脱炭素化に向けて個人でできること15選!必要性についても紹介
2024年08月29日 09:26
この記事に書いてあること
脱炭素社会の実現は、地球温暖化の防止だけでなく、エネルギー安全保障の確保や経済成長の実現などにも繋がる重要な課題です。日本をはじめ世界各国がそれぞれ目標を掲げ、取り組んでいます。しかし、脱炭素の実現を担うのは政府や大企業だけではありません。私たち一人ひとりができることが、実はたくさんあるのです、今回は、脱炭素化に向けて個人ができることを紹介します。
脱炭素化のために個人での取り組みが必要とされる理由

日本のCO2排出量の約6割は、衣食住を中心とする「ライフスタイル」に起因しており、個人の行動がCO2の排出に大きく影響しているといえます。電気やガスの使用、自動車の利用、食品の消費など、私たちの日常生活のあらゆる行動が、CO2の排出に直結しているのです。脱炭素化の実現は企業や政府だけではなく、個人の取り組みが欠かせません。
参考:環境省|【ロジックモデル】ナッジ×デジタルによる脱炭素型ライフスタイル転換促進事業(脱炭素ライフスタイル推進室)
【身近な取り組み例】脱炭素化に向けて個人でできること15選
それでは、脱炭素化に向けて個人で具体的にどんなことができるでしょうか。ここでは「温室効果ガスを減らす」「製品の製造・流通・廃棄に必要なエネルギー量を減らす」「ゴミを減らす」をキーワードに、15項目を紹介します。
①電気の使用量を減らす
②節水する
③食品ロスを削減する
④緑を育てる
⑤公共交通機関や自転車・徒歩で移動する
⑥マイ箸やマイバッグなどを使用する
⑦環境に配慮した衣服を着用する
⑧環境に配慮した商品を購入する
⑨省エネ家電に買い替える
⑩電気自動車に乗り換える
⑪修理・補修して長く使用する
⑫フリマ・シェアリングサービスを利用する
⑬ESG投資をする
⑭自宅でコンポストを作る
⑮省エネ性能の高い住宅に住む
電気の使用量を減らす
電気の使用量を減らすことで、発電の際に排出されるCO2の排出量を減らすことができます。節電のポイントはこまめに電気を消すことが基本。電気使用量が大きいエアコンは、設定温度を適切にすることで、電気の使用量を抑えることができます。家電の買い替えの際に、省エネ性能の高いものを選ぶこともおすすめです。
節水する
水道水は、水源から浄水場、配水管を経て家庭に届けられます。この過程で、水を汲み上げるポンプや浄水装置、配水管の維持管理などのために電力が消費されているのです。節水もエネルギー削減に効果があります。普段の生活でできることとして、洗い物やシャワーの際にこまめに水を止める、節水型の蛇口やシャワーヘッドに交換する、トイレの節水モードを活用するなどがあります。
食品ロスを削減する
食品の製造・加工・輸送、さらに廃棄にもエネルギーが必要です。食品ロスを減らすことで、CO2削減に繋がります。食品ロスを減らすポイントは、買い過ぎないこと。買い物をする際には、冷蔵庫や食器棚の中身を確認しましょう。食品が余ってしまった場合、最近では、フードシェアリングサービスや食品ロス削減のアプリなど、食品を無駄にしないサービスやツールも登場しています。
緑を育てる
植物は光合成によって二酸化炭素を吸収して酸素を放出します。この過程で、植物は二酸化炭素を固定し、大気中のCO2濃度を下げることに貢献します。植樹や森林保全、もちろん個人で緑を育てることも有効です。家庭菜園や市民農園で野菜や果物を栽培すれば、収穫の楽しみもあり一石二鳥です。
公共交通機関や自転車・徒歩で移動する
公共交通機関は、電力や燃料を効率的に利用して運行されています。自転車や徒歩は、自分の体力以外のエネルギーを消費しません。大気汚染の防止や交通渋滞の緩和、体力増進といったメリットもあります。
マイ箸やマイバッグなどを使用する
使い捨て製品の製造・輸送・廃棄の過程で、温室効果ガスが排出されます。マイ箸やマイバッグを使用することで排出を削減することができ、ゴミや資源の削減にも繋がります。
環境に配慮した衣服を着用する
衣服の製造・輸送・廃棄の過程でもCO2が排出されています。特に、廃棄された衣料の大部分が焼却処分されており、世界的な問題となっています。環境負荷の低い素材や再生素材を使用した服、CO2削減やリサイクル、フェアトレードなどの取り組みに参画している企業やブランドを選ぶことが挙げられます。もちろん、できるだけ長く着られるアイテムを買うことも有効です。
参考:環境省|SUSTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に
環境に配慮した商品を購入する
環境に配慮した商品を選ぶことも大切です。持続可能な素材を使用したもの、製造過程で再生可能エネルギーを使用したもの、生産地や製造方法を明示しているものを探しましょう。一方で、価格が高めになる、選択肢が限られるというデメリットもあります。私たちが環境に配慮した製品を積極的に購入することで商品が普及していき、より求めやすい価格、より多くの選択肢が実現するはずです。
省エネ家電に買い替える
省エネ家電は、従来の家電製品に比べ消費電力を抑えた製品です。省エネ家電に買い替えることでエネルギーの使用量を減らし、さらに温室効果ガスの排出量を削減することに繋がります。省エネ家電を買うときには、省エネラベルを確認しましょう。家電製品の省エネ性能を示しており、5.0~1.0までの41段階の数字で表示されています。省エネ性能が高い家電製品は、省エネラベルのランクが高くなります。
省エネ家電は、従来の家電製品に比べ価格が高くなる傾向があります。ただし、使うほど電気代の節約になるメリットもあるので、ぜひ、買い替えを検討してみてください。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁|小売事業者表示制度(統一省エネラベル等)とは
電気自動車に乗り換える
電気自動車は、走行時に温室効果ガスを排出しないため、脱炭素化の切り札として期待されています。ガソリン車と電気自動車の走行時の二酸化炭素排出量を比較すると、一般的なガソリン車は1km走行するごとに約155gの二酸化炭素を排出する*のに対し、電気自動車はほぼゼロです。また、ガソリン車よりもエネルギー消費量を抑えられます。ただし、価格が高いこと、充電インフラの整備が課題です。これらの課題を克服することで、電気自動車は、脱炭素化の実現に大きく貢献することができると考えられています。
*参考:一般社団法人 環境エネルギー事業協会|車・電車のCO2排出量は?
修理・補修して長く使用する
商品をできるだけ長く使うことは、脱炭素化のために出来ることの基本といえます。故障や破損してしまった場合も、処分する前に修理や補修を考えてみましょう。やり方がわからなくても、SNSや動画配信サービスなど、無料のガイドがたくさんあります。
フリマ・シェアリングサービスを利用する
フリマサービスは、インターネットを介して個人間で商品を売買するサービスで、「メルカリ」や「楽天ラクマ」などが大手サービスとして知られています。不要なものを売却することで、資源の再利用に、さらに廃棄処分で排出される温室効果ガスの排出量を削減することができます。シェアリングサービスは、個人や企業が所有する資産やサービスを必要に応じて利用できるサービスで、代表的なものにカーシェアリングがあります。共有することで個人の所有物を減らすことができ、製造や輸送、廃棄に伴う温室効果ガスの排出量を削減できます。
注意点として、フリマサービスでは、不要なものを売る際には、できるだけ状態の良いものを売るようにしましょう。状態が悪いと購入者が少なく、せっかく購入されても廃棄されてしまう可能性があります。シェアリングサービスは、不要になることも想定し、利用の中止について確認してから申し込むとトラブルが避けられます。
ESG投資をする
ESG投資とは、投資先の企業を、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの視点から評価し、その評価に基づいて投資を行うことです。環境問題や社会問題の解決に貢献する企業に投資することで、持続可能な社会の実現に貢献することを目的としています。従来の投資と異なり、非財務情報が評価の対象となります。脱炭素化に大きく貢献する可能性を持った投資として注目され、投資規模も増加しています。
参考:財務省|ESG投資について
投資には資金が必要で、リスクもあります。財務情報だけで判断できないことから、投資判断が難しい面もあるでしょう。まだ発展途上の投資手法ですが、ESGに取り組む企業と投資金額が増えることでさらに普及、成長していくと考えられます。
自宅でコンポストを作る
コンポストは、生ゴミや落ち葉、枯れ草など、有機物を微生物の働きによって分解、肥料や土壌改良剤にするための容器です。家庭で使用することでゴミを減らせ、資源として再利用できます。半面、作業に手間や時間がかかる、虫や悪臭の原因になってしまうこともあるため、生ゴミと落ち葉を混ぜ合わせる、脱臭フィルターを使用するなどの工夫が必要です。
省エネ性能の高い住宅に住む
省エネ性能の高い住宅とは、断熱性や気密性、日射遮蔽性などの性能を高めることで、エネルギー消費量を抑えた住宅のことです。エネルギー消費量を抑えることで、脱炭素化に貢献します。これを一段進めた取り組みとして、経済産業省では「ZEH(ゼッチ)住宅」の普及に向けた施策を打ち出しています。ZEHはNet Zero Energy Houseの略で、家庭内の生活で消費するエネルギーと、自家発電などで生成するエネルギーのバランスをとり、年間で消費するエネルギーの収支を実質ゼロ以下にすることを目指した住宅のことです。2020年のハウスメーカーが新築する注文戸建住宅において、約56%がZEHとなっており、さらに普及していく見込みです。
参考:経済産業省 資源エネルギー庁|ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に関する情報公開について
まとめ
個人の取り組みは、一つひとつの規模は小さくても、集約し、継続することで、脱炭素化の実現に大きな力となります。さらに、多くの人が参加することで、脱炭素化の必要性や重要性に対する理解が深まり、社会全体での脱炭素化への取り組みが加速していくでしょう。無理なく、息長く実践していきたいものです。
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