SDGs社会におけるZ世代の採用とは!?人事担当者お役立ち情報
2023年07月31日 13:29
この記事に書いてあること
最近、メディアで目にするZ世代。彼らの特徴や志向性を理解し、どのような採用戦略をとるべきなのかを考察していきます。
Z世代とは?彼らの特徴とは?
Z世代とは、一般的には1990年代後半から2010年の前半の間に生まれた世代とされます。
「Z」は米国の世代名「ジェネレーションZ」が由来となっています。Z世代の前の世代はX世代、Y世代と呼ばれています。
X世代は1965年から1980年の間に生まれた世代で、この世代は、デジタルテクノロジーが発展する前に生まれアナログな環境で成長しました。
そしてY世代は1980年始めから1990年半ばに生まれ、ミレニアル世代とも呼ばれています。
この世代は、インターネットやデジタルテクノロジーが急発展する中で成長しました。SNSを世界に広めたマーク・ザッカーバーグもその一人です。
そしてZ世代はX世代・Y世代に続く世代として名づけられました。
Z世代は生まれた時から身の回りにインターネット環境やデジタルなメディア、サービスが普及しており、総じてITリテラシーが高いことからデジタル・ネイティブとも言われています。
このデジタル・ネイティブとも言われるZ世代は、情報収集の方法もマスメディアに頼っていた世代よりも多くの選択肢がある状況にあります。たとえばSNSを通して、沿線の運行情報を知る行動から、世界で起きている出来事をリアルタイムに手にすることもできます。
このようにインターネットやSNSを通じて多種多様な情報や価値観に触れているため、グローバルな視野を持ち、多様性を受容する傾向にあると言われています。
Z世代とSDGs教育
Z世代はデジタル・ネイティブの側面のほか、教育についても特徴があります。
2002年にヨハネスブルグで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」にて、日本は「持続可能な開発のための教育(ESD:Education for Sustainable Development ※以降、ESD)」を提唱しました。
文部科学省ではESDを以下のように述べています。
"現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことで、問題の解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指して行う学習・教育活動"
出典:文部科学省WEBサイト 「持続可能な開発のための教育」より
かんたんに言うとESDとは「持続可能な社会の創り手を育む教育」と言えます。
ESDの概念はその後、国際的な取り組みを重ね、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の目標4.「すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯教育の機会を促進する」と結びついていきます。
また2019年の国連総会で採択された「ESD for 2030」では、教育面のみならず「ESDはSDGsの17の目標すべての達成に不可欠な実施手段である。」とされています。
国内の学校教育においても、ESDは文部科学省、環境省が中心となりさまざまな取り組みがなされています。*
*参考:環境省「環境教育・ESDの推進」、「文部科学省持続可能な開発のための教育」
このような環境で育ったZ世代は、幼いころから日常生活や学校教育でSDGsにふれ、環境問題や社会問題に高い意識をもっていることから、ミレニアル世代とともにSDGsネイティブとも呼ばれています。
また、学校教育だけでなく、SDGsネイティブは、2001年のアメリカ同時多発テロ、2011年の東日本大震災など様々な出来事に若くから直面してきました。
このようなことからも、Z世代は社会問題・環境問題を自分事として考える傾向があるのです。
実際に、SDGsに関しての認知度調査では、「内容を知っている」もしくは「内容をある程度知っている」と回答した割合が年代別で最も高かったのが、15~19歳(71%)、また3番に20~24歳(66%)という結果が出ています。
SDGsに関して、あなたは御存じですか(年代別)

出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 | 科学技術に関する国民意識調査より
また、SDGs認知に大きく影響を与えているのが前述したSNSの出現です。
以下はSDGsに関しての把握手段経路の調査結果ですが、テレビに続いて2番目にSNSが位置付けています。
情報収集をSNSで行うことが多いZ世代にとって、SDGsにふれる機会が増えていることは間違いないかといえます。
SDGsをどんな場面で聞いたことがありましたか。
(性別。%は統計の値。以下同じ)

出典:文部科学省 科学技術・学術政策研究所 | 科学技術に関する国民意識調査より
Z世代が就職活動に関して企業に求める意識とは?
Z世代の学生は、就職活動において企業のSDGsへの取り組みを重要な選考基準と考えています。
株式会社日本総合研究所が2020年に行った全国の中学生、高校生、大学生に対する調査によると、「環境問題や社会課題に取り組んでいる企業で働く意欲」という質問に「とてもそう思う」、「やや思う」と答えた学生は全体のほぼ半数 47.2%となっています。*1
さらには、就職・転職情報会社の学情が行った2024年3月卒業予定の大学生、大学院を対象にした就職活動に対するインターネットアンケートによると、半数以上の学生が、就職活動において企業のSDGsに関する取り組みを意識しており、7割弱の学生が、「企業がSDGsに取り組んでいることを知ると、志望度が上がる」と回答しています。*2
*1 引用:株式会社日本総合研究所 若者の意識調査(報告)― ESGおよびSDGs、キャリア等に対する意識 ―アンケート調査より
*2 引用:株式会社学情「あさがくナビ2024」アンケート調査より
これらの調査結果からもわかるようにSDGsネイティブであるZ世代は就職においてSDGsへの関心と意識が高まっており、自らの働く環境の社会的な課題や環境問題への取り組みに関心を抱き、自身のキャリアを通じて社会的な影響を持たせたいと考えています。
Z世代の採用における企業側のチェックポイント
Z世代の学生は、企業の社会的な課題や環境問題への取り組み以外にも、自らの「ワークライフバランス」を重視する傾向にあります。
また、終身雇用にこだわらず自らの成長を重視しキャリアップを求めるとも言われています。
このような意識を持つZ世代を採用するにあたり企業が留意するチェックポイントは以下のような点が考えられます。
●持続可能性に対する取り組み
自社が、環境問題や社会課題に対する貢献活動を積極的に行っていることを公開する
●ダイバーシティ&インクルージョンの推進
異なる背景や経験を持つ人々の多様性が尊重され、能力が発揮できるよう公平な機会と包括的な環境を提供する
●ワークライフバランスの配慮
働き方改革や柔軟な勤務時間制度などを導入し、従業員の働きやすさを考慮する
●デジタル環境とテクノロジーの提供
効率的に働けるデジタル環境と、柔軟性を持った業務スタイルを実現するためにテクノロジーを提供する
●成長と学びの機会の提供
継続的なトレーニングやキャリア開発プログラムを提供し、自己成長をサポートする場を提供する
また、上記のような企業としての取り組み情報を主要なSNS・ソーシャルメディアを通じて発信することによって、インタラクティブなコミュニケーションの場の提供をすることも重要なポイントとなります。
これらを考慮することで、企業はZ世代の採用に効果的にアプローチできる可能性が高まります。
まとめ
Z世代はこれからの企業を担い、社会や職場に新たな価値観や活力をもたらす存在となっています。
彼らは、環境意識が高く、SDGsや持続可能性にも敏感です。これからの企業は、彼らの特性を理解し、脱炭素への取り組みや社会的使命の情報をSNSの活用も含めて積極的に公開することが重要となります。
そのような活動を通じて優秀な人材の確保をすることが、さらなる企業価値の向上と持続可能性を高めることにつながると言えるでしょう。
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