非化石証書
非化石証書とは、非化石電源から発電された電力の環境価値を証書化したもののこと。ここでいう非化石電源とは石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を使用せず、太陽光、風力、水力、バイオマス等といった再生可能エネルギーと原子力発電による、CO2を発生させない電源を指す。
非化石電源で発電された電気は、電力そのものの価値にCO2を排出しない環境価値が付加されたものである。
よく似た環境価値の証書にグリーン電力証書があるが、非化石証書が原子力発電を含む「非化石電源」で発電されたものであるのに対し、グリーン電力証書は「再生エネルギー由来」のみの発電という点で異なる。
非化石証書には、FIT制度(国が再生可能エネルギーで発電された電気を一定期間、一定価格で買い取ることを約束する制度)により買い取られた電気を保証する「FIT非化石証書(再エネ指定)」、FIT制度で買い取られていない再生可能エネルギーである「非FIT非化石証書(再エネ指定)」、FIT制度で買い取られておらず、再生可能エネルギーでない「非FIT非化石電源(再エネ指定なし)」の3種類がある。
従来、非化石証書は小売電気事業者や発電事業者しか購入できなかったが、2021年の制度変更により「FIT非化石証書(再エネ指定)」のみ、条件をクリアした一般需要家も「再エネ価値取引市場」から購入することが可能となった。
非化石証書を購入するメリットには主に以下のようなものがある。
● 環境問題への貢献
非化石証書は、化石燃料に依存しない非化石電源から生成されたエネルギーの使用を証明する。これにより、気候変動の主要な原因である温室効果ガスの排出の削減に貢献できる。
さらに、再生可能エネルギーの需要を創出し、その開発と普及を促進するため、再生可能エネルギー業界の成長に寄与し、良い循環が生まれる。
● 企業の社会的責任(CSR) の強化
購入者である企業はその購入分を実質CO2 排出量ゼロの電気を使用しているとみなされる。企業は環境に配慮したエネルギー使用を証明し、その社会的責任を強化することができ、またそれにより環境問題への取り組みを行っている企業であることを対外的にPRすることができる。