再生可能エネルギーとは?概要や導入のメリット・デメリット、代表的なエネルギーの特長について解説
2024年07月18日 18:40
この記事に書いてあること
地球温暖化や環境破壊は今日の社会が直面している最も深刻な課題の一つです。
これらの問題に対処し持続可能な未来を築くためにはエネルギー供給のあり方を根本から見直す必要があります。
その解決策として世界中で「再生可能エネルギー」への注目が高まっています。
再生可能エネルギーは化石燃料の使用に代わるクリーンで無尽蔵のエネルギー源として地球と人類の未来に新たな希望をもたらしています。
ここでは主な再生可能エネルギーの種類とそのメリット、デメリットについて解説いたします。
再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーの定義
再生可能エネルギーとは、使用しても枯渇しない自然界に存在するエネルギー源のことを言います。
太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスなどが含まれこれらは自然によって絶えず再生されるため無限に近い資源と見なされます。
こういった特性から、再生可能エネルギーは化石燃料の代替となる持続可能なエネルギー資源として期待されています。
出典:環境省|再生可能エネルギー導入加速化の必要性
再生可能エネルギーの特長
再生可能エネルギーの最大の魅力は温室効果ガスの排出が非常に少ないこと、そして化石燃料に依存しないことにあります。
これらのエネルギー源は太陽や風といった自然から直接エネルギーを取り出すため、燃焼によるCO2排出がほとんどありません。
そのため地球温暖化の主要な原因である温室効果ガスの排出を大幅に削減することが可能です。
さらに地域によって最適な再生可能エネルギーの種類を選択し利用することで、エネルギーの地産地消の実現が可能になります。
これは、エネルギー供給の安定性を高めるだけでなく地域経済の活性化にも寄与する重要な要素です。
参考:経済産業省資源エネルギー庁|再生可能エネルギーとは
再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーはその源泉が自然界に無尽蔵に存在し使用しても枯渇することがないエネルギーです。
ここでは、以下の主要な再生可能エネルギーの種類とその特性について詳しく見ていきましょう。
- ・太陽光
- ・風力
- ・地熱
- ・中小水力
- ・バイオマス
太陽光
太陽光発電は太陽からの光を直接電気に変換する技術を利用した発電方法です。
この変換には主に太陽光パネル(太陽電池)が使用されます。
近年、太陽光パネルの製造コストは大幅に低下し、技術も大きく進歩しています。

これにより太陽光エネルギーは最も普及している再生可能エネルギーの一つとなっており、個人の家庭だけでなく企業や公共施設などでも広く利用されています。
しかし、この太陽光を利用する際にはメリットとともにいくつかのデメリットも考慮する必要があります。
メリット
- ・クリーンなエネルギー源: 太陽光は燃焼過程を伴わないため、CO2やその他の温室効果ガスを排出しません。これにより気候変動への影響を最小限に抑えられる非常に有効なエネルギー源です。
- ・比較的容易に設置ができる: 他の再生可能エネルギー発電施設と比べて比較的容易に設置が可能です。一般家庭では屋根の上や土地が一般的ですが、カーポートや外壁に設置するケースも増えています。
- ・運転コストが低い: 一度太陽光パネルを設置すれば太陽からの光を受けることで発電することができます。燃料が不要でありメンテナンス費用も比較的低いため、運転コストは非常に低くなります。
- ・技術の進歩とコスト低減: 近年、太陽光パネルの製造技術が進歩し製造コストが大幅に下がりました。これにより導入コストも下がりより多くの人々が利用できるようになりました。
- ・分散型エネルギー供給: 個々の建物や家庭に太陽光パネルを設置することにより、中央集中型のエネルギー供給システムに依存しない分散型のエネルギー供給が可能になります。
デメリット
- ・天候や地理的条件に依存: 太陽光の発電量は天候や季節、地理的な位置に大きく依存します。曇りや雨の日は発電量が大きく減少し高緯度地域では冬季に発電量が落ち込む傾向にあります。
- ・初期投資費用が高い: 太陽光パネルの製造技術が進歩し製造コストが大幅に下がってはいるものの、まだ太陽光パネルの設置には比較的高額な初期投資が必要です。この初期コストが導入の障壁となることがあります。
- ・エネルギー貯蔵の課題: 太陽がない夜間や曇りの日にも電力を供給するためにはエネルギー貯蔵システムが必要です。効率の高い貯蔵技術はまだ開発途上であり、コストも高いため大きな課題となっています。
- ・土地利用: 大規模な太陽光発電所を設置する場合、広大な土地が必要となります。これが自然環境への影響や土地利用の争いを引き起こす可能性があります。
太陽光は、その環境への優しさと持続可能性からエネルギーの未来を切り開く鍵となり得ます。しかし、その普及を加速するためにはデメリットを克服するための技術的、経済的な取り組みが引き続き必要です。
参考:太陽光発電協会|太陽光発電の基礎知識
風力
風力発電は風の動力を利用して発電する方法です。風車や風力タービンを使用して風の運動エネルギーを電気エネルギーに変換します。

風力は、特に風の強い地域や海上で大規模に利用されており持続可能なエネルギー供給の重要な柱の一つとなっています。風力には多くのメリットがありますが、導入にあたってはいくつかのデメリットも存在します。
メリット
- ・クリーンエネルギー: 風力は燃料を燃焼させないため、運転中にCO2やその他の温室効果ガスを排出しません。これにより気候変動への影響を最小限に抑えることができます。
- ・再生可能: 風は無尽蔵の自然資源であり風力は枯渇することなく利用できます。これにより長期的に持続可能なエネルギー供給が可能になります。
- ・運転コストが低い: 風力タービンは設置後の運転コストが低いです。風があれば自動的に発電し続けるため、追加の燃料コストがかかりません。
- ・地域社会への貢献: 風力発電所は地元の雇用創出や税収の向上に寄与します。また地域の電力供給源としてエネルギーの自立性を高めることができます。
デメリット
- ・風の不規則性: 風は常に一定ではなく風速が変動するため風力発電の出力も不安定になります。これにより電力供給の安定性が影響を受けることがあります。
- ・初期投資が高い: 風力タービンの設置には高額な初期投資が必要です。また、適切な場所を見つけ設置するための詳細な調査が必要になります。
- ・騒音や視覚的影響: 風力タービンから発生する騒音や風景への視覚的影響が地域社会の懸念事項となることがあります。特に住宅地域に近い場所での設置は住民の反対に遭うこともあります。
- ・野生生物への影響: 特に鳥類やコウモリが風力タービンに衝突することによる死亡事故が報告されています。このため生態系への潜在的な影響が懸念されています。
風力は、そのクリーンな特性と再生可能性により、持続可能な未来に向けた重要なエネルギー源の一つです。しかし、その普及をさらに進めるためには、デメリットに対処し、より効率的なタービンの開発、エネルギー貯蔵技術の向上、野生生物保護のための対策など技術的及び社会的な課題を解決することが必要です。
参考:独立行政法人 エネルギー・金属鉱物資源機構|風力発電の知っておきたい基礎知識 発電のしくみから素朴なギモンにお答えします!
地熱
地熱発電は、地球内部からの熱を利用した発電方法です。地球の内部は非常に高温であり、この熱を水蒸気や温水として地表に持ち上げ、発電に利用します。

地熱発電は地熱資源が豊富な地域、特に火山活動が活発な地域で有効です。地熱の大きな利点は、安定したエネルギー供給が可能であることと環境への影響が比較的小さいことです。しかし、地熱もまたその利用にはメリットとともにいくつかのデメリットが伴います。
メリット
安定したエネルギー供給: 地熱は、日照や風力といった外部条件の影響を受けにくく、一年中を通して比較的安定したエネルギー供給が可能です。
環境への影響が小さい: 地熱発電は化石燃料を燃やすことなく発電するため、CO2やその他の温室効果ガスの排出が少なく環境に優しい発電方法です。
運転コストが比較的低い: 地熱発電所は、稼働後の運転コストが低い傾向にあります。燃料費がかからないため長期的に見れば経済的なエネルギー源となり得ます。
地域経済への貢献: 地熱発電所の設置は地域の雇用創出や経済活動の活性化に貢献します。
デメリット
- ・初期投資が高い: 地熱発電所の設置には探査や開発、設備投資といった高額な初期投資が必要となります。地熱資源のポテンシャルを正確に把握するための調査も技術的に複雑でコストがかかります。
- ・地域性: 地熱は地熱資源が豊富な地域に限定されるため利用できるかは地域差があります。火山地帯や温泉地域など特定の条件を満たす場所でのみ効率的に利用できます。
- ・環境への潜在的影響: 地熱発電が地域の地下水温度や地質構造に影響を与える可能性があります。また、熱水の採取や排出による地表への影響も懸念されます。
- ・開発期間が長い: 地熱発電所の開発から稼働までには長い時間がかかることがあります。資源の探査から開発、設備の建設に至るまでのプロセスが複雑で多くの時間と労力を要します。
地熱は、その安定供給能力と環境への低負荷から見れば再生可能エネルギー源として非常に価値が高いものです。しかしその導入と運用には、高い初期投資や地域性、環境への影響など克服すべき課題も多く存在します。これらの課題に対処しより効率的で環境に優しい地熱の利用方法を開発することが今後のエネルギー戦略において重要となります。
参考:国立研究開発法人産業技術総合研究所|地熱発電とは?
中小水力
中小水力発電は、小規模な川や水流を利用した発電方法です。

大規模なダム建設を伴わないため環境への影響が少なく地域に密着した発電が可能です。
メリット
- ・安定したエネルギー供給: 水流は比較的安定しており、季節や時間帯による変動が少ないため一定の発電量を期待できます。これにより安定したエネルギー供給が可能になります。
- ・環境への負荷が小さい: 大規模なダム建設を必要としないため、自然環境や生態系への影響が小さく環境保全に配慮した発電が可能です。
- ・地域資源の活用: 地域内の小規模な水流を利用することで、地域の自然資源を活かした発電が実現します。これは地域経済の活性化やエネルギーの地産地消にも繋がります。
- ・初期投資と運用コストの低減: 大規模な設備投資が不要で運用コストも比較的低く抑えることが可能です。これにより中小規模のプロジェクトでも経済的に実現可能です。
デメリット
- ・発電効率の変動: 水量によって発電効率が大きく変動することがあります。乾季には水量が減少し発電量も低下する可能性があります。
- ・設置場所の制限: 設置には適切な水流と地形が求められるため設置できる場所が限られます。また、場所によっては水利権の取得が必要になることもあります。
- ・環境影響の潜在的リスク: 低いとはいえ水生生物への影響や河川環境への変化は避けられません。魚の移動経路の阻害や生態系への影響が懸念されます。
- ・保守・管理の必要性: 自然の中で運用する設備のため定期的なメンテナンスや災害時の復旧作業が必要になることがあります。これにより予期しない運用コストが発生する可能性があります。
中小水力は、その持続可能性と地域密着型のエネルギー供給能力により再生可能エネルギー源として重要な役割を担っています。しかしその導入と運用には技術的及び環境的な課題への適切な対応が求められます。
これらのデメリットを克服し環境に配慮しながら効率的にエネルギーを生産することが中小水力発電の成功には不可欠です。
参考:環境省|小水力発電情報サイト
バイオマス
バイオマス発電は植物や動物由来の有機物質を原料として利用する発電方法です。

このエネルギー源は化石燃料に代わる持続可能なエネルギー供給源として注目されていますが、利用にはメリットとデメリットの両面が存在します。
メリット
CO2中立性: バイオマスを燃焼させても植物が成長する過程で吸収したCO2とバランスを保つため大気中のCO2濃度を増加させることなく温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにできると考えられています。
廃棄物の有効利用: 木材の廃材や農業残渣、家畜のふん尿など、廃棄されることが多い有機物質をエネルギー生産に利用することができます。これにより廃棄物の減少と資源の再利用が促進されます。
エネルギーの地産地消: 地域で生産されるバイオマス資源を地域内でエネルギーとして利用することが可能です。これによりエネルギー供給の安定化と地域経済の活性化に寄与します。
エネルギー供給の多様化: バイオマスは化石燃料に依存しないためエネルギー供給の多様化と安全保障に貢献します。
デメリット
- ・エネルギー効率の問題: バイオマスからエネルギーを生産する効率は化石燃料や他の再生可能エネルギー源に比べて低い場合があります。そのため大量のバイオマス資源が必要となることがあります。
- ・収穫と輸送のコスト: バイオマス資源の収穫、加工、輸送にはコストがかかります。特に資源が分散している場合、輸送コストがエネルギー生産コストを上回ることもあります。
- ・持続可能性の問題: バイオマス資源の過剰な利用は森林破壊や生物多様性の低下を引き起こす可能性があります。また、食料用の作物をエネルギー生産に転用することは食料価格の上昇や食料供給の安定性に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
- ・環境汚染: バイオマスの不完全燃焼は大気汚染の原因となる有害物質を排出することがあります。また、バイオマス発電所の建設と運営に伴う環境への影響も考慮する必要があります。
バイオマスは、そのCO2中立性や廃棄物の有効利用といったメリットにより、持続可能なエネルギー供給源として期待されています。しかし、その効率、コスト、持続可能性、環境影響の面で直面する課題に対して、適切な管理と技術の進歩が必要です。
バイオマスの利用を拡大するためには、これらのデメリットを克服し、持続可能かつ環境に優しいエネルギー利用方法を模索し続けることが重要です。
参考:中部電力|バイオマス発電のしくみ
まとめ
再生可能エネルギーは温室効果ガスの排出を最小限に抑えられるため地球温暖化対策として非常に有効な手段であり、またエネルギーを枯渇さない持続可能性から今後ますます導入と活用が期待されています。
現在、多くの小売電気事業者が再生可能エネルギー由来での電力をプランに持っています。
わずかな金額で通常の電力に再生可能エネルギーという付加価値を加えた電力を購入することが可能です。
自社に太陽光パネル等の発電設備をもたなくとも再生可能エネルギー由来の電力プランに契約を切り替えるだけで簡単に再生可能エネルギーの利用ができます。
まだ再生可能エネルギーを未導入の方は、是非一度、ご検討してみてはいかがでしょうか?
※本記事に掲載の会社名および製品名はそれぞれの各社の商号、商標または登録商標です。
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