カーボンニュートラルで私たちにできることとは?
2023年06月27日 13:27
この記事に書いてあること
脱炭素とカーボンニュートラルの違い
2020年10月20日、当時の菅義偉内閣総理大臣が国会にて、日本も2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。各企業もその実現に向けて歩みを進めている状況にあります。
メディアや日常会話でも見聞きするようになった、この「脱炭素」と「カーボンニュートラル」。この2つの言葉の違いはどこにあるのでしょうか。
一般的には下記のように述べられます。
〇脱炭素:
人間の活動によって排出されるCO2に代表される温室効果ガスを実質ゼロにすること。
〇カーボンニュートラル:
人間の活動によって排出される温室効果ガスと同量の温室効果ガスが植林や森林管理等の人為的な活動によって吸収・除去され「正味ゼロ(ネットゼロ)」になった状態。

※環境省「脱炭素ポータル」より
どちらも、CO2を中心とした温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを意味しており、同義として使われることが多いようですが、強いて言えば、カーボンニュートラルは排出量と吸収量を均衡させて実質ゼロにする意味合いが強いと言えます。
温室効果ガスと日常生活、企業活動
18世紀なかばから始まった産業革命では、蒸気機関が発明され産業や交通機関のエネルギー源として石炭が新たなエネルギー源の中心となりました。その後、20世紀に入りエネルギーの主役は石炭から石油にとって代わり、天然ガスの利用も進むようになりました。これらは化石燃料と呼ばれ、今日の産業の発展の大きな役割を果たしてきました。
しかし、良い面もあれば悪い面もあります。これら化石燃料は燃える(エネルギーが発する)ときに酸素と結びつきCO2が発生します。CO2は地球上の熱を捉えとどめてしまう働きも持ち、結果として地球の気温上昇に大きな影響があることがわかってきました。
このようにCO2に代表される温室効果ガスは地球温暖化の原因のひとつと言われています。その名が示す通り温室のような効果をもたらすガスとして、地球から熱を逃しにくくし、地球の温暖化や気候変動につながっています。
わたしたちの日常生活、会社経営では電気が欠かせません。そして、その電気は依然として化石燃料に頼る火力発電が主軸となっています。電気を使うことで生活と企業活動ができる一方、電気を生み出すためのエネルギーとして化石燃料が燃やされ、CO2が発生している現実を見つめていく必要があります。
地球温暖化につながる温室効果ガスを減らすために、わたしたちができることにはどのようなものがあるのでしょうか。
カーボンニュートラルにおいて、企業ができること
カーボンニュートラルと脱炭素社会の実現に向け私たちが出来ることは何でしょうか。
まず、企業が取り組むべき行動をご紹介いたします。
温室効果ガスには「CO2、メタン、亜酸化窒素、フッ素化ガス、水蒸気」の5つの主要素があります。
温室効果ガスの7割以上を占めるCO2*は、電灯やエアコンを切る・節電をする、自家用車や社用車を電気自動車に乗り換えるのなどの行動でも排出量の削減につながります。これら積み重ねの行動が、脱炭素社会への実現へとつながっていきます。
*出典元:IPCC第6次評価報告書「人為起源GHG排出量の推移」より
企業が温室効果ガス削減に向けて取り組む代表的な枠組みに、RE100やSBT、TCFDなどがあります。
RE100は、企業が事業運営に必要な電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブです。
SBTは、企業が気候変動に対処するために科学的な根拠と整合した温室効果ガス削減目標のことです。
TCFDは、企業が気候変動のリスク・機会を認識し経営戦略に織り込むことを要請する枠組みのことで、この枠組みに則った情報開示が求められています。
これらは企業が温室効果ガスの削減を目指し、自社の持続可能性目標を達成するためのガイドを提供しているとも言えます。
またCO2排出量の差し引きゼロを目指すカーボンニュートラルへの取り組みでは、化石燃料を用いず発電をした非化石電源や、風力・太陽光・バイオマス等の再生可能エネルギーに変換して得られるグリーン電力などの導入が会社の行える行動のひとつと言えるでしょう。
日常生活で排出されるCO2を減らすように努力をすること、また再生可能エネルギーなどを活用してCO2排出量を差し引きゼロにしていくことで脱炭素およびカーボンニュートラルが可能になっていきます。
カーボンニュートラルにおいて、個人ができること
続いて私たち個人ができる取り組みを3つご紹介いたします。
・エコドライブ
不必要な急加速や急ブレーキを避け、エンジンを無駄に回さないよう心掛けることで、燃料の消費を抑え、CO2排出を減らすことができます。また、無駄な荷物は積まない、近距離は歩く、点検・整備をきちんとしタイヤの空気圧を適正にするなどを意識することも重要です。
・ リサイクルと再利用
リサイクル可能な製品を購入し、それらを正しくリサイクルすることで、新たな製品を作るために必要なエネルギーを節約します。また、不要なものは買わない、長く使うといった消費行動を見直すことも大切です。
・食材のローカル消費
遠くから輸送される食材ではなく、地元で生産された食材を利用することで、輸送による二酸化炭素排出を減らすことができます。また、可能な限り肉の消費を減らし、植物ベースの食事を選ぶことも推奨されます。
これらの取り組みは、一見小さな行動に見えますが、一人ひとりが率先して実践していくことで大きな力となります。そして、地球温暖化の進行を防ぎ、持続可能な社会を築くための一歩となります。
カーボンニュートラルと脱炭素社会の実現に向けて、私たちができることを今日から始めてみませんか?
地方からはじまる、脱炭素ロードマップ
2050年カーボンニュートラルの実現に向けた国の検討と取り組みについては「国・地方脱炭素実現会議」にて議論が重ねられました。そして地域から始まる脱炭素として、地域の取組と密接に関わる「暮らし」「社会」分野を中心に、国民・生活者目線での『地域脱炭素ロードマップ』が2021年に示されています。
参考レポートアドレス)地域脱炭素ロードマップ
国・地方脱炭素実現会議|内閣官房ホームページ (cas.go.jp)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/index.html
キーメッセージは「地方からはじまる、次の時代への移行戦略」。今後5年間に政策を集中展開し、少なくとも100か所の脱炭素先行地域を創出すること、そして重点対策を全国津々浦々で実施し、『脱炭素ドミノ』を全国に伝搬させていくことを目標としています。
脱炭素先行地域については削減レベルについて要件がまとめられています。たとえば、再生可能エネルギーの導入と活用、住宅・建築物の省エネと再エネ、蓄電池としての電気自動車活用、地域特性に応じたIT活用(エネルギーのスマート化)、そして地域の自然資源を活かしたCO2の吸収などを例示しています。
また、このロードマップの中では、個人の日常生活における行動とメリットについて「ゼロカーボンアクション30」として整理しています。
具体的には電気等のエネルギーの節約や転換、住居・移動・食・衣類とファッションでの脱炭素のアイデア、ごみを減らすこと、買い物と投資について、そして環境活動と30個のヒントが示されています。
『地域脱炭素ロードマップ』の最後では「カーボンニュートラルの実現に向けては、本ロードマップに盛り込まれた地域の暮らしや社会に密接に関わる取組と併せて、温室効果ガス排出の8割以上を占めるエネルギー分野の取組が特に重要となる」と全体像の整理と今後の取組を含ませてまとめています。
まとめ
カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現は、世界共通の目標であり地球環境の保護と持続可能な未来の確保に必要不可欠なことです。
国際社会や企業、また一人一人の取り組みとお互いの協力が必要であり、積極的な行動と意識改革が重要となります。
身の回りの小さな取り組みからできることを始めることが脱炭素社会の実現に向けての一歩となるでしょう。
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