GXマンスリーレポート 2026年1月号
公開日:2026年05月27日
この記事に書いてあること
本コラムは、GXの動向や脱炭素経営に役立つヒントをまとめた「GXマンスリーレポート」2026年1月号よりの抜粋記事となります。
一部、加筆修正している場合がございます。
『国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)』が開催されました!
ブラジル連邦共和国パラー州ベレンにて、2025年11月10日~11月22日(1日延長)にかけて『国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)』が開催されました。
日本からは政府代表団長である石原宏高環境大臣を筆頭に各省庁及び関係機関が参加しましたが、高市早苗首相は臨時国会の対応を優先させるため参加を見送りました(昨年のCOP29も石破茂前首相は欠席)。
なお、トランプ政権下でパリ協定からの離脱を表明したアメリカは、交渉団の派遣をも見送る異例の事態となりました。
■焦点だった”化石燃料からの脱却”は盛り込まれず
地球温暖化の主な原因である化石燃料からの脱却自体は2年前のCOP28ですでに合意済みですが、「それをどう実行するか」という肝心な実行段階で世界はまだ足並みを揃えることができていません。
COP30では、化石燃料からの脱却に実行可能なロードマップの策定への期待が高まり、80カ国以上の賛同を集めましたが、結果として「化石燃料の段階的廃止」に向けた文言は、最終合意文書に盛り込まれませんでした。
サウジアラビアやロシアなどの主要な化石燃料生産国や、インド、中国から強い反発があり、「全会一致」の制約が合意文書のトーンを弱めるかたちとなりました。
■不名誉な化石賞の受賞
日本も、ロードマップの提案に賛成を表明しなかった国の一つです。二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)や、水素やアンモニアを化石燃料と混焼する石炭火力発電など、温室効果ガス削減効果が実証されていない「移行的技術」を必要とする政府の方針が理由とされています。
また、オーストラリアのガス田への巨額投資などの理由も加わり、温暖化対策に消極的な国に贈る「化石賞」の国のひとつに日本が選ばれてしまいました。COP29でのG7としての受賞を含めると、COP25から6回連続の不名誉な受賞となります。
■COP30の成果
COP30では、緩和や資金等の分野を横断し、特に関心の高い事項を取り上げた「グローバル・ムチラオ決定」が採択されました。
気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」の参加国に義務付けられる温室効果ガスの排出削減目標(NDC)は5年ごとに提出する必要がありますが、提出期限の2025年9月末の時点で、195カ国・地域のうち約7割が未提出のままとなっています(今回は2035年までの目標が対象)。
そのため『可能な限り早期に提出するよう促すこと』が、「グローバル・ムチラオ決定」に盛り込まれました。
また、気候変動対策における適応策への資金を3倍にすることで合意しました。
このように「パリ協定」で合意した温室効果ガス排出削減の加速に向けた合意がなされたことはせめてもの成果と言えます。
COP30閉幕を受けて国連のグテーレス事務総長は、「COP30の最終的な結果は『失望すべきものだった』と嘆く一方、「米国が離脱して反対運動を展開し、化石燃料産業が明らかに進展を阻もうとする中で合意が成立したことは注目に値する」とコメントしています。
出典:
・国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)、京都議定書第20回締約国会合(CMP20)及びパリ協定第7回締約国会合(CMA7)が開催されました
・共同通信「高市首相、COP30欠席へ 温暖化対策、日本の存在感低下」
・共同通信「排出削減目標、未提出国が7割 温室効果ガス、パリ協定」
・alterna「野心欠くCOP30、合意文書に「化石燃料脱却」盛り込めず」
・【COPとは】COP30で決まったことと決まらなかったことーーグリーンピースは何をした?
・CAN JAPAN「【プレスリリース】日本がCOP30にて「本日の化石賞」を受賞(2025年11月13日)」
・Reuters「COP30、米国離脱でも多国間主義の機能を示す=国連事務総長」
本格的に始まる排出量取引制度
GX推進法の改正により排出量取引制度の参加基準などが見直されます。今回は、排出量取引制度の概要及び2026年度から開始される制度のご案内になります。
<制度概要>
温室効果ガス排出量に価格を付けて、予め決めた排出枠を基に、未使用分、多く使った分の取引により温室効果ガスの見える化と削減を目的にします。既に2010年から東京・埼玉で開始していますが、今回、義務化になる事より”温室効果ガスの見える化と削減”を狙ったものになります。温室効果ガス排出量は「活動量×排出係数」で算出されます。活動量は、”電気、ガス、燃料の排出活動の具体的な量”になり、排出係数はその活動から排出される温室効果ガスの量により異なります。
<取引方式>
”キャップアンドトレード方式”と”ベースライン・アンド・クレジット方式”の2種類あります。前者は、政府が国や自治体ごとの排出量の上限(キップ)をきめて、各企業に排出枠の割当と取引をする内容になります。後者は、各企業が”排出削減対策”を”実施した場合”と”実施しなかった場合”の排出量の差分を取引することになります。

排出枠の設定と取引のイメージ
企業Aは、実際の排出量が自社に割り当てられた排出枠の上限を超えています。
企業Bは、実際の排出量が割り当てられた排出枠を下回っており、余った排出枠を保有しています。
企業Bがその余剰分を企業Aに売却することで、企業Aは不足する排出枠を補うことができます。
<2026年度から施行される内容>
排出量取引制度に参加が義務化される”年間のCO₂排出量10万トン以上の企業”が、経産省主導で”GX-ETS(GXリーグ 2022年開始 747社登録)に登録(任意)”、登録している企業との①プレッジ②実績報告➂取引実績④レビューの流れで温室効果ガス見える化と削減を狙っていく事になります。
出典:
・GXリーグ
・エネマネX「排出量取引とは?2026年から一部企業は参加義務の対象に」
・CO2メディア「二酸化炭素(CO2)排出量の計算方法を解説」
・一般社団法人フォレストック協会「【解説】キャップ&トレード|ベースライン&クレジット」
GX関連用語 ~この単語、ご存じですか?~
PPA
Power Purchase Agreement(電力販売契約)のこと。太陽光発電システムを、企業や自治体が導入する方法のひとつで、導入側(需要家)が設置するスペースを提供する代わりに、PPA事業者が初期費用やメンテナンス費用を全額負担するものです。発電された電力は、需要家である企業や団体が有償で購入する決まりとなっています。
TCFD/TNFD
TCFD(Task on Climate-related Financial Disclosures)は”気候変動”を”TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)は”自然資本や生物多様性”の重要視が大切になります。つまり、CO₂排出量の数値化や削減目標といったTCFDの動きのなかで、自然資本や生物多様性保全といった分野のTNFDの関係になってきます。企業経営の観点からでも、かつてあったように自然や生物多様性を軽視した経営が、厳しい視線の的になってしまいます。
SBT
SBT(Science Based Targets)とは、パリ協定が目指す「世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑える」という目標に整合した、科学的根拠に基づく温室効果ガス排出削減目標のことです。企業は5〜15年先を見据えて削減目標を設定し、その達成に向けた対策の立案・運用を進めます。
RE100
Renewable Energy 100%(再生可能エネルギー100%)のこと。企業が自らの事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的なイニシアティブで、世界で444社、日本で93社採用(2025年7月)リコーグループも2017年4月より採用しています。
本記事記載の内容は2025年12月時点での情報を引用しています。
本記事に掲載のその他の会社名および製品名、ロゴマークは各社の商号、商標または登録商標です。
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