苑」の施設長を務める吉永 陽一 様と、「介護老人保健施設 夕なぎケアセンター」事務長補佐の真鍋 和好 様にお話を伺いました。
空調が休みなく稼働する高齢者施設では、快適な環境と省エネの両立が難しい
生活や集いの場である高齢者福祉施設では、空調がほぼ24時間、休みなく稼働しています。ご高齢者の体調管理の面からも、一般のオフィス以上に室内の温度管理には気を遣わなくてはなりません。
また、常に稼働しているからこそ、省エネにも敏感にならざるを得ません。
そのため、夕凪会様も以前からデマンド監視装置*を導入していましたが、あまり有効とはいえなかったようです。
吉永様は、当時の状況について次のように話します。
「以前の装置はデマンドが一定の値を超えるとアラームが鳴り、そのたびに職員が温度調整をしたりスイッチを切ったりする必要がありました。制御状況も自分たちはモニタリングできませんでしたし、デマンドコントロール装置自体が故障しても電気料金の請求が来るまで分からない有様でした。
デマンド監視装置:24時間、最大需要電力(デマンド値)を監視し設定したしきい値を超過しそうになるとアラームを発信する。最大需要電力が翌年の契約電力となる。
特別養護老人ホーム グリーン・コム、 ケアハウス 夕なぎ苑 施設長 吉永 陽一 様
介護老人保健施設 夕なぎケアセンター 事務長補佐 真鍋 和好 様
「職員のいちばん大切な仕事は、利用者様のケアを行うことです。施設維持のため省エネに気を遣うことは必要ですが、目の前に待っている人がいるのに、アラームが鳴るたびに小走りで対応しに行くことは大きなストレスになっていました」と、真鍋様も話します。
「ご高齢の皆様は寒がりの方が多く、夏でも冷房が強いとおっしゃる方がいらっしゃいます。
一方で動き回っている職員は暑い。基本的にご高齢の皆様の感覚に合わせて職員が我慢していますが、アラームが鳴ってエアコンのスイッチを切ったとしても、デマンド値が下がるまで時間がかかることが多いのです。
そうすると、夏の暑さを我慢している職員はより暑くなってストレスがたまり、逆に冬は部屋がどんどん寒くなるため、寒がりの利用者様のクレームになっていました。
そんなことで職員のやる気がそがれてはたまりませんし、利用者様のクレームもサービス業としては大きな問題です。
何とかしたいと悩んでいたところに、リコージャパンさんから提案をいただいたのです」
稼働状況を細かく設定できるEMSで、快適・省エネ・CO2削減のすべてを実現
真鍋様の悩みに対してリコージャパンが出した提案は、デマンドだけでなく使用電力量を可視化またコントロールし、稼働状況を現場で正確にモニタリングできるEMSの導入でした。
デマンド監視の結果、手動で空調調整をすることから自動で空調調整するクラウド対応に代わったことで、職員への負荷も軽減され、また故障など何かあればリコージャパン側でも確認が可能で、必要に応じてサービスマンが訪問することもできます。
フロアや部屋ごとに細かい設定が可能なため、デイサービスのような一定の時間だけ利用する場所も、それに応じた最適な設定ができるようになりました。
「最初に夕なぎケアセンターに導入したところ、効果は明らかでした。電力使用量が減っていることがはっきり分かりますし、以前のようにアラームが鳴るたびに調整してまわる手間がなくなり、職員は非常に助かっています。先日は『設定温度を上げても室温が上がらない』という方がいらっしゃったので調べたところ、制御はかかっておらず、暖房器具の故障だということがすぐに分かりました。
以前は故障なのか、制御なのか判別できるまで時間がかかっていましたから、効率がずいぶん上がりました。
これを受けて現在は、夕なぎ苑とグリーン・コムにも同様のシステムを導入しています」(真鍋様)
EMSの稼働状況は手元のパソコンでいつでも確認可能
現在、夕凪会様では太陽光発電設備やEVの導入、館内の照明のLED化、事務のペーパーレス化など、脱炭素につながる取り組みを進めています。また、岡山市の「岡山市環境パートナーシップ事業」に参加し、「グリーンカンパニー」としての活動も行っています。
「リコージャパンさんには、これからも環境貢献とコストダウンにつながる提案を期待しています」(吉永様)
屋上に並んだ空調の室外機。右手前に見える白いボックスがEMSの制御子機
名称 | 社会福祉法人 夕凪会 |
所在地 | 岡山県岡山市東区宿毛745-1 |
HP | https://www.yunagi.jp/ |
設立 | 1996年8月 |
事業内容 | 特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービス、居宅介護支援事業所等の運営、ほか |
※本記事に掲載の会社名および製品名はそれぞれの各社の商号、商標または登録商標です。
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